大学新入生の情報倫理レディネス調査とカリキュラムの検討

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大学新入生の情報倫理レディネス調査とカリキュラムの検討 平成13年度情報処理教育研究集会報告 大学新入生の情報倫理レディネス調査とカリキュラムの検討 大阪大学大学院法学研究科 田中規久雄

はじめに ・調査問題 IEC「インターネットの光と影」北大路書房,準拠5択問題集 ・調査日 ・調査対象(「情報社会の法と倫理」受講生)      50問,意味がよくわからない問題をも調べる。 ・調査日     2001・4・20 ・調査対象(「情報社会の法と倫理」受講生)     大阪大学新入生121名     (法65,経23,人13,工7,文5,基4,保3)

各章の学習内容 序 章 インターネットと情報 第1章 インターネットと個人情報 第2章 インターネットと知的所有権 序 章 インターネットと情報 第1章 インターネットと個人情報 第2章 インターネットと知的所有権 第3章 インターネットと生活 第4章 インターネットとビジネス 第5章 インターネットと教育 第6章 インターネットとコミュニケーション 第7章 インターネットとセキュリティ 第8章 インターネットと犯罪

レディネスの高い領域 ・正答率92%以上の章: なし ・正答率69%を越える章 序 章 インターネットと情報   序 章 インターネットと情報   第1章 インターネットと個人情報   第4章 インターネットとビジネス

レディネスの低い領域 ・誤答率31%を超える章 第2章 インターネットと知的所有権 第3章 インターネットと生活  第2章 インターネットと知的所有権  第3章 インターネットと生活  第8章 インターネットと犯罪 ・ことに「知的所有権」は誤解率50%を超える

問題ごとの考察 ・特に正答率の低い問題(情報技術の初歩的理解の必要性) 6-6 次の文章は,電子メールの利用についての例である。「AさんがBさん,Cさん,Dさんの3人に電子メールを送るとする。BさんのメールアドレスをTo:の欄に,CさんのメールアドレスをCc:の欄に,DさんのメールアドレスをBcc:の欄に入れて発信した。」 この場合,誤っているものを一つ選びなさい。(11.6%) 6-8 次の文章は,メーリングリスト(ML)のルールやマナーについて述べたものである。不適切なものを一つ選びなさい。(11.6%) 7-3 次の文章は,インターネットのセキュリティについて述べたものである。正しいものを一つ選びなさい。(3.3%)

インターネット利用歴とレディネス

分析(1) ・短期間の利用歴で理解が向上する分野 ・理解の立ち上がりの悪い分野 ・利用と理解が比較的リニアな分野   序 章 インターネットと情報   第1章 インターネットと個人情報 ・理解の立ち上がりの悪い分野   第3章 インターネットと生活 ・利用と理解が比較的リニアな分野   第5章 インターネットと教育   第6章 インターネットとコミュニケーション   第7章 インターネットとセキュリティ   第8章 インターネットと犯罪

分析(2) ・利用歴との相関が低い分野 ・元々レディネスが高い 第4章 インターネットとビジネス ・理解が難しい  ・元々レディネスが高い    第4章 インターネットとビジネス  ・理解が難しい    第2章 インターネットと知的所有権    (利用初期にかえって正答率が落ちている?)    ⇒意図的な教育の必要性が高い

利用歴があるほうが正答率の低い問題 ・9問題中,4問題が知財   ことに,「専門書のコピー」については,利用歴が長いほど容認⇒電子情報の複製の容易さの悪影響?(認知不協和?) ⇒知的財産権に関する意図的な教育の必要性

まとめ ・集中した教育が必要な分野 ・初歩的な技術理解とともに育んでいく分野 ・利用技能教育の中で育んでいく分野   第2章 インターネットと知的所有権 ・初歩的な技術理解とともに育んでいく分野   第6章 インターネットとコミュニケーション   第7章 インターネットとセキュリティ   第8章 インターネットと犯罪 ・利用技能教育の中で育んでいく分野   第3章 インターネットと生活