Primordial Non-Gaussianity in Multi-Scalar Slow-Roll Inflation

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Primordial Non-Gaussianity in Multi-Scalar Slow-Roll Inflation arXiv:0705.3178 In collaboration with 横山氏 & 田中氏@京都大学 須山  輝明 (東京大学宇宙線研究所)

Introduction But, 非常に魅力的なアイデア 宇宙初期でのインフレーション 平坦性問題 地平線問題 の解決 モノポール問題 原始密度揺らぎ(大規模構造の種)の生成 But, インフレーションのメカニズムは、ほとんど分かっていない インフラトンは、スカラー場? どんなスカラー場? 何種類?、どんなポテンシャル? これらを解明できれば、宇宙論・高エネルギー物理学に非常に大きな進展

宇宙の観測は、どんどん精密になってきている COBE (1992) WMAP (2003) PLANCK (200X) http://map.gsfc.nasa.gov/ http://www.rssd.esa.int/index.php?project=Planck 初めてCMBの温度揺らぎを観測 一部のインフレーションモデルに制限を付け始めた 制限がさらに強くなると期待される PLANCKの一つの特徴 揺らぎの二次の量についても情報が引き出せる (Non-Gaussianity) インフレーションと無矛盾

Non-Gaussianityについて CMBの温度揺らぎのnon-gaussianity 観測データの解析で用いられる形 に対する制限 ・・・ガウス統計に従わない温度揺らぎ 観測データの解析で用いられる形 :(CMBの温度揺らぎの素となる) 重力ポテンシャル :ガウス統計に従う 非常に小さい量 ・・・つい最近まで、二次の量に注意は払われてこなかった に対する制限 PLANCKでは、 (Komatsu et al. 2003) ならば、non-Gaussianityを検出 (Komatsu&Spergel, 2001)

Non-Gaussianityが、初期宇宙を探る有効な手法となることが期待される ではどのくらい有効?? ( どういう場合に大きなnon-gaussianityが生成されるか?) 初期宇宙で生成される Single inflation モデル・・・・・ 観測は絶望的 Curvaton モデル・・・・・ :curvaton decay時の全エネルギー密度に対するcurvatonのエネルギー密度の比 (Moroi&Takahashi 2001, Lyth&Wands 2002) ・ rが小さいならば、 ・ ・ etc. 大きいnon-Gaussianityを生成するモデルもある

ではどういう場合に(検出にかかるほど)大きなnon-gaussianityが生成されるのか? 個々のモデルごとではなく、一般的なことが言えたら、今後のmodel buildingに有用 今回は、slow-roll inflation中に生成される     を求めた。ポテンシャルの形は仮定しない。

考えている状況 長さスケール Super horizon scale インフレーション 輻射優勢 物質優勢 再加熱 現在 CMB 観測される    =インフレーション起源の +インフレーション後に生成されうる +horizon re-entry後の二次効果によって作られる

Super horizon scale での曲率揺らぎの発展 Separate universe approach (e.g., Sasaki&Stewart, 96) Local expansion = expansion of the unperturbed universe から   までのe-folding number Friedmann宇宙 Friedmann宇宙 曲率揺らぎ の相関関数が分かれば、    の相関関数が分かる

in Multi-scalar slow-roll inflation を仮定 での曲率揺らぎ Slow-roll 条件のもとでは、 は非常に良い精度でGaussian (Seery&Lidsey, 2005) Leading orderでは (Lyth&Rodriguez, 2005)

一つの問題点 もし が、slow-roll 条件が破れた後の時刻ならば、slow-roll 条件が破れた後の進化も知る必要がある    Slow-roll 条件が破れる Field space Hubble=一定面 trajectory 今回は、そこまでの解析は無理 Slow-roll の間に生成されるnon-Gaussianityだけを評価する。あるいは、slow-roll中にtrajectoryが収束すると仮定する。

結果 上の式から分かること 二つのベクトルの従う式 ここで は、二つのベクトル と で決まる。 ( 2D個の情報で十分 ) は、二つのベクトル      と      で決まる。 ( 2D個の情報で十分 ) 数値計算に便利 !! 二つのベクトルの従う式 を初期条件に    まで解く を初期条件に    まで解く

Possible loophole 1) 2) オーダー評価 という条件を外す 仮定 Fieldの微分が一発掛かるたびに     だけオーダーが下がる 大雑把に見積もると Possible loophole 1) もしかすると    は、大きくなるかも 2) という条件を外す

まとめ Multi-scalar slow-roll inflationで生成されるnon-Gaussianity について調べた 得られた     の表式を見ると D×D個もの情報はいらず、高々2D個 だけの情報で決まる (数値計算に便利) 大雑把なオーダー評価では、 (観測は絶望的) ただし、       となる可能性は残されている (ポテンシャルの三階微分を大きくするとか)

おまけ

in Multi-scalar slow-roll inflation インフレーションのダイナミクスが、single fieldで記述されるとは限らない 多成分の場によるインフレーションのダイナミクス 以下、D個のスカラー場の場合を考える Slow-roll 近似 Slow-roll 条件 を仮定

Field space Hubble=一定面 での曲率揺らぎ :trajectoryが収束する時刻 trajectory Slow-roll 条件が破れる :trajectoryが収束する時刻 では、断熱揺らぎのみ このとき   は、保存する (Lyth et al., 2005) 以降を考えなくてもよい での曲率揺らぎ Slow-roll 条件のもとでは、 は非常に良い精度でGaussian (Seery&Lidsey, 2005)

一つの問題点 Field space の三点相関から と を求めればよい (Lyth&Rodriguez, 2005) と     を求めればよい  一つの問題点 もし が、slow-roll 条件が破れた後の時刻ならば、slow-roll 条件が破れた後の進化も知る必要がある    Field space 今回は、そこまでの解析は無理 Slow-roll 条件が破れる Slow-roll の間に生成されるnon-Gaussianityだけを評価する。あるいは、slow-roll中にtrajectoryが収束すると仮定する。 trajectory Hubble=一定面

Analytic formula for the non-linear parameter と     を求める  と展開

一次の解 二次の解

上の式から分かること 二つのベクトルの従う式 は、二つのベクトル と で決まる。 ( 2D個の情報で十分 ) Naïveな予想 は、二つのベクトル      と      で決まる。 ( 2D個の情報で十分 ) Naïveな予想 なので、                  個の情報が必要かな 二つのベクトルの従う式 を初期条件に    まで解く を初期条件に    まで解く

と の表式 Field space Slow-roll 条件を使うと Hubble一定 ≒ ポテンシャル V 一定 なので V=一定 と    の表式 Field space V=一定 Slow-roll 条件を使うと Hubble一定 ≒ ポテンシャル V 一定 なので これからδNと  の間に関係が付く

これを δN について解くと

最終的な表式 ここで オーダー評価 仮定 Fieldの微分が一発掛かるたびに     だけオーダーが下がる 大雑把に見積もると

Slow-roll inflationの枠組みで Possible loophole 1) もしかすると    は、大きくなるかも 2) 三階微分が小さく抑えられている必要はない Slow-roll inflationの枠組みで というlarge non-Gaussianityが生成される可能性は残っている

まとめ Multi-scalar slow-roll inflationで生成されるnon-Gaussianity について調べた 得られた     の表式を見ると D×D個もの情報はいらず、高々2D個 だけの情報で決まる (数値計算に便利) 大雑把なオーダー評価では、 (観測は絶望的) ただし、       となる可能性は残されている (ポテンシャルの三階微分を大きくするとか)