CaF2 (Eu)を用いた 暗黒物質探索実験 東京大学大学院 理学系研究科 物理学専攻 蓑輪研究室 菅沼 亘 清水 雄輝、蓑輪 眞 東京大学大学院 理学系研究科 物理学専攻 蓑輪研究室 菅沼 亘 清水 雄輝、蓑輪 眞 井上 慶純 CaF2を用いた暗黒物質探索実験について、私東京大学大学院理学系研究科物理学専攻 蓑輪研究室 博士課程1年菅沼が発表いたします。
目的 低バックグラウンド環境で測定する必要がある バックグラウンドを最も低減できる検出器の構成をめざす 暗黒物質の候補に WIMP(Weakly Interacting Massive Particle)がある ニュートラリーノ(SUSYからの予言) Spin Independentな反応と Spin Dependentな反応がある 通常の物質と極めて低確率で弾性散乱する 低バックグラウンド環境で測定する必要がある 今回の発表の目的について述べたいと思います。 我々の研究室でおこなわれている暗黒物質実験のことを話したいと思います。 我々が探している暗黒物質の候補にWIMPがあります。その有力な候補に超対称性理論から予言されているニュートラリーノがあります。 この粒子の断面積はSpin Independent な反応とSpin Dependentな反応の和からなります。この断面積は非常に小さいことが予想され、 通常の物質とは極めて低確率で弾性散乱します。 ですから、我々は少ない弾性散乱イベントを見たいために、低バックグラウンド環境で測定する必要があります。 よって、ニュートラリーノと強くスピン相互作用する物質をターゲットとして、バックグラウンド源の特定をするためのSimulationと、神岡地下実験室で環境を少しずつ変えて測定を行ないました。 その結果からバックグラウンドを最も低減できる検出器の構成をめざします。 バックグラウンドを最も低減できる検出器の構成をめざす ニュートラリーノと強くスピン相互作用する物質をターゲットとして、バックグラウンド源の特定をするためのSimulationと、神岡地下実験室で環境を少しずつ変えて測定を行った
ニュートラリーノのスピン相互作用 対になったスピンは相殺してしまい、不対核子のみが散乱に寄与 ap: 陽子とのカップリング an : 中性子とのカップリング 〈Sp(N)〉:陽子のSpin期待値 〈Sn(N)〉:中性子のSpin期待値 λ: Lande factor J : 原子核の全スピン Isotope unpaired Abundance λ2J(J+1) 〈Sp(N)〉 〈Sn(N)〉 1H P 100% 0.750 0.5 19 F 0.647 0.441 -0.109 23Na 0.041 0.248 0.020 127I 0.023 0.309 0.075 129Xe N 26.4% 0.124 0.028 0.359 まずターゲットに何にしたらいいかを決めるためにニュートラリーノの ニュートラリーノのスピン相互作用について述べたいと思います。 ニュートラリーノのスピン相互作用は対になったスピンは相殺してしまい、不対核子のみが散乱に寄与します。 動作がわかりやすいシンチレーターのCaF2を使う
検出器 応用光研製 CaF2(Eu) (CANDLES実験に使用されているCaF2の粉末にEuをドープして作製) 発光量:NaI(Tl)の50% 減衰時間:940ns 2”Φ×2” 質量300g ターゲットをCaF2に決まりましたので、次に検出器について述べたいと思います。 CaF2は阪大のCANDLES実験に使用されているCaF2にEuをドープして作成されたものを使います。 パッシブライトガイド 信越石英製 溶融石英 低バックグラウンドPMT R8778 (XMASSより)
配置 シールド ポリエチレン 20cm 鉛 15cm 無酸素銅 10cm EVOHシート 2層 ラドン除去のために EVOHシートの中に ラドンフリーエアー or蒸発窒素を入れる
環境中性子のSimulation 中性子のcount rateは一桁落ちることが期待される ポリエチレンシールド20cmがある場合とない場合の シミュレーションをGEANT4で行なった 環境中性子Flux 6.6×10-6count ・cm-2・s-1 配置を決めましたが今後はその配置におけるシミュレーションを行ないます。 中性子のcount rateは一桁落ちることが期待される
シールド内の主なBG源のSimulation 放射性不純物量は質量分析、 Ge検出器のデータを使用 GEANT4 + DECAY4を利用 238U 232Th 無酸素銅 <1.2mBq/kg 2.6mBq/kg 鉛 7.2mBq/kg 6.2mBq/kg R8778 18mBq 96mBq CaF2 38μBq/kg 92μBq/kg 主なBG源 結晶内部からの寄与は少ない シールドとしての銅が影響大? 数十keV以下で 無酸素銅 ~5counts/keV/day/kg PMT ~2counts/keV/day/kg 現在使用されている銅より放射性不純物の少ないシールドを使う必要がある?
BG測定 再現性の 確認 中性子の影響の 確認 ラドンの影響の 確認 PMTの影響の 確認 RUN1 ラドンフリーエアー、 PMT2個 ラドンフリーエアー、 PMT2個 RUN2 同上、再セット RUN3 ラドンフリーエアー、ポリエチレンシールド、PMT2個 RUN4 蒸発窒素、ポリエチレンシールド、 PMT2個 RUN5 ラドンフリーエアー、ポリエチレン、 PMT1個 再現性の 確認 中性子の影響の 確認 ラドンの影響の 確認 PMTの影響の 確認 BGの影響の寄与を実際に測定して理解したいために5つ行なわれた。 ※すべてのRUNにCaF2、石英ライトガイド、無酸素銅シールド、 鉛シールドを使用
DAQ DAQ内のノイズを減らすため極力シンプルな構成 二つのPMTのCoincidenceでTriggerをかける オシロスコープの波形データのみ取得
チェレンコフイベントカット total partial チェレンコフ光 大量の光子を瞬時に 発生するため partialの割合が大きくなる total :波形データ中にあるすべてのphoton の波高を積分 partial:最初のphotonが検出されてから 200ns以内に検出されたphotonの 波高を積分 チェレンコフ光 大量の光子を瞬時に 発生するため partialの割合が大きくなる partial シンチレーションイベント 数keVのシンチレーションイベントは 57Coのコンプトン散乱によって判断
測定結果 RUN1とRUN2の比較 RUN2とRUN3の比較 スペクトルの再現性がみられた 5keV以下では中性子シールド によるバックグラウンドの低減が 見られる
RUN3とRUN4の比較 RUN3とRUN5の比較 ラドンフリーエアー(0.02Bq/m3)、 蒸発窒素(0.12Bq/m3)の影響は 小さいことが確認された。 RUN3とRUN5の比較 数keVのイベントはafter pulse の影響でイベントが多くなってしまった 60keVにピークが現れてしまった(210Pb?) その他のエネルギー領域はイベントに変化 がみられない PMTの影響は 少ない
まとめ 測定結果より、ラドンフリーエアー、中性子、PMTのバックグラウンドはdominantではなかった Simulationより、銅シールドの不純物がdominantの可能性がある 現在、高純度銅シールドを用いて測定中
preliminary 上限値(preliminary) RUN3から上限値を導出 カウントレート(3-10kev) ~20counts/keV/day/kg γ線に対する原子核の シンチレーション効率~0.1 ボロメーター実験よりも 約6倍よい上限値 preliminary
ap-an平面 m=30GeVc-2 m=100GeVc-2 preliminary preliminary m = 30 GeVc-2