安全な農作物生産管理技術と トレーサビリティシステムの開発

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なぜ貧しい国はなくならないのか 第4章 飢餓は是が非でも避けた い 堀佑太. 第1節 経済発展と農業問題 第一の農業問題 食糧不足 人口増加により未開の耕地が減少、また畑の休閑 期間が短くなり、土地の肥沃度が減少する にもかかわらず、生産性を上げる技術が開発され ないと食糧不足が起こる.
プレゼンテーション ソフト(Power Point 2002 )で 作成していますので、 授業の内容にあわせ て作り直すことがで きます。 ノートには参考資料とし て、発問や指導のポイン トを 示しています。
5 弾力性とその応用.
JRA-55再解析データの 領域ダウンスケーリングの取り組み
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DIASできり拓く ジャストインタイム農業
安全な農作物生産管理技術と トレーサビリティシステムの開発
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安全な農作物生産管理技術と トレーサビリティシステムの開発
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安全な農作物生産管理技術と トレーサビリティシステムの開発
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安全な農作物生産管理技術と トレーサビリティシステムの開発 2008.10.29  データ統合・解析システムH20年度中間報告会 @東京大学 武田ホール 安全な農作物生産管理技術と トレーサビリティシステムの開発 溝口勝1・二宮正士2・鳥谷均3 DIAS農 1 東京大学大学院農学生命科学研究科(UT) 2 農業・食品産業技術総合研究機構(NARO) 3 農業環境技術研究所(NIAES) 農業系研究機関が共同で進めているので、DIAS農

本課題の背景 穀物価格の急騰 食の安全・安心 農学分野の役割と責任 中国、インドなどアジアを中心とする途上国の食糧需要増 気候変動に伴う洪水や干ばつによる収穫減 バイオ燃料生産のための穀物利用 途上国を中心に食糧確保不安、各地で暴動の懸念 食の安全・安心 冷凍食品への農薬混入 事故米問題 農学分野の役割と責任 農学+情報による貢献 いまや農業は国民の関心の的。有益な情報の創出が求められている。 2

DIAS農における全体目標 コアシステムで提供されるデータ群を効率的に統合し農業分野で利用できるようにする 誰でも簡単に知ることができ,政策決定者の判断のよりどころになるシステムを実現する 農業生産管理支援情報 地球温暖化による食料生産への影響等 安全で安心かつ安定的で高品質な食糧供給を求める公共益に供する グローカルな視点でジャストインタイム農業システムを構築 個人農家 想定しているユーザは2種類。個人農家と政策決定者。 グローバルスケールで考え、ローカルに個人農家(農業経営体)が現実対応できるシステムを目指している。 政策決定者 3 3

農作物生産(農業) 気温 農作業 土 降水量 水 品種 日射量 気象条件 土地条件 人間の判断 4 さて、農業。 人間がどうすることもできない、気象条件、土地条件、に対して人間が働きかける作業。 ここでは、気温・日射のデータを使って、最適な品種を選ぶツールを開発している。 日射量 人間の判断 4 4

グローカル視点でのWeb版水稲収量予測ツール 多様な作物・品種の生育パラメータ推定を簡便化するツール 全球レベルでイネの適地適作予測が可能 任意の品種の収量予測値をマップ表示 温暖化 気温 日射量 平均気温が5度上昇すれば稚内でも栽培可能 これまで(2008年5月まで)にできたこと。 データセットさえあれば、温暖化の影響も予測可能。 例えば、現状の気候では、稚内ではイネは生育しないが、温暖化で5℃気温が上昇すると、イネが育つことがわかる。 同様に、信頼できるデータセットさえあれば外国におけるイネの栽培可能性を予測できる。 いかに信頼できるデータセットを用意するか。このツールに必要なのは、気温と日射量。しかし、日射量のデータまで揃っているケースは少ない。 ここにDIASによるデータ統融合の出番がある。 現在の収量予測 タイの場合 現在では稚内での収量は0 kg このツールにより、温暖化の影響を考慮した任意の地域の水稲収量予測が可能 5 5

Web版水稲収量予測ツールⅡ 問題点 収量予測結果 品種別 二期作可能性 温暖化の影響 CO2濃度の応答 政策立案者/個別農家 改良点 中国、タイの日照時間の平年値データを用意 問題点 一度に多くの地点や比較条件で実行すると時間がかかる

品種選択 最大収量の色表示 田植日選択 地域選択 栽培可能性 収穫時期 地域ごとに比較できる

田植時期による違い なくても良いかも? ・二期作・三期作の可能性 ・高温障害の回避

アジアにおける栽培可能性 ・発展途上国の農業収入の安定化 ・日本農業の将来 ・コメの輸入可能性

温暖化の影響

詳細検討モードへのリンク (計算結果が違っているようなので、後で差し替える) 各地域における収量予測結果は、数値としても示される。 さらに、この地域のみに限定して、条件を変えて計算したいときには、「この観測点を詳細検討する」をクリック。

条件を絞り込んで、対象農地における栽培可能性を調べる(改良中)

複数DBのシームレスなデータ統合 Future Prediction Impact assessment Cropping map under global warming 品種別作物生育パラメータ推定 今日 生育期間 今年の収量予測 気象観測値DB アメダス・NOAA・ フィールドサーバ 等 短期予報(GPV) 平年値DB 平年値DB MetBroker 平年値DB その土地の現在の収量ポテンシャル その土地の気温変化に対する収量ポテンシャル(近未来) 平年値 + x ℃ 気候変動シナリオデータ その土地の気候変動下での収量ポテンシャル(長期的)

農業政策を支援するツール etc… 穀物価格の急騰 日本の稲作を海外で展開したい.中国やタイで展開するには? 気候変動による収穫減 農業政策を支援するツール   穀物価格の急騰 気候変動による収穫減 途上国の食料危機 食の安全・安心の確保 ↓ 日本の農業技術の出番 日本の稲作を海外で展開したい.中国やタイで展開するには? DIASのコアシステム 現地の状況を細かく知りたい。気温,降水量,日射量,土壌,GISデータなど. 様々な機関のデータ 温暖化になっても農作物は栽培できるのだろうか? ユーザを政策決定者とした場合 グローバルに日本の戦略を考えるイメージ図。 今回開発したツールは、政策決定者支援。 農業政策決定者 現地農民はどうしたいのだろうか? 過去の栽培履歴や災害履歴・歴史的背景などは? 専門家からの報告 農業単独での取り組みでは不十分.どの分野と組み合わせればよいだろう? ニュース・歴史的背景 etc…

個人農家も使える情報ツール etc… 安定した農業収入の確保 消費者がいま一番ほしい野菜は何か?自分の畑で栽培できるだろうか? 個人農家も使える情報ツール  安定した農業収入の確保 食の安全・安心の確保 後継者の確保 住みやすい農村  ↓ 明るい農業 消費者がいま一番ほしい野菜は何か?自分の畑で栽培できるだろうか? DIASのコアシステム 農地の状況を細かく知りたい。気温,降水量,日射量,土壌,GISデータなど. 様々な機関のデータ いつ種を撒くのがよいか?肥料はどれくらい必要か? 農薬はいつ撒くべきか? (ジャストインタイム) ユーザを個人農家とした場合 ボトムアップを説明するイメージ図。 数年前はどうだったか? 似たような天候の年はどうしたか? 過去の栽培履歴や災害履歴は? 専門家からの報告 日本の個人農家 (農業経営体) アジアの農家 他の地域に誰か相談できる人はいないだろうか? ニュース・歴史的背景 etc…

DIASの出番だ! Thank you 16