COSMOS天域における赤方偏移0.24のHα輝線銀河の性質 中島亜紀
まずはじめに・・・ 宇宙の進化を明らかにする上で重要となる鍵 星生成率 (単位時間当たりに形成される星の質量) 銀河の形成・進化 宇宙の進化を明らかにする上で重要となる鍵 銀河の形成・進化 星生成がいつ、どのようにして起こったかが問題 星生成を定量的に記述するのに重要な物理量 星生成率 (単位時間当たりに形成される星の質量)
これまで行われてきた星生成率探査 Shioya et al. 2008より
星生成率の指標として・・・ 紫外線の連続波光度 Hαなどの再結合線の光度 遠赤外線の光度 中間赤外線の光度 紫外線の連続波光度 Hαなどの再結合線の光度 遠赤外線の光度 中間赤外線の光度 その他、電波強度やX線なども用いられる。
紫外線の連続波光度 星生成銀河の紫外線放射の起源は・・・ O型星・早期B型星(大質量星) 寿命 短い 寿命 短い 紫外線の強度は最近の星生成の指標となる。 しかし・・・ダストによって吸収されやすい 真の星生成率を見積もるためにはダストによる吸収を補正する必要がある
Hα輝線 星生成銀河からのHα輝線 星生成領域の電離ガスから放射 Hα輝線の波長・・・可視光域の長めの波長 ダストによる吸収は紫外線より少ない しかし、ダストによる吸収があるため補正が必要
真の星生成を評価するには・・・ ダストによって吸収されたエネルギー ダストの出す熱放射として再放出 ダストによる放射を赤外線 で捕えることで、 ダストによる吸収分を補うことができる!! True SFR = SFR(UV) or SFR(Hα) + SFR(IR)
本研究では・・・ 複数の星生成率の指標を使い、星生成率 を求め、平均より大きく外れた銀河がどの ような性質と関係しているか解明する!!
データ サンプル 本研究で使用したカタログ COSMOS 天域で観測されたデータのcatalog Spitzer : IR データ サンプル 本研究で使用したカタログ COSMOS 天域で観測されたデータのcatalog (Capak et al. 2009) Subaru : 可視 Spitzer : IR GALEX : UV HST : 高解像度 得られたデータで31個のbandで計測されたもの!! 可視、X線、紫外線、赤外線、電波の全波長帯をカバー!! 本研究ではこのカタログは非常に有効 Spitzer 赤外線 GALEX (Galaxy Evolution Explorer)紫外線天文衛星
ターゲットとした銀河: 活動的に星生成を起こしているHα輝線銀河728天体 SFRに用いた指標: ① 近紫外線の光度 (NUV) ② Hα 輝線 kennicutt(1998) ③ 中間赤外線 (8μm) Zhu et al. (2008)
解析 ① 得られたHα、NUV, MIR(8μm)のそれぞれの星生成率から SFR(NUV) vs. SFR(Hα) SFR(8μm) vs. SFR (Hα) SFR(8μm) vs. SFR(NUV) ② 相関図よりベストフィット直線を出し、平均より大きく外れている離れている天体(アウトライヤー)を選び出し、6グループに分けた。 ③ その天体についてスペクトルエネルギー分布(SED)と HSTの画像を用いて形態を調べた。
SFR(Hα) VS. SFR(NUV) 分散 2σ ① ベストフィット直線 ベストフィットから2σ以上離れている 分散 2σ ① ベストフィット直線 ベストフィットから2σ以上離れている 天体(アウトライアー)の数 ①上側 : 3天体 ②下側 : 25天体 log ② log
SFR(Hα) VS. SFR(8μm) 分散 2σ ③ ベストフィット直線 ベストフィットから2σ以上離れている天体(アウトライアー)の数 分散 2σ ③ ベストフィット直線 ベストフィットから2σ以上離れている天体(アウトライアー)の数 ③上側 : 8天体 ④下側 : 22天体 log ④ log
SFR(NUV) VS. SFR(8μm) 分散 2σ ⑤ ベストフィット直線 分散 2σ ⑤ ベストフィット直線 ベストフィットから2σ以上離れている天体(アウトライアー)の数 ⑤上側 : 16天体 ⑥下側 : 10天体 log ⑥ log
結果① グループ2、グループ3、グループ5について・・・ スペクトルエネルギー分布は短波長側で強い吸収を 受けているdusty starburst のような赤いSEDが多い!! 赤い方が明るい
HST画像 歪んだ形態の銀河が多く存在している!! すなわち・・・ 合体や相互作用によってdusty starburstが 引き起こされた!!
結果② グループ1、グループ4、グループ6について・・・ Hα、近紫外に比べて中間赤外が低く、青いものが多い! もしdustyな天体なら、 Hα、近紫外に比べ中間赤外が高く でる。よって、ダストによる吸収の影響が少ない
まとめ COSMOSの多波長観測によって得られたcatalogのデータを用いた。 Hα輝線銀河728天体を複数のSFRの指標を使った。 平均より大きく外れた銀河がどのような性質をしているか調査した。 dusty starburstと考えられるもの ダストによる吸収の影響が小さいもの 特に、dusty starburstと考えられるもの多くは、歪んだ形態の銀河が多く存在していることが分かった。