Spiral銀河における星形成史について

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Spiral銀河における星形成史について 前林・平社・清水

1. 要するに ・渦巻き銀河の色を測定。(前林) ・モデルで色を計算。(平社) ・二色図上で両者を比較。(清水) 1. 要するに ・渦巻き銀河の色を測定。(前林) ・モデルで色を計算。(平社) ・二色図上で両者を比較。(清水) 観測に最も合うモデルから、年齢、星形成史などを推定。

2. テーマ設定の背景 ・銀河の構造について知りたい。 ・渦巻銀河内の星形成に注目。 ・HSTは、遠方の銀河も分解できる。 2. テーマ設定の背景 ・銀河の構造について知りたい。 ・渦巻銀河内の星形成に注目。 ・HSTは、遠方の銀河も分解できる。 各部分の星形成( = 構造)

・z~1 の銀河を解析すると、星形成の時間変化もわかる。(かもしれない。) ・今回用いた手法 z~1の銀河に適している。 ・z~1 の銀河を解析すると、星形成の時間変化もわかる。(かもしれない。) SFR density SFRがz ~ 1で急激に変化。 z Bell 2004

3. 渦巻き銀河の色を測定 ・使ったデータ画像: GOODS Version 2.0 HST ACS Imaging Data. 3. 渦巻き銀河の色を測定 ・使ったデータ画像: GOODS Version 2.0 HST ACS Imaging Data. http://archive.stsci.edu/pub/hlsp/goods/v2/ ・解析ソフト: IRAF, GALFIT. ・赤方偏移の情報: TEAM KECK TREASURY REDSHIFT SURVEY IN THE GOODS-N FIELD.  http://tkserver.keck.hawaii.edu/tksurvey/data_access/map/tks_map.php

3.1 どんな解析をしたか? GOOD-Nから、赤方偏移が既知の銀河を見つけ、切り出す。 2. 渦巻銀河をバルジ成分とディスク成分に 3.1 どんな解析をしたか? GOOD-Nから、赤方偏移が既知の銀河を見つけ、切り出す。 2. 渦巻銀河をバルジ成分とディスク成分に    分解し、各々の色を測定。(GALFIT) 3. ピクセルごとの銀河の色を測定。 二色図上に、銀河の各部分の色を           プロットするためのデータ。

3.2 基本的な知識 ・バルジとディスクの光度プロファイル。 ディスク: exponential profile. 3.2 基本的な知識 ・バルジとディスクの光度プロファイル。 ディスク: exponential profile. バルジ: de Vaucouleurs profile.

・等級について 等級は、AB等級で計算。

3.3 バルジとディスクの等級 GALFITに以下のファイルを渡す。 切り出した銀河の画像 PSF σファイル 3.3 バルジとディスクの等級 GALFITに以下のファイルを渡す。 切り出した銀河の画像 PSF σファイル フィッティング パラメータの初期値を書いたファイル パラメータの制限を書いたファイル  元の画像+フィットした画像+引いた画像

B V

I Z

z = 0.10556 200 pixel 11 kpc DA = 380 kpc DL = 470 kpc (i band)

z = 0.25368 200 pixel 22 kpc DA = 780 kpc DL = 1200 kpc (v band)

z = 0.84705 100 pixel 22 kpc DA = 1500 kpc DL = 5200 kpc (z band)

3.4 ピクセル毎の銀河の色 各ピクセル毎の等級 各ピクセル毎の色

z = 0.10556 B-V

z = 0.10556 V-I

z = 0.10556 I-Z

z = 0.27746 B-V

z = 0.27746 V-I

z = 0.27746 I-Z

z = 0.56026 B-V

z = 0.56026 V-I

z = 0.56026 I-Z

GALAXEVによる銀河スペクトルのモデル化 ・種族合成モデルを用いて渦巻き銀河が持つカラー進化を表し銀河の年齢などの情報を引き出す ・計算にはGALAXEVを用いた ・等級はAB等級とし使用したフィルタはHST/ACS F435W、F606W、F775W、F850lpである

種族合成モデル ・銀河の持つスペクトルは個々の星のスペクトルの足し合わせ ・簡単なモデルでも観測結果と符合する ・今回のモデル計算では重元素量を太陽と同じに仮定         年齢決定に大きく前進

目標 モデルと観測との比較により以下のパラメータを決定可能 :星形成の活発さの指標。 :ダスト(星間物質)が持つ光学的厚み     :星形成の活発さの指標。       :ダスト(星間物質)が持つ光学的厚み   Z:重元素量    今回は固定   age:銀河形成からの経過時間

カラーを記述するファクター(1)初期質量関数(IMF)     :質量m~m+dmにある星の個数。 1 に規格化 サルピーターIMFは観測とよい一致

カラーを記述するファクター(2)星形成効率(SFR)  スタンダードモデルを使用。    は単位時間あたりに星形成に使われる質量   :典型的な星形成の時間。

カラーを記述するファクター(3)ダストによる減光 ・波長の短い光子はより多く吸収され(パワーローで簡単化)、若い星は周囲の水素ガスを電離  ・モデル計算には      の形で挿入

ダストを記述する式 ・星間物質とHⅡ領域からなるダストモデル              t<     =               t>   =0.3、m=0.7がMWなどの観測と合う

カラーを記述する式  銀河が放つフラックスには過去の星形成の情報が含まれる              重元素量、時間の関数  フィルタ関数を乗じてバンドフラックスとする

ダストの違いによるカラーのz依存性 ・始点がずれているのはダスト減光からくる赤化の影響 ・時間の経過で赤い星の分布が多くなりダスト減光は効かなくなる

Zの違いとカラーの  依存性 ・星形成が盛んだとカラー進化のスピードが鈍る ・赤方偏移が大きいと  が決まれば年齢決定が易しくなりそうである

推測 ・z=2から5Gyr経過すると大体z=1~0.5に相当 カラートラック上で著しい進化を するので年齢を決めやすい          カラートラック上で著しい進化を        するので年齢を決めやすい          z=1近辺で年代決定に有利

Fittingの方法 ・ 最尤法 : 測定値、誤差 : 理論値 最大になるところがbest fit。

結果 (1)

結果 (2) : age bulgeの方がdiskより年老いている。

結果 (3) : τ bulgeの方がdiskより値が小さい。つまり、bulgeの方が星形成のタイムスケールが短い。

結果 (4) : dust dustはbulgeとdiskで違いが見られなかった。

結果 (5) : SFR bulgeよりdiskの方が星形成が活発。

問題点 ・ z依存性 今回の用いたHSTのBバンドのデータは、zが増えると、カウント値がかなり小さくなっていった。 ・ 金属量  今回はsolor-metallicityだけ考えたが、いろいろなmetallicityを考える必要がある。

・ 質量  質量光度比を定数と仮定すると、~1012M☉となり、典型的な銀河の質量になるが、質量光度比が定数とは限らない。

参考文献 ・ Abraham R.G., Ellis R.S., Fabian A.C., Tanvir N.R. and Glazebrook K., 1999, MNRAS, 303, p.641-658 ・ Bruzual A., G., Charlot, S., 2003, MNRAS, in press ・ Charlot, S., Fall, S. M., 2000, ApJ, 539, 718 ・ Fukugita, M., Ichikawa, T., Gunn, J. E., Doi, M., Shimasaku, K., Schneider, D.P. 1996, AJ, 111,1748 ・ Schneider P., 2006, Extragalactic Astronomy and Cosmology, Springer