原発事故と原発の現状 再稼働は可能か?
スリーマイルアイランド(TMI) 原子力発電所事故 1979年3月28日、アメリカのスリーマイルアイランド(TMI)原子力発電所2号機において、機器の故障や誤操作、誤判断が重なったために炉内構造物の一部溶融に至る事故が起きた。この事故によって、発電所から80km以内の住民が20人・シーベルト、1人当たり0.01ミリシーベルトの放射線を受けた。
チェルノブイリ事故 1986年4月26日、旧ソ連のウクライナ共和国キエフ市北方約130kmのチェルノブイリ原発4号機(黒鉛減速軽水冷却沸騰型:RBMK 型、1000MWe)で発生した史上最悪の原子炉事故。蒸気爆発で炉心の一部が破損し、黒鉛火災が起こり、建物の一部が吹き飛んで大量の放射性物質が放出された。この事故により、31名の死者が出、203人が急性放射線障害で入院し、発電所から半径30km以内の住民13万5000人が避難した。放射性物質は国境を越えて隣接するヨーロッパ諸国にもおよび、広い範囲に放射能汚染を引き起こした。
チェルノブイリ事故の影響 国際環境保護団体グリーンピースは18日、今月26日に発生20年となるチェルノブイリ原発事故に起因するがん死者数は、9万人に達するとの報告書を発表した。 世界保健機関(WHO)は今月13日、事故によるがん死者数は、9000人にのぼる可能性があるとの報告書を公表している。
高速増殖原型炉「もんじゅ」 ナトリウムが漏えい 1995年12月、福井県敦賀市にある動力炉・核燃料開発事業団(現 核燃料サイクル開発機構)の高速増殖原型炉「もんじゅ」において、二次冷却系からナトリウム*)が漏えいし、原子炉が停止しました。 ナトリウムが漏えいした原因は、二次冷却系の配管に取り付けられた温度計のさや管の設計が不適切であったためで、このためさや管がナトリウムの流れによって振動し、破損してナトリウムが漏えいしたものと判断されました。
JCOのウラン加工工場臨界事故 1999年9月30日、株式会社ジェー・シー・オー(JCO)のウラン加工工場の転換試験棟における臨界事故。 この事故は、我が国で初めての臨界事故で、臨界に伴って発生した放射線により、現場にいた作業員3名が重度の被ばくをし2名の方が亡くなられた。
我が国で初めての臨界事故はウソ JCO事故が我が国初の臨界事故と報告されていたが、その後、GEの技師の告発により、JCO事故以前に日本で臨界事故は起きていたが公にされず、隠蔽されていたことが判明した。
柏崎刈羽原発 2007年7月16日10時13分頃に最大の揺れ993ガルを観測した新潟県中越沖を震源とする新潟県中越沖地震が起こった。3号機タービン建屋1階で2058ガル(想定834gal)、地下3階で581ガル(想定239gal)、3号機原子炉建屋基礎で384ガル(想定193gal)を観測した。耐震設計時の基準加速度を上回っていた。
福島第一原子力発電所事故 2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震による地震動と津波の影響により東京電力の福島第一原子力発電所で発生した炉心溶融など一連の放射性物質の放出を伴った原子力事故。
福一の井戸からストロンチウム 東京電力福島第1原発敷地内の観測用井戸から高い濃度の放射性物質を含む地下水が検出された問題で、東電は29日、新たに港湾近くに掘った井戸の地下水からも、ストロンチウムなどのベータ線を出す放射性物質を1リットル当たり3000ベクレル検出したと発表した。
何を意味するか? 爆発した原発のウランが核分裂の際に生成されるストロンチウムが地下水に溶けこんでいる 地下水を汚染した核燃料が、海に流れ込んで、海を汚染している
甲状腺がん 福島県の全ての子どもを対象に東京電力福島第1原発事故による放射線の影響を調べる甲状腺検査で、対象者の約8割の結果がまとまり、がんの診断が「確定」した人は県が今年2月に公表した数より17人増え50人に、「がんの疑い」とされた人が39人(前回は41人)に上ることが17日、関係者への取材で分かった。 http://www.47news.jp/CN/201405/CN2014051701001676.html
放射線被曝量指針 1. 一般人 1年1ミリシーベルト以下 2. 職業人 1年20ミリシーベルト以下(特例あり) 3. 医療 放射線をあびる損失が治療の効果を下回る範囲 4. 管理 3ヶ月で1.3ミリシーベルト以下 1mSv/y=0.23μSv/hとされている
1年1ミリシーベルトで安全か? 被曝によってガン、生殖異常、免疫疾患などがでることは確かで、それは個人差があり、また統計的(誰にでるか分からないし、出ない人も多い)ということです。 国際的、あるいは国内で「1年1ミリシーベルト」を決めるときには「もともと被曝は有害だが、原発からの電気をもらうためには仕方が無いので、我慢する」という「我慢の限界値」という考え方です。決して、無害とかそのような概念ではありません。(武田邦彦)
民間会社経営vs日本の未来 原発は電力会社の資産だが、原発を再稼働しないと決めると、不良資産、負の資産となり、その分赤字となる。 電力会社という一企業の赤字を避けるために、 電力会社は、原発再稼働を主張する。 即ち、民間会社存続のために、日本の将来が危うくされている。
喉元すぎれば熱さ忘れる
福島第一事故処理の現状 1.汚染水問題 ◆汚染水問題とは ・汚染水問題:メルトダウンあるいはメルトスルーした原子炉の圧力容器に水を注入して燃料の冷却を行っているが、注入した水に周辺の地下水が混じっている問題 ・水の嵩が増し、回収する汚染水が莫大な量になっている。原発周辺にタンク1,000個、貯めた汚染水の量が40万トンに達した。もはや、タンクを建てる場所もない
続き ◆対策1 ・凍土壁(1~4号機のの周囲1.5kmにわたって深さ30mの管を通し、冷却材を循環させて 地盤を凍らせることによって作る氷の壁)で、水の流入を抑えようとしている(H26/7/22現在) ・実証実験が3月に行われ、成功した ◆対策2 ・地下水バイパス(建屋に流れ込む前の地下水を汲み上げて海に放出する)により、水の流入を抑えようとしている
地下水と凍土壁
続き ◆地下水バイパスは5月21日より実施。その効果は、「東京電力福島第1原発で放射能汚染水が増加し続けている問題で、東電は27日、抑制策として5月から始めた「地下水バイパス」と呼ばれる対策の効果が確認できていないと明らかにした(6/27)」 ◆凍土壁の問題点 維持費として電気代だけで月1億円かかる。その効果は、「東京電力福島第1原発の汚染水問題で、2号機タービン建屋から海側のトレンチ(地下道)へ流れ込む汚染水をせき止める「氷の壁」が2カ月近くたっても十分に凍結していないことが28日、分かった(6/28)」
2.使用済み核燃料問題 使用済み核燃料とは、原子炉で使用し、「燃える」核物質であるウラン235の割合が低くなった核物質のこと。 使用済み核燃料は、崩壊により熱を発生するため、冷却の必要がある。 使用済み核燃料の貯蔵場所がないために、原子炉建屋の空いている場所に保管している。 福島第一の4号機建屋4階にも保管していたが、4号機建屋は爆発により崩壊寸前であった。
爆発後の4号機
4号機建屋俯瞰図
使用済み核燃料を保管していた階
4号機建屋を囲む鉄骨
使用済み核燃料貯蔵プール
各建屋の使用済み核燃料
(続き) 仮に、震度6以上の地震が起これば4号機建屋は崩壊すると推測されていた。 このため、4号機の使用済燃料プール内の燃料ラックに保管されている燃料集合体を取り出し、敷地内の共用プールへ移送して集中的に保管することになった。 この燃料取り出し作業は2013年11月18日より開始し、完了は2014年末頃を目指す。
現状