書評報告 “トウモロコシ”から読む世界経済 光文社新書  江藤隆司著 06A2100H 谷澤 佑介.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
第 2 章 なぜ政府は貿易に介入する のか. 1貿易政策の 実態 貿易を制限する政策 輸入関税(従量税・従価税) 輸出税 輸入数量制限 動植物検疫 輸入関税と非関税障壁 貿易を促進するような政策 輸出補助金 非関税障壁.
Advertisements

なぜ貧しい国はなくならないの か 第 1 章 開発経済学とは何か 1. まず定義から始めよう 筆者による定義 「貧しい開発途上国 の貧困削減に貢献する 戦略を研究する学問分 野」 2.
経常収支とは?  一国の国際収支を評価する基準の一つ。  この 4 つのうち、 1 つが赤字であっても他で賄え ていれば経常収支は黒字となる。 貿易収支 モノの輸出入の 差 所得収支 海外投資の収益 サービス収支 サービス取引額 経常移転収支 対価を伴わない 他国への援助額 これらを合わせたものが経常収支.
Microeconomics 競争市場と公共政策 E2 価格規制と補助金・在庫  1 1 農業保護の無間地獄 2 2 無間地獄先進国日本 ? 3 3 主な農業政策の非効率性 農家は弱者 ? ~ 農業保護の無間地獄~ 農家は弱者 ? ~ 農業保護の無間地獄~ 課題課題.
制度経済学Ⅰ ①. 制度経済学とは何か 制度 institutions 最も根本的な制度は・・・・ 言語、法、貨幣 いずれも経済、そして経済学に関係する それらなしに、経済は成立しない.
なぜ貧しい国はなくならないのか 第4章 飢餓は是が非でも避けた い 堀佑太. 第1節 経済発展と農業問題 第一の農業問題 食糧不足 人口増加により未開の耕地が減少、また畑の休閑 期間が短くなり、土地の肥沃度が減少する にもかかわらず、生産性を上げる技術が開発され ないと食糧不足が起こる.
1. Departamento de Consultoria e Assessoria
拡大成長する海外市場への 販路拡大が急務 鳥取県農林水産物等輸出促進WG 2014年8月 日本貿易振興機構(ジェトロ) ©2014JETRO
二、高度経済成長期 神武景気 年代後半の民間設備投資 岩戸景気 2 2 国民所得倍増計画 オリンピック景気 いざなぎ 景気.
デフレの正体 第11講 「労働者ではなく外国人観光客 ・短期定住客の受入を」
銅及び銅合金R原料の国内バランス ■供給166万tに対し需要は153万t 13万tの過 ■輸入の11万tを抜くとほぼ均衡
マネーサプライを増やせ! 岩田・伊藤・浜田・若田部・勝間
食料自給率の「なぜ?」             著者 末松広行 稲葉ゼミ  06a2139z 半田哲也.
穀物はなぜいつも店先にあるのか? ~主要穀物の生産、流通、管理~ 第6班.
-- World Food Supply and Demand Mechanism --
第2章 バブル崩壊後における経済の長期停滞の原因をどうみるか
第5章 東アジアから何を学ぶか?.
ファッション産業とアパレル産業 2311395 山口 湧平.
『手に取るように金融がわかる本』 p.202~p.223 part1~5
第7章 途上国が「豊か」になるためにすべきこと
トウモロコシの動向 2班.
Instant Noodles – The Interaction of Culture and Economy
商社・メーカー 製紙②.
食糧とそれを取り巻く要因に関する分析 稲葉ゼミナール 4年 鶴岡裕也.
木の利用 5班 田村浩幸 徳直哉 中家葵 長濱大介 西村陽平.
第7章 どのように為替レートを 安定化させるのか
04w750 林涛 12月4日                 中国の石油戦略 12月4日 経済学部国際経済学科 04w750林涛 課題5.
せまる!食料危機 岡本 健二  前田 優太.
三、安定成長期(1973年~1986年) 1 高度成長の挫折 2 産業構造の変化 3 円高と貿易摩擦 4 逆輸入と内需拡大.
有斐閣アルマ 国際経済学 第6章 関税政策の基礎分析  阿部顕三・遠藤正寛.
自動車の現状と未来.
日本はTPPに参加すべきか 【否定派】 長谷川 元田 田中 松村.
手に取るように金融がわかる本 PART6 6-11 09bd139N 小川雄大.
~「日本の奇跡」の背景を知ろう~ (3時間) 1 戦争直後の日本経済 2 高度経済成長 (本時) 3 高度経済成長のその背景
資源ナショナリズムについて 2012/01/20 長谷川雄紀.
食糧自給率低下によって 日本が抱える危機とその対策
マクロ経済学初級I 第4回.
急拡大するアジアでの自動車生産 1 ○2007年以降、海外生産量が国内生産量を超える状況にあり、リーマンショック後2010年の国内生産量は2001年代の水準までしか回復していない。 ○国内生産の内、国内供給は2005年までほぼ6,000千台弱であったが、それ以降減少傾向にあり、国内外生産量の21%。
最近の中国と通貨に関する動向 08ba231c 松江沙織.
日中自動車産業と環境問題 第一章 中国自動車企業の発展 01w713 コウシュンエン 第二章 日本自動車メーカーの中国戦略
前期ゼミまとめ スラックス経済.
下流汚染蓄積型湖沼の 窒素汚染問題 茨城大学農学部 黒田久雄.
東アジア文化論(11/6) 『成長するアジアと日本の位置づけ』.
国際貿易の外観.
稲葉ゼミ第二回書評 「データブック 食料」西川 潤 岩波ブックレット (2008年8月6日発行)
URL 日本人のくらし・食習慣と東南アジアの環境
第1章 1990年代以降の景気循環の特徴と景気の現局面の評価
中国の石油戦略 張世鎬.
6. Departamento Automotivo Presidente: Syozo Hasebe
11. Departamento de Fiação e Tecelagem Presidente: Shoichiro Honma
V. 開放経済のマクロ経済学.
V. 開放経済のマクロ経済学.
世界の食糧問題 ~国際社会という視点から慢性的飢餓に どう立ち向かうか~
日本の食糧安保リスクを管理する ための貿易とテクノロジーの役割
サニー産業(株) 小規模事業者の海外進出のお助け人
元高の原因を追求    九州産業大学 金崎ゼミ 張 雷 徐 雲飛 .
「食料自給率」について知ろう 食料自給率って、 聞いたことある? 出典(データは次の資料を参考にしました)
財市場               マクロ班 Congratulations! 財市場.
On the Present and Future of the Rice Production in China
日本の食料自給率について 応用生命学科 石渡隆之 森林科学科 大島渉.
様々な主体や取組みを「つなぐ」仕組みの構築
日本のエネルギー資源 2008-09-13 MK6328 白石 彩奈.
主要穀物の価格動向.
主要穀物の 需要と生産状況 7班 07A024 奥藤智代 07A043 小西郁里 07A052 坂田秋沙 07A053 坂本典子
労働市場 国際班.
経済学科の紹介 他大学との違いはなにか? 2019/5/26.
第6章 デフレの鍵は賃金 ー「なぜ日本だけが?」の答え
‐サブタイトル‐ 都市農業大国キューバ・リポート 06A2137C 長谷川泰史
食生活と環境 (2)-ア-a-D2.
現代資本主義分析 資本主義という見方.
Presentation transcript:

書評報告 “トウモロコシ”から読む世界経済 光文社新書  江藤隆司著 06A2100H 谷澤 佑介

テーマ エコノミストの一般的な傾向として工業品だけに目が奪われて、国際経済を判断しがち。  エコノミストの一般的な傾向として工業品だけに目が奪われて、国際経済を判断しがち。  そのため例えばアジアの通貨危機や南米の経済危機などでも超悲観的な見方がされる。  しかし、農産物をその国は輸出しているのか、輸入しているのか、つまり穀物市場の視点から見れば世界経済の様子は変わって見えてくる。

例)タイの通貨危機 1997年7月、タイのバーツ切り下げ。  1997年7月、タイのバーツ切り下げ。  これらを発端とした、アジア通貨危機によって穀物の消費減少、それによって供給過剰になったと新聞などでは説明されていた。  そしてそのタイのバーツ切り下げのニュース以降、タイはつぶれるかのような悲観的な見方が広がった。

例)タイの通貨危機 しかし、実際は通貨切り下げによって、タイはどんどん儲けていた。 その理由は・・・  しかし、実際は通貨切り下げによって、タイはどんどん儲けていた。  その理由は・・・  当時のタイは、トウモロコシやコメなどの農産物の輸出国であり、農産物の輸出国にとっては、対ドルに対して自国通貨が切り下げられるということは極めて有利に働くため。

なぜ、“トウモロコシ”なのか  トウモロコシは農産物の中でも経済性やあらゆる観点から“万能選手”になり、現在様々なものにトウモロコシが使われている。  トウモロコシは食用だけでなく、家畜向けの飼料のほか、かまぼこの中の弾力強材、アイスコーヒーのシロップ、さらにはエネルギー・プラスチックにまで用途が広がっており、日本の輸入数量は年々増加し、今や年間1600万トンにも及ぶ。  このことから、穀物市場の代表といるのではないか

日本の経済を見る 1975年ごろから急激に輸入数量が増加している。 1990年が過ぎた頃から伸び悩み、目立った変化が見られない。 (千トン)

日本の経済を見る 1975年ごろか輸入数量が急激な増加 →高度経済成長により食生活に変化。植物油の油脂類、畜産物の食肉などの摂取量の増加が顕著になる。飼料となる穀物の需要が増加。 1990年が過ぎたころから目立った変化なし →高度経済成長期が既に過ぎ、GDPも2年連続前年比マイナスを記録。穀物関係である搾油業界・飼料業界もピークが過ぎ、下降線。しかし、ファーストフードの成長にかげりがなく、穀物需要は大して減少せず。

穀物需給の今後 中国 →国内農業政策と自給率の動向が、世界の需給関係を大きく左右する。経済成長によってどこまで欧米型の食肉生活になるかがポイントとなる。 インド →現在、急速に人口が増加。穀物生産が不作の場合、大量輸入の可能性大。また、ブロイラー産業の発展期にあり、飼料として穀物消費が増加し、輸入も増加する予想される。 今後、需要拡大が予想でき、解決策は単収を増やすこと!!

感想(評価) 穀物市場と経済の関係はなかなか学ぶ機会がなかったので、この本を読んでさわりだけでも学ぶことができて、良かった。 著者は伊藤忠商事の社員であり、いままでどのような仕事をやってきたかが書かれていたので、商社の業務を知るのに参考になった。