大学院ガイダンス(柏キャンパス) 2011年6月11日 岸本 康宏

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大学院ガイダンス(柏キャンパス) 2011年6月11日 岸本 康宏 暗黒物質探索実験 ― XMASS実験 ― 大学院ガイダンス(柏キャンパス) 2011年6月11日 岸本 康宏

観測結果によると、銀河には、 目に見える物質では説明できない 「暗黒物質」 が確かにある!! 暗黒物質の存在 観測結果 回転速度(km/s) 「暗黒物質」の寄与 目に見える物質の寄与 銀河中心から距離(kpc) 観測結果によると、銀河には、 目に見える物質では説明できない 「暗黒物質」 が確かにある!!

暗黒物質の存在 銀河の衝突を観測 Red :X線での観測 Blue :重力レンズでの観測

2.7億光年 暗黒物質の分布 重力レンズ効果で明らかになった暗黒物質の分布

暗黒物質と素粒子 天文学的に測定された暗黒物質 現在提案されている素粒子モデル 既に発見されている物質では説明が困難 中性で長い寿命の「未発見の素粒子」である必要性 現在提案されている素粒子モデル これらのモデルは「標準理論」の欠点を克服するために考案された 幾つかの有力候補は,「中性で長い寿命の素粒子」を予言している

我々の周りに存在する暗黒物質を探す研究 数々の実験 XMASS 暗黒物質探索 暗黒物質(の候補)を作りだして探す研究 JHC

XMASS実験の原理 キセノンガスを冷却して液化し,シンチレータとして利用 暗黒物質がキセノンと相互作用した際の僅かな発光を光電子増倍管で測定

XMASS実験の特徴 低バックグランド化を極限まで追求 世界初の規模  これまでにない高感度で暗黒物質を探索 PMT等全ての材料の吟味 キセノンそのものの純化 世界初の規模  これまでにない高感度で暗黒物質を探索 80cm

XMASS実験の建設 光電子増倍管取付(’09年11月)

半球の合体の瞬間

検出器を納める容器

2010年9月

XMASS実験を行っている地下実験室

XMASS実験の今 建設が終了 運転を開始 XMASS装置のパフォーマンスの評価 一例: キャリブレーション 内部バックグランドの評価

XMASS実験の将来 期待される感度 暗黒物質探索を継続 実験装置の性能と特性の 理解と改良を進める 発見すれば大発見! 宇宙の進化の謎を解く鍵 実験装置の性能と特性の 理解と改良を進める XMASS 1yr

XMASS実験は若い皆さんの参加をお待ちしています 宇宙・宇宙素粒子実験 受け入れ教員 鈴木 洋一郎(教授)(代表者) 中畑 雅行(教授) 森山 茂栄(准教授) 岸本 康宏(准教授) http://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/xmass E-mail: kisimoto@icrr.u-tokyo.ac.jp suzuki@ nakahata@ moriyama@

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物質の80%以上は新素粒子か ダークマター 22% 物質全体の 85% 通常の物質 4% ダークエネルギー 74%

ダークマターの有力な候補と考えられる中性粒子 粒子の種類 通常の素粒子 超対称性素粒子 クォーク属 レプトン属 ヒッグス粒子属 ゲージ粒子属 ~ u d c s t b u d c s t b ~ e ne m nm t nt e ne m nm t nt ダークマターの有力な候補と考えられる中性粒子 ~ H+ H- H10 H20 H+ H- H10 H20 ~ g W Z0 g W Z0 素粒子物理学の大きな躍進がすぐ身近にあるのかも

暗黒物質の運動と密度 地球 太陽 太陽系は銀河系内で230km/秒の速度で運動している。 暗黒物質の密度は、0.3GeV/cm3. 質量を100GeV(陽子の100倍)だとすると7cm立方体に一個。