COSMOS天域における 高赤方偏移低光度クェーサー探査
大まかな流れ (1)Introduction (2)Data and Sample Selection (3)Completeness (4)Contamination (5)QSO Luminosity Function
Introduction 超巨大ブラックホール(SMBH)の進化を探る一つの手段として 活動銀河核(AGN)の光度関数に着目した。 光度関数とは?:単位体積、単位等級あたりの天体の個数分布 等級ごとに 個数密度の 変化を見ると‥ 10-5 10-6 10-7 10-8 10-9 10-10 10-5 10-6 10-7 10-8 -21.5 -22.5 -23.5 -24.5 -25.5 -26.5 -27.5 -28.5 (Mg) AGNの ダウンサイジング 個数密度(Mpc-3) 個数密度(Mpc-3 mag-1) 0.40<z<0.68 0.68<z<1.06 1.06<z<1.44 1.44<z<1.82 1.82<z<2.20 2.20<z<2.60 このように光度関数の形が よくわかっていれば、 SMBHの進化について 議論することができる。 Croom et al. 2009 Croom et al. 2009 -20 -22 -24 -26 -28 0 1 2 3 Mg Redshift クェーサー光度関数(z<2.6) クェーサー個数密度の変化
高赤方偏移低光度クェーサー探査をすべきだ! クェーサー光度関数(高赤方偏移) しかし、高赤方偏移では 低光度クェーサーサンプルが 得られていない。 低光度側の光度関数の形が よく分かっていない。 ●: 3.6 < z < 3.9 ▲: 3.9 < z < 4.4 ○: 4.4 < z < 5.0 Fan et al. 2001 SMBHの進化を探るために必要なParameterを制限するためには、 高赤方偏移で低光度のクェーサー サンプルが必要である。 クェーサー光度関数 高赤方偏移低光度クェーサー探査をすべきだ!
Data and Sample Selection サーベイ領域:COSMOS天域(2平方度) Data:COSMOS Photo-z Catalog(937013天体) → SDSSよりも限界等級が約3等ほど深い!! •Subaru Suprime-Camで得られたg’,r’,i’,z’のデータ •CFHTで得られたuのデータ •HST/ACSの画像データ •Sample Selection ・22<i’<24のうち、HST画像で点源である天体(6310天体) → 主に銀河と区別することができる。
z=3,4,5のクェーサーモデルスペクトルとFilter Response Lyα輝線 遠方に存在するクェーサーは、 視線上の中性水素ガス雲により Lyα輝線よりも短波長側の スペクトルが吸収を受ける(左図) Filter Response この吸収を利用して星と区別し、 クェーサー候補を選出。 u g’ r’ i’ z’
2色図(g’r’i’図) r’-i’ g’-r’ <Selection Criteria> :クェーサーの2色図上の変化 (1)g’-r’>1.0 (g’-r’で赤い) (2)r’-i’<0.42(g’-r’)-0.22 (星の系列から3σ以上離す) (3)u-g’>2.0 (u-g’で十分赤い) ×:22<i’<24の点源 r’-i’ z 〜 4.7 クェーサー候補 31天体@z~4 クェーサー 候補領域 z〜 3.7 g’-r’
2色図(r’i’z’図) i’-z’ r’-i’ <Selection Criteria> (1)r’-i’>1.0 (r’-i’で赤い) (2)i’-z’<0.45(r’-i’)-0.24 (星の系列から3σ以上離す) (3)g’-r’>2.0 (g’-r’で十分赤い) :クェーサーの2色図上の変化 ×:22<i’<24の点源 i’-z’ z 〜 5.5 クェーサー 候補領域 クェーサー候補 15天体@z~5 z 〜 4.5 r’-i’
(クェーサーの個性、Photometric Errorの効果) <Completeness> 2色図を使ったSelectionでは、 クェーサーをとりこぼす可能性がある。 (クェーサーの個性、Photometric Errorの効果) モデルスペクトルを用いてシミュレーションし、 等級と赤方偏移の関数としてCompletenessを求める。
<Quasar Model Spectra> •連続光のべき指数αν、Lyα輝線の等価幅EWの分布が Gauss分布であると仮定。 モンテカルロシミュレーションにより、1000個のスペクトルを生成。 <αν >=0.46、σαν=0.3 <EW(Lyα)>=90Å、σEW=20Å 母銀河の影響 Flux Density (arbitrary units) 1000 5000 Wavelength(Å)
モデルと観測の比較 • SDSS DR3 QSOs(46420天体) Model QSOs(Barは±1σ) g’–r’ Redshift
<Completenessの計算結果> g’r’i’-selection(z~4) r’i’z’-selection(z~5) 22.0 22.0 22.5 22.5 23.0 23.0 23.5 23.5 24.0 24.0 Completeness Completeness Redshift Redshift ・i’=22でもCompletenessが1にならない。 →foregroundに存在する明るい天体 →クェーサーの個性 →Photometric Error この3つの効果によるもの
<分光結果> 8天体/31天体 ・z~4 0天体/15天体 ・z~5
<クェーサー光度関数 @z~4> This Work(z~4) NDWFS(z=4.15) 10-5 NDWFS(z=4.15) SDSS(z=4.25) SDSS + NDWFS 10-6 10-7 10-8 10-9 10-10 -20 -22 -24 -26 - 28 -30 M(1450Å)
? クェ−サー個数密度の変化 10-4 -21.5 -22.5 10-5 -23.5 -24.5 -25.5 10-6 -26.5 -27.5 -28.5 10-7 Mi 2SLAQ & SDSS 10-8 SWIRE NDWFS 10-9 1 2 3 4 5 Redshift
z=3からz=0でAGNダウンサイジング ↓ 大きなSMBHの質量成長(=AGNとして光り輝くフェーズ)の方が より早期に終わってしまうということを意味する。 massiveな銀河ほど早期に進化が完了しているという 銀河のダウンサイジングと密接に関係 z>3から低光度クェーサーの個数密度が増加 massiveな銀河そのものが極めて少なくなってくるので、 重いSMBHが少なくなってきて、軽いSMBHばかりになる。 仮にエディントン光度で輝いた場合でも低光度になるので このような観測結果になると考えられる。 これまでは‥ 今回の結果
<クェーサー光度関数> 有効共動体積 •光度関数 (1) :Completeness (2) (3) :標準偏差
3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 u-g’ 0.5 -0.5 1 2 3 4 5 6 Redshift
3.0 2.5 2.0 1.5 g’-r’ 1.0 0.5 -0.5 1 2 3 4 5 6 Redshift
3.0 2.5 2.0 1.5 r’-i’ 1.0 0.5 -0.5 1 2 3 4 5 6 Redshift
3.0 2.5 2.0 1.5 i’-z’ 1.0 0.5 -0.5 1 2 3 4 5 6 Redshift
モデルと観測の比較 • SDSS DR3 QSOs(46420天体) Model QSOs r’-i’ Redshift
モデルと観測の比較 • SDSS DR3 QSOs(46420天体) Model QSOs i’-z’ Redshift
g’,r’,z’での等級を計算(モデルスペクトルを使用)。 <Completenessの計算方法> ・i’=22.0、22.5、23.0、23.5、24.0とおいたときの g’,r’,z’での等級を計算(モデルスペクトルを使用)。 ・計算した値の等級で、各bandごとの画像に点源を 重ならないように埋め込み、 SExtractorで検出・測光。 ・ g’–r’,r’–i’,i’–z’の値を用いたSelectionを行い、 Completenessを求める。 Completeness=(Selectionの条件を満たす数)/(埋め込んだ数)
<クェーサースペクトル @z~4>
<コンタミネーション(Late type star?)>
× r’-i’ g’-r’ <2色図 @z~4> 十 ; クェーサー ;クェーサー以外 セレクション条件ぎりぎりの天体は クェーサーでない場合が多いようだ。 g’-r’
<Future Work> •観測データの解析を行う。 ・高赤方偏移低光度クェーサーの周辺環境について調査 →z~4 LBGの探査を行い、クェーサー周辺のLBGの個数分布を調べる。