「地域分娩環境確保の方策について」 私の今回の演題に関連して、開示すべき利益相反状態はありません。

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持続可能な産婦人科医療提供体制を目指して
~三重県(地方)と名古屋市(都市)の比較検討から~ 三重県産婦人科医会2) 愛知県産婦人科医会3) 三重大学4)
「地域分娩環境確保の方策について」 私の今回の演題に関連して、開示すべき利益相反状態はありません。
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基調報告 「産婦人科勤務医の就労環境の実態 ー日本産婦人科医会調査から」
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「地域分娩環境確保の方策について」 その1 海野信也 私の今回の演題に関連して、開示すべき利益相反状態はありません。
「地域分娩環境確保の方策について」 その3 海野信也 私の今回の演題に関連して、開示すべき利益相反状態はありません。
地域における医療提供体制の確保に資する設備の特別償却制度(医療機器に係る特別償却の拡充・見直し)
「効率的で質の高い医療提供体制の構築」と「地域包括ケアシステムの構築」(車の両輪)
新医師確保総合対策のポイント 【医師数に関する全体状況】 【 対 策 】 短期的対応 19年度概算要求への反映
目 次 第1章 大阪府保健医療計画について 1.医療計画とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
秋田の現状 離れられない、学べない 平成23年度「拡大医療改革委員会」兼 「産婦人科医療改革 公開フォーラム」
「産婦人科医療における格差是正に向けて」
千葉大学予防医学センター 臨床疫学 藤田伸輔
Presentation transcript:

「地域分娩環境確保の方策について」 私の今回の演題に関連して、開示すべき利益相反状態はありません。 平成28年度岐阜産科婦人科学会・岐阜県産婦人科医会 合同学術研修会 2016年12月11日 「地域分娩環境確保の方策について」 海野信也 北里大学病院長・北里大学医学部産科学教授 日本産科婦人科学会医療改革委員会委員長 「周産期医療の広場」 http://shusanki.org/index.html 私の今回の演題に関連して、開示すべき利益相反状態はありません。

本講演の構成 わが国の周産期医療の概要 国全体としての医療改革の動き 周産期医療体制の課題と日本産科婦人科学会の基本方針 産科病床数について 産婦人科医の必要数に関する試算 岐阜県の状況 「産婦人科医確保に向けた地域枠学生の卒後臨床研修に対する提言」 「災害時小児周産期リエゾン」について

いつでも、どこでも、 どんなときでも 安全で安心な地域分娩環境の確保 いつでも、どこでも、 どんなときでも  安全で安心な地域分娩環境の確保

わが国の出生数の推移

わが国の出生率の推移 1.46 in 2015 1.42 in 2014

From The Telegraph (English Newspaper) Nowadays, Korea has experienced significantly decreased birth rate phenomenon. at 1970, more than one million babies were born in Korea. After that, Annual birth number has been decreased abruptly to 435,000 in 2006. From The Telegraph (English Newspaper)

出生場所の推移

分娩施設の現状 2012年 都道府県別 出生場所別 出生割合 分娩施設の現状 2012年 都道府県別 出生場所別 出生割合 地域による分娩取扱の病診比率の大きな幅を考慮した制度設計が必要

分娩取扱医療機関数の推移 出生数の減少は分娩取扱施設の減少につながるが、それを上回る速度で、施設数は減少している。 分娩施設数の減少は、利用者の分娩施設へのアクセス時間の延長につながる。 医療施設(静態)調査より

周産期医療システム 1996年事業開始, 2011年全都道府県に設置 Emergency and Critical Center Committee for Perinatal Medicine Patient and Information Flow Collaboration Comprehensive Center for Perinatal Medicine  1/1 million, 105 MFICU・NICU Maternal Emergencies Perinatal Information Center Transport Coordinator Regional Center for Perinatal Medicine  1/0.3 million, 300 Emergency C-section NICU General Maternity Unit Hospital 700~ Clinic 1400~

周産期死亡率の国際比較

わが国の妊産婦死亡数の推移

妊産婦死亡率の国際比較

産婦人科医の年齢性別分布 2005年

産婦人科医の年齢性別分布 2010年

産婦人科医の年齢性別分布 2016年

その他を除く施設ごとの日本産科婦人科学会学会員の年齢別・男女別分布

平成26年度日本産科婦人科学会医療改革委員会、日本産婦人科医会勤務医部会共同「日本産科婦人科学会会員の勤務実態調査」 49歳 67歳 男性医師の分布 34歳 48歳 女性医師の分布 平成26年度日本産科婦人科学会医療改革委員会、日本産婦人科医会勤務医部会共同「日本産科婦人科学会会員の勤務実態調査」

日本産科婦人科学会 年度別新規入会者(産婦人科医)数の推移 日本産科婦人科学会  年度別新規入会者(産婦人科医)数の推移

日本産科婦人科学会 年度別新規入会者(産婦人科医)数の推移 9月30日時点と年度末との比較 日本産科婦人科学会  年度別新規入会者(産婦人科医)数の推移 9月30日時点と年度末との比較

産婦人科医の現状 2008-2013年度の都道府県別新規産婦人科医数 (人口十万対)

【アクセス時間】 妊産婦の住所地から直近の分娩施設への運転時間 Access by car <15min <30min <60min >60min 各メッシュからのアクセスの考え方、出生数の算出と配賦 1.8% の妊婦は、直近の分娩施設に行くのに30分以上かかる。

【アクセス時間】 妊産婦の住所地から直近の周産期センターまでの運転時間 Access by car <15min <30min <60min >60min 三重→東紀州では、分娩医療機関はあるが周産期センターへのアクセスは60分以上 2.1% の妊婦は直近の周産期センターに行くのに60分以上かかる。

【アクセス時間】 分娩取扱医療機関から周産期母子医療センターへの運転時間 (国際医療福祉大 石川雅俊先生提供) 【アクセス時間】 分娩取扱医療機関から周産期母子医療センターへの運転時間 (国際医療福祉大 石川雅俊先生提供) 周産期母子医療センター(総合・地域) 30分以上 354施設 60分以上  74施設 平成27年度 地域格差是正を通した周産期医療体制の将来ビジョン実現に向けた先行研究  「周産期母子医療センターの施設基準と評価に関する研究」

【アクセス時間】 医療機関から総合周産期母子医療センターへの運転時間 (国際医療福祉大 石川雅俊先生提供) 【アクセス時間】 医療機関から総合周産期母子医療センターへの運転時間 (国際医療福祉大 石川雅俊先生提供) 周産期母子医療センター(総合) 平成27年度 地域格差是正を通した周産期医療体制の将来ビジョン実現に向けた先行研究  「周産期母子医療センターの施設基準と評価に関する研究」

産婦人科医療提供体制を規定する因子 ハコ モノ ヒト カネ システム 地域基幹病院・産科診療所 (総合・地域)周産期母子医療センター 婦人科診療所 ウイメンズヘルスケア提供の拠点 モノ 医療機器の整備 ヒト 絶対数 地域偏在 地域枠医学生の進路は? 施設間配置 周産期母子医療センター 若い世代の産婦人科医 産科診療所 中高年世代の産婦人科医 婦人科無床診療所 カネ 出産育児一時金引き上げ→分娩費用の引き上げ 分娩手当 システム 周産期医療システム 産科医療補償制度 妊産婦死亡原因分析

周産期医療の進歩 「いつでも、どこでも、どんなときでも、安全で安心な地域分娩環境の確保」 システムの向上 周産期医療システムの整備 都道府県周産期医療協議会・周産期母子医療センター体制 NICU・MFICUの整備 母体救命への対応 救命救急センターとの連携 災害時の母子支援体制 災害医療・DMATとの連携 小児周産期災害リエゾン養成開始 質の改善 NCPR普及事業 産婦人科診療ガイドライン策定 産科医療補償制度における原因分析・再発防止への取り組み 妊産婦死亡症例検討評価委員会による妊産婦死亡の全例検討→「母体安全への提言」の発刊 日本母体救命システム普及協議会

矛盾する状況 質は向上しているが、地域分娩環境確保は困難になりつつある 周産期統計の改善→世界最高水準 それを将来にわたって担うべき若い世代の産婦人科医における変化 絶対数の減少 女性医師が6割 ワークフォースは全体として減少する 分娩施設の減少→アクセス時間の延長 妊産婦の一次分娩施設へのアクセスの悪化 母体搬送・新生児迎え搬送時間の延長

地域医療における周産期医療 タイムライン 医療計画関連 周産期医療関連 平成29年度 都道府県:第7次医療計画策定 平成27年度 都道府県:「地域医療構想」検討開始 平成28年度 都道府県:地域医療構想策定終了 平成28年度 医療計画の見直し等に関する検討会 平成27-28年度 周産期医療体制の在り方に関する検討会 周産期医療体制整備指針と医療計画における5疾病5事業中の「周産期医療分野」との一本化 平成28年度 「疾病・事業及び在宅医療に係る医療体制について」(?) 平成29年度 都道府県:第7次医療計画策定 平成30年度 都道府県:第7次医療計画の見直し

医療計画における5疾病5事業 周産期医療 5疾病 5事業 在宅医療 がん 脳卒中 急性心筋梗塞 糖尿病 精神疾患 5事業 救急医療 災害時における医療 へき地の医療 周産期医療 小児医療(小児救急医療を含む)) 在宅医療 5疾病・5事業及び在宅医療のそれぞれについて、以下の内容を患者や住民にわかりやすいように記載する。 (1) 患者動向や、医療資源・連携等の医療提供体制について把握した現状 (2) 必要となる医療機能 (3) 課題、数値目標、数値目標を達成するために必要な施策 (4) 原則として、各医療機能を担う医療機関等の名称 (5) 評価・公表方法等 なお、記載に当たっては、公的医療機関及び社会医療法人の役割、歯科医療機関(病院歯科、歯科診療所)の役割、薬局の役割にも留意する。

地域医療構想 医療機能の名称と内容 高度急性期機能 急性期機能 回復期機能 慢性期機能 地域医療構想 医療機能の名称と内容 高度急性期機能 急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、診療密度が特に高い医療を提供する機能 急性期機能 急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、医療を提供する機能 回復期機能 急性期を経過した患者への在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供する機能 特に、急性期を経過した脳血管疾患や大腿骨頚部骨折等の患者に対し、ADLの向上や在宅復帰を目的としたリハビリテーションを集中的に提供する機能(回復期リハビリテーション機能) 慢性期機能 長期にわたり療養が必要な患者を入院させる機能 長期にわたり療養が必要な重度の障害者(重度の意識障害者を含む)、筋ジストロフィー患者又は難病患者等を入院させる機能 周産期医療は主としてこちらに該当

周産期医療領域の検討課題 分娩施設が減少する中で、配置の適正化をどのようにはかるのか? 周産期医療圏内の分娩施設配置の把握→妊産婦のアクセス状況を把握 産科病床数の実態把握 非効率な小規模分散状況を把握 原則として、公的分娩施設の大規模化・重点化による適正化を進める その周産期医療圏における分娩取扱数の病院・診療所比率を激変させないことが、産科医療の安定的提供にとって重要 出生数が減少し、集約化が完了しこれ以上重点化・大規模化できない地域への対応

周産期医療領域の検討課題 周産期医療圏 産科病床数 周産期医療体制のあり方に関する検討会 意見のとりまとめ(案) 地域の実情に応じて、圏域を設定することが可能 二次医療圏ごとの年間分娩数は142(南檜山)から22626(名古屋)まで非常に大きな幅がある。 妊婦住所地から分娩施設へのアクセス時間を指標の一つとする 地域の実情に応じた分娩施設(周産期センター・病院・診療所等)の機能分担の明確化 産科病床数 地域の出生数に応じた産科必要病床数を計算する 周産期医療圏ごとに、産科病床数の確保と充実をはかる 周産期医療体制のあり方に関する検討会 意見のとりまとめ(案) 現行の二次医療圏を基本としつつも、出生数、地理的状況、周産期医療を提供する医療施設の数と規模、産科病床の状況、カバーエリアなど地域の実情を考慮した、周産期医療に係る医療圏を設けることが必要である。その上で都道府県は、一次医療機関へのアクセスのみならず、NICU 等を有する二次及び三次医療機関についてもアクセスの確保を図る必要がある。

日本産科婦人科学会 医療改革グランドデザイン2010・2015より抜粋 分娩管理の効率化と多様性を確保するため分娩数全体の2分の1から3分の2を産科診療所または産科専門施設で担当する。 地域基幹分娩取扱病院の積極的整備:地域基幹分娩取扱病院の大規模化・重点化を図ることを通じて、勤務する産婦人科医が継続的な就労可能な勤務環境を整備する。 「地域基幹分娩取扱病院重点化プロジェクト」を立ち上げ、各地域の実情のリアルタイムのモニターと情報共有、評価が可能な体制を整備し、各地の取り組みを支援する。

日本産科婦人科学会 医療改革グランドデザイン2010・2015より抜粋 地域産婦人科医療機関の機能分担と連携強化を推進する。 周産期母子医療センターと地域の産科診療所の機能分担、連携強化を推進する。 すべての地域で妊婦健診及び婦人科検診へのアクセスを確保する。 地域によっては行政からの支援が必要 産婦人科医療へのアクセスが困難な地域においては、地域の実情に即したシステムを構築し、適切な医療提供が可能な体制を整備する。 大規模化が不可能な地域周産期母子医療センター等は、大規模施設との連携の上、勤務条件の緩和、緊急時の対応能力を確保する。 産婦人科医絶対的欠乏地域では、産婦人科施設との密接な連携を前提とした総合診療医の関与等の方策も検討していく。

中小規模の分娩取扱病院における 産婦人科医の負担軽減の方策 時間外分娩対応→当直回数の削減 院内助産の推進 例)外科系当直医の分娩立会(分娩手当の支給・産婦人科医のオンコール体制) 妊婦健診対応→外来負担の軽減 助産師外来の推進 セミオープンシステムの推進 例)総合診療医・家庭医による妊婦健診の実施(異常があれば連絡を受けて産婦人科医が対応) 出生数の少ない地域の分娩環境確保のために必要なこと 分娩費用の引き上げとそれに見合う妊婦への公的補助増額 医療従事者処遇の改善

アクセス時間=「地域分娩環境の確保」の指標の一つ 平成28年6月3日 医療改革委員会 平成28年度の医療改革委員会予算で、GISソフトを購入し、各地域ごとの解析を迅速に行うことができる体制を整備する。 分娩取扱の中止、開始の地域の妊婦のアクセス時間に及ぼす影響等に関するシミュレーションが可能になる。

日本産科婦人科学会 医療改革委員会 地域基幹分娩取扱病院重点化プロジェクト 日本産科婦人科学会 医療改革委員会 地域基幹分娩取扱病院重点化プロジェクト 分娩医療機関実態調査 2015年度  8月:先行8道県調査:北海道・宮城・福島・新潟・富山・石川・福井・福島 2016年度:産科病床数追加 8月:2県パイロット調査:岩手県・秋田県 11月:37都府県全体調査開始

地域基幹分娩取扱病院 重点化プロジェクトの概要 地域基幹分娩取扱病院 重点化プロジェクトの概要 ①情報提供 交渉 日産婦学会 医療改革委員会 重点化プロジェクト本部 ④情報集約 解析・分析 ①情報提供 検討提案 ①情報提供  検討依頼 ⑥協議 ⑤情報共有 方向性検討 各県・地域の 産婦人科医 ③情報提供 ②地域としての検討・方針決定 ⑧連携・支援 ⑦協議・交渉 国 県 地域自治体・病院 ⑨ 地域における施策の決定→地域医療計画等に反映

出生1000人あたりの 必要産科病床数の試算 絶対必要産科病床数 相対必要産科病床数(病床稼働率を勘案) =【全自費経腟分娩入院日数/365】+【全保険入院日数/365】 =【出生数x(1-帝王切開率)x自費経腟分娩平均在院日数/365】+【出生数x保険入院日数/ 全出生数 x365】 =【1,000x(1-0.197)x6/365】+【1,000x4,856,988/ 1,003,539 x365】 =自費経腟分娩 13.2床+保険入院 13.3床 =合計 26.5床(経腟分娩平均在院日数を6日とした場合) =分娩取扱に必要な病床数 18.1床(経腟分娩平均在院日数6日 帝切平均在院日数9日とした場合)+合併症管理入院に必要な病床数 8.4床 相対必要産科病床数(病床稼働率を勘案) 病床稼働率0.8の場合 33.1床 病床稼働率0.9の場合 29.4床

神奈川県二次医療圏別出生数・分娩数・産科病床数(平成26年) 医療圏名 平成26年出生数 平成26年分娩数 産科病床数 分娩取扱医師数 出生1000あたり病床数 分娩1000あたり病床数 分娩数/出生数 横浜北部 14812 10,710 401 85 27.1 37.4 72% 横浜西部 8469 8,173 241 55 28.5 29.5 97% 横浜南部 7499 7,089 299 82 39.9 42.2 95% 川崎北部 8052 4,449 229 43 28.4 51.5 55% 川崎南部 6343 5,580 187 42 33.5 88% 相模原 5614 5,440 189 52 33.7 34.7 横須賀三浦 4539 4,598 153 37 33.3 101% 湘南東部 5830 5,265 198 34.0 37.6 90% 湘南西部 4110 4,524 181 44.0 40.0 110% 県央 6922 6,536 214 38 30.9 32.7 94% 県西 2269 2,000 91 15 40.1 45.5 全体 74459 64,364 2,383 528 32.0 37.0 86%

富山県二次医療圏別出生数・分娩数・産科病床数(平成26年) 平成26年出生数 平成26年分娩数 産科病床数 出生1000あたり病床数 分娩1000あたり病床数 分娩数/出生数 新川 772 850 32 41.5 37.6 110% 富山 3786 4225 149 39.4 35.3 112% 高岡 2165 2496 100 46.2 40.1 115% 砺波 833 754 27 32.4 35.8 91% 合計 7556 8325 308 40.8 37.0

福島県二次医療圏別出生数・分娩数・産科病床数(平成26年) 平成26年出生数 平成26年分娩数 産科病床数 出生1000あたり病床数 分娩1000あたり病床数 分娩数/出生数 県北 3400 3746 166 48.8 44.3 110% 県中 4137 5235 199 48.1 38.0 127% 県南 1163 988 60 51.6 60.7 85% 会津 1823 2346 66 36.2 28.1 129% 相双 1298 712 40 30.8 56.2 55% いわき 2562 2946 99 38.6 33.6 115% 合計 14383 15973 630 43.8 39.4 111%

富山県・神奈川県・福島県の二次医療圏別 分娩取扱自己完結率(仮称)(平成26年)

産婦人科医の必要数に関する試算 ー概要版- 2016年11月19日 産婦人科医の必要数に関する試算 ー概要版- 産婦人科新規専攻医数と将来における分娩取扱医師数との関係 年間90万分娩に対応するために必要な産婦人科医数の試算 公益社団法人 日本産科婦人科学会 医療改革委員会

2020年 2025年の分娩取扱医師数試算 ー方法の概要ー 前提:病院勤務医の当直対応は54歳まで、診療所勤務医の時間外分娩対応は69歳までと仮定 産婦人科医 性別・年齢層別の人数(過去10年間) 産婦人科医 性別の新規専攻医数と25-29歳医師数(過去10年間) 産婦人科医 性別・年齢層別の勤務場所分布(2014年度調査) 妊娠・子育て中女性医師の比率 0.5(医会勤務医調査) 妊娠・子育て中女性医師の当直業務対応率推定(30%/40%/50%) 性別・年齢層別の5年後の増減率 新規専攻医数から25-29歳医師数を試算する回帰式 産婦人科医 性別・年齢層別の勤務場所比率一定と仮定 産婦人科医 性別年齢層別の人数(2015年度) 新規専攻医 350・400・450・500名の場合の2020年・2025年の性別・年齢層別産婦人科医師数試算 産婦人科医の性別・年齢層別診療従事率(2014年度) 2020年・2025年の産科診療所医師数及び分娩取扱病院当直対応ワークフォースの試算 2020年・2025年の性別・年齢層別診療従事産婦人科医師数試算

結果:2020年度と2025年度の当直担当医師数推定 病院勤務医は54歳まで、診療所勤務医は69歳まで時間外分娩を取り扱うと仮定 分娩取扱病院勤務医数 産科診療所勤務医数 全分娩取り扱い医師数 新規専攻医総数 年度 男性 女性 合計 ワークフォース 妊娠・子育て中の女性医師の「当直業務対応率」 30% 40% 50% 現状 3080 2985 6065 5020 5170 5319 1570 341 1911 7976 350 2020 2665 3393 6058 4871 5040 5210 1399 512 7969 2025 2490 3528 6018 4783 4960 5136 1269 630 1899 7917 400 2686 3431 6117 4916 5088 5259 8028 2555 3744 6300 4989 5177 5364 633 1902 8202 450 2707 3469 6176 4962 5135 5309 8087 2621 3861 6483 5131 5324 5517 1270 634 1904 8387 500 2728 3507 6235 5007 5183 5358 8146 2687 3978 6665 5273 5472 5671 1271 636 1906 8572

結果: 年間90万分娩に対応し、分娩取扱病院の当直医が月間在院時間を減少させ、240時間に近づけていくために必要な担当産婦人科医数の試算 結果: 年間90万分娩に対応し、分娩取扱病院の当直医が月間在院時間を減少させ、240時間に近づけていくために必要な担当産婦人科医数の試算 病院年間分娩取扱数 病院数≒必要当直医数 施設あたり当直担当医数 (推定月間在院時間) 診療所年間分娩取扱数 必要診療所医師数 6人 (262時間) 7人 (250時間) 8人 (242時間) 年間500分娩あたり当直医1名の場合 500000 1000 6000 7000 8000 400000 2000 450000 900 5400 6300 7200 2250 300000 600 3600 4200 4800 600000 3000 年間600分娩あたり当直医1名の場合 833 5000 5833 6667 750 4500 5250 500 3500 4000 年間700分娩あたり当直医1名の場合 714 4236 5714 643 3857 5143 429 2571 3429

結果: 年間90万分娩に対応し、分娩取扱病院の当直医が月間在院時間を減少させ、240時間に近づけていくために必要な当直担当産婦人科医数の試算 結果: 年間90万分娩に対応し、分娩取扱病院の当直医が月間在院時間を減少させ、240時間に近づけていくために必要な当直担当産婦人科医数の試算 当直担当医数(推定在院時間) 年間500名 2025年予測 現状