発注と情報フロー 田宮治雄
発注
発注業務(1) 契約の締結 契約書の作成 信頼関係の明確化 取引条件の詳細の確認 業者を評価する最後の砦
発注業務(2) 適切な発注時期、数量、価格の決定 在庫切れのない程度に在庫量を最小にする 過剰在庫 在庫切れ 管理コストの増大 品質劣化や陳腐化のリスク 金利負担の増加 在庫切れ 販売チャンスの見逃しにつながる 生産活動の混乱を招く
発注業務(3) 発注量、タイミングの計算要素 リードタイム 安全在庫 さまざまな計算方法がある 注文してから納入されるまでに要する日数 急な需要に備えて常に保有する在庫 さまざまな計算方法がある 再発注点管理方式、MRP,製番管理方式、カンバン方式など
再発注点管理方式 在庫量 再発注量 安全在庫 時間 再発注点 リードタイム
MRP方式 Material Requirements Planning (所要量計算) または Management Resource Planning 生産計画、製品の部品構成、工程経路などに基いて、材料や部品の必要量(所要量)を計算する 共通品はまとめる コンピュータの使用が不可欠 戦後アメリカで生まれた生産管理の方式
製番管理方式 製品生産単位(ロット)に番号(製造番号)をつけ、 その製番で最もリードタイムの長いものにあわせて発注する 計算と納入品の製番への関係付けが簡単 中小企業で多く使用される 過剰在庫を生むおそれあり
カンバン方式 工程にあわせて必要最小限度の材料や部品を極めて短いリードタイムで納入させる トヨタ自動車で開発されて世界的に有名になった管理方式 (Lean Production) 主に仕入れ業者に大きな力を持つ大企業で採用される
発注業務(4) その他考慮すべきポイント 複数業者からの購入 購入先絞り込みによる価格面のメリット 安定供給の確保 よい意味の緊張関係の持続 購入先絞り込みによる価格面のメリット 経済発注量(EOQ・Economic Order Quantity) 品目ごとの取引単位を考慮し、単位あたりのコストを最小にする
発注業務(5) その他注意すべきポイント 続き 発注量の平準化 発注権限の分散 業者の供給能力に限界がある場合 その他注意すべきポイント 続き 発注量の平準化 業者の供給能力に限界がある場合 発注量の急激な増減はかえってコストの上昇につながる 発注権限の分散 業者との癒着を防止する
発注と情報システム(1) 購買サイクルとの取引処理の出発点 正確なデータの管理が前提 製造業では製造サイクルの情報システムと密接な関係が必要 リードタイム 安全在庫 実際在庫数量 製造業では製造サイクルの情報システムと密接な関係が必要
発注と情報システム(2) 発注時期、発注量の自動計算 企業の採用する発注方式にあわせて設計する 計算の時期(2つの機能を併用する) MRP、カンバン方式では、計算過程のほぼ100%が自動化される 計算の時期(2つの機能を併用する) 定期的、一括計算 随時、計算対象を指定して 発注内容の変更機能も必要
発注と情報システム(3) 注文書の自動発行 EDI(Electronic Data Interchange)の活用 正確な発注 発送業務の合理化、省資源化、低コスト化 SCMの一環 事前に発注内容を確認する機能が必要 発注データのセキュリティー管理 特に急な注文依頼に対応する場合
発注と情報システム(4) その他情報システムの機能 業者ごとの発注量、購入金額の管理 経済発注量のシミュレーション機能 業者の選定や、複数購買の際重要なデータとなる 業者との癒着を監視する機能としても利用できる 経済発注量のシミュレーション機能 環境の変化により経済発注量は変化する
入荷・検収と情報フロー 田宮治雄
入荷・検収
入荷・検収業務(1) 納期管理 目的: 納期遅れによる販売や生産の混乱回避 特に重要部品や過去に遅れの目立つ品目について納期前に確認をすること がある 注文の変更が多いと納期の遵守率も低下する
入荷・検収業務(2) 受入(照合と検収) 目的: 正確な在庫管理と品質の確保 業者の現品票と現物の一致確認 注文書控と現品票(納品書)の一致確認 特に分納の場合に未入荷残高の確認が必要 一部抜き取りによる品質の検査(検収) 材料の品質がやがて製品の品質に作り込まれる
入荷・検収業務(3) 受入(入庫後の処理) 検収報告書の作成 在庫数量の増加記録 発注残高の減少記録 買掛金(業者に対する支払債務)の計上 業者にコピーを送付する 在庫数量の増加記録 発注残高の減少記録 買掛金(業者に対する支払債務)の計上
入荷・検収と情報システム(1) 納期管理 納入予定情報および発注残高の提供 納期遅れの詳細と納入スケジュール管理 納品書の受入にEDIを利用 納期確認に使用 納期遅れの詳細と納入スケジュール管理 特に分納扱いの品目に注意 納品書の受入にEDIを利用 直前の納入確認に利用 迅速な処理と入力負担の大幅な軽減
入荷・検収と情報システム(2) 照合・検収 納入予定(発注控)を利用した照合作業 検収合格入力にバーコードの活用も可能 未検収残高の内訳と未検収の理由の把握 検収不合格の履歴管理 検収報告書の作成 EDIによる検収報告の伝送も可能
入荷・検収と情報システム(3) 入庫処理と記録 記録更新の自動化 買掛金の自動計上 在庫残高の増加 発注残高、未検収残高の減少 会計仕訳の自動的な起票