疾患バリアントデータベースMGeNDのご案内と 臨床ゲノム情報統合データベース整備事業へのご協力のお願い 次世代シーケンサーでraw dataを得たり、バリアントを検出するソフトウェア開発については、確実に進歩してますが、現時点で、もっとも困難なプロセスはバリアントの解釈です。東北メディカル・メガバンクが3500人分の全ゲノムデータを公開したことにより、健康な日本人のバリアントとアレル頻度については、詳しい情報が得られるようになりました。 一方で、日本人の病的バリアントについては、情報が圧倒的に不足しています。米国ClinVarデータベースには20万バリアントが登録されていますが、日本では病的バリアントの集積と公開が遅れています。この状況に対応するために、AMEDの主導で、平成28年度より5年間の計画で臨床ゲノム情報統合データベース整備事業が開始されています。 現在、データベースの基本設計が終了し、様々な国内のバリアントの情報を統合したデータベースMGeND https://mgend.med.kyoto-u.ac.jp が平成30年3月16日に公開されました。 なお難病・稀少疾患領域については、DPV (Database of Pathogenic Variants, http://dpv.cmg.med.keio.ac.jp/)を通じてデータ提供が開始され、全体をVCFファイルとしてダウンロードが可能となっています。 病的バリアントデータベースへのコンテンツの集積と利用の促進にご協力をお願いいたします。 ■バリアントデータ提供のお願い 下記のいずれかの方法でお願いします。 ■倫理的な配慮と根拠 集積・公開するのは、病的バリアントと病名のみで、詳しい病名・症状も公開しません。 以下2カテゴリーのいずれかを満たす場合、データベースへの登録についてデータ提供元機関の倫理委員会から承認を得たり、提供について報告する必要はないと、AMED及び政府の関係部署との協議を経て判断しております。 学術論文や研究班の報告書など学術的に信頼された媒体を通じて発表済みであるバリアントデータ。 自身が行い発表したデータであるか、他者が発表したデータであるかは問わない。 ⇒「学術的な価値が定まり、研究実績として十分に認められ、研究用に広く一般に利用され、かつ、一般入手可能な」情報として、ゲノム指針対象外と判断できます。 (2) 研究ないし診療のために取得されたバリアントデータで、患者(研究参加者)への説明同意文書(研究に関する文書)に、解析結果をデータベースに登録するまたは学術論文等として発表することが記載されているもの。 ⇒各種指針上、国内データベースへの提供について同意済と判断できます。 データベースはコンテンツが命です。コミュニティ全体で育てていただければ幸いです。 ■標準的な病名 (OMIM病名等) ■バリアントの位置と変異: 以下のいずれかのフォーマット 1)ゲノム座標の位置と変異 (例: chr3:g.178936091G>A) 2)トランスクリプトの位置と変異 (例: A1CF:c.508_509delinsTT) 3)アミノ酸置換等の位置と変異 (例: DHODH:p.G152R) 4)変異周辺のDNA配列 (例: GTAGGCATAAGTGTTCCCACTA[C>A]CCGTGGAGAACATATTTCCTG) 5)クロマトグラムのコピー 6)文献情報(PubMed ID等) ※いずれかをいただければ事務局でキュレーションをいたします まとまった形(エクセル表)でいただいても結構です 登録・連絡先: MGeND登録管理委員会:dbjimu@hosp.ncgm.go.jp DPV: dpv@skip.med.keio.ac.jp 国立国際医療研究センター・溝上雅史 東京大学大学院医学系研究科・徳永勝士 大阪大学大学院医学系研究科・加藤和人 京都大学大学院医学研究科・奥野恭史 慶応義塾大学医学部・小崎健次郎