国立天文台 JASMINE検討室 小林行泰 ○初鳥陽一 JASMINEワーキンググループ

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国立天文台 JASMINE検討室 小林行泰 ○初鳥陽一 JASMINEワーキンググループ Nano-JASMINE計画の状況 国立天文台 JASMINE検討室  小林行泰 ○初鳥陽一 JASMINEワーキンググループ

発表内容 Nano-JASMINE概要 衛星開発状況 各種試験結果 Nano-JASMINEのデータ解析&配信 山田他が発表   山田他が発表 Nano-JASMINEカタログ   矢野他が発表

JASMINE計画シリーズ Nano-JASMINE 2011年打ち上げ 小型-JASMINE 2015年頃打ち上げ目標 口径5cm、日本初の位置天文衛星(世界で2番目) 衛星開発や運用プロセスを経験 精度:数ミリ秒角(ヒッパルコスと同等) 小型-JASMINE 2015年頃打ち上げ目標 口径30cm、精度:10μ秒角、小型科学衛星シリーズでの実現を検討中 科学的・技術的に中型JASMINEにつなぐ。バルジの一部を観測 JASMINE 2020年代打ち上げ目標 口径80cm、精度:10μ秒角、バルジのほぼ全域をサーベイする

Nano-JASMINE JASMINE計画における最初の衛星 宇宙開発の一連の作業を経験。学生・若手研究者にとっても貴重な経験。 日本初のスペースアストロメトリ観測経験 世界でも二番目 ヒッパルコスと同程度の精度で観測 ヒッパルコスミッション終了から15年が経過し、カタログ上の座標情報は劣化しつつある。 そのため、同程度の精度でも、ヒッパルコスのデータと合わせることで、固有運動の補正ができる

Nano-JASMINEの概要 衛星の仕様 衛星外形 50×50×50cm 質量 約35kg 打ち上げ 2011年 ミッション期間 2年 打ち上げ 2011年 ミッション期間 2年 観測等級 z<8mag 観測波長 z-band(λ~800nm) Nano-JASMINEの想像図 開発体制 ミッション部(望遠鏡など)→国立天文台&京都大学 バス部(無線器、姿勢制御、電源など)→東京大学&東京海洋大学

位置決定精度目標:数ミリ秒角(z=7.5mag) Nano-JASMINEの特徴 近年発展している小型衛星技術を用いることで、 ヒッパルコスと同様の精度ながら質量は数十分の一 口径5cm(f=167cm)の小型望遠鏡 ビーム混合鏡による2視野同時観測 ヒッパルコスと同じ観測手法 近赤外で量子効率の高い完全空乏型CCD ヒッパルコスでは光電管が用いられていた TDIと呼ばれる特殊な長時間露光モードの実装 効率のよいデータ取得のための星像切り出し手法 高精度な星像中心位置決定アルゴリズム 位置決定精度目標:数ミリ秒角(z=7.5mag)

光学系 ■主鏡有効径 φ5cm ■焦点距離 167cm ■リッチークレチアンタイプ (非球面鏡2枚、平面鏡3枚) ■ビーム混合鏡による2視野同時観測 (混合鏡相対角:99.5 deg) ■全アルミ合金製(表面は金蒸着) ■視野 0.5×0.5 deg Nano-JASMINE光学系 ビーム混合鏡

■Optical Path: ★FOV1 Primary Mirror Beam Combiner 3rd Mirror Secondary Mirror 4th Mirror 5th Mirror CCD ★FOV2

ビーム混合鏡による二方向同時観測 1方向のみの観測 2方向同時観測 区別できる 区別できない 天球 天球 星の分布:均一 角速度:不均一 データ 星の分布:均一 角速度:不均一 データ 天球 天球 データ データ 星の分布:不均一 角速度:均一 星の分布:不均一 角速度:均一 区別できる 区別できない 二方向を同時に観測することにより、星の分布と衛星の運動の縮退を解くことができる。

衛星の軌道 ロケットの空いているスペースに乗せてもらう 「ピギーバック」 にて打ち上げるため、正確な軌道は未定だが、 ・太陽同期軌道(軌道面と太陽とのなす角が一定) ・高度600km~1000km の軌道に投入予定 地球の周りを周回しながら二方向を同時に観測 (軌道一周約100分) ミッション期間は2年

TDI(Time Delay and Integration) Nano-JASMINEは大円にそって星の観測を行う。 衛星は軌道周期にあわせてスピン (約100分で一周) 衛星のスピンにより、星はCCD上を動いて見える CCDの電荷転送速度を、星がCCD上で動く速度に一致させると、星が視野から見えなくなるまでの時間露光できる 8.8秒の露光を予定 観測方向 観測方向 地球 TDIの技術により、衛星のスピンを止めることなく効率よく星を観測できる。 衛星のスピンによる星の動き

星像切り出し機能 生データの発生レート: 2Mbps 地上へ落とせるデータ: 100kbps (可視時間: 数%) 生データ 切り出されたデータ 衛星から地上へ落とせるデータには限りがあるため、 星像の周りのみを軌道上で切り出して、地上へ伝送する

エンジニアリングモデル

望遠鏡 望遠鏡外観 (12cmX12cmX17cm, 1.7kg) 光学素子の表面粗さ計測結果 (粗さ5-8nm、損失1%以下) 小型・軽量・熱変形の影響の低減を目指した全アルミ合金製望遠鏡 表面には金を蒸着させている リッチークレチエンタイプの望遠鏡にビーム混合鏡を搭載する (主鏡5cm、合成焦点距離167cm)

望遠鏡の性能測定 干渉計による性能評価 望遠鏡の波面誤差 望遠鏡全体でλ/14を達成 軌道上での運用環境を想定し、 LN2で冷却した状態でも性能を確認

光学系感度域 感度(%) 波長(μm) バンド幅0.46μm,波長帯0.595~1.055μm

衛星バス部の開発 姿勢制御用リアクションホイール 衛星搭載無線機 衛星搭載アンテナ データ処理コンピュータと電源回路

星像を用いた姿勢制御 切り出された星像を衛星の姿勢制御系へとフィートバックする (数値解析による検証を実施) LSF for xy axis LSF for z axis 角速度[rad/s] 姿勢制御系の機器 センサ 要求値 スタートラッカ (STT) 光ファイバージャイロ(FOG) ミッション系望遠鏡 アクチュエータ 時間 [s] リアクションホイール(RW) 磁気トルカ (MTQ) 数値解析による解析結果

Nano-JASMINE電気機器の全体像 電気統合試験 Nano-JASMINE電気機器の全体像 天文台・京大担当 バス系 TDIボード CCD (箱の中) 無線機 姿勢制御 各種センサ 電源 コンピュータ ミッション系の電気機器  -ミッション系のコンピュータ  -CCD  -TDIボード 東大担当 バス系の電気機器  -バス系のコンピュータ  -無線機  -姿勢制御用機器  -各種センサ  -電源 バス系の機器 電気機器の統合試験により  データ通信・電源のインターフェイス確認,機器の消費電力の実測を行った

熱構造モデルを用いた試験 国立天文台の先端技術センターにある大型真空チャンバーを用いた 熱真空試験を実施し、熱設計の妥当性を検証した 第7回DECIGOワークショップ 2009.4.23 熱構造モデルを用いた試験 衛星熱構造モデル(中央下) 真空チャンバーにとりつける治具が付けられている。 熱真空試験の様子 (チャンバーを閉める直前の様子) 国立天文台の先端技術センターにある大型真空チャンバーを用いた 熱真空試験を実施し、熱設計の妥当性を検証した

望遠鏡の波面誤差をレーザー干渉計により測定 第7回DECIGOワークショップ 2009.4.23 振動試験 振動試験前 振動試験 (東大工学部) 振動試験後 衛星はロケット打ち上げ時に大きな振動を受ける 望遠鏡の波面誤差をレーザー干渉計により測定 光学性能への影響は小さい

放射線試験 放射線による性能劣化はほとんどない Co60を用いたトータルドーズ試験 (γ線) 20krad照射 第7回DECIGOワークショップ 2009.4.23 放射線試験 Co60を用いたトータルドーズ試験 (γ線) 20krad照射 (軌道上で2年間運用として多目の量) 蒸着鏡面の反射率低下:0% フィルターの透過率低下:2-3% (許容レベル) 都立産技研Co60γ線照射室 放射線による性能劣化はほとんどない

設計審査会 2009年10月1日 CDR(Critical Design Review)を実施 外部審査員(JAXA及び国内衛星開発メーカー)からは、概ね良好の評価が得られたが、いくつか検討が必要な項目も浮かんできた。ただ、これらについては、検討、設計に修正を加えた後、2009年度中には、FM(フライトモデル)の製作に移行できる見込みとなった。

地上局 地上からのコマンドアップリンク&データ受信 3mアンテナ(東大) データ受信 10mアンテナ(水沢) キルナ局(初期運用時のみ、スウェーデン) キルナ 水沢 東大 10mアンテナ@水沢

打ち上げ ウクライナのサイクロンー4ロケットを用いて2011年8月にブラジルアルカンタラ発射場からの打ち上げにむけて契約の締結中 © SDO Yuzhnoye リオデジャネイロ

まとめと今後の予定 2011年の打ち上げにむけて開発中 設計審査会にて外部評価を受けたところ、 いくつか検討が必要な項目が指摘された ものの、2009年度中にはフライトモデル の製作に移行できることとなった 打ち上げの契約書についても間もなく締 結予定