日本史と現代宇宙物理学を散歩する:藤原定家の超新星 日本の5番目のX線衛星「すざく」に搭載されたX線CCD(XIS)は宇宙空間では、史上最高のエネルギー分解能と低ノイズ性能を持つ。「すざく」は打ち上げ1年で、湯川・朝永生誕100年記、超新星SN1006の千年記を迎えた。SN1006は藤原定家が明月記に貴重な記録を残したのみならず、日本のX線衛星が宇宙線加速の証拠を見つけた記念碑的な存在である。そこでこの藤原定家の超新星と「すざく」など最新のX線衛星の観測結果を基に日本史と現代宇宙物理学を散歩しよう。明月記にある超新星記録は以下の3つである。その時代を代表する文化遺産と現代宇宙物理学における意義を述べる。 (1) 一條院寛弘3年(SN 1006)-アルプスの山々をすりぬけた超新星-「すざく」XISはSN 1006が人類史上もっとも明るかったこと、宇宙の加速器であることを証明した。この加速器が湯川の中間子を実証した?当時の状況は、枕草子:長保3年(1001年)~寛弘7年(1010年)、源氏物語(1008年脱稿)、紫式部日記(~1010年)など文化が花咲いた。だがどの日記にもSN1006の記録はない。真夜中だったので両人共にぐっすり寝こんでいた? (2) 後冷泉院天喜2年(かに星雲)-これは中心に中子星をのこした。現代高エネルギー宇宙物理学の教科書的な存在である。 (3) 高倉院治承5年の客星(3C58)-X線観測から冷えすぎた中心星をみつけた。これはクォーク星かもしれない。当時は平家の全盛時代だった。徳子(後の建礼門院)も宮中(雲井)に見たかもしれない。「思いきや 深山の奥に 住まいして 雲井の月をよそに 見んとは」なんて、詠っているのだから。