現場で起こる在宅Q&A 薬剤師から仕掛ける 在宅訪問編
ケース1 自宅療養中のAさん
Aさん 79歳 男性 ずっと前から当薬局でお薬をもらっていたAさん。 前立腺がんになったり、大動脈瘤になっても短期入院で頑張って、 落ち着く自宅で療養しています。 はじめは自分で薬を取りに来ていましたが、だんだん下肢の痛み がつよくなってきました。認知症はありませんが、要介護2。 最近は薬局に来れなくなってしまいました。 かかりつけの診療所は、自宅の2軒隣りなので家族の手を借りて なんとか通えているようです。 薬局に来れないので、奥さんが取りに来たり、 配達してくれないかとの依頼があり何度か自宅に配達していました。 話を聞いていると、薬の管理も苦労されているようです。 こういうときこそ、薬剤師の在宅訪問です! 在宅訪問について説明したところ Aさんも、是非してほしいとのことでした。
さっそくDr.へ電話 薬「ーーという理由で、Aさんに在宅訪問がしたいのですが。」 Dr.「確かにその方がいいけど、うちには通っているのにやっていいもんなの?」 薬「はい、大丈夫です。先生が訪問必要と判断されれば大丈夫です。」 Dr.「それで何すればいいの?」 薬「えーっと。。。」
実際の手順 医師の指示~処方箋に基づく調剤 薬学的管理指導計画の策定 医師からの情報はもとよりケアマネ・他職種からの情報も参考に デイケア等の日程の確認を含む患者様宅と連絡・調整 訪問日時の決定 自己紹介・身分証明書の提示、介護保険証の確認・・・・ なければ医療保険で請求 介護認定を受けていなければ医療保険での訪問となる 薬剤師の訪問する目的、費用等を説明し署名捺印、同意が得られれば契約完了 訪問開始 薬学的管理指導 記録・報告書作成・・処方医へ。その上で CMに情報提供 必要に応じて他職種への情報提供 保険請求・・・・・・・・ 介護保険は医療保険に優先 *会計の際には領収書は医療保険と別に作成
訪問依頼書について 訪問依頼書、患者情報提供書を書いてもらう。 こちらから訪問依頼書提出願いを出し、Drに 在宅患者訪問薬剤管理指導及び居宅療養管理指導は実施にあたっては、医師の指示が必要 医師の往診の有無に関わらず、要件を満たし かつ当該患者の承諾・同意と医師の指示が あれば、実施可能 こちらから訪問依頼書提出願いを出し、Drに 訪問依頼書、患者情報提供書を書いてもらう。
患者情報提供書 (訪問依頼書) 例:訪問依頼書兼患者情報提供書 継続した患者情報提供も踏まえ、「上記分 前回と変化・変更なし」の欄を掲載 患者情報提供書 (訪問依頼書) 例:訪問依頼書兼患者情報提供書 継続した患者情報提供も踏まえ、「上記分 前回と変化・変更なし」の欄を掲載 情報内容が変更になった場合は、改めて記入を依頼する必要がある。
薬「書式をお持ちするので在宅訪問依頼書と情報提供書をお願いします」 Dr.「なんか面倒そうだね。簡単なの?」 薬「はい。在宅訪問依頼書はチェックを入れて署名・捺印して頂くだけです。」 「情報提供書はAさんの情報を書いてください。 たしか情報提供料が算定できるらしいですよ。」 Dr.「え、それどんなの?詳しく教えてよ」 薬「えーっと。。。すみません、あとで調べておきます。」 Dr.「わかった、じゃあ書いとくから。訪問よろしくね。」
実際の手順 医師の指示~処方箋に基づく調剤 薬学的管理指導計画の策定 医師からの情報はもとよりケアマネ・他職種からの情報も参考に デイケア等の日程の確認を含む患者様宅と連絡・調整 訪問日時の決定 自己紹介・身分証明書の提示、介護保険証の確認・・・・ なければ医療保険で請求 介護認定を受けていなければ医療保険での訪問となる 薬剤師の訪問する目的、費用等を説明し署名捺印、同意が得られれば契約完了 訪問開始 薬学的管理指導 記録・報告書作成・・処方医へ。その上で CMに情報提供 必要に応じて他職種への情報提供 保険請求・・・・・・・・ 介護保険は医療保険に優先 *会計の際には領収書は医療保険と別に作成
ケアマネージャーさんにも連絡しなきゃだな。 ケアマネージャーさんってどんな人なんだろう?? ケアマネさんも調剤報酬みたいなのあるかな? そもそもAさんのケアマネさんって誰? なんて言えばわかってもらえるかな? ケアマネさんってどういうふうに決まるんだろ?
よく分からないけどとりあえずやってみよう! Aさんに介護保険証を見せてもらうと。。 ケアマネさんの勤務先(居宅介護支援事業所)が書いてありました。 薬「これはどうやって決まったんですか?」 A「うちの息子が介護用品の会社で働いていてね。その関連会社みたいだよ。」 薬「へーそうなんですね。」 薬「もしもし、私は◯◯薬局の薬剤師で、、、」 「この度、先生と相談してAさんに居宅療養管理指導をすることになりました。」 CM「あー、そうなんですね。よろしくお願いします。ケアマネの△△です。 えっと、ケアプランに入れればいいんですか?」 薬「必須ではないんですが、入れて頂けると嬉しいです。 報告書もお送りしますけど、FAXでいいですか。」 CM「分かりました。FAXでお願いします」
薬「ケアプランも送ってもらえたりするんですか?」 CM「はい、いいですよ。FAXでお送りしますね。」 薬「ありがとうございます。よろしくお願いします」 CM「こちらこそよろしくお願いします。」 薬「あ、今度サービス担当者会議とかあるときは呼んでもらえますか?」 CM「是非、お願いします。またご連絡しますね」 ケアプランも送ってもらえるんだ。 サービス担当者会議も出ていいんだな。 言ってみるものだ!
言ってみるものだ!
その後、、 一包化をしてAさん宅に訪問、お薬カレンダーでお薬を整理した。 お薬カレンダーのおかげで大変楽になったと喜ばれました。 一包化は何の薬か自分で判断できないのでイヤだということになり、 今は、ヒートのまま1回分ずつ小袋に入れてお薬カレンダーに入れています。 訪問することで、お薬の服薬状況や副作用状況、残薬状況、 そして、患者さんの本当の気持ちがよくわかってよかったです。
教えて下さい。深江先生! ・医師の情報提供料について教えて下さい? ・ケアマネージャーの担当はどのように決まるのでしょうか? ・ケアマネージャーさんはどのような仕事をするのでしょうか? ・サービス担当者会議について教えて下さい。 ・ケアマネージャーさんの報酬体制はどのようになっているのですか?
ケース2 グループホームの薬剤管理へ介入
ケース2 グループホーム うちの薬局の近くに2ユニットのグループホームがあります。 いつも薬はうちの薬局が調剤をしています。 お薬を取りに来るのは職員の方です。 本人さんにはほとんどお会いできていないので歯がゆい気持ちです。 そんなとき、 近隣のグループホームの管理者の方からご相談がありました。 薬の管理が大変で、職員も困っているようなんです。 なんとかなりませんか。 やりましょう。 薬剤師の在宅訪問を説明すると 是非してほしいとのことでした。
GH「まず何をすればいいんでしょうか?」 薬「まずは、、」 「説明会をしましょう!」 GH「誰に説明会をするんですか?」 薬「認知症の方々で本人の同意だけだとよくないと思うので、 ご家族の方に説明会をしましょう。」 GH「わかりました。ちょうど来週の土曜日に家族が集まる会議があるんです。」 薬「そこで、皆さんにご説明しましょう。 ところでそれぞれのケアマネージャーさんは把握されていますか?」 GH「それなら私ですけど。」 薬「あ、そうねんですね!」
訪問薬剤(居宅療養)管理指導開始に至る4つのパターン ずっと訪問することだけをイメージせず、計画性を持って期間限定で訪問することも一考 A:医師の指示型 B:薬局提案型 C:介護支援専門員提案型 D:多職種提案型 看護師、訪問介護員など多くの医療・介護職、そして家族からの相談 医師・歯科医師からの指示 薬局窓口で薬剤師が疑問視 介護支援専門員から薬局への相談 情報の共有&問題点を相互認識 情報の共有&問題点を相互認識 薬剤師が訪問して状況把握 ⇒薬剤師介入の必要性があると判断⇒患者に訪問の意義・目的説明 ずっと訪問することだけをイメージせず、計画性を持って期間限定で訪問することも一考 薬剤師訪問 訪問の意義・目的説明 (スライド2:訪問薬剤(居宅療養)管理指導開始に至る4つのパターン) ここでは、訪問薬剤管理指導・居宅療養管理指導を始めるきっかけのうち、医師の指示型、薬局提案型、介護支援専門員提案型、多職種提案型の4パターンについて説明します。 基本は、Aパターンの医師の指示型です。医師・歯科医師が薬剤師に訪問の指示を行い、薬剤師が患者さん又は介護に当たる家族の同意を得て訪問薬剤管理指導・居宅療養管理指導を開始するというものです。 訪問の指示は、処方箋の処方欄または備考欄に「訪問指示」を記載してもらいます。緊急時等、口頭での指示の場合は、指示があった旨を薬歴に記載します。 一般的には、医師から提供された情報を元に、薬剤師が患者さんの家を訪問し、在宅での薬剤管理の目的などを説明し、患者さんや家族の同意を取ります。 在宅訪問への同意が取れれば、薬剤師は、医師・歯科医師からの指示に基づき、薬学的管理指導計画書を作成します。 また、介護保険の場合には、重要事項説明書や契約書も必要になります。 これで初めて訪問の体制が整います。 一方、いくら待てども暮らせども医師や歯科医師から訪問の指示が来ないと嘆いている薬剤師の声をよく聞きます。 薬剤師も行動しなくてはいけません。 例えば、いつも処方せんを持って薬局へ薬を取りに来るのが、患者さんの代理で、本当に薬が服用出来ているか疑わしい場合があります。 そんな時は、一度、患者さんの家を訪問してみましょう。 訪問すれば、訪問薬剤管理指導や居宅療養管理指導が必要かどうか分かるはずです。 薬剤師が、薬剤師の訪問が必要であると判断した時は、患者さんに薬剤師の訪問の意義や目的を説明し、医師や歯科医師に情報提供して訪問指示を出してもらうと良いでしょう。そうすれば、医師との連携もうまく取れ、訪問指導につながっていきます。 同様に、介護支援専門員や訪問介護士から薬の相談を受け、薬剤師の訪問指導の必要性があると判断できるのであれば、医師や歯科医師に情報を提供して訪問指示をもらうという方法も有ります。 訪問看護ステーションの看護師から相談を受ける場合も有ります。 これらは、多職種との連携から生まれてくるものです。日常業務で多職種と連携をしていれば、薬の相談は薬剤師におのずと来るものです。 ですから、日頃から目の前の患者さんを大切にして、多職種と連携する事が重要です。 また、病院の地域連携室より退院時カンファレンスの出席依頼が来る場合があります。 時間を指定されるなど、薬局に大変な面もありますが、なるべく出席をする様に心掛けたいものです。 医師・歯科医師に情報提供 ⇒訪問の必要性報告⇒訪問指示を出してもらう 患者同意を得て 訪問薬剤管理指導(居宅療養管理指導)開始 19
薬学的管理指導とは? 薬の保管 服薬状況 残薬状況 併用薬剤 他科受診 副作用 相互作用
ご家族からの質問 「うちの母はもうかなり認知症がすすんでいるんですが、 契約書は私のサインで大丈夫ですか?」 「うちの母も是非、在宅訪問してほしいんだけど、 前からずっと違う薬局で薬をもらっているんです。 そこで薬をもらいながら、お薬管理だけお願いしてもいいんですか?」 居合わせた地域包括支援センターの方 「とてもいいですが、実施するとなると またサービス担当者会議を開いて、それからケアプランに載せなきゃですよね?」 「えっとー。。」
お薬管理用のケースも作ったし、 あとは、Dr.の指示をもらって開始するだけ、もう少しだ。
教えて下さい。深江先生! ・グループホームでは職員の方がケアマネージャー兼務という形は よくあるのでしょうか? ・契約書のサインは家族の方でも大丈夫ですか? ・お薬は他の薬局でもらっている方でも大丈夫ですか? ・ケアプランに入れなくても開始出来ますよね?