「熊本県糖尿病性腎症重症化予防プログラム」 の推進について ~糖尿病専門医の立場から~

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今 日 の ポ イ ン ト今 日 の ポ イ ン ト 糖尿病人口は予備群を含めると 2,050 万人1.1. 糖尿病は血糖値が高くなる病気 ただし自覚症状がほとんどありません 2.2. 血糖値が高い状態を「高血糖」といいます3.3. インスリンの作用が弱くなったために高血糖に なったのですが、高血糖は必ず改善できます.
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健診時血圧 160/100 以上 ⑨ 市町村主催の 健康教室等へ の勧誘 健診時血圧 160/100 以上 健診時血圧 160/100 以上 健診時血圧 160/100 未満 かつ未治療 のもの 汎用性の高い行動変容プログラ ム 高血圧対策(案)
平成 25 年度 糖尿病対策成果発表会 金沢市における対策 金沢市医師会会長 竹田康男. 慢性腎臓病 (CKD) 予防対策事業 ( 22年度~24年度 ) 金沢市福祉健康センター ・透析患者が年々増加している ・ CKD の背景に生活習慣病が深く影響 ・ CKD が心筋梗塞や脳卒中等の危険因子となっている.
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汎用性の高い行動変容プログラム 特定健診の場を利用した糖尿病対策(非肥満を含む)
糖尿病 診断・治療の流れ 診断と治療の流れ 問診・身体診察 検査 診断 治療
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汎用性の高い行動変容プログラム 特定健診の場を利用した糖尿病対策(非肥満を含む)
@Minako Wakasugi, MD, MPH, PhD
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1. 糖尿病による腎臓の病気 =糖尿病腎症 2. 腎症が進むと、生命維持のために 透析療法が必要になります 3. 糖尿病腎症の予防法・治療法
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1. ご高齢の糖尿病患者さんと 若い人との違いはなに? 2. ご高齢の糖尿病患者さんの 治療上の注意点 3. ご高齢の糖尿病患者さんの
がん地域連携パスについて (連携医療機関向け) 連絡先・お問合せ先 徳島大学病院 がん診療連携センター 担当:宮越・兼子
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目 次 第1章 大阪府保健医療計画について 1.医療計画とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
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~「依存症対策のあり方について(提言)」(平成29年3月)と府の対応~
Presentation transcript:

「熊本県糖尿病性腎症重症化予防プログラム」 の推進について ~糖尿病専門医の立場から~ に基づく研修会 平成31年3月5日(火)19:00-21:00 やつしろハーモニーホール 「熊本県糖尿病性腎症重症化予防プログラム」 の推進について ~糖尿病専門医の立場から~ 古川 昇 熊本大学大学院生命科学研究部附属臨床医学教育研究センター 熊本大学大学院生命科学研究部 代謝内科学

本日の講演内容 1. 本邦および熊本県における糖尿病の現状 2. 糖尿病性腎症の重症化予防とプログラム策定 I am going to talk about 5 different topics on mitochondrial ROS and ER stress. The first topic is mitochondrial ROS and diabetic complications.

本日の講演内容 1. 本邦および熊本県における糖尿病の現状 2. 糖尿病性腎症の重症化予防とプログラム策定 I am going to talk about 5 different topics on mitochondrial ROS and ER stress. The first topic is mitochondrial ROS and diabetic complications.

糖尿病有病者と予備軍の数 (万人) 厚労省「国民健康・栄養調査」から 2500 2000 1500 1000 500 97年 02 07 12 16 (万人) 有病者1千万人に 予備軍 有病者

「糖尿病が強く疑われる者」における治療の状況の年次推移 (20 歳以上、総数・男女別) 毎回の調査毎に治療を受けている患者が増えている! 厚生労働省「平成28年 国民健康・栄養調査」

「糖尿病が強く疑われる者」における治療の状況(平成28年調査) (40 歳以上、性・年齢階級別、全国補正値) 働き盛りの若い男性で糖尿病治療率が少ない! 合併症予防には、早期発見・早期治療が重要! 厚生労働省「平成28年 国民健康・栄養調査」

出典:厚生労働省「平成22年度特定健康診査(全国)確定値) 平成22年度特定健康診査結果をみると? ※全国平均を100とする 空腹時血糖値 ▼空腹時血糖(年代別・男女別) (空腹時血糖値 100mg/dl以上) 125.5 119.7 114.6 109.6 106.5 109.1 110.1 70 90 110 130 40~44歳 45~49歳 50~54歳 55~59歳 60~64歳 65~69歳 70~74歳 熊本県(男性) 全国(男性) 118.7 120.5 114.5 113.2 111.1 113.7 111.7 熊本県(女性) 全国(女性) 熊本糖尿病クライシス? (参考) 平成22年度特定健康診査実施率40.0%(全国28位)(全国平均42.9%)    (対象者数733,337人に対し受診者数293,606人) 平成22年度特定保健指導実施率20.5%(全国3位)(全国平均13.3%) 出典:厚生労働省「平成22年度特定健康診査(全国)確定値)

本日の講演内容 1. 本邦および熊本県における糖尿病の現状 2. 糖尿病性腎症の重症化予防とプログラム策定 I am going to talk about 5 different topics on mitochondrial ROS and ER stress. The first topic is mitochondrial ROS and diabetic complications.

腎臓の解剖(anatomy of kidney) 輸入細動脈 afferent arteriole 原尿 urine 輸出細動脈 efferent arteriole 右の腎臓の断面 (Rt. Kidney) 糸球体の立体像 (glomerulus)

糖尿病性腎症(diabetic nephropathy) 正常糸球体 normal glomeruli b) 糖尿病性腎症 diabetic nephropathy

糖尿病性腎症の病期分類 Friedmanの病期分類 Mogensenの分類 (年) 糖尿病罹病期間 (ml/分) ク レ 腎不全期 慢性腎炎様症候期 ア ネフローゼ期 尿 チ 160 16 毒 糸球体濾過値 ニ 140 蛋白尿 症 14 ン 120 期 12 尿 ・ 100 10 ク 蛋 80 尿中微量アルブミン出現 8 リ 60 6 ア 白 40 ラ ストレス運動負荷で 4 ン 20 尿蛋白出現 2 ス 5 10 15 20 25 (年) 糖尿病罹病期間 Ⅰ〜Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Mogensenの分類

糖尿病性腎臓病

糖尿病性腎症病期分類 2014 病期 尿アルブミン値 (mg/gCr) あるいは 尿蛋白値 (g/gCr) GFR (eGFR) (ml/分/1.73m2) 第1期 (腎症前期) 正常アルブミン尿 (30未満) 30以上 第2期 (早期腎症期) 微量アルブミン尿 (30~299) 第3期 (顕性腎症期) 顕性アルブミン尿(300以上) 持続性蛋白尿(0.5以上) 第4期 (腎不全期) 問わない 30未満 第5期 (透析療法期) 透析療法中

尿アルブミンを測定しないと 腎症の約75%を見逃す! 日本人の2型糖尿病患者において糖尿病性腎症の合併率は42% A nationwide survey from the Japan Diabetes Clinical Data Management Study Group (JDDM 10) 第5期 (透析療法期) 0.4% 第4期 (腎不全期) 2.6% 日本人2型糖尿病患者(8,977名)では、 微量アルブミン尿(腎症2期)が多かった。 尿アルブミンを測定しないと 腎症の約75%を見逃す! 第3期 (顕性腎症期) 7% 第2期 (早期腎症期) 32% 第1期 (腎症前期) 58% 尿アルブミン値の算出法 (尿アルブミン/尿クレアチニン比; ACR)  ①尿アルブミン定量 (µg/ml)  ②尿クレアチニン定量 (mg/dl)  ③ACR = ①÷②×100 (mg/gCr) *「糖尿病性早期腎症」の病名が必要 *3ヶ月に1度まで算定可 Yokoyama H, et al. Diabetes Care 30: 989-992, 2007より作図

尿中微量アルブミン測定件数/HbA1c測定件数 (各県別のデータ) 熊本県では、尿アルブミン値の測定件数が少ない! 厚生労働省 第2回NDBオープンデータ http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177221.html 都道府県別算定回数(平成27年4月~平成28年3月 外来検査)より作図

糖尿病性腎症重症化予防 に係る連携協定 糖尿病性腎症重症化予防の 取組の横展開の一環として、 ・厚生労働省 ・日本医師会  ・厚生労働省  ・日本医師会  ・日本糖尿病対策推進協議会 の三者で締結された。 平成28年3月24日 厚生労働省「糖尿病性腎症重症化予防に係る連携協定の締結について」 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000117513.html

糖尿病性腎症重症化予防プログラムについて 1.趣旨 ○ 呉市等の先行的取組を全国に広げていくためには、各自治体と医療関係者が協働・連携できる  体制の整備が必要。 ○ そのためには、埼玉県の取組例のように、都道府県レベルで、県庁等が県医師会等の医療関係  団体と協力して重症化予防プログラムを作成し、県内の市町村に広げる取組を進めることが効果的。 ○ そのような取組を国レベルでも支援する観点から、日本医師会・日本糖尿病対策推進会議・厚生  労働省の三者で、糖尿病性腎症重症化予防プログラムを策定したもの(それに先立ち本年3月24日  に連携協定締結)。 2.基本的考え方 (目的) ○ 重症化リスクの高い医療機関未受診者等に対する受診勧奨・保健指導を行い治療につなげると  ともに、通院患者のうち重症化リスクの高い者に対して主治医の判断で対象者を選定して保健指導  を行い、人工透析等への移行を防止する。 (性格) ○ 先行する取組の全国展開を目指し、取組の考え方や取組例を示すもの。各地域における取組内容  については地域の実情に応じ柔軟に対応が可能であり、現在既に行われている取組を尊重。 (留意点) ○ 後期高齢者については年齢層を考慮した対象者選定基準を設定することが必要。 平成28年4月20日 厚生労働省「糖尿病性腎症重症化予防プログラムの策定について」 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000121935.html

糖尿病性腎症重症化予防プログラムについて 3.関係者の役割 (市町村)               ※例示であり地域の実情に応じた取組を尊重 ○ 地域における課題の分析(被保険者の疾病構造や健康問題などを分析) ○ 対策の立案(取り組みの優先順位等を考慮して立案、地域の医師会等の関係団体と協議) ○ 対策の実施、実施状況の評価 (都道府県) ○ 市町村の事業実施状況のフォロー、都道府県レベルで医師会や糖尿病対策推進会議等と取組状  況の共有、対応策等について議論、連携協定の締結、糖尿病性腎症重症化予防プログラムの策定 (後期高齢者医療広域連合) ○ 広域連合は市町村と都道府県の両者の役割を担うが、特に実施面では、市町村との連携が  必要不可欠 (地域における医師会等) ○ 都道府県医師会等の関係団体は、郡市区医師会等に対して、国・都道府県における動向等を  周知し、必要に応じ助言 ○ 都道府県医師会等や郡市区医師会等は、都道府県や市町村が取組を行う場合には、会員等に  対する周知、かかりつけ医と専門医等との連携強化など、必要な協力に努める (都道府県糖尿病対策推進会議) ○ 国・都道府県の動向等について構成団体に周知、医学的・科学的観点からの助言など、自治体の  取組に協力するよう努める ○ 地域の住民や患者への啓発、医療従事者への研修に努める 平成28年4月20日 厚生労働省「糖尿病性腎症重症化予防プログラムの策定について」 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000121935.html

平成28年4月20日 厚生労働省 「糖尿病性腎症重症化予防 プログラムの策定について」 http://www.mhlw.go.jp/stf/ houdou/0000121935.html

糖尿病性腎症重症化予防プログラムについて 4.対象者選定                ※取組内容については地域の実情に応じ柔軟に対応 ① 健診データ・レセプトデータ等を活用したハイリスク者の抽出  - 日本糖尿病学会、日本腎臓学会のガイドラインに基づく基準を設定 ② 医療機関における糖尿病治療中の者からの抽出  - 生活習慣改善が困難な方・治療を中断しがちな患者等から医師が判断 ③ 治療中断かつ健診未受診者の抽出  - 過去に糖尿病治療歴があるものの、最近1年間に健診受診歴やレセプトにおける    糖尿病受療歴がない者等 5.介入方法                ※取組内容については地域の実情に応じ柔軟に対応 ① 受診勧奨:手紙送付、電話、個別面談、戸別訪問等  - 対象者の状況に応じ、本人への関わり方の濃淡をつける  - 必要に応じて受診後のフォローも行う ② 保健指導:電話等による指導、個別面談、訪問指導、集団指導等  - 健診データ等を用いて自身の健康状態を理解してもらい、生活習慣改善につなげることを目標    とする 平成28年4月20日 厚生労働省「糖尿病性腎症重症化予防プログラムの策定について」 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000121935.html

糖尿病性腎症重症化予防プログラムについて 6.かかりつけ医や専門医等との連携 ○ 都道府県、市町村において、あらかじめ医師会や糖尿病対策推進会議等と十分協議の上、推進  体制を構築。郡市医師会は各地域での推進体制について自治体と協力。 ○ かかりつけ医は、対象者の病状を把握し、本人に説明するとともに、保健指導上の留意点を保健  指導の実施者に伝えることが求められる。 ○ 必要に応じてかかりつけ医と専門医の連携、医科歯科連携ができる体制をとることが望ましい。 〇 臨床における検査値(血圧、血糖、腎機能等)を把握するに当たっては、糖尿病連携手帳等を活用  し、本人ならびに連携機関と情報を共有できるようにすることが望ましい。 7.評価 ○ ストラクチャー(構造)、プロセス(過程)、アウトプット(事業実施量)、アウトカム(結果)の各段階を  意識した評価を行う必要。また、中長期的な費用対効果の観点からの評価も行う必要。 ○ 事業の実施状況の評価等に基づき、今後の事業の取組を見直すなど、PDCAサイクルを回すこと  が重要。 平成28年4月20日 厚生労働省「糖尿病性腎症重症化予防プログラムの策定について」 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000121935.html

平成28年4月20日 厚生労働省「糖尿病性腎症重症化予防プログラムの策定について」 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000121935.html

熊本県糖尿病性腎症重症化予防プログラム 熊本県では、糖尿病性腎症重症化予防の取組みを 推進するため、平成29年12月1日に ・熊本県医師会  ・熊本県医師会  ・熊本県糖尿病対策推進会議  ・熊本県保険者協議会  ・熊本県 の4者で策定された。 平成30年1月22日 熊本県「熊本県糖尿病性腎症重症化予防プログラムを策定しました」 http://www.pref.kumamoto.jp/kiji_22171.html

熊本県糖尿病性腎症重症化予防プログラムについて 1.目的  本プログラムは、糖尿病が重症化するリスクの高い医療機関未受診者・治療中断者を適切な受診勧奨によって医療に結びつけるとともに、糖尿病で通院する患者のうち、腎症が重症化するリスクの高い者に対して、医療機関と連携した保健指導等を行い、人工透析等への移行を防止することを目的とする。  なお、本プログラムは、熊本県医師会、熊本県糖尿病対策推進会議、熊本県保険者協議会及び熊本県の四者で策定し、対策の実施が容易となるような基本的な考え方を示すものであり、地域・職域の実情に応じ柔軟に対応が可能であり、既に行われている取組を尊重するものである。 2.関係者の役割 (1)市町村・保険者の役割  ア 市町村・保険者は、健診データやレセプトデータ等を用いて、住民や被保険者の疾病構造や健康問題等を分析し、地域・職域の実情に応じた対策を立案する。  イ 対象者への支援内容の検討及び取組の実施にあたっては、地域の医療機関等と連携し、様々な視点から総合的に検討することが重要であり、必要な場合は、郡市医師会に連携体制構築のための協力を依頼するとともに、関係機関との情報共有に努める。  ウ 実施した取組については、その結果の評価・分析を行い、PDCAサイクルに基づいて次の事業展開につなげる。 平成30年1月22日 熊本県「熊本県糖尿病性腎症重症化予防プログラムを策定しました」 http://www.pref.kumamoto.jp/kiji_22171.html

熊本県糖尿病性腎症重症化予防プログラムについて 2.関係者の役割(続き) (2)県の役割  市町村・保険者における事業実施状況をフォローするとともに、市町村・保険者における円滑な事業実施を支援する観点から、医師会や糖尿病対策推進会議等と市町村・保険者の取組状況を共有し、課題、対応策等について議論する。 (3)医師会の役割  県医師会及び郡市医師会は、会員及び医療従事者に対して、県や市町村・保険者が行う糖尿病性腎症重症化予防の取組を周知し、市町村・保険者とかかりつけ医 との連携体制の構築を支援するとともに、かかりつけ医と専門医等との連携を強化するなど、必要な協力を行うように努める。 (4)熊本県糖尿病対策推進会議の役割  糖尿病性腎症重症化予防に係る県や市町村・保険者の取組について、構成団体へ周知するとともに、医学的・科学的観点から助言を行うなど、市町村・保険者の取組に協力するように努める。また、県内の二次医療圏域毎に糖尿病専門医等の責任者を定める。 平成30年1月22日 熊本県「熊本県糖尿病性腎症重症化予防プログラムを策定しました」 http://www.pref.kumamoto.jp/kiji_22171.html

熊本県二次医療圏域毎の 腎症重症化予防プログラム担当糖尿病専門医(敬称略) 菊池圏域 豊永哲至(菊池郡市医師会立病院) 有明圏域 松田浩史(公立玉名中央病院) 阿蘇圏域 古川昇(熊本大学) 鹿本圏域 川崎修二(山鹿市民医療センター) 熊本県全体 荒木栄一(熊本大学) 古川 昇(熊本大学) 熊本圏域 本島寛之(熊本大学) 久木留大介(熊本大学) 宇城圏域 野田秀幸(熊本南病院) 上益城圏域 近藤龍也(熊本大学・谷田病院) 八代圏域 岸川秀樹(熊本総合病院) 天草圏域 平島義彰(天草地域医療センター) 水俣圏域 藤澤和夫(水俣市立総合医療センター) 球磨圏域 大礒洋(人吉医療センター)

熊本県糖尿病性腎症重症化予防プログラムについて 3.対象者選定  本プログラムが推奨する基準は下記のとおりとする(健診データ、レセプトデータ等から抽出)。  ただし、地域・職域の実情に応じて市町村・保険者が個別に定めることができるものとする。 (1)健診を受診した者のうち医療機関未受診者   ① 別添1のフローチャートの3つの条件(A, B, C)すべてに該当する者    (早期に積極的に受診勧奨が必要な者)   ② ①以外であっても別添1を参考に、健診結果より受診勧奨が必要な者 (2)糖尿病治療中断者   通院中の患者で最終の受診日から6ヵ月経過しても受診した記録がない者 (3)重症化するリスクの高い者への保健指導   健診データ、本人・医療機関からの情報提供により、糖尿病治療中で血糖コントロール目標を  達成できていない者や尿アルブミン、尿たんぱく、eGFR等により腎症と診断された者及び腎症が  疑われる者。 平成30年1月22日 熊本県「熊本県糖尿病性腎症重症化予防プログラムを策定しました」 http://www.pref.kumamoto.jp/kiji_22171.html

熊本県版糖尿病腎症重症化予防プログラム対象者選別と受診勧奨先振り分け 医療保険者・健診担当者用 A B C すべての条件があればプログラム対象者* *:糖尿病で尿中マイクロアルブミン300mg/gCre以上であれば腎症重症化予防プログラム対象者とする。 A 特定健診受診者 (年齢40歳〜75歳) B 空腹時血糖250 mg/dl以上      または 随時血糖350 mg/dl以上 尿ケトン(+)以上 空腹時血糖126 mg/dl以上      または 随時血糖 200 mg/dl以上 HbA1c 6.5 %以上 空腹時血糖 110〜125 mg/dl      または 随時血糖 140〜199 mg/dl HbA1c 6.0〜6.4 % 空腹時血糖 100〜109 mg/dl      (正常高値)      または HbA1c 5.6〜5.9 % 空腹時血糖 99 mg/dl以下      かつ 随時血糖 139 mg/dl 以下 HbA1c 5.6 % 以下 糖尿病専門医に受診勧奨 かかりつけ医(糖尿病連携医)に受診勧奨 C 蛋白尿(1+)以上 または eGFR45 未満 蛋白尿(±) 蛋白尿(-) eGFR 45未満 血尿(1+)以上 蛋白尿(1+)以上  あるいは尿中マイクロ  アルブミン300mg/gCre以上 eGFR 45以上60未満 eGFR 60 以上 糖尿病専門医 糖尿病連携医 腎臓専門医 血尿(1+)以上 またはeGFR60未満 40歳未満 40歳以上 紹介・連携 腎臓専門医に受診勧奨 かかりつけ医に受診勧奨 HbA1c 7.0% 以上 個別の目標を達成できない場合 定期的な健診の受診を勧奨

かかりつけ医から腎臓専門医・専門医療機関への紹介基準 (作成:日本腎臓学会、監修:日本医師会) 原疾患 蛋白尿区分 A1 A2 A3 糖尿病 尿アルブミン定量(mg/日) 尿アルブミン/Cr比(mg/gCr) 正常 微量アルブミン尿 顕性アルブミン尿 30未満 30~299 300以上 高血圧、腎炎 多発性囊胞腎、 その他 尿蛋白定量 (g/日) 尿蛋白/Cr比 (g/gCr) 正常(-) 軽度蛋白尿(±) 高度蛋白尿(+~) 0.15未満 0.15~0.49 0.50以上 GFR区分 (mL/分/ 1.73m2) G1 正常または 高値 ≧90 血尿+なら紹介、 蛋白尿のみならば 生活指導・診療継続 紹介 G2 軽度低下 60~89 G3a 軽度~ 中等度低下 45~59 40歳未満は紹介、 40歳以上は G3b 中等度~ 高度低下 30~44 G4 15~29 G5 末期腎不全  <15 上記以外に、3ヶ月以内に30%以上の腎機能の悪化を認める場合は速やかに紹介。 上記基準ならびに地域の状況等を考慮し、かかりつけ医が紹介を判断し、かかりつけ医と専門医・専門医療機関で逆紹介や併診等の受診形態を検討する。

熊本県糖尿病性腎症重症化予防プログラムについて 4.対象者への介入方法 (1)健診を受診した者のうち医療機関未受診者、糖尿病治療中断者に対する受診勧奨、保健指導  原則、①個別面談 ②電話 ③文書の郵送にて受診勧奨、保健指導を実施するが、専門職(保健師、管理栄養士等)による個別面談や訪問にて受診勧奨、保健指導することが望ましい。  健診を受診した者のうち医療機関未受診者や中断者について受診勧奨を実施する場合は、別添1のフローチャートを参考に糖尿病連携医等に紹介し、適切な医療に結びつけることが望ましい。  ※別添2の「軽症糖尿病、境界型の取扱いの基本指針(熊本県版)」「軽症糖尿病および境界型の診断・管理のためのフローチャート(熊本県版)」 参考 平成30年1月22日 熊本県「熊本県糖尿病性腎症重症化予防プログラムを策定しました」 http://www.pref.kumamoto.jp/kiji_22171.html

熊本県糖尿病性腎症重症化予防プログラムについて 4.対象者への介入方法(続き) (2)重症化するリスクの高い者への保健指導  市町村・保険者は、かかりつけ医と十分に連携した上で保健指導を実施する。  また、対象者への保健指導の方法は、対象者個々人の生活習慣や服薬状況、糖尿病性腎症の病期に応じて柔軟に対応する必要があり、市町村・保険者が個別に定める。  連携の際には、糖尿病地域連携パス(DM熊友パス)、糖尿病連携手帳、連絡(受付)台帳や連絡票等を活用し、保健指導の指示や保健指導の内容について相互に伝達をおこなう(連絡票については、これまで保険者が使用していたもので差支えない)。 5.かかりつけ医と専門医等との連携  糖尿病患者への医療提供に当たり、かかりつけ医と糖尿病専門医は患者の症状を維持・改善するため、紹介、逆紹介を行うとともに、必要に応じて、合併症の治療を行う医師、歯科医師等と連携し、患者を中心とした医療を提供する。 平成30年1月22日 熊本県「熊本県糖尿病性腎症重症化予防プログラムを策定しました」 http://www.pref.kumamoto.jp/kiji_22171.html

「糖尿病地域連携パス(DM熊友パス)」について 熊本県糖尿病対策推進会議では、連携医と専門医療機関との病診連携をより円滑に行うためのツールとして、平成22年3月より運用を開始しています。 DM熊友パスの主な構成パーツ + +

(HbA1c>7%,医療機関未受診で 連携医受診希望者) 医療者保険者等からの「DM熊友パス」の運用について 1.特定健康診査等の結果、医療機関受診が必要な対象者を抽出 (HbA1c>7%,医療機関未受診で 連携医受診希望者) 2.対象者に活用法等を説明し、過去の健診データ添付や助言指導等を表紙の裏に記入し、直接手渡し。 医療保険者等

薬剤師、健診機関、保健師等からの指導内容等を自由に記入できるスペース 患者自身が情報を管理する意識を持てるように。 患者自身が情報を管理する意識を持っていただけるように、自己管理チェック表をつけております。

DM熊友パスを活用した主な保健医療サービス 薬剤師 連携医・かかりつけ医 専門医 診断、検査、治療、指導、紹介 合併症のチェック 残薬の確認 悪化の早期発見 服薬指導 服薬遵守確認 薬剤情報の提供 副作用の早期発見 訪問薬剤管理 DMコントロール診断 眼底検査(眼科医) 合併症の啓発 歯科医師 歯周病の治療 口腔ケア ブラッシング指導(歯科衛生士) 管理栄養士・栄養士 栄養指導(訪問含む)、糖尿病教室 現在の食事状況診断 簡単な調理法アドバイス 運動の動機づけ(合併症予防) 市町村・保険者 特定健診の実施 健診結果説明・相談 血糖コントロールのためのアドバイス(保健師・管理栄養士による相談・訪問) 看護師・准看護師 糖尿病教室の案内 生活環境の状況把握 患者家族への治療協力依頼 採血時治療中断防止の呼かけ 検査データチェック フットケアや生活指導 合併症の説明 医療ソーシャルワーカーへ情報伝達 低血糖症状の説明 理学療法士 運動ができる状態把握 症状に応じた運動療法指導 訓練による筋力保持 環境に応じた運動指導 自主トレの開発・立案 他コメディカル 介護への情報伝達 話しやすい受付 気になること等の相談 生活環境の状況把握 平成29年7月 阿蘇地域糖尿病保健医療連絡会

熊本県糖尿病性腎症重症化予防プログラムについて 6.プログラムの評価  実施したプログラムの評価としては、ストラクチャー(構造)、プロセス(過程)、アウトプット(事業実施量)、アウトカム(結果)の各段階を意識した評価を行う必要がある。  また、中長期的な費用対効果の観点からの評価も行う必要がある。 (アウトプット)  ①プログラム 対象者数、そのうち個別に働きかけた数  ②かかりつけ医等と連携した対応を行った数 (アウトカム)  ①糖尿病性腎症病期 分類のステージの維持・改善・悪化の数  ②新規人工透析導入患者数(糖尿病性腎症患者数)の推移  ③人工透析にかかる医療費の推移  ④医療機関未受診者の割合  ⑤治療中断者(糖尿病および糖尿病性腎症)の割合 7.円滑な事業の実施に向けて  本プログラムでは、糖尿病性腎症重症化予防の基本的な取組方策について示したが、各地域における実施に当たっては、市町村・保険者と医療関係者が密接に連携して、事業を展開する必要がある。  また、市町村・保険者においては、事業の取組成果を検証し、より効果的な取組につなげていくことが重要である。  なお、本プログラムに定めのない事項については、平成28年4月20日に公表された日本医師会・日本糖尿病対策推進会議・厚生労働省の三者による「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」を参考とする。 平成30年1月22日 熊本県「熊本県糖尿病性腎症重症化予防プログラムを策定しました」 http://www.pref.kumamoto.jp/kiji_22171.html

熊本地域糖尿病療養指導士 糖尿病患者数は増加の一途をたどっており、熊本県も例外ではありません。そこで、当地域における糖尿病患者の治療環境の改善やQOL向上を目指して、メディカル・スタッフのレベルアップを図るべく、「熊本地域糖尿病療養指導士」制度を立ち上げます。 熊本地域糖尿病療養指導士 (CDE-Kumamoto) とは、増え続ける糖尿病患者に寄り添い、自己管理の手助けをするとともに、糖尿病の予防を目指す医療スタッフです。

受験資格 薬剤師・保健師・助産師・看護師・准看護師・管理栄養士・栄養士・臨床検査技師・衛生検査技師・理学療法士・作業療法士・臨床工学技士・歯科衛生士、介護福祉士、その他認定委員会が認めた資格、を有している。 「医療スタッフのための糖尿病基礎講座」全てを受講している。 所属長の推薦状を提出して頂いている。 日本糖尿病協会会員であること(受験申し込みまでに入会)

ご清聴ありがとうございました。 熊本城前集合写真 2008年11月14日 Word Diabetes Day in Kumamoto