多波長観測とレーザー実験で探る パルサー星雲プラズマの性質

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多波長観測とレーザー実験で探る パルサー星雲プラズマの性質 Hi! 田中 周太 Shuta J. Tanaka 甲南大学 => 青山学院大学(4月から) 1, Mar., 2018, 研究会X @ 広島大学

Introduction

PSRs, PWNe & SNRs Lspin ~ Lwind Pulsed emission ~ a few % of Lspin PSR: pulsar PWN: pulsar wind nebula SNR: supernova remnant Pulsed emission ~ a few % of Lspin Lspin ~ Lwind SNR G21.5-0.9 PWN G21.5-0.9 PSR J1833-1034 G21.5-0.9 (Chandra) confined by SNR PWNe are detected around high spin-down flux and young pulsars Crab (Chandra) powered by pulsars

Structure of PWNe Light cylinder RLC~108cm Termination Shock SNR G21.5-0.9 PWN G21.5-0.9 Crab (Chandra) Crab (Composite) Crab (HST) PSR J1833-1034 G21.5-0.9 (Chandra) Light cylinder RLC~108cm Termination Shock RTS~ 0.1pc Contact Discontinuity RPWN ~ 2pc Shock Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ pulsar Magneto- sphere Pulsar wind region Pulsar wind nebula (shocked pulsar wind) Shocked SN ejecta Un-shocked SN ejecta + ISM vexp << c (vth ~ c) vexp ~ c Dark!! σ~104, <Γ>~102 σ≪1?, Γ~106

Motivation 相対論的、量子論的、非熱的プラズマの素過程を我々はどこまで理解しているのか? パルス放射の起源 パルサー風の生成、加速 天然のレーザー 磁気圏での散逸 パルサー風の生成、加速 角運動量の引抜き 相対論的加速流 パルサー星雲の形成 相対論的希薄プラズマ 乱流?磁気再結合? Image of PSR taken from NASA 相対論的、量子論的、非熱的プラズマの素過程を我々はどこまで理解しているのか? Pulsar => Rotating magnetized neutron star Pulsar wind @ base => Highly magnetized relativistic flow

PWNe dynamics & spectrum

σ - problem PWN plasma = low-σ magnetization of pulsar wind: σ = particle energy flux / Poynting flux Relativistically hot (~TeV) particle-dominated plasma Slow expansion of PWN ~ 103 km/s ≪ c The Crab Nebula Total Spectrum Flow velocity [~ v / c] ST&Takahara 10 Distance [r / RTS] Kennel&Coroniti1984a v∞ ~ vexp ~ σ c ~ 103 km/s PWN plasma = low-σ

Wind-zone? Post-shock? RLC~108cm RTS~ 0.1pc RPWN ~ 2pc Ⅰ Ⅱ Ⅲ pulsar Wind-zone model Refs. Coroniti’90 Lyubarsky&Kirk’01 Lyubarsky’03 etc. RLC~108cm RTS~ 0.1pc RPWN ~ 2pc Ⅰ Ⅱ Ⅲ pulsar Magneto- sphere Pulsar wind region Pulsar wind nebula (shocked pulsar wind) Post-shock model Refs. Lyutikov’10 Zrake&Arons’17 TTT’18 submitted Tanaka, Toma, Tominaga =>

Crab w/ Tangled B-field Cooling Conversion Dissipation For deceleration Conversion => yes Dissipation => no TTT18 in prep.

Re-acceleration Model cooling effects from pulsar Extra injection stochastic accel. τdecay = 300yr < tage τaccel = 50yr ≪ tage q = 2 (hard-sphere) γdecay = 105 ~ γmin 注)ここではσTS ≪ 1を課している。 Tanaka&Asano17

Radio pulses from PSRs

Radio Pulses 電波パルス = 天然のレーザー 中性子星は小さくて(半径10km) 高温(~106K) => X線星 中性子星表面温度の時間進化 電波で見える訳がない!! 中性子星の表面温度[K] 百年前から議論されていた重力波とは訳が違う!! Study of Tsuruta(1964!!) taken from Tsuruta(2016) c.f., 初の系外X線源(Sco X-1)@1962 電波パルサーの発見@1967 電波パルス = 天然のレーザー 中性子星の年齢[年] Magneto-sphere 中性子星は恒星の終焉に生まれるコンパクトな星で、X線で光ることが期待されていた。 相対論的温度のプラズマは重力ではconfineできない(ISCOでも重力エネルギーは静止質量の数分の一) => 黒体輻射ではない。 電波帯域で レーザー・プラズマ相互作用を観測することで、散乱体(pulsar wind)の性質を探る Pulsar Wind e+ Radio Pulse e- Observer e- e- e+ e+ e+ e+ e- e- e+ e- e- e+ Pulsar

spontaneous + induced terms 誘導コンプトン散乱とパルサー 誘導コンプトン散乱が起こる状況 希薄プラズマと高輝度電磁波の相互作用    (ω ≫ ωpe) (kBTb ≫ mec2) 輝度温度 = 位相空間密度    kBTb(ν) ≡ hν nph(ν) Bosonならnph > 2が可能(BEC) => 誘導過程 パルサーの放射はnph ~ 1027!! taken from NASA パルサー放射の輝度温度 Gekko XII @ Osaka 理論研究と並行して、レーザー実験を進めている (大阪大学で外部資金獲得)。 70年代以降ほとんど研究は進んでいないが今が好機、独壇場。 生来争い事が嫌いなので、競争相手がいない新しいことが見つかったのが良い。 基礎物理的側面(プラズマ+量子電磁気学)が強い、宇宙への応用も可。 地上レーザーの輝度温度 spontaneous + induced terms

誘導散乱によるスペクトル変化 散乱されるとどうなる? ? 低密度 & 低輝度 電子 (密度: ) イオン or 陽電子 電磁波 電子 (密度:   ) イオン or 陽電子 電磁波 (輝度温度: ) 散乱されるとどうなる? ? トムソン散乱 誘導コンプトン散乱

大阪大学レーザー科学研究所共同利用・共同研究(2017B2-TANAKA) Summary 様々な手法でパルサー風プラズマを研究 パルサー星雲の多波長観測 Rees&Gunn(1974)からの脱却 近年の3D MHD simulationと相補的な理論研究 One-zone dataより一段階洗練された観測データが欲しい。 誘導コンプトン散乱のレーザー実験 ~70年代から捨て置かれた問題 近年の短パルスレーザーで実験可能性が出てきた。 正しく非線形物理を理解し、電波パルサーの機構解明へ。 科研費若手B(17K18270) 大阪大学レーザー科学研究所共同利用・共同研究(2017B2-TANAKA)