【症例1:80歳女性】  独居、認知症、全盲 #生来による重度の視力障害(全盲) #アルツハイマー型認知症 #気管支喘息 20XX年 5月: ・同居していた兄を亡くし、その後は独居 ・療養環境は悪い(床にネコの餌が散乱、ハエ・ ゴキブリがいる) ・公的なサービスなど申請手続きができなくなり、

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介護支援サービス(ケアマネジメント) 要援護者やその家族がもつ複数のニーズと社会資源 を結びつけること。 要援護者の生活の質を高めること。 保健,医療,福祉,住宅等の各種公的サービスだけ でなく,家族、ボランティア,近隣等の支援とも調整 し,在宅生活を支えていくもの.
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実践編 次のような処方箋と簡単な患者情報とともに在宅訪問依頼が来 た。 さて、何を準備し、何をチェックし、どのように多職種と連携 をとることが求められるか。 ワークシートを参考に考えてみましょう。
高齢者向け住宅・施設における薬剤管理指導 ①
特別養護老人ホームさくら園 副施設長 金谷 龍太郎
老後をみんなで考え、共に生きるためのシンポジウム
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Ⅱ 訪問介護サービス提供プロセスの理解 Ⅱ 訪問介護サービス提供プロセスの理解.
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株式会社コム・メディカル蔵王調剤薬局 ○三浦 雅彦、佐藤 雄一
《吸入指導依頼箋》 初回 ・ 継続 《吸入指導依頼箋》 初回 ・ 継続 年 月 日 年 月 日 □クリックヘラー(メプチン)
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アンケート② 病棟体制.
趣旨  平成22年4月1日厚生労働省(医政発0401第17号) 各都道府県知事にあて発令された文章を受けて 県内各施設における医療的ケアを実践的に 指導できる看護職員を養成することを目的
重症心身障害児者等 コーディネーター育成研修 3 支援体制整備④ 資源開拓・創出方法
退院後を支えてこそ 医療連携から地域連携へ
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健康寿命延伸産業分野における新事業活動のガイドライン(概要)
Ⅳ 訪問介護における医療の知識 Ⅳ 訪問介護における医療の知識.
口の中をみる 常に口腔の健康管理を! 口腔ケアの充実 歯科 歯科疾患予防+誤嚥性肺炎予防+食支援 最期まで「口から食べること」を支えるために
持参薬変更時の注意点 平成23年4月 日本薬剤師会.
広げよう口腔ケアの輪 第6回 口腔ケア元気塾 in 宮崎市 基調講演 『多職種で取り組むオーラルマネジメント』
高齢者の救急搬送に係る意見交換会 資料7 1 意見交換会開催に至る経緯と今年度の取り組み  平成26年度    病院連絡会議にて,高齢者の救急搬送に関して,患者及び家族の延命治   療の希望確認ができているかの課題提起がなされた。  平成27年度   (1)介護サービス事業者協議会主催研修会および施設ごとの講演会の開催.
学習目標 1.在宅療養者の特徴を理解する. 2.在宅療養の成立条件を理解する. 3.地域社会やシステムの改善の必要性を理解する. 4.保健・医療・福祉の連携の必要性を理解する. 5.施設と在宅を結ぶ看護継続の視点を理解する. 6.在宅看護の継続の視点とそのしくみを理解する. SAMPLE 板書(授業終了まで消さない)
~認知症患者の透析拒否への関わりを通して~
介護支援専門員 ケアマネジャー サービス担当者会議.
緩和ケアチームの立ち上げ ー緩和ケア医の立場からー
地域医療構想と地域包括ケア 千葉大学予防医学センター 藤田伸輔 2016/7/2 新潟朱鷺メッセ.
現場で起こるQ&A 訪問依頼がありました 地域医療委員会 濵田 充.
【チーム員及び必要に応じて、対象者情報に詳しい者】
資料9 柏地域医療連携センター相談状況 平成29年1月末 ~報告~ 平成29年3月15日.
介護保険請求 居宅療養管理指導費の請求方法
伊藤大樹 あおばクリニック 福岡東在宅ケアネットワーク
「“人生の最終段階における医療” の決定プロセスに関するガイドライン」
医療法人社団 白木会 地域栄養サポート自由が丘 訪問管理栄養士 米山 久美子
医薬品の副作用等による被害を受けられた方を救済する公的な制度があります。
歯科健診で、 健康寿命を延ばそう! (健診概要)
輝いて、自宅で ~終わりよければすべてよし~
トータス往診クリニック 国立がん研究センター東病院 血液腫瘍科 大橋 晃太
CAMP-S の M CAMP-S 〜総 括〜 CAMP-S計画管理病院協議会 千葉県脳卒中連携意見交換会 古口徳雄
各論1A【症例2】 訪問看護 1 痛みは緩和できているが寝たきり →本人の希望?ポート、カテーテルによる?
末期がん 【症例2】 ・口腔衛生不足 ・歯科疾患(う蝕・歯周病) ・口腔乾燥、口内炎、出血、 味覚異常など ・摂食嚥下機能低下
【「患者のための薬局ビジョン」における薬剤師・薬局の機能概要】
天理市第1号訪問事業 (短期集中予防サービスC)について
福岡東在宅療養シンポジウム 在宅介護経験者の体験談 2 実話に基づいた寸劇 「ひとり住まいでも大丈夫」 民生員さん達も参加.
資料②-1 資料3 在宅医療を支える   後方支援体制について 地方独立行政法人 りんくう総合医療センター 地域医療連携室長  中西 賢.
地域リハビリテーション -訪問リハビリテーションを中心に-
第20回福祉用具国民会議 在宅生活で福祉用具がどう使われているか?
オフィス藤田 グループホーム燦々(さんさん) 看護師 介護支援専門員 古城順子
認知症ケアパス 在宅生活 家族 地域資源 気づき 軽度 認知症の度合い 重度 終末期 介護・福祉・住まい・住民 地域住民 保健・医療・看護
今後めざすべき基本目標 ―「ケアの流れ」を変える―
     【症例2:91歳女性】  認知症、胆管がん 20XX年 1月(90歳): ・アルツハイマー型認知症の疑い、骨粗鬆症、変形性膝関節症で近医にて加療 ・黄疸のため近隣の病院にて入院加療。胆管ステント留置し退院 ⇒加療が奏功し、全身状態は比較的安定 ・サービス付き高齢者向け住宅に入所し療養 ・廃用により体幹・下肢筋力低下。ほぼベッド上での生活。移動はストレッチャ型車いす.
レセプトに関連する動向1 レセプトにまつわるトピック 労災レセプト 高齢者の一部負担金問題
ケアマネジャーの皆様 利用者さんのことでの悩みや困りごと ありませんか? 地域の訪問看護ステーションに ぜひ、ご相談ください ☎
いきいき笑顔応援プロジェクトの流れとSPDCAサイクル
おくすり整理そうだんバッグ 地域医療委員会.
在宅医療施策の取組状況と今後の展開(案)
南魚沼市民病院 リハビリテーション科 大西康史
若年性認知症の人への支援 若年性認知症支援コーディネーター これらの支援を一体的に行うために を各都道府県に配置
「効率的で質の高い医療提供体制の構築」と「地域包括ケアシステムの構築」(車の両輪)
在宅 役割・準備・訪問   在宅における薬剤師の役割
2015/11/08 俊和会 さつき訪問看護ステーション 玉井真由美
在宅医療をご存じですか? 編集:○○○○○ 訪 問 診 療 往 診 在宅医療を利用できる方(例) 在宅医療で受けられる主なサービス
在宅医療をご存じですか? 編集:○○○○○ 訪 問 診 療 往 診 在宅医療を利用できる方(例) 在宅医療で受けられる主なサービス
Presentation transcript:

     【症例1:80歳女性】  独居、認知症、全盲 #生来による重度の視力障害(全盲) #アルツハイマー型認知症 #気管支喘息 20XX年 5月: ・同居していた兄を亡くし、その後は独居 ・療養環境は悪い(床にネコの餌が散乱、ハエ・ ゴキブリがいる) ・公的なサービスなど申請手続きができなくなり、 市役所からの依頼で初回訪問 ・認知機能評価はHDS-R 9点、取り繕う現象あり ⇒アルツハイマー型認知症と臨床診断を下した ・診察には当初拒否的であったが、話を聞いているうちに徐々に打ち解ける傾向あり ・多弁の傾向(昔の話を何度も繰り返す)

【症例1:80歳女性】 独居、認知症、全盲 熱傷のエピソードもあり、今後のことについて担当者会議を 開催し検討したい      【症例1:80歳女性】  独居、認知症、全盲 20XX年 7月:  ・訪問診療開始、しかし病院に行くから良いと拒否的  ・さらに投薬に関しても拒否 20XX年 8月:  ・訪問看護、薬剤師訪問指導が導入される ⇒少し和んでいった 20XX年 11月:  ・投薬への同意あり  しかし介護職に対しては服薬拒否あり  ・着衣失行あり、 冬でもワンピース、 常にストーブの前にいる   ⇒その後は比較的順調に経過していく 20XX+1年 1月:  ・ストーブによって左脚の熱傷あり 熱傷のエピソードもあり、今後のことについて担当者会議を 開催し検討したい

各論1B:モデルケアカンファランス 【症例1】 医師 自宅療養での限界 (早く施設へ) 多職種連携への実感と尊重 在宅療養継続の決断と自信 歯科医師 口腔診査・治療方針の説明 口腔衛生管理は声掛けから 口腔機能(摂食嚥下・咀嚼)評価に基づく指導・管理 義歯の管理・指導 摂食拒否(低栄養) 食支援 機能に合った食形態・食介助 訪問看護 医療や生活困難による緊張や不安感の寄り添いによる精神的支援 全身と生活障害のアセスメント 適切な熱傷処置 必要時特別指示書による頻回の訪問看護 薬剤師 自己管理の限界 最近飲み忘れ増加 薬剤変更依頼 介護職の処置の限界 (ホクナリンテープ剤) 薬剤一包化 アドヒアランス向上 介護職の服薬管理 ケアマネジャー 生活スタイルの尊重 生活におけるリスクと予防 丁寧な情報提供と共有 (意思決定支援) 本人の価値に合った治療や 支援方法 治療の効果とモニタリング 訪問リハ 生活様式(特に動線)の評価 ストーブ周辺の環境評価・調整 本人が行いたい活動の提案 管理栄養士 低温熱傷のための管理の必要性 栄養状態の確認・評価 浮腫の程度 食形態の最適化 介護職 環境は改善された ただし服薬の拒否が懸念 ホクナリンテープって自身で扱えるのか? 一包化ならば拒否されずに対応可能

【症例1】  医師法17条(平成17年) 医療機関以外の高齢者介護・障害者介護の現場等において判断に疑義が生じることの多い行為であって原則として「医行為」ではないと考えられるもの(平成17年7月26日付け 厚生労働省医政局長通知) 水銀体温計・電子体温計により腋下で体温を計測すること、及び耳式電子体温計により外耳道で体温を測定すること 自動血圧測定器により血圧を測定すること 新生児以外の者であって入院加療の必要がない者に対して、動脈血酸素飽和度を測定するため、パルスオキシメーターを装着すること 軽微な切り傷、擦り傷、やけど等について、専門的な判断や技術を必要としない処置をすること。(汚物で汚れたガーゼの交換を含む) 患者の状態が以下の3条件を満たしていることを医師、歯科医師又は看護職員が確認し、これらの免許を有しない者による医薬品の使用の介助ができることを本人又は家族に伝えている場合に、事前の本人又は家族の具体的な依頼に基づき、医師の処方を受け、あらかじめ薬袋等により患者ごとに区分し授与された医薬品について、医師又は歯科医師の処方及び薬剤師の服薬指導の上、看護職員の保健指導・助言を遵守した医薬品の使用を介助すること。具体的には、皮膚への軟膏の塗布(褥瘡の処置を除く。)、皮膚への湿布の貼付、点眼薬の点眼、一包化された内用薬の内服(舌下錠の使用も含む)、肛門からの坐薬挿入又は鼻腔粘膜への薬剤噴霧を介助すること

各論1B:モデルケアカンファランス 【症例1】 望まれない形で在宅療養が中断されようとしていたケース ケアマネジャーが統括役となり、各職種を調整 粘りながら在宅療養を続けられそうな潜在的な要素を見出し、 多職種協働によりどうにか在宅療養の継続を実現 最後に、在宅療養継続への医師の決意と多職種への信頼