LANDSATデータを用いた 佐鳴湖流域の土地被覆分類と 温度分布の分析 静岡大学大学院 理工学研究科 システム工学専攻 修士2年 前田研究室 50530149 榎坂 純一
発表内容 研究の背景、目的 研究方法 LANDSATのバンド 使用データについて 佐鳴湖流域の土地被覆分類について 佐鳴湖流域の温度分布解析について 今後の課題
ランドサットを用いて、流域を巨視的に把握することが必要 研究の背景・目的 佐鳴湖 温度環境への影響 流域の温度を安定化させる効果があるのではないか 汚濁の懸念 土地利用に起因する汚濁原因 汚濁負荷量の把握 温度分布の解明 佐鳴湖流域の土地被覆の把握が必要 周囲の温度環境に与える影響の解析 ランドサットを用いて、流域を巨視的に把握することが必要
研究方法 土地被覆分類 温度分布の解析 学習用、検証用データの取得 モデルの作成 過去のデータ 決定木を用い、データを分類 1972年からのデータ ETM+、TM、MSSの3つのセンサが撮影したデータを利用 学習用、検証用データの取得 モデルの作成 過去のデータ 決定木を用い、データを分類 佐鳴湖流域の温度分布変遷の把握 佐鳴湖流域の土地被覆変遷の把握
使用データについて 温度分布の解析に使用 土地被覆分類に使用 撮影日 センサ名 2003年 8月 4日 ETM+ 2003年 2月25日 2000年10月14日 1997年 3月 4日 TM 1993年 2月 5日 1993年11月 4日 1991年 3月 4日 1986年10月16日 1986年 3月 6日 MSS 1982年10月13日 1978年 3月26日 1975年 3月15日 1972年10月23日 温度分布の解析に使用 土地被覆分類に使用
佐鳴湖流域の土地被覆分類
土地被覆分類 分類項目 水域、市街地、森林、水田、 茶畑、畑、砂浜、荒地 分類法 決定木 CRT
分類方法 決定木CRT 分類法には決定木を用いた CRT 木の作成手順 分類ルールがわかりやすく表される 各土地被覆の特徴が把握できるのでは データの分岐をyes、noを用い、2進分岐 GINIインデックスを用い、最適な分岐点を計算 木の作成手順 学習用データを使用し、木を作成 検証用データを使用し、分類精度が最大となる木を最良の木として決定する
決定木の例
土地被覆分類 分類精度 2003年2月25日 精度評価結果(サンプル:各土地被覆につき200個) 観測 予測値 水域 市街地 森林 水田 土地被覆分類 分類精度 2003年2月25日 精度評価結果(サンプル:各土地被覆につき200個) 観測 予測値 水域 市街地 森林 水田 茶畑 畑 砂浜 荒地 正答率 200 100 194 2 3 1 97.0 4 150 19 22 75.0 34 6 158 79.0 12 37 145 5 72.5 195 97.5 13 26 41 120 60.0 全体の% 12.5 14.2 14.6 13.6 11.1 13.2 12.3 8.1 85.1 水域、市街地、森林、砂浜は各年代とも比較的精度良く分類できた 水田、茶畑、畑、荒地にはそれぞれ誤分類が発生し、年代によっては分類精度が60%をわるものも発生した
土地被覆分類図 1972年10月13日 2003年2月25日 :水域、 :市街地、 :森林、 :水田 :茶畑、 :畑、 :砂浜、 :荒地 :水域、 :市街地、 :森林、 :水田 :茶畑、 :畑、 :砂浜、 :荒地 図中黒線は、流域境界線を示す
1972年には、森林などの植生帯が広がっていたが、2003年には市街地に変化している。 土地被覆分類図 1972年10月13日 2003年2月25日 :水域、 :市街地、 :森林、 :水田、 :茶畑、 :畑、 :砂浜、 :荒地 佐鳴湖北西部(大平台周辺) 1972年には、森林などの植生帯が広がっていたが、2003年には市街地に変化している。
土地被覆分類図 佐鳴湖東岸(佐鳴台付近) 1972年には水田や畑といった土地被覆が、2003年には市街地に変化している。 1972年10月13日 2003年2月25日 :水域、 :市街地、 :森林、 :水田、 :茶畑、 :畑、 :砂浜、 :荒地 佐鳴湖東岸(佐鳴台付近) 1972年には水田や畑といった土地被覆が、2003年には市街地に変化している。
佐鳴湖流域の土地被覆の推移
考察 佐鳴湖流域の土地被覆の変遷をある程度把握することが出来た 水田、茶畑、畑、荒地ではそれぞれ施肥量が異なる 水田、茶畑、畑、荒地の分類精度を向上させる必要がある
佐鳴湖流域の温度分布の解析
佐鳴湖流域の温度分布の推定 ・使用データ 2003年8月4日(ETM+) 2003年2月25日(ETM+) サンプル数 2003年8月4日(東西3085、南北2193) 2003年2月25日(東西4488、南北3198) 2000年10月14日(東西4012、南北3060)
佐鳴湖流域の温度分布の推定 ピクセルのサンプリング方法 水域 距離(m) 土地被覆分類で、湖に分類された最東端のピクセル サンプリングするピクセル 土地被覆分類で、湖に分類された最東端のピクセル
佐鳴湖流域の温度分布の推定 佐鳴湖の水が周囲の温度環境に影響を与えていると判断できる モデルによる推定 佐鳴湖が周囲の温度環境へどのような影響を与えているか モデルによる推定 バンド6のDN値は、地表面の温度と相関があることが知られている。 距離X1がY(バンド6のDN値)に影響 佐鳴湖周辺では、佐鳴湖以外の場所と比べ、距離X1という変数が追加される 佐鳴湖の水が周囲の温度環境に影響を与えていると判断できる
温度分布の解析 モデルを立て、解析を行った モデル1 モデル2 YはピクセルのDN値、X1は湖岸からの距離(m)、DNiはピクセルのバンドiのDN値である。b0~b7は定数である 解析方法 ・湖岸からの距離を徐々に変化させ、決定係数が最大となるモデルを最良のモデルとした ・ステップワイズ法を用いて、変数を増減した
解析結果 しかし、、、 2003年8月4日データの東西方向でのモデル1の解析結果を示す。 モデル 湖岸距離720mの時、決定係数が最大の0.71となった 表5 2003年8月4日東西方向の標準化回帰係数、t値、F値、p値 標準化偏 回帰係数 t値 p値 F値 (定数) 180.45 0.000 898.34 バンド1 0.20 6.10 1/X1 -0.32 -23.25 バンド4 -0.29 -14.52 バンド7 0.22 6.01 バンド3 0.16 4.04 バンド5 -0.09 -2.98 0.003 しかし、、、
解析結果 多重共線性の疑い 2003年2月25日データの東西方向の解析結果 モデル 湖岸距離60mの時、決定係数が最大の0.66となった 表5 2003年2月25日東西方向の標準化回帰係数、t値、F値、p値 標準化偏回帰係数 t値 p値 F値 (定数) 65.89 0.000 114.08 バンド5 1.55 9.46 1/X1 0.23 4.80 バンド3 -0.89 -6.47 バンド2 0.92 7.44 バンド7 -0.66 -3.13 0.002 多重共線性の疑い
多重共線性 独立変数間の相関が高い場合に発生 →相関係数、標準化偏回帰係数が異符号で有意となってしまう 2003年8月4日では、距離1/X1の係数が負であったがそれ以外では正となった。 多重共線性が発生している可能性がある場合VIF (Variance-Inflation Factor)という値が10以上となる j番目の説明変数を他の説明変数で回帰した時の決定係数をR2jとするとVIFは VIFj=1/(1-R2) で表される 2003年8月4日、2003年2月25日の多重共線性診断の結果を示す
多重共線性 2003年8月4日も2003年2月25日も多重共線性が発生している可能性がある。2003年2月25日では、変数のほとんどがVIF>10である。 2003年8月4日 2003年2月25日 東西 VIF 南北 B1 8.21 9.63 1/X1 1.40 1.28 B4 2.95 3.00 B7 9.73 B3 12.31 11.56 B5 3.17 7.36 東西 VIF 南北 B5 28.64 22.63 1/X1 2.09 1.88 B4 6.80 B3 16.06 B7 34.48 B2 12.90 12.76 37.37 15.25
考察 2003年8月4日では、佐鳴湖が周囲の温度環境へ影響を与えているという結果が得られたが、2003年2月25日ではまったく逆の結果となった 多重共線性の検討 別のモデルの検討 佐鳴湖を長方形の塊とみなしたモデルなど
今後の課題 佐鳴湖流域の土地被覆分類 佐鳴湖流域の温度分布の解析 流域の土地被覆の経年変化をある程度とらえることが出来た 水田、茶畑、畑、荒地の分類精度の向上 多季節のデータの解析 佐鳴湖流域の温度分布の解析 2003年8月4日データから佐鳴湖が周囲の温度環境に影響を与えているかも知れない 多重共線性の検討 TMデータの解析方法の検討 モデルの検討
参考文献 [1]平成14年度地球観測衛星データ利用セミナー
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