述語論理式の構文と意味 一階述語論理式の構文 一階述語論理式の意味 述語,限量記号 自然言語文の述語論理式表現 解釈 妥当,充足不能 閉式の充足不能性
述語論理 述語(predicate)の導入 「太郎は人間である」 「花子は人間である」 命題論理による表現 述語論理による表現 述語 「太郎は人間である」 「花子は人間である」 命題論理による表現 述語論理による表現 述語 「・・・人間である」という共通する情報が欠落してしまう
述語論理 限量記号(quantifier)の導入 は である: すべての は である: ある は である: 全称記号 存在記号
一階述語論理の構文 語彙 個体定数(constant): 個体変数(variable): 関数記号(function symbol): 述語記号(predicate symbol): 論理記号(connective): 限量記号(quantifier): 補助記号(punctuation symbol):
一階述語論理の構文 項(term)の帰納的定義 (1)個体定数は項である. (2)個体変数は項である. (3) が 引数の関数記号, が項 (3) が 引数の関数記号, が項 ⇒ は項である. (4)項とは(1),(2),(3)を有限回繰り返し適用して得られる記号列のみである.
一階述語論理の構文 整式(wff)の帰納的定義 (1) が 引数の述語記号, が項 ⇒ は整式(素式)である. (2) が整式 (1) が 引数の述語記号, が項 ⇒ は整式(素式)である. (2) が整式 ⇒ は整式である. (3) が整式, が個体変数 ⇒ は整式である. (4)整式とは(1),(2),(3)を有限回繰り返し適用して得られる記号列のみである.
限量記号の作用 作用域(scope): の (ただし ) 束縛変数(bound variable): の に現れる 自由変数(free variable): 束縛変数以外の変数 束縛変数 束縛変数 自由変数
限量記号の作用 束縛関係: の と部分式 の自由変数 は に束縛されるという. 束縛関係: の と部分式 の自由変数 は に束縛されるという. 閉式(closed formula): すべての変数が束縛されている整式で,文(sentence)ともいう. 自由変数 自由変数
自然言語文→述語論理式表現 翻訳の基本パターン すべてのものが である.(Everything is p.) ⇒ ⇒ なものが存在する.(Something is p.) ⇒ すべての は である.(Every p is q.) ある は である.(Some p is q.)
自然言語文→述語論理式表現 なぜ 「ある p は q である」 を 「 」と表現すべきなのか? 「ある p は q である」 否定 否定
表現の例 ① 試験が難しい科目の受験者は皆喜ばない. ② 試験が難しくなければ喜ぶ受験者がいる. ③ 数学の受験者しか喜ばない. ① ② ③ ① 試験が難しい科目の受験者は皆喜ばない. ② 試験が難しくなければ喜ぶ受験者がいる. ③ 数学の受験者しか喜ばない. ① ② ③ : x は試験が難しい. : x は y の受験者である. : x は喜ぶ. : 数学.
一階述語論理式の意味 解釈(interpretation): 変数割り当て: 領域(domain): D 割り当て: (1)個体定数 c : (2)関数記号 f : (3)述語記号 p : 変数割り当て: 個体変数 x に対して : x に を割り当て,x 以外には による割り当てをする変数割り当て.
一階述語論理式の意味 による意味評価
述語論理式を解釈してみよう
充足可能性 :論理式 :解釈 :変数割り当て は を充足する( ). を充足する が存在する(しない). は充足可能(不能)である. :論理式 :解釈 :変数割り当て は を充足する( ). を充足する が存在する(しない). は充足可能(不能)である. 任意の について は を充足する( ). が閉式 (またはその集合 )を充足す るとき, を (または )のモデルという.
妥当性 任意の解釈と任意の変数割り当てが論理式 を充足するとき, は妥当であるという( ). は妥当である. は充足不能である. 任意の解釈と任意の変数割り当てが論理式 を充足するとき, は妥当であるという( ). は妥当である. は充足不能である. 任意の について 任意の , について 任意の について 閉式
論理的帰結 を充足する任意の解釈と任意の変数割り当てが必ず を充足するとき, は の論理的帰結であるという( ). :論理式の集合 :論理式 :論理式の集合 :論理式 を充足する任意の解釈と任意の変数割り当てが必ず を充足するとき, は の論理的帰結であるという( ). 閉式 は充足不能である.
閉式の充足不能性 閉式 の充足不能性を考える. 命題論理式 が恒偽な命題論理式であれば 任意の解釈 で 一般には決定できない 閉式 の充足不能性を考える. 一般には決定できない ある がFであれば決定できる 命題論理式 が恒偽な命題論理式であれば 任意の解釈 で
閉式の充足不能性 恒偽 恒偽 標準的解釈
まとめると… 一階述語論理式の充足不能性 閉式の充足不能性 の充足不能性 充足不能であれば決定可能 標準的な解釈の存在