COE外国出張報告会 C0167 宇宙物理学教室 D2 木内 学 ascps

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COE外国出張報告会 C0167 宇宙物理学教室 D2 木内 学 ascps Astronomical Society of the Pacific Conference Series (ASPCS), published @ mid-2007 宇宙物理学教室 D2 木内 学

活動銀河核に関する研究テーマを大きく8つの分けて、会議は行われた 講演者数は200人程度 (20カ国 中国、アメリカ、日本、ドイツ、イタリア、フランス、、、)

活動銀河中心核 (Active Galactic Nuclei; AGN) 光っている領域のサイズは、0.1pc~銀河のサイズの1/104 程度に過ぎない 光度は母銀河の100倍程度 ガスの降着によってブラックホールは成長し、降着が終わるとAGNは光らない巨大なブラックホールになる

1型AGNと2型AGN 1型 2型 核光を直接観ている 探しやすい(可視光のカラーだけで、だいたい普通の銀河と区別が付く) 中心核付近の情報が得られる 2型 トーラスを通して中心核を観ているので、核光は減光される 探しにくい(銀河と見分けるためには、分光観測してスペクトルを調べる必要) 中心核付近の情報が分からない 1型 AGNs     中心核を直接観測 図の説明、1型と2型 2型 AGNs   中心核はトーラスで減光される

AGNと銀河 普通の銀河 銀河 + AGNs (成長中のBH) 銀河 + BH 進化 銀河とAGNの割合は?

母銀河と中心核ブラックホール 近傍宇宙では、 中心核BHの質量と母銀河のバルジ(楕円銀河全体、および円盤銀河で星が球状に分布している領域)の星光度(星質量)には相関がある バルジの成長(星形成)とBHの成長には、強い繋がりがあるかもしれない BH BH質量の推定方法をもう一度チェック

星形成 vs. 中心核BHの成長 宇宙論的な時間スケールでみると、銀の平均的な星形成率と平均的なBHへの質量降着率の赤方偏移依存性は似ている ×4000 BHへの質量降着率 77億年 117億年 赤方偏移

母銀河と中心核ブラックホールの形成進化過程のリンク 中心核BHの成長に伴って、母銀河(特にバルジ成分)で星が形成されている? 現状ではよくわからない そのメカニズムは?

Hard X-ray Selected Type-2 Active Galactic Nuclei at Intermediate Redshifts (ポスター講演) G., Kiuchi, K., Ohta, M., Akiyama, K., Aoki, Y., Ueda

研究の目的 実際にBHと銀河(バルジ)は、共に成長しているという観測的証拠を掴むこと 近傍宇宙にいる銀河より若く、ブラックホールが成長中であるAGNs(赤方偏移の大きいAGNs)に対して、BH質量とバルジ光度の相関を調べ、 近傍宇宙のBH質量-バルジ光度の関係と比較する

サンプルは? 赤方偏移の大きい(~年齢が若い)AGNsが良い 母銀河が調べやすいAGNsが良い

1型AGNのラディアルプロファイルの例 (Dunlop et al. 2003)

2型 AGN 可視光探査(撮像観測)では2型を探すのは極めて困難

硬X線で選択されたAGNs 硬X線の放射源はほぼAGN。(質量降着している星質量程度のBHからも硬X線は放射されるが、その割合は小さい) We utilize two hard X-ray(> 2 keV) selected samples Akiyama et al. (2000) & Akiyama et al. (2003) (硬X線源の分光観測をして、AGNの同定をした) 15 Targets at intermediate redshift(~35億年前の宇宙) ちゃんと言って。

観測 (撮像観測) 2004年4月と12月、及び、2005年5月 ハワイ大学の 2.2m望遠鏡を使用した seeing(角分解能); FWHM~1.3”(3kpc@z~0.3、2型の母銀河を調べるには十分な分解能) 観測波長帯はRバンド (~6000Å→静止系で~4600Å) この波長帯には何がある?

2型 AGNsのイメージ サイズは? 明るい核光が周囲のトーラスに遮られているため(可視光)、母銀河がよくわかる

母銀河の光度の推定 モデルフィッティングから、バルジ光度を推定 中心核の寄与は極めて小さいため、バルジ光度が推定しやすい バルジ 中心核 プロファイルとイメージを一セット用意 モデルフィッティングから、バルジ光度を推定 中心核の寄与は極めて小さいため、バルジ光度が推定しやすい

バルジ成分の光度 X線光度(∝AGN光度)とバルジ成分の光度には相関がある AGN光度は、だいたいBH質量に比例する。

Eddington 光度 ガス 輻射 λは、AGN光度などに対する依存性は大きくない λがわかれば、AGNの光度からBH質量が推定できる

λの推定 1型AGNならば、スペクトルからBH質量を推定できる ASCAソースの1型AGNの場合、<λ> = 0.24 分散はどのくらい? 0.5 dex

BH質量 vs. スフェロイド光度 z=0の関係とほぼ一致 At 赤方偏移 ~ 0.3 (our work) At 赤方偏移 ~ 0

まとめ 35億年前に既に、BH質量とバルジ光度には相関がある しかも、それは現在の宇宙における相関関係とほぼ等しい 今後は、 1型AGNの高分解能観測から得られた結果とほぼ一致する 今後は、 より遠方のAGNをサンプルとし、形成段階でBH質量と銀河の光度(質量)の相関関係を調べていく必要がある BHへの質量降着率と母銀河の星形成率の関係を調べる必要がある

R~(λL5100A)

活動銀河中心核 (Active Galactic Nuclei; AGN)

Redshift vs. Lx 35億年 57億年 赤方偏移

可視光観測によるAGNの探し方

AGNと銀河の大きさ 銀河の大きさ AGNの大きさ 完全に銀河からAGNを分離することは不可能 rhost~5kpc FWHM~1” @ z~0.3 AGNの大きさ rAGN=3rs~1013(M/107Msun) cm~10-5pc FWHM~10-9” @ z>1 かなり小さい ハッブル宇宙望遠鏡の分解能 ~0.”04 地上の望遠鏡の分解能 ~ 0.”5 – 1.”5 AGNは分解できない 完全に銀河からAGNを分離することは不可能