輻射伝搬効果の検証(中) 2006.6.30 @LCGTミーティング 都丸隆行.

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輻射伝搬効果の検証(中) 2006.6.30 @LCGTミーティング 都丸隆行

1. 輻射伝搬のモデル化 アルミの反射率スペクトラム 黒体輻射のスペクトラム 300K黒体輻射 ↑ 20μm 表面状態に大きく依存する。 ピカピカのものだと97〜98%くらいの 反射率を持つ。 波長 [m] ↓ 波長域数μm〜100μm(ピーク〜20μm) の赤外線と思って良い。 ダクト内を輻射が伝搬するような効果は ありそう。

Ray Traceモデルで考えてみる。 低温ダクト内面の長さdxの領域を 見込む立体角 0 < x < L の範囲で赤外線が反射 する回数 ↓ 反射して4Kへ入射する成分 のパワー また、ダイレクトに4Kへ抜けるパワーは

CLIOの基本設計(L=5m、a=0.15m)で計算 輻射の影響が一番大きい 300Kからの距離[m] ダイレクト入射に比べ数100倍程度の輻射伝搬効果があり得る。

万華鏡モデル(鈴木さん) 一辺a、長さLの四角パイプ内の光線伝搬を 考えると万華鏡と同じくZ=0で展開したモデル になるのでイメージ化しやすい。 Skew Rayも含められる。 計算されたイメージ 第(m,n)点に見えるイメージは 回反射しているので、Rp倍される。 また、4K側出口からZ=0の射影を 望む面積を考慮すると、4Kへ抜ける 全輻射量は 100回反射まで足した場合 R=0.9 R=0.8 R=0.5 Ptot/Pth 280 73 8

2. 輻射伝搬の低減についての検討 (1) ダクト内で吸収させてしまう場合

(2) バッフルを用いた場合(山元さん) Φ30cmのダクトにΦ10cm内径 を持つバッフルを取り付けた場合 (バッフルの反射率0) 壁面と同程度の反射率を持つ場合 バッフルは出口と入り口のみ

# ダクト部・バッフルのアスペクト比は大体CLIOと同じ。 3. 検証実験

(1)バッフル無し 正確なキャリブレーションは輻射の入熱を 断ってしなければならないが・・・ この状態でヒーターを炊いておおよそ推定 してみる。 〜20Kにおけるヒートリンクの推定熱伝導率    4837 W/m/K、4564 W/m/K ↓ 推定輻射熱量(平均) 360mW ダイレクトに入射する300Kの推定量 ただし、ε 〜 1 最終的な定常温度 0.59 mW 4Kシールド:  7.9〜9.3K(3箇所) 100Kシールド:88〜102K(3箇所) ボロメータ: 19.5K 低温ダクト: 129K おおよそ600倍 なんとなく桁は合っていそう。

(2) バッフルあり 内径24mm穴(1/3径) のバッフルをダクト両端と 300Kから20cm(〜1/5の距離)に1枚づつ挿入。 ・バッフルが輻射源とならないようにダクトとの  熱接触を十分取る。 ・バッフルの表面はピカピカ、裏面はガサガサに  磨いてある。 ・輻射伝搬の影響が最も大きい300Kから1/5  の距離に挿入。

現在の状況 バッフル:〜11K(ほぼ定常) この温度で推定した熱伝導率    〜6700 W/m/K → P = 160 mW バッフル無し(360 mW)の 1/3 ? (1/9にはなるはずだが・・・) そもそもこのヒートリンクでこの熱伝導率は低い。 → 接触熱抵抗が効いているかもしれない。

4. まとめ 5. LCGTへ向けた課題 ・輻射の伝搬効果により数100倍くらい輻射入熱が大きくなる可能性がある。 ・まだ正確ではないが、検証実験でも同様の傾向が見えているようである。 ・バッフルの効果はまだ確認できていない。 5. LCGTへ向けた課題 ・バッフルの枚数を増やし、穴径をもっと大きくとるような検討が必要。  低温パイプ部だけ、真空槽の直径をもう少し大きくしなければならない  かもしれない。 ・一部黒体化も必要か? ・鏡部で伝熱量が十分確保出来るようデザインを精錬させる必要がある。 ・冷凍機のパワー増大も考えておく必要がある。