グループ演習における コンピテンシ向上のための 改善策の提案 グループ演習における コンピテンシ向上のための 改善策の提案 佐藤洋志 櫻井良樹 湯浦克彦
目次 研究の背景 研究の目的 結果 IT人材とコンピテンシ コンピテンシの現状 役割 コンピテンシ評価の方法 コンピテンシ評価の結果 学習意欲調査 行動キーワード集
IT業界の現状 ITへの期待の高まり IT人材の不足 90.8%の企業で IT人材が不足している 新たな価値の創出 競争力の強化 新たな事業やサービス を生み出すための 事業部門との協業や支援 IT人材の量的不足感 業務プロセスの変革 現行ビジネスの拡大 拡充のための 新たな販路や顧客開拓支援 情報システムの成長に伴って、ITに新たな価値の創出や、競争力の強化への期待が高まっています。 しかし、期待が高まっているITに対して、IT企業ではIT人材が不足しています。 90.8%の企業で IT人材が不足している (2014年度調査) 新たな価値の創出 競争力の強化
社会や組織の目標に適合する方向で スキルを発揮させる人間特性 コンピテンシ 能力的 コンピテンシ 技術能力的 コンピテンシ 非技術能力的 コンピテンシ 非能力的 コンピテンシ 行動特性 心理特性 スキル(技術力) 技術要素 開発技術 管理技術 パーソナルスキル ビジネススキル 本研究における コンピテンシ 人間性(人間力) 対人関係力 自己表現力 共感力 自己認識力 ストレス共生 気力創出 IT人材に求められる能力は、知識やスキルといった技術力だけでなく、コミュニケーション力などの人間力も求められています。 このような考え方をコンピテンシといい、コンピテンシは、図に示す通り、技術力である能力的コンピテンシと、人間力である非能力的コンピテンシに分けられます。 コンピテンシは、社会や組織の目標に適合する方向でスキルを発揮させるために必要です。 本研究では、非能力的コンピテンシの行動特性をコンピテンシと定義します。 社会や組織の目標に適合する方向で スキルを発揮させる人間特性
コンピテンシの現状 注目を集めている 測定が難しい 向上の過程が判明していない PISA2015 協調問題解決(OECD) iコンピテンシディクショナリ(IPA) 社会人基礎力(経済産業省) 測定が難しい 向上の過程が判明していない コンピテンシは、PISA2015で実施された協調問題解決や、iコンピテンシディクショナリ、社会人基礎力など取り上げられ、注目を集めています。 しかしながら、コンピテンシは測定が難しく、向上の過程が判明していないのが現状です。
吉川(2014)による研究 グループワークでの役割と コンピテンシ向上の関係を分析した。 学習の記録の記述を CPSスキルズフレームワークに当てはめて 点数化してコンピテンシ評価を実施した。 Webシステム設計演習(静岡大学情報学部ISプログラム2年後期必修科目) 受講生 レポート CPSフレームワーク コンピテンシ 評価 昨年度の静岡大学情報学部湯浦研究室の吉川さんの研究ではグループワークでの役割とコンピテンシ向上の関係を分析しました。 静岡大学情報学部ISプログラム2年のWebシステム設計演習という授業で、学習の記録の記述をCPSフレームワークに当てはめて点数化することでコンピテンシを評価しました。 A1 A2 A3 B1 B2 B3 C1 C2 C3 D1 D2 D3 行動に基づいた記述
CPSスキルズフレームワーク PISA2015における協調問題解決の枠組み 共通理解、問題解決、チームワークの能力 CPSスキルズフレームワークとは、PISAで実施された協調問題解決での枠組みで、共通理解の構築、問題解決への行動、チームの運営の能力について定められています。 PISA(Programme for International Student Assessment)
研究の目的 コンピテンシを向上させるための 改善策を提案する 数値による コンピテンシ 評価 役割の 特徴の 分析 改善策の 提案 改善策の 吉川(2014)による成果 本研究の対象 数値による コンピテンシ 評価 役割の 特徴の 分析 改善策の 提案 改善策の 評価 コンピテンシ向上に効果的な方法の解明 コンピテンシを向上させるための 改善策を提案する 吉川さんの研究によって、数値によるコンピテンシの評価がされ、グループワークでの役割ごとのコンピテンシ向上の特徴が分析されました。 本研究ではそれを踏まえて、コンピテンシを向上させるための改善策を提案することを目的としています。
役割の調査 「情報システム基礎演習」 「Webシステム設計演習」 静岡大学 情報学部 情報システムプログラム 2年前期 必修科目 2年後期 必修科目 役割アンケート 受講者 コンピテンシの向上についてグループワークでの役割ごとに特徴を探るために、コンピテンシを評価する前に個人の役割を調査しました。 役割の調査は静岡大学情報学部ISプログラム2年の情報システム設計演習で行いました。 情報システム基礎演習とコンピテンシ評価を実施するWebシステム設計演習の関係ですが、どちらもISプログラムの必修科目であるため、情報システム基礎演習の受講者がWebシステム設計演習を受講します。 情報システム基礎演習では、受講者が自由にグループを組んで情報システムを企画します。 Webシステム設計演習では、担当教員によって決められたグループで、書店の業務システムを企画・設計します。 どちらの授業もグループで情報システム企画・設計するので、情報システム設計演習で調査した役割を利用してWebシステム設計演習でコンピテンシ評価を実施しました。 役割アンケートで 役割を調査する 「情報システム基礎演習」の受講者が「Webシステム設計演習」を履修する コンピテンシを評価して役割ごとに分析する
役割一覧 リーダー 全体方針・計画に基づき進捗をチェックし、 メンバーに作業を指示した。 実務エキスパート 説 明 リーダー 全体方針・計画に基づき進捗をチェックし、 メンバーに作業を指示した。 実務エキスパート 専門的なタスクをもっぱら1人で専従担当した。 調整役 打ち合わせなどでメンバー間の意見を調整して、 グループ活動が円滑に進むよう采配をふるった。 作業者 作業の一部を担当したのみで、 議論にあまり積極的に参加しなかった。 フリーライダー 作業や議論にはほとんど関与しなかった。 グループワークでの役割は、リーダー、実務エキスパート、調整役、作業者、フリーライダーの5つです。 リーダーは、全体方針に基づいて進捗をチェックし、メンバーに指示するように行動した人です。 実務エキスパートは、専門的なタスクを専門的に担当するよう行動した人です。 調整役は、メンバー間の意見を調整してグループ活動が円滑に進むように行動した人です。 作業者は作業の一部を担当するよう行動した人です。フリーライダーは、作業にあまりかかわらなかった人です。 回答者自身とグループメンバーからの回答を総合して役割を決定しました。
グループ編成 調整役(バランス群) 調整役(調整群) 役割を調査した結果、リーダーを各グループに配置できませんでした。 実務エキスパート 調整役 作業者 フリーライダー A1 1 A2 A3 2 A4 A5 3 A6 A7 B1 B2 B3 B4 B5 B6 B7 合計 9 14 28 16 調整役(バランス群) 調整役(調整群) 役割を調査した結果、リーダーを各グループに配置できませんでした。 そのため、赤で囲んだリーダーがいるグループの調整役を調整役(バランス群)とし、緑で囲んだリーダーがいないグループの調整役を調整役(調整群)としました。 また、Webシステム設計演習はAとBの二つの教室にわかれて行います。青い着色部分のAの教室で学生を観察して主観的に評価しました。
コンピテンシ評価の方法 学習ジャーナル 学習目標設定 演習実績 学習目標 1記述につき1ポイント 実績と成果 気づき/振り返り レベル ポイント ラベル 低 1 未達自覚 他者行動評価 中 2 改善策立案 行動意思 改善意思 リフレクション 高 3 達成自己評価 気づき/振り返り コンピテンシ評価は、Webシステム設計演習のレポートである学習ジャーナルについて、学習目標設定と演習実績の面から実施しました。 学習目標設定では、学習ジャーナルの学習目標の欄について評価しました。 CPSフレームワークに当てはまる記述は1つにつき1ポイントとしました。 演習実績では、学習ジャーナルの実績と成果、きづき振り返りの欄について評価しました。 CPSフレームワークに当てはまる記述について、表に示す記述のレベルによってポイントを決めました。 分からなかった用語
コンピテンシ評価 例 学習目標 B2 1ポイント 相手の話をよく聞き、相手の要求を理解して相手に必要なものを提供する コンピテンシ評価 例 学習目標 相手の話をよく聞き、相手の要求を理解して相手に必要なものを提供する (1)共通理解の構築・維持 (2)問題解決への適切な行動 (3)チーム組織の構築・維持 (A) 探索と 理解 (A1)知識獲得力 仲間の考え方と能力を知る (A2)課題発見力 目標に向かって問題解決のための協調的な作用のタイプを知る (A3)役割認識力 問題解決のために必要な 役割を理解する (B) 表象と 定式化 (B1)表象定義力 問題の表象を共有し、 その意味を協議し取り決める (B2)課題分析力 遂行すべきタスクを特定し、記述する (B3)役割分析力 役割とチーム構成を記述する(コミュニケーション規約・行動ルール) (C) 計画と 実行 (C1)論理的伝達力 実行されるべき行動を チームメンバーに伝える (C2)自己実現力 計画を実行する (C3)役割実施・協働力 行動ルールに従う(例:タスクを実行するよう他のチームメンバーに促す) (D) 観察と省察 (D1)共通認識検証力 共通認識の観察・修正 (D2)実施検証力 行動結果の観察、問題解決の達成度を評価 (D3)組織評価力 チーム構成と役割を観察し、フィードバックを提供し改良する B2 1ポイント 実際の評価例を出して評価方法を説明します。 学習目標に、相手の話を聞き、相手の要求を理解して相手に必要なものを提供するとありました。 Webシステム設計演習では書店の業務システムを企画・開発します。 この例の相手とは顧客である書店の担当者のことで、担当者の話をよく聞いて、書店が求めているものを特定したいと目標を立てています。 書店の問題を解決するために相手の要求を明らかにすることは適切な行動であり、相手の話をよく聞くという手だてで表されているためB2に当てはまると判断しました。 学習目標はCPSフレームワークに当てはまる記述は1つ1ポイントとするため、この例ではB2に1ポイントとします。
コンピテンシ評価 例 演習実績 D2 3ポイント 各班が同じ課題に取り組む中、他の班にない特徴を作れたのが大きな成果である。 コンピテンシ評価 例 演習実績 各班が同じ課題に取り組む中、他の班にない特徴を作れたのが大きな成果である。 (1)共通理解の構築・維持 (2)問題解決への適切な行動 (3)チーム組織の構築・維持 (A) 探索と 理解 (A1)知識獲得力 仲間の考え方と能力を知る (A2)課題発見力 目標に向かって問題解決のための協調的な作用のタイプを知る (A3)役割認識力 問題解決のために必要な 役割を理解する (B) 表象と 定式化 (B1)表象定義力 問題の表象を共有し、 その意味を協議し取り決める (B2)課題分析力 遂行すべきタスクを特定し、記述する (B3)役割分析力 役割とチーム構成を記述する(コミュニケーション規約・行動ルール) (C) 計画と 実行 (C1)論理的伝達力 実行されるべき行動を チームメンバーに伝える (C2)自己実現力 計画を実行する (C3)役割実施・協働力 行動ルールに従う(例:タスクを実行するよう他のチームメンバーに促す) (D) 観察と省察 (D1)共通認識検証力 共通認識の観察・修正 (D2)実施検証力 行動結果の観察、問題解決の達成度を評価 (D3)組織評価力 チーム構成と役割を観察し、フィードバックを提供し改良する レベル ポイント ラベル 低 1 未達自覚 他者行動評価 中 2 改善策立案 行動意思 改善意思 リフレクション 高 3 達成自己評価 つぎに、演習実績に、各班が同じ課題に取り組む中、他の班にない特徴を作れたのが大きな成果であるとありました。 Webシステム設計演習では書店の業務システムを企画・開発するために共通の背景や抱えている問題などの前提が与えられます。 この例では各班が共通の前提で進めている中で、自分たちならではの特徴が作れたと言っています。 書店の問題を解決するための成果について、観察しているため、D2に当てはまると判断しました。 演習実績はCPSフレームワークに当てはまる記述について、記述のレベルによってポイントを決めています。 この例では、達成を評価しているため、D2を3ポイントとしました。 D2 3ポイント
授業の流れと評価のタイミング Webシステム設計演習(静岡大学情報学部ISプログラム2年後期必修科目) 学習ジャーナル① 学習ジャーナル② このコンピテンシ評価を2回実施して、役割とコンピテンシ向上の関係を分析しました。
結果 リーダー(5) 実務エキスパート(7) 全体平均(35) 調整役(バランス群)(4) 調整役(調整群)(9) 作業者・フリーライダー(10) コンピテンシ評価の結果です。 グラフは、1回目の学習ジャーナルと2回目の学習ジャーナルの合計のコンピテンシポイントの推移を示しています。 これを見ると、リーダーと実務エキスパートとは、2回とも全体平均よりも高い点数を取っています。 また1回目から2回目の伸びである傾きを見ると、調整役が最も成長しています。 作業者とフリーライダーは成長が低い結果となりました。
リーダー 0.2 1.2 0.8 1 1.6 1.4 4 学習ジャーナル②のポイント(上)と①からの伸び(下) コンピテンシの 安定した発揮 ( D ) 観察と省察 (2)問題解決 への適切な行動 (1) 共通理解の 構築・維持 (2) 問題解決への適切な行動 (3) チーム組織の構築・維持 (A) 探索と理解 0.2 ±0 1.2 -0.2 0.8 (B) 表象と定式化 1 1.6 -0.6 1.4 +0.6 (C) 計画と実行 -2.2 -1.0 +0.8 (D) 観察と省察 4 +3.4 +0.2 (1)共通理解の 構築・維持 (D3)の伸び 議事録などの記録 をとらせる リーダーはグラフで見た通り、安定してコンピテンシを発揮できています。また、(D)観察と省察で高いポイントをとっています。 この結果は去年も得られているので、リーダーは、コンピテンシを安定して発揮でき、活動の成果について振り返ることができる特徴があると考えられます。 また、(2)問題解決への適切な行動のポイントも高く、問題解決のためにチームを引っ張っていると考えられます。 一方で、(1)共通理解の構築・維持に改善の余地があります。これは議事録などの記録を取らせることが必要だと考えます。
実務エキスパート 学習ジャーナル②のポイント(上)と①からの伸び(下) コンピテンシの 安定した発揮 (3)チーム組 織の構築・維持 (B)表象と定式化 (D)観察と省察 (1) 共通理解の 構築・維持 (2) 問題解決への適切な行動 (3) チーム組織の構築・維持 (A) 探索と理解 0.429 +0.429 1 -0.429 0.857 ±0 (B) 表象と定式化 0.714 +0.486 1.714 -0.143 +1.143 (C) 計画と実行 -0.714 0.571 -0.286 1.429 -1.142 (D) 観察と省察 1.286 +0.143 4 +1 2.429 +2 (1)共通理解の 構築・維持 議事録などの記録 をとらせる 実務エキスパートもグラフで見た通り、安定してコンピテンシを発揮できています。また、(3)チーム組織の構築・維持で高いポイントをとっています。 この結果は去年も得られているので、実務エキスパートは、安定してコンピテンシを発揮でき、グループ内での役割をつかむのが得意という特徴があると考えられます。 一方で、リーダーと同様に(1)共通理解の構築・維持に改善の余地があります。議事録などの記録を取らせることが必要だと考えます。
調整役(バランス群) 0.75 1 0.25 2.5 1.75 2.25 3 学習ジャーナル②のポイント(上)と①からの伸び(下) コンピテンシの 堅調な育成 (1)共通理解 の構築・維持 (3)チーム組 織の構築・維持 (1) 共通理解の 構築・維持 (2) 問題解決への適切な行動 (3) チーム組織の構築・維持 (A) 探索と理解 0.75 +0.75 1 -0.5 0.25 -0.25 (B) 表象と定式化 ±0 2.5 1.75 +1.25 (C) 計画と実行 +0.25 2.25 (D) 観察と省察 -1.5 3 +1.75 (2)問題解決へ の適切な行動 問題解決の中心と して活動させる 調整役はグラフで見た通り、演習を通して最も成長しています。 また、(1)共通理解の構築・維持(3)チーム組織の構築・維持で高いポイントをとり、(2)問題解決への適切な行動に改善の余地があります。 この結果は去年も得られているので、調整役は、グループで活動する能力は高いが、問題解決のための行動が少ないという特徴があると考えられます。 問題点を整理させるなど、問題解決のために主体的に行動させることが必要だと考えます。
調整役(調整群) 学習ジャーナル②のポイント(上)と①からの伸び(下) コンピテンシの 堅調な育成 (1)共通理解 の構築・維持 (3)チーム組 織の構築・維持 (1) 共通理解の 構築・維持 (2) 問題解決への適切な行動 (3) チーム組織の構築・維持 (A) 探索と理解 0.444 +0.444 0.778 -1 +0.333 (B) 表象と定式化 2.111 -0.111 1.778 +0.778 (C) 計画と実行 -0.778 0.111 (D) 観察と省察 1 +0.667 2.333 +0.555 1.222 +1.222 (2)問題解決へ の適切な行動 問題解決の中心と して活動させる 本研究では調整役を、バランス群と調整群にわけました。 その結果、バランス群も調整群も同じ特徴がでましたが、バランス群の方が調整群よりも高いポイントをとる結果となりました。 調整役はさまざまな役割の中にいたほうが能力を発揮できることがわかりました。
作業者・フリーライダー 学習ジャーナル②のポイント(上)と①からの伸び(下) (3)チーム組 織の構築・維持 (D)観察と省察 (1) 共通理解の 構築・維持 (2) 問題解決への適切な行動 (3) チーム組織の構築・維持 (A) 探索と理解 ±0 0.3 -0.7 0.4 -0.4 (B) 表象と定式化 -0.2 1 +0.2 1.1 +0.1 (C) 計画と実行 0.1 -0.8 0.9 0.5 (D) 観察と省察 1.2 +0.9 2.2 -0.6 2.5 +2 コンピテンシ向上 の低さ 出だしを早める グループ内での役 割を確立する 作業者とフリーライダーはグラフで見た通り、演習を通しての成長が低い結果となりました。 この結果は去年も得られているので、作業者とフリーライダーはコンピテンシが低いという特徴があると考えられます。 しかしながら、(3)チーム組織の構築・維持のポイントが増加しており、チームでの自分の役割を理解できるようになっています。 また、(D)観察と省察のポイントが増加しており、成果について振り返りができるようになっています。 これは出だしが遅いものだと考えられます。なので、グループ内での役割を早い段階で確立する必要があると考えます。
ARCSモデルを基にした測定ツールを使用 意欲調査 ARCSモデル 学習意欲は以下の要素から構成される。 Attention(注意) Relevance(関連性) Confidence(自信) Satisfaction(満足感) ARCSモデルを基にした測定ツールを使用 コンピテンシ評価に加えて、授業への意欲調査も実施しました。この調査は、ARCSモデルに基づく調査です。 ARCSモデルとは、学習意欲が注意、関連性、自信、満足感の4つの要素に分類できるという考え方です。 このモデルを基に学習意欲を測定するツールがあり、本研究でもそのツールを利用しました。
教材の学習意欲調査 意欲調査の結果です。意欲調査はコンピテンシ評価と同じタイミングで実施しました。 このグラフは1回目の意欲調査から2回目の意欲調査にかけて各項目の推移を示しています。 これを見ると、リーダーがの自信が高いこと、作業者とフリーライダーの満足感が増加していることがわかります。 リーダーが自信をもってグループを引っ張っていること、作業者とフリーライダーの出だしが遅いことが裏付けられたと考えられます。
行動キーワード集 受講生 レポート CPSフレームワーク コンピテンシ 評価 A1 A2 A3 B1 B2 B3 C1 C2 C3 D1 行動に基づいた記述 行動キーワード 各班が同じ課題に取り組む中、他の班にない特徴を作れたのが大きな成果である。 コンピテンシを評価した際に、ポイントを付与した記述を行動キーワードとして保存しました。 吉川さんの研究では、CPSフレームワークの各項目に当てはまる行動キーワードをまとめた、行動キーワード集が作成されました。 その行動キーワード集に、今回の実験で得られた行動キーワードを新たに追加することができました。それを赤字で示しています。 相手の話をよく聞き、相手の要求を理解して相手に必要なものを提供する
A1 A2 A3 B1 B2 B3 C1 C2 C3 D1 D2 D3
結論 役割ごとの特徴が明らかになった 行動キーワード集の充実 リーダー、実務エキスパート (安定したコンピテンシの発揮ができる) リーダー、実務エキスパート (安定したコンピテンシの発揮ができる) 調整役 (堅調なコンピテンシの育成ができる) 作業者・フリーライダー (出足のフォローが必要) 行動キーワード集の充実 本研究の結論です。 分析実験を2年続けて実施したことで、役割ごとの特徴が明らかになってきました。 また、調整役はさまざまな役割の中でこそ能力が発揮できることがわかりました。 さらに行動キーワード集に新たな行動キーワードを追加することができました。
今後の課題 コンピテンシ評価の評価 改善策の評価 コンピテンシ向上と成果物の質の関連 行動キーワード集のさらなる充実 今後の課題として,コンピテンシ評価がどの程度現実的かを評価すること、本研究での改善策の効果を測定すること、さらにコンピテンシの向上が成果物の質の向上につながっているかを評価する必要があります。 そのためには,行動キーワード集を充実させ,コンピテンシ評価の基準として確立する必要があります。 これによって評価にかかる時間を短くすることができるだけでなく、評価を実施する人が違っても同じ結果を得るために必要です。 行動キーワード集(ルーブリックの特殊系)