宇宙の初期構造の起源と 銀河間物質の再イオン化

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宇宙の初期構造の起源と 銀河間物質の再イオン化 国立天文台理論天文学研究系 吉田直紀  理論懇2004 1月6日

構造の起源:初期宇宙での密度揺らぎ パワースペクトル LCDM D(k)=4pk P(k) 100 10 1 0.1 0.01 0.001 2 3 LCDM 0.1 0.01 0.001 10 10 Msun 12 9 6 質量 0.01 0.1 1 10 100 1000 k [h/Mpc]

発展した宇宙の密度場 1Gpc LCDM k power 1Mpc

? 観測で確実にわかっている部分 LCDM 100 10 1 0.1 0.01 0.001 10 12 9 6 CMB (WMAP) 質量スケール LCDM CMB (WMAP) ? 0.1 0.01 0.001 0.01 0.1 1 10 100 1000 k [h/Mpc]

WMAP First-Year Result 0.17 早期再電離 (~2-3億年) reion. at z

原始ガス雲形成の宇宙論的 シミュレーション WMAP 初期条件: 密度ゆらぎガウシアン, CDM + バリオン + 背景放射 重力 + 流体力学 化学反応 Gas H2 9種非平衡 e, H, H+, H-, H2, H2+, He, He+, He++ z = 100 磁場なし、ダストなし、宇宙線なし! Yoshida, Sugiyama, Hernquist (2003)

初期天体の形成 CDMモデル 1 Mpc z=17

初期天体の典型的質量 M_host ~ 10 Msun 6 Yoshida, Abel, Hernquist, Sugiyama (2003a)

Small-scale power: pLCDM, WDM, RSI 6 10 Msun 10 9 pLCDM D(k) 2 Running Spectral Index model WDM

CDM vs WDM (10 keV) 1 Mpc 一個だけ z=20 でたくさんのガス雲

z=17 でのミニハローの分布 CDM WDM z_reion (WMAP) ~ 17

イオン化波面伝播のシミュレーション Adaptive Ray Casting Scheme Sokasian, Yoshida, Abel, Hernquist (2003) Adaptive Ray Casting Scheme z=24 z=22 LCDM+PopIII 中性 イオン化 z=21 z=20

イオン化領域の割合 (極端な)モデル : ガス雲につき一つの大質量星 f_esc = 1 イオン化領域では星形成なし

LCDM vs Running model 1 Mpc 30個@z=20 0個

原始ガス雲の数 LCDM Running WMAP z_reion

もう少し大きなスケール pLCDM, WDM(1kev), RSI 6 10 Msun 10 9 LCDM D(k) 2 RSI WDM

CDMサブストラクチャー Springel et al. (2001) Moore et al. (1999)

銀河サイズハローの観測 Kochanek & Dalal (2002) 4-image radio galactic lenses MG0414+0534 B0712+472 PG1115+080 B1422+231 B1608+656 B1933+503 B2045+265

超高解像度シミュレーションの結果 銀河サイズのハロー内のサブハロー CDM RSI WDM ~ 7 % ~7 % ~2.5 % ~ 7 % ~7 % ~2.5 % Yoshida & Hernquist (2004)

Cosmic Patchwork - 初期物質分布を”観測“する 早期再イオン化 CMB (WMAP) ハローの部分構造 によるレンズ効果 ライマン-a雲 LCDM 銀河サーベイ D(k) 2 RSI WDM 10 12 9 6 質量スケール k [/Mpc]

わかっている部分 LCDM 100 10 1 0.1 0.01 0.001 10 12 9 6 CMB (WMAP) 質量スケール LCDM CMB (WMAP) 0.1 0.01 0.001 0.01 0.1 1 10 100 1000 k [h/Mpc]

Small-scale structure of the Universe <まとめ> これからおもろいのは、、、 Small-scale structure of the Universe N.Y. 理論懇2001、2004、、、

展望(まとめにかえて) イオン化の歴史をさぐる。 t だけではよくわからない post-WMAP CMB 観測 GRB afterglows 銀河サイズのハローの部分構造  (Dalal 2002; Metcalf 2003; 千葉2002) 赤方偏移した中性水素21cm   z>15

もっと簡単に計算したい、、、が、 t_dyn ~ 3000万年 t_cool ~ 3000万年 t_chem ~ 3000万年 水素・ヘリウムガスの冷却曲線 H He H2 + 銀河(大きなシステム)の形成 原始ガス雲形成 t_dyn ~ 3000万年 t_cool ~ 3000万年 t_chem ~ 3000万年 t_hubble ~ 1億年  z=25:

Comparison: SA vs simulation “Minimum collapse mass” model

宇宙の構成要素 通常の物質 ? ダークマター ? ダークエネルギー

おすすめ本: 1. Landau, Lifshitz Quamtum Mechanics 2. Sedov Similarity and Dimensional Methods in Mechanics 3. Vincenti, Kruger Physical Gas Dynamics