我が国の自殺死亡の推移 率を実数で見ると: 出典:警察庁「自殺の概要」 平成9(1997年)-10年(1998年)で男性が大幅増。以降3万人を超える死亡者数 出典:警察庁「自殺の概要」 ※自殺死亡率:人口10万人あたりの自殺死亡者数
対前年比:123% 対前年比:170% 出典:警察庁「自殺の概要」
地域における自殺既遂者の少なくとも90%に広義の精神障害が認められ、そのうちの約半数がうつ病等 ①うつ病をはじめとする精神疾患に対する支援 自殺の背景としての精神疾患 推測 救急病院に搬送された自殺企図者の 75%に狭義の精神障害 地域における自殺既遂者の少なくとも90%に広義の精神障害が認められ、そのうちの約半数がうつ病等 うつ患者は急増中。しかし、4人に3人は医療機関で治療を受けていない 自殺を企図し救急施設に運ばれた者に対する調査によると,自殺を企図した者の75%に精神障害が見られる。 この精神障害の内訳を一般人口の年齢構成で補正すると、 46%がうつ病等,26%が統合失調症であった。 川上研究報告によると、一生の間に、15人に1人はうつ病にかかるが、4人に3人は医療機関を受診していないことがわかっている。 この背景には,国民の間にうつ病は特定の人しかかからない特別な病気である,うつ病は治らないといったうつ病に対する偏見や誤った知識があることなどが指摘されている。 (参考) この研究は,自殺を企図しながら一命を取り留めた者に対する精神疾患の調査であることから,調査それ自体が困難を伴うものであり,今後,さらに知見を積み重ねる必要がある。しかしながら,自殺予防対策の観点からは,うつ病等の精神疾患対策が重要であることは示唆される。 心の健康問題と対策基盤の実態に関する研究 主任研究者 川上憲人 (平成14年度厚生労働科学特別研究事業) 自殺の危険因子としての精神障害 ―生命的危険性の高い企図手段をもちいた自殺失敗者の診断学的検討― 飛鳥井望(精神神経誌 96: 415-443, 1994) 3
各年齢層ごとの自殺者数及び自殺率 ①働き盛りの世代自殺率は平成9年から増加したが現在は減少傾向 ②高齢者の自殺者数は変化ないが自殺率については減少傾向 ③若年者の自殺者、自殺率ともに年々増加傾向
②高齢者については自殺率は減少傾向であるが、高齢者人口が増加していることから自殺者数は高い水準である。 自殺対策における課題 ①いわゆる団塊の世代の自殺者数は平成10年ごろに、特に男性において大きく増加。最近では自殺率がやや減少しているが現在でも高い自殺率で推移している。 ②高齢者については自殺率は減少傾向であるが、高齢者人口が増加していることから自殺者数は高い水準である。 ③近年若年者の自殺者数が増加傾向であり自殺率増加が影響を及ぼしている。
地域自殺予防情報センター運営事業(新規) 平成21年度概算要求額 162百万円 【現状・課題】 「自殺未遂者・自殺者親族等のケアに関する検討会報告書(平成20年3月)」では、自殺に悩む人、自殺未遂者やその家族、自殺者親族に対して、 ・地域における個別のケアに当たる関係機関とのネットワークが十分でない ・地域において個別のケアに当たる関係機関における人材の育成が十分でない といった問題が指摘されている。 【事業概要】 都道府県・指定都市に各1ヶ所ずつ地域自殺予防情報センター(仮称)(精神保健福祉センター、保健所などに設置)を置き、 ①地域の自殺対策にとって必要な情報を管理し、ホームページやパンフレット等の媒体を活用して広く提供する。 ②自殺対策調整員(仮称)の配置や、連絡調整会議の開催により、関係機関のネットワークを強化し、地域の自殺対策の向上を図る。 ③地域における自殺対策に関する人材を育成するための研修会を行い自殺未遂者・自殺者親族等に対して、適切な支援が提供される体制を整備する。 学校 医療機関 自殺未遂者・自殺者親族等 警察・消防 自殺予防総合対策センター 市町村 民間団体 地域自殺予防情報センター(仮称) (精神保健福祉センター・保健所等) ○情報提供 ○連絡調整会議 ○自殺対策研修会 自殺対策調整員(仮称) 技術的支援 助言 専門的相談 ・各種相談窓口 ・利用可能な福祉サービス 等 実施主体:都道府県・指定都市 補助率:1/2