「リング冷間転造加工」について.

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「リング冷間転造加工」について

「リング冷間転造加工」について 1. 「リング冷間転造加工」とは 2. 「リング冷間転造加工」の具体例 3 「リング冷間転造加工」について  1. 「リング冷間転造加工」とは 2. 「リング冷間転造加工」の具体例 3. 「薄肉リング冷間転造加工」への挑戦

1. 「リング冷間転造加工」とは① 塑性加工の一種です 精密鍛造の一種ともいえます 治具を回転させながらの精密鍛造技術です  塑性加工の一種です  精密鍛造の一種ともいえます  治具を回転させながらの精密鍛造技術です  超ニッチ加工技術であり認知度は極めて低い そもそも「リング冷間転造加工」とは何なのかということですが 皆さんの中で「リング冷間転造加工」をご存知の方はいらっしゃいますか? ● 転造加工は鍛造加工と間違われる場合が殆どです ● 転造加工の事をご存知の方でもネジの加工と誤解される方が殆どです ● 塑性加工の一種ではあるが知名度が低い事が課題です そもそも「リング冷間転造加工」とは何なのかということですが 皆さんの中でリング冷間転造加工を知っておられた方はおいででしょうか?? ● 転造加工は鍛造加工と間違われる場合が多    い ● 転造加工の事をご存知の方でもネジの加工と    誤解される場合が多い ● 塑性加工の一種ではあるが知名度が低い事     が課題です そもそも「リング冷間転造加工」とは何なのかということですが 皆さんの中でリング冷間転造加工を知っておられた方はおいででしょうか?? ● 転造加工は鍛造加工と間違われる場合が多    い ● 転造加工の事をご存知の方でもネジの加工と    誤解される場合が多い ● 塑性加工の一種ではあるが知名度が低い事     が課題です

2. 「リング冷間転造加工」とは ②(原理) ① 外径の形状をつかさどる治具(成形ロール)と内径の 2. 「リング冷間転造加工」とは ②(原理) ① 外径の形状をつかさどる治具(成形ロール)と内径の   形状をつかさどる治具(マンドレル)との間に素材を   はさみます ② 成形ロールを回転させながらマンドレル方向に前進さ   せることにより、冷間で転造圧延をします ③ これにより、内外径が大きくなりながら形状が付いて、お客様   が求める形状寸法・真円度 に近い加工することが可能になり   ます ④ 最後にサイジング、又はコイニングにより内外径寸法公差   ±0.05mm以内、真円度<0.05mmにして加工完了です 後のページの写真を参照してください。 成形ロールとマンドレルのみの冷間転造加工では 真円度を0.05mm以下に満足させることは難しく、どうしてもサイジング、又はコイニング加工が必要となります。 サイジングとは冷間転造後のワーク寸法を最終的に求められる製品寸法よりφ0.5mm程大きく加工して、その後ワークの外径を絞って求められる寸法・真円度に納める加工方法です。 コイニングとは冷間転造後のワーク寸法を最終的に求められる製品寸法よりφ0.5mm程小さく加工して、その後ワークの内径を広げて求められる寸法・真円度に納める加工方法です。 製品の形状によっては内外径ストレートだけの素材では限界があり、一部切削加工を入れる場合もあります。

●素材の形状は内外径ストレートを基本とします   それは内外径ストレートの素材はNC旋盤を使わずして   単能盤により簡単に且つ高精度に作製できるからで   す。   また、圧延して製品の形状を形成していく事になりま   すので素材の大きさは当然製品より小さくなり、肉厚   になります(素材外径=製品外径×0.7~0.8)   それを「リング冷間転造加工」により肉厚を薄くしなが   ら内外径の形状を施していきます。

成形ロールとマドレルのみの冷間転造加工では1/100㎜台の寸法をそろえることは難しく、後工程として、サイジング、又はコイニング加工が必要となります しかし、後工程前を真円度<0.1㎜、寸法公差±0.1㎜に確保しなければいくら後工程を施しても良い製品にはなりません。 そのための条件出しが非常に難しいのです。 サイジングとは冷間転造後のワーク寸法を最終的に要求される製品寸法よりφ0.2~0.5㎜程度大きく加工して、その後ワークの外径を絞って要求される寸法・真円度内に納める加工方法です コイニングとは冷間転造後のワーク寸法を最終的に要求される製品寸法よりφ0.2~0.5㎜程度小さく加工して、その後ワークの内径を広げて要求される寸法・真円度内に納める加工方法です 製品の形状によっては内外径ストレートだけの素材では限界があり、一部切削加工を入れる場合もあります

駆動治具である成形ロールの 回転数・圧力・スピードを最適に組み合わせる事が素材のスムーズな延びを決定する絶対条件となります 今まで培ってきたノウハウの実績だけでは条件出しは困難で素材の材質・大きさ・肉厚・形状、そして転造率などにより上記諸条件を一つ一つクリアしていく事が重要で技術とノウハウが求められます   成形ロールのみ自分で回転、前進します 図の様に素材は成形ロールとマンドレルに当たっていますので全てが回転しながら素材を成形します。 上記の諸条件をきっちりと合わせなければ 真円には程遠い製品になってしまいます。

サイクルタイムは材質・大きさ・肉厚・形状、そして転造率により大きく変わります 冷間転造の原理 ③ 転造後 ① 転造前 成形ロール 素材 マンドレル ② 転造途中 サイクルタイムは材質・大きさ・肉厚・形状、そして転造率により大きく変わります サイクルタイムは材質・大きさ・肉厚・形状、そして転造率により大きく変わります。 今迄の実績では15秒~40秒くらいです。 大ざっぱに言うと肉厚の製品は思い切って圧をかける事が可能で、前進スピードも速くできるためサイクルタイムは比較的速いです。 一方、薄肉の製品は薄くなるほど圧を低く、スピードを遅くしなければ真円に延びないためサイクルタイムは遅くなります。 成形ロールが 回転しながら 前進します

この状態が機械の原位置で、機械を稼働させると上から素材を「転造前」の写真の位置まで下ろしマンドレルが前進して素材の内径に入ります。 成形ロールとマンドレル(原位置) この状態が機械の原位置です。機械を稼働させると上から素材を「転造前」の写真の位置(前ページ)まで下ろし、マンドレルが前進して素材の内径に入ります

治具の材質はダイス鋼です。HRC61~63に焼入れした物を使用します 成形ロール マンドレル 治具の材質はDC53をHRC61~63に焼入れした物を使用します。 治具の材質はダイス鋼です。HRC61~63に焼入れした物を使用します

治具の寿命 ●成形ロール・・・10万個前後 (外径φ200mm) ●マンドレル・・・・1万個~5万個 (外径φ10mm前後~φ60mm前後) ●サイジング・・・・10万個前後   コイニング ※ マンドレルは成形ロールより外径が小さいため素材に接触する    頻度が多いためどうしても寿命は短くなります    また、形状が複雑になるほど寿命は短くなります    なお、成形ロールとマンドレルは寿命(摩耗による形状崩れ)    が来ても再研削すれば使用可能です     成形ロール:2~3万円  マンドレル:1万円前後

治具費及び部品代 「リング冷間転造加工」は、1型番に付き治具費が 約50万円~80万円(大きさ・形状により異なります)掛かります。 (1例として)  成形ロール・・・12~15万円、マンドレル・・・・ 5~7万円  サイジング又はコイニング・・・・30~40万円  その他部品・・・ 10~50万円  ※ 特殊な材質でリング冷間転造加工可能かどうか(割れ、又は条   件を色々探って真円に延びるかどうか)を見極めたい時は既存   の治具を使用し、素材費+テスト費の負担だけで試作できます ※ 実績のある材質で、形状がうまく出るかどうかを見極めたい時 は成形ロール費+マンドレル費+部品代+素材費+テスト費   で試作できます 治具代(型代)が高価になるため、プレス加工程ではありませんが、多くの加工ロット数が必要となります。 ちなみに、今までの取引でのロット数(月需)は 1万~2万個位です。 多品種・小ロットではない加工である事がこの加工の短所になります。 これからの時代、数千個のロット数にも徐々に対応しなければいけないと思っております。

プレス加工ほどではありませんが、治具代(型代)が高価になるため、多くの加工ロット数が必要となります ちなみに、今までの取引でのロット数(月需)は、1型番に付き 1万~3万個位です 多品種・小ロットではない加工である事がこの加工の短所になります これからの時代、数千個のロット数にも徐々に対応しなければいけないと思っております 特に、「薄肉リング作製」は付加価値が見込めるため 数千個のロット数でも充分対応できると思います また、高価な材料(コバール、インコネルなど)での内径切削による無駄な材料損失を防ぐことも可能で、この場合は特殊な方法を用いる事により、多品種・小ロットにも対応可能です。

「リング冷間転造加工」とは③(メリット) 塑性加工であるため強度を始めとする機械的性質が改善されます(機械的性質とは強度・硬さ・耐摩耗性・衝撃値・疲れ強さ等)   金属組織の流れ(メタルフロー)も形状の添って   延びるため、切削加工より強くなります。

「リング冷間転造加工」とは③(メリット) ②素材を削らない事により材料歩留が向上し、  コスト削減が可能となります。  また、内外径をNC旋盤で削ると、どうしても時間が    かかりますが、当工法は短時間でOK.  よって、コスト削減につながります。   

★材料歩留向上は「リング冷間転造加工」の大きなメリットです 【メリットを大きくするためのポイント】 ● 内外径部に回転方向に大きな形状があれば(たとえばR形状) メリットが大きくなります ● 逆に内外径ストレートな仕上り品はメリットはあまりありません    但し、内外径ストレートな薄肉リング作製は旋削加工の 様に    チャッキングによるひずみが生じず、しかも素材が仕 上り品より小さな径で    肉厚になるため材料コストの低減にもつながりメリットが大きくなります    高価な材料は径の大きいパイプが無く、内径を無駄にする量が格段に減少するため、    メリットが大です ● 仕上り品が大きいほどメリットが大きくなります ● ロット数が多いほどメリットが大きくなります ● 単価の高い素材ほどメリットが大きくなります    (例:コバール、インコネル など)

「リング冷間転造加工」とは③(メリット) ③薄肉リング作製における加工コストの削減 従来の旋削加工で薄肉リングを作製する場合、素材をつかむチャッキングを強くすると、できあがった際にひずみの残った製品となります。また、ひずみを恐れてチャッキングを弱くすれば、旋削加工時に素材がチャックからはずれてしまいます。 仮に旋削加工で薄肉リング作製が可能であったとしても、薄肉であるが故に削る量を少しずつにせざるをえず時間が掛かります。 よって、内外径ストレートの仕上り品であっても薄肉リング作製についてはコスト削減につながります。  更に旋削の場合は、素材自体も薄肉にならざるをえず高価なパイプを使用せざるを得ませんが、当工法の場合は圧延して延ばしていくため(転造)、おのずと素材径は肉厚となり、パイプ素材価格も安価で済み、コスト削減につながります  

④塑性加工でありながら治具さえ高精度に作製す れば、それに沿って延びるため寸法精度は求められれば100分台(単位mm)まで可能です ⑤面粗度は求められればRa<0.1㎛、Rz(Ry)<1.0㎛、Rt<1.0㎛が可能です。よって、場合によっては追加工(荒研磨など)が省略できます 素材を精度良く作製すれば製品寸法精度はいくらで も良くなりますが、通常素材作りはコストの関係でNC 旋盤ではなく、単能盤で作製します。よって、製品の大きさにもよりますが±0.05mm、がんばって ±0.03mmが限度です ③素材を精度良く作製すれば寸法精度はいくらで も良くなりますが、通常素材作りはコストの関係 でNC旋盤ではなく、単能盤で作製するため製品 の大きさにもよりますが±0.05mm、がんばって ±0.03mmが限度です。

⑥焼結合金を冷間転造加工することにより、一番 の弱みである強度(密度)が向上しました ⑥焼結合金を冷間転造加工することにより、一番  の弱みである強度(密度)が向上しました    (7.0g/㎤⇒7.5g/㎤、7.5g/㎤⇒7.7g/㎤) また、焼結合金作製では工程上複雑になりがち      なアンダーカット(内外径の形状付)も転造加工なら可能です。つまり、強度向上+形状付が1工程で可能です 焼結合金は溶製材と異なりポーラス(空気)がどうしても含まれるためどうしても強度が弱くなりますが、加工中に圧を加えますので中の空気が圧縮されて加工後は強度が増します。 焼結合金は溶製材と異なりポーラス(空気)がどうしても含まれるためどうしても強度が弱くなりますが、加工中に圧を加えますので中の空気が圧縮されて加工後は強度が増します

「リング冷間転造加工」の弱点・注意点 ① 先述した様に治具費が1型番に付き40万円~80万円 ほど掛かるため、どうしてもまとまったロット数が必要と なります(高価格材料は100個単位でOK) ② 基本的に左右対称のリング製品に限ります (非対称の製品でも2個つなげて対象品とし、後で2分 割することも可能です) ③ 内外径の形状は回転方向にしか入りません ④ 径の小さい製品は材料歩留の恩恵を受けにくいです ⑤ 単なる内外径ストレートの製品は、薄肉リングや高価 な材料を除いて「リング冷間転造加工」する意味があ まりなく普通の旋削加工で充分な場合がほとんどです

製造可能範囲 外径 φ50mm~φ160mm   幅    10mm~60mm 肉厚 現在の所、外径φ100mmに対し     て2.5mmですが、最終的に1.0㎜     を目指します     (真円度0.05mm以内を満足する      ものとします)

リング冷間転造加工機の寸法能力 ① 転造後外径 φ30mm~φ60mm      幅      10mm~30mm  1台   ② 転造後外径 φ50mm~φ130mm      幅      20mm~40m   1台 ③ 転造後外径 φ50mm~φ160mm      幅      10mm~60mm  1台   ※薄肉対応は③の機械

「リング冷間転造加工」の加工事例① 今迄で1番材料歩留が大きかった製品です。 旋削加工で削るより約40%の材料歩留向上が実現しました 品名  等速ジョイントのケージ(ボール保持器) 材質  SCM415(クロムモリブデン鋼),SCR415(クロム鋼) 寸法  外径φ60.5mm(公差±0.05)真円度<0.05mm      内径φ48.1mm(公差±0.1)      溝径φ53.5mm(公差±0.05)真円度<0.05mm      幅30.3mm(公差±0.1) 今迄で1番材料歩留が大きかった製品です。 旋削加工で削るより約40%の材料歩留向上が実現しました。

「リング冷間転造加工」の加工事例② この製品で約35%の材料歩留向上です 品名 ピローベアリングの外輪 材質 SUJ2(高炭素クロム軸受鋼) 品名 ピローベアリングの外輪 材質 SUJ2(高炭素クロム軸受鋼) 寸法 外径φ100.10mm(±0.05) 真円度<0.05mm 内径φ87.20mm(±0.15) 溝径φ92.90mm(±0.06) 真円度<0.05mm   幅25.3mm(±0.1) この製品で約35%です。

「リング冷間転造加工」の加工事例③ 品名 焼結合金 材質 SCM系(クロムモリブデン系) 寸法 外径φ43.5mm(±0.03) 焼結合金を冷間転造加工することにより、一番の弱みである強度(密度)が向上しました    (7.0g/㎤⇒7.5g/㎤、7.5g/㎤⇒7.7g/㎤) また、焼結合金作製では工程上複雑になりがちな アンダーカット(内外径の形状付)も転造加工なら 可能です。つまり、強度向上+形状付が1工程で 可能です 品名 焼結合金 材質 SCM系(クロムモリブデン系) 寸法 外径φ43.5mm(±0.03)  内径φ33.4mm(±0.03) 溝径φ39.5mm(±0.03)     幅9.0mm(±0.05)     真円度すべて<0.05mm 焼結合金を冷間転造加工することにより、一番の弱みである強度(密度)が向上しました。    (7.0g/㎤⇒7.5g/㎤、7.5g/㎤⇒7.7g/㎤) また、焼結合金作製では工程上複雑になりがちな アンダーカット(内外径の形状付)も転造加工なら 可能です。つまり、強度向上+形状付が1工程で 可能です。

「リング冷間転造加工」の加工事例④ 品名 カーテンレール(産業用) 材質 STKM11A(機械構造用炭素鋼鋼管) この製品は初めて1mmと言えども四角形状の溝に成功しました 当然素材内径はストレートですので加工中に溝以外の両端の内径が一緒になってつられてへこんでしまうため苦労した製品です 品名 カーテンレール(産業用) 材質 STKM11A(機械構造用炭素鋼鋼管) 寸法 外径φ38.0mm(±0.1) 内径φ34.0mm(±0.03) 内径溝径φ36.0mm(±0.03)(四角溝)     幅5.0mm(±0.1)、内径溝幅2.0mm(±0.03)     真円度すべて<0.05mm この製品は初めて1mmと言えども四角形状の溝に成功しました。 当然素材内径はストレートですので加工中に溝以外の両端の内径が一緒になってつられてへこんでしまうため苦労した製品です。

「リング冷間転造加工」の加工事例⑤ この薄肉リングがこれから力を入れようとしている製品です 品名 消防関連 材質 SUS304(ステンレス) 品名 消防関連 材質 SUS304(ステンレス) 寸法 外径φ95.0mm(±0.05) 内径φ90.0mm(±0.03) 幅15.0mm(±0.1)     真円度すべて<0.05mm この薄肉リングがこれから力を入れようとしている製品です。

3.「薄肉リング冷間転造加工」への挑戦 「リング冷間転造加工」のメリットは7~9ページに記述した通りですが、最大のメリットは素材を削らずして内外径の形状を施す材料歩留の向上につきます 数年前にあるメーカーよりステンレス製薄肉リングの引き合いがありました 旋盤加工では素材をつかんで加工するため薄肉リングの作製が難しく(特に真円度)又、可能であっても高い物につくという話でした また、径が大きくて肉薄のパイプは割高ですが、冷間転造は圧延して肉厚を薄くしていきますので、素材パイプは製品より小さく、肉厚になるため素材価格にもメリットが出ます これをきっかけとして「リング冷間転造加工」で薄肉リングができないものかチャレンジを始めました この7月18日に薄肉リング加工に特化した待望の機械が当社に導入設置されました。 6月の東京ビッグサイトで開催された展示会「機械要素技術展」では、材料歩留向上のリング製品はもとより、薄肉のリングにお客様の関心が高かったです。

加工の流れについて リング冷間転造加工の流れ 前工程 試作テスト 実加工工程 品質検査工程 納入 ①素材の材質・加工難易度・ロット数・月儒等をお聞きして概算のお見積りを算出します ②駆動治具である成形ロールの回転数・圧・スピードを最適に組み合わせる事が素材のスムーズな延びを決定する絶対条件となります。今まで培ってきたノウハウの実績だけでは条件出しは困難で素材の材質・形状・転造率などにより一つ一つクリアしていく事が重要で技術とノウハウが求められるところです。 ③加工要件・試作の結果を踏まえて加工工程を確定し実際の加工を致します ※素材の材質・加工難易度・仕上り品質・ロット数・月需数などを確定した上で実際の加工を開始いたします ④加工要件と仕上り品質の要件に照らし合わせて加工品質について検査します ⑤お客様の納入指示に合わせて検査済みの製品を納品させて頂きます

「リング冷間転造加工のメリット」 ① 強度を始めとする機械的性質の改善 ② 材料歩留の向上 ③ 薄肉リングの作製 ④ 高価な材質を使用してのリング作製(パイプ材が無く、丸棒のみ の材質が多く、無駄な内径旋削が大幅に減少します。) (例:コバール、インコネルなど) ⑤ 塑性加工ながら100分台(㎜)の寸法精度 ⑥ 求められれば、きれいな面粗度(Ra<0.1㎛) ⑦ 焼結合金強度向上+内外径形状の一発加工

まずはご相談ください 材質 各寸法 寸法公差 内外径の形状 真円度 表面粗度  etc. ※図面を頂戴できると   助かります これまでの経験と実績をもとにご説明させていただきます