教育改革の流れと 現場での実践例の紹介 都立国立高等学校 大野智久 160304カト研WS 「これからの教育を考える 〜高校生と考える我が社の課題」 教育改革の流れと 現場での実践例の紹介 都立国立高等学校 大野智久
話題① 教育改革の背景とポイント 話題② ビジネス界との連携可能性 話題③ 授業実践の紹介
話題① 教育改革の背景と ポイント
おさえておくべき会議 ①教育再生実行会議 ②高大接続システム改革会議 ③中央教育審議会 (内閣総理大臣の諮問機関) (文部科学省高大接続改革プロジェクトチーム) ③中央教育審議会 教育課程企画特別部会 ※教育課程企画特別部会における論点整理について(報告) 平成27年8月26日 ※現在次期学習指導要領改訂に向けた各ワーキンググループが開催中
教育改革の背景 ①社会として ②個人として 働き手が半分に減ってしまう。 成長=一人一人の生産性×労働力人口 →一人一人の生産性を向上させるしかない。 ②個人として ・子どもたちの65%は、大学卒業後、今は存在しない職業に就く ・今後10~20年程度で、約47%の仕事が自動化される可能性が高い。 ・2030年までには、週15時間程度働けば済むようになる。 →現在の多くの職業の多くは、今後なくなっていく。
大きな流れとしての三位一体改革 ①大学教育改革 ②高校教育改革 ③大学入試改革 ※社会で活躍できる人材を育成するには、何をどう変えればよいか?
大学教育改革 3つの「ポリシー」の明確化 ●アドミッションポリシー ●カリキュラムポリシー ●ディプロマポリシー ※それぞれは何のために必要か? (全体としての大きな「目的」は何か?) ※どのようにして「定着」させるか?
大学入試改革 ①高等学校基礎学力テスト ②大学入学希望者学力評価テスト センター試験は終了予定。 2020年度より、新試験開始。 ※それぞれのテストの役割が異なる。 ※それぞれはどのような「目的」があるか?
学力の3要素 ・個別の知識・技能 ・思考力・判断力・表現力 ・主体的に学習する態度 ※主体性を「学力」として位置付けている。それは「教えられる」ものか?また、「測定できる」ものか?
3つの柱 ・何を知っているか、何ができるか ・知っていること・できることをどう使うか 個別の知識・技能 ・知っていること・できることをどう使うか 思考力・判断力・表現力等 ・どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか(学びに向かう力、人間性等) 主体的に学習する態度(教育の基本である人格の完成と生きる力の育成という根底) ※知識・技能の「習得」は、「活用」することが前提。
3つの学び ・深い学び ・対話的な学び ・主体的な学び 習得・活用・探究という学習プロセス 問題発見・解決を念頭に置いた深い学び 知識の体系化(知識の「ツール」としての位置づけ) ・対話的な学び 協働的学び ・主体的な学び 学習への意欲、さらに意欲から意志へ
話題② ビジネス界との 連携可能性
ビジネスの現場との相違 ・「答え」があるかどうか ・「プロジェクト」があるかどうか →ビジネスの現場の発想や方法を体験することで「教えられない能力」を伝えられる可能性 ※今後、年収200万ではなく年収500万で生きていくにはどんな資質・能力が必要か?
授業デザインのヒント ・「目的」の明確化 ・「課題発見力」「課題解決力」 ・「主体性」「協働性」「多様性」 ・「評価」の方法の明確化 ※「手段の目的化」を避ける。 ※授業者、学習者がともにPDCAサイクルを回せるようなしかけが必要。
話題③ 授業実践の紹介
社会人基礎力①
社会人基礎力②
社会人基礎力③
「(教師が)教える」→「(生徒が)学ぶ」 AL型授業が必要な理由 ●主体的・協働的な学びによる理解の深化 ●「教えることのできないこと」の存在 ex)社会人基礎力 「(教師が)教える」→「(生徒が)学ぶ」 TeachからLearnへの質的転換
『学び合い』の基本的な考え方 軸は「一人も見捨てない」という願い ●学校観 ●子ども観 ●授業観 学校は、多様な人と折り合いをつけて自らの課題を達成する経験を通して、その有効性を実感し、より多くの人が自分の同僚であることを学ぶ場である。 ●子ども観 子どもたちは有能である。 ●授業観 「教師の仕事は、目標の設定、評価、環境の整備で、教授(子どもから見れば学習)は子どもに任せるべき。 軸は「一人も見捨てない」という願い 『学び合い』の手引き書(上越教育大学 西川純先生)より一部抜粋・引用
AL型授業の全体像 ①目指したいもの ③AL型授業の効果 ②授業のデザイン ④授業の改善
AL型授業で目指すもの ●目指したい人間像 ・自律的な学習者(PDCAを回せる) ・自らの幸せの実現 ・他者の幸せへの貢献(自己の幸せの拡張) ●授業で意識すること ・自分の目で見て、自分の頭で考える ・主体性(自主性ではない)
「目的」と「目標」 豊かな人生 DNA タンパク質 健康 環境
授業の基本構造 ●テーマ・目的 目指すべきゴール ●課題 ゴールに向かうための道しるべ ●発展課題 創造性、思考の深化
「目的」の定型文 知る = know わかる = understand 説明できる = explain 考察する = think
課題作成時の留意点 「覚える」ではなく「わかる」を中心に 内容をできる限りそぎ落とす ※「枝」ではなく「幹」を意識する 「課題」<「目的」 ※「枝」ではなく「幹」を意識する 「課題」<「目的」 ※「木を見て森を見ず」にならないように
課題に取り組む時間 ・最終的に「目的」が達成されるように ・教科書を中心に学習 ・資料集などその他の資料も利用可能 ・携帯・スマホ等での検索も可能 ・席の移動も可能 ・一人で学んでもグループで学んでもよい
内発的動機付け 「~ねばならない」 VS 「~したい」 外発的動機付け・・・報酬、罰で行動 make them think critically 内発的動機付け・・・内的な欲求で行動 let them think critically
内発的動機付け エドワード・デシの「自己決定理論」 自律性の欲求 = 「えらべる」 有能感の欲求 = 「できる」 自律性の欲求 = 「えらべる」 有能感の欲求 = 「できる」 関係性の欲求 = 「つながれる」 ※報酬も罰も外発的動機付けであることに注意
アクティブラーニングの利点 内発的動機付けにより「やる気」が向上 多様な選択肢と選択の自由=「えらべる」 対話の中での学び=「つながれる」 到達段階に応じた学び=「できる」 内発的動機付けにより「やる気」が向上
理解の4段階 ①わからないことがわからない ②わからないことがわかる ③わかった気になる ④本当にわかる ※論語の「学」と「習」 大きな 転換 大きな 転換
アクティブラーニングの効用 コンテンツの理解 方法選択の自由 「教える方」も「教えてもらう方」も得 ・コンピテンシーの獲得 方法選択の自由 「教える方」も「教えてもらう方」も得 ・コンピテンシーの獲得 社会人基礎力etc… 一方向の授業で得られない「体験」 「学びの協働化」「学びのプロジェクト化」
AL型授業の効果 ●「対話による学び」の効果の実感 ●テキストを読み込む力 ●問の発見と探究 ●主体性 ●広くてゆるやかなつながり 「教えて」と言えるようになることが重要 ●テキストを読み込む力 「自分の目で見て自分の頭で考える」訓練 ●問の発見と探究 気になったことをすぐに探究→学びを楽しむ ●主体性 時間配分、試験後の「振り返り」 ●広くてゆるやかなつながり
AL型授業の改善のために ●試験の振り返り 集団の分布、平均点、標準偏差を提示 「分布が右による」ことを目指す 「平均点⇧、標準偏差⇩」になるはず →生徒も自分たちの集団の状態を見るようになる
第1回~第3回考査結果(α)
教員の「職能」の変化 「(教員が)教える」➡「(生徒が)学ぶ」 「わかりやすく丁寧に教える」 ➡「生徒の可能性を引き出す」 「よりよい学びの場を提供する」 ※「わかりやすく丁寧に教える」ことをすればするほど、これからの社会を生き抜くための「教えるだけでは獲得できない能力」が獲得できずに終わる可能性。
様々な授業の「型」 ①ディスカッション課題 ②「授業作成」課題 ③個人でのプレゼンテーション ④プロジェクト学習
情報発信について ①個人のHP ②Facebook https://www.facebook.com/tomohisa.ohno.79 授業プリントや各種資料の公開 生物「を」教える視点 生物「で」教える視点 http://biologymanabiai.jimdo.com/ ②Facebook https://www.facebook.com/tomohisa.ohno.79 「ペンギンのイラスト」の大野智久です。
参考書籍 『学び合い』やアクティブラーニングに関しての書籍は・・・ 「西川純」で検索してみて下さい