風が都市内水路に及ぼす 熱的影響 ー河川における気温低下の条件ー 1063340 仲里 耕太郎.

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風が都市内水路に及ぼす 熱的影響 ー河川における気温低下の条件ー 1063340 仲里 耕太郎

ヒートアイランド対策「風の道」 熱 熱 熱 上空風

「風の道」として水路の気温低下 に必要な“条件”とは何か? 条件:上空の風、水路方向、水路断面 水位、構造物有無 研究目的 「風の道」として水路の気温低下 に必要な“条件”とは何か? 条件:上空の風、水路方向、水路断面 水位、構造物有無 水路構造の異なる複数の水路を対象に 水路内に入り込む風とそれによる水路内気温 の変化について考える。

測定場所(期間:8/3~8/14) 江東区木場公園周辺(湾岸) 水路構造 新宿区下落合駅周辺(内陸) ・上空風に対して水路方向が 平行か直交 N 測定場所(期間:8/3~8/14) 300m ※8/7 上空風向(気象台) ‐水路構造‐ 川幅:50m 地水面高:2~3m 水深:2~3m(汽水域) 南北方向水路 ※8/7 上空風向(気象台) ‐水路構造‐ 川幅:20m 地水面高:5m 水深:0.3m 下落合駅 高層マンション群 上空風 海風 東西方向水路 木場公園 上空風  東西方向水路 至 東京湾 高層マンション群 南北方向水路 江東区木場公園周辺(湾岸)       水路構造 ・上空風に対して水路方向が             平行か直交 ・水路断面差(川幅、地水面高・・ ・地域差(沿岸部、内陸部) N 150m 水処理場 新宿区下落合駅周辺(内陸)

測器設置 江東区木場公園周辺 新宿区下落合駅周辺 上空風 海風 上空風 :超音波風向風速計2基 (水路内水面上1.5m、地面上1.5m) N 300m 下落合駅 上空風 海風 木場公園 上空風  江東区木場公園周辺   :温度計(欄干設置)   :超音波風向風速計2基    (水路内水面上1.5m、地面上1.5m)    温度計(水面上0.15m設置)    水温計(水面温度)、水位計   :基準点(地上10m気温、湿度) N 150m 水処理場 新宿区下落合駅周辺

水路方向に対して上空風向が平行な場合 (木場公園周辺:沿岸部) ※8/7 風と温度の関係グラフ 北 上空気温 西 風速下 水位 風向 水位 南 東 水温 青:左岸 赤:右岸 緑:水面上 北 干潮時 風速上  ・水路内水面上1.5mと岸の地面上1.5mの風向が南から吹く   上空風と一致する。直線的で乱れていないことがわかる。  ・干潮時に水面付近の風速が強くなった(上空風速にもよる)。  ・あわせて日中で上空気温が上昇、相対的に水温が低くなる。  水路内 気温低下

水路方向に対して上空風向が直交な場合 (木場公園周辺:沿岸部) ※8/7 風と温度の関係グラフ 北 西 上空風向 南 水温 風向 東 青:左岸 赤:右岸 緑:水面上 北 風速下 風速上  ・水路内水面上1.5mと岸の地面上1.5mの風向は上空風向とは   一致しない。地面上の風向は北東、水面上風向は東、東は   水路方向に一致。  ・風速は上下で差はない。  ・水温は低いのに水面上の気温は両岸の気温と大差がない。  ・このことから“暖気”が流入しているといえる。  水路内 気温低下    (微弱)

水路方向に対して上空風向が平行な場合 (下落合駅周辺:内陸部) ※8/7 風と温度の関係グラフ 青:左岸 赤:右岸 緑:水面上 水温 ・水温が気温を超えている時間が存在する。 ・沿岸部の水路と比較して水深0.3mと浅い理由も挙げられるが  水路内気温が上空気温を超えていることから暖気の流入が考  えられる。 ・上流に水処理場があることから、温水が影響したと考える。 解析から 除外

水路方向に対して上空風向が直交な場合 (下落合駅周辺:内陸部) 青:左岸 赤:右岸 緑:水面上 ※8/7 風と温度の関係グラフ ※8/7 風と温度の関係グラフ 北 風向 西 南 風速下 東 上空風向 水温 北 風速上  ・水路内水面上1.5mと岸の地面上1.5mの風向は上空風向とは   一致しない。地面上の風向は北西、水面上風向は西、西は水   路方向に一致。  ・水路内風速の上下で差が大きいのは水路断面が高いため。  ・水温は低いのに水面上の気温は両岸の気温と大差がない。  ・このことから“暖気”が流入しているといえる。  水路内 気温低下 なし

結論 ・沿岸部(木場公園周辺)において、水路方向に対して上空風向が平行になる水路は気温が低下した。また水路方向に対して上空風向が直交になる水路は街区からの熱の影響で気温低下が弱くなる。 ・内陸部(下落合駅周辺)において、沿岸部と比べ街区からの暖気の影響が大きいために水路方向に対して上空風向が直交になる水路では気温低下が確認できなかった。