平成15年度情報システム工学序論 「ラジオ」について Inside of the Black Box 本多達也 情報システム工学科1年 031130047 本多達也 平成15年5月30日
背景 私がこのテーマを選んだのは、まず、機械の内部構造について興味があったからです。普段、何気なく使っている機械が、どのような部品で作られ、どのような仕組みで動いているのかということに、とても興味がありました。 そして、対象としてラジオを選んだ理由は、 比較的複雑ではなさそう 作成が可能 構造に興味があった などの理由からです。
目的 ラジオの構造について理解する。 AMとFMの放送形式の違いについて理解する。 実際にラジオを製作する。
ラジオの仕組み ラジオと電波 電波は、有線での放送に比べて経費が安く、多数の人に対して信号を伝えられる、などの利点があるが、音声電流は周波数が低いため、そのまま流しても遠くまでは伝わらない。しかし、「搬送波」とよばれる、繰り返しが非常に早い交流と音声電流を組み合わせると、遠くまで届く。 このように、電波に音をのせる、すなわち搬送波を音声信号で変えることを変調という。
AM放送とFM放送 AM放送は、音声信号によって、出力信号の振幅が変わる(振幅変調)。そのため、途中で強さが変化したり、他の電波が加わったりして雑音が多くなりやすい。 それに対して、FM放送は、振幅は常に一定だが、電波の周波数を変化させている(周波数変調)。そのため、雑音の割合が少なく、また、広い周波数の音を送ることができるため、音楽放送などに適している。
超再生検波ラジオの製作 回路図 設計図 この二つの図を元に、実際にラジオを製作した。詳細は各部分ごとに次ページ以降説明。
再生検波とは たいていの放送局の出力は、数10kmも離れると、微弱な信号になる。そこで、高周波信号の増幅に、正帰還を利用した(再生増幅)ラジオを、再生検波ラジオという。(右図参照) 超再生検波とは 再生検波方式では、帰還量を増やしていくと、感度は上がるが、やがて発振してしまう。また、感度が最大になるのは発振直前の状態であるが、調整が難しく、状態の維持も困難である。 そこで、再生検波回路を発振状態にしておき、別の発振回路(ブロッキング発振回路)で電圧を振らす事により、非発振状態と発振状態を繰り返させる。こうすると、発振直前の状態を通過するので、高感度が得られる。このような方式を、超再生検波方式という。(右図参照)
超再生検波基本回路 この回路の基本になっているのは、右図にある、ベース接地増幅回路である。この増幅回路を発振状態にするため、図の赤矢印の位置に、コンデンサを接続している。 そして、図の青枠で囲んだ部分がブロッキング発振回路になっていて、クエンチング発振をします。そのときの波形は、右下の図のようになります。
完成品は、調整が難しいが、きちんと放送を受信し聞くことができた。ただし、アンテナと直接繋いでいないと感度が低く、きちんと鳴りはしなかった。 考察 完成写真 完成品は、調整が難しいが、きちんと放送を受信し聞くことができた。ただし、アンテナと直接繋いでいないと感度が低く、きちんと鳴りはしなかった。 また、波形も解説書のものとは違ったが、内部のコイルの巻き数の差だと思われる。 発振波形
感想 ラジオの製作は、細かいところが多くなかなか大変だった。ミスや調整不足などもあったが、電子工作に関して、少しは自信がついたかと思う。また、身近な電気製品の内部を知ることができ、とても参考になった。 参考文献 ラジオ&ワイヤレス回路の設計・製作 p16~97 鈴木憲次 著 CQ出版社 99.10.15 誰にでもわかる入門電気シリーズ エレクトロニクスの応用 p25~43 若山芳三郎 飛田豊隆 藤森允之 共著 啓学出版 96.7.20