クエーサーの内部構造はどうなっているのか? マグナム望遠鏡の威力

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クエーサーの内部構造はどうなっているのか? マグナム望遠鏡の威力 東京大学理学系研究科  教授 吉井 譲 HST QSO画像6枚(上) MAGNUMロゴ(右下)

NGC 4622 距離:2億光年 10万光年 Sb型渦状銀河 ハッブル分類 渦巻き銀河

M87 距離:7400万光年 12万光年 E0型楕円銀河 楕円銀河

近傍の活動的な銀河 5万光年 NGC4151 NGC 4151 距離:5800万光年

10万光年 5万光年 NGC 4151 距離:5800万光年 NGC4151

左の図だけ切り抜き QSO 1229+204 距離:9億光年

Quasi-Stellar Object 距離:20億光年 HST QSO画像x6 3C273スペクトル

活動銀河核の明るさの 時間変動 NGC 5548 V-バンド 1989-2003年 時間 明るさ 心電図

活動銀河の構造 100万光年 100万倍 0.1光年 10万光年 10倍 パンフレット図 M81 トーラス概念図

活動銀河核の統一モデルの考え方 2000~10000 km/s 数百~2000 km/s Hβ Hβ 字を消す Sy2スペクトルはHαのみ切り取り 数百~2000 km/s

活動銀河の紫外・可視・赤外 スペクトル 紫外 可視 Hα Hβ 強度 赤外線 連続波 銀河スペクトルを一緒に 銀河 波長

輻射反響法による内部構造の深査 連続波 Hβ Hα 音楽 音符 NGC3516←作曲者 光度曲線

NGC 3516 距離:1億光年 近傍の活動的な銀河 音楽 音符 NGC3516←作曲者 光度曲線

ダストドーナツが存在するときに 予想される変光曲線 時間 赤外 可視 明るさ

実在したダストドーナツ マグナムのモニター観測の威力 実在したダストドーナツ    マグナムのモニター観測の威力 NGC 4151 200日間 赤外線 (波長2μm) 時間 明るさ 48±3日 勝手に繰り返さない クリックで再度 可視光線 (波長0.5μm)

100 10 1000 時間遅れ 絶対の明るさ 100 1000日 時間遅れ 絶対の明るさ 10 1 Hβ 赤外 1

マグナムで何が明らかになったのか? ダストは中心領域に 存在した 空洞 ダストは中心領域で融 けている ダストは中心領域に   存在した ダストの穴の内側に高  速度雲が分布していた 高速度雲 ダストは中心領域で融 けている 空洞 ダスト ダストの穴のサイズが 高精度で決まった 絶対的な明るさ 時間遅れ

活動銀河の統一モデルを支持する証拠を得た この結果は何を意味するのか? 活動銀河の統一モデルを支持する証拠を得た

活動銀河の距離を測定する新手法を確立する 時間遅れ 絶対の明るさ この結果は今後何に利用できるのか? 活動銀河の距離を測定する新手法を確立する この結果をもたらしたマグナム望遠鏡はどこで、どのように観測しているのか?

ハレアカラ山頂 (標高3050m)

ハレアカラ山頂 マウイ島 遠隔・自動観測を実現したマグナム観測所 空軍3.5m ハワイ大学 ハレアカラ山頂 (標高3050m)

曇・雨 薄曇 晴天 ハレアカラ山頂の晴天率 雲モニターによるハレアカラの全天図 紫色の部分が晴れた空 オレンジ色の部分が雲 自動観測、雲モニター

マグナムの誇るべき特徴 口径2mの光学赤外反射望遠鏡を専有 紫外・可視・赤外線同時撮像カメラを搭載 無人気象判断システムを装備 無人自動観測を実現 日本からインターネットでハワイへ遠隔監視 突発天体の出現直後から観測開始可能