白鳥飛来地に何が起こったか? (2008年1月) (2009年1月) 福島県内の白鳥飛来地 2008年4~5月 オオハクチョウの 高病原性鳥インフルエンザ 感染を確認 (2008年1月) 福島県内の白鳥飛来地 (2009年1月)
十和田湖畔(小坂町)で発見された白鳥は… 4/21 小坂町より家畜保健衛生所に通報,白鳥を回収。 4/23 発育鶏卵に材料を接種し,増殖培養。 4/25 簡易検査でA型インフルエンザ陽性。 4/27 分離されたウイルスを動衛研に搬入→夜までにH5型が確定。 4/28 N1型が確定 →プレスリリース 動衛研では通常,1日以内にH型が確定し,2日程度でN型が確定する。 →確定診断までの所要時間の違いは,ほとんどの場合, 検査機関に持ち込むまでの時間の違い。
日本における 野鳥の高病原性鳥インフルエンザの発生 ハシブトガラス(大阪,京都)9羽(2004年) クマタカ(熊本)1羽(2007年) オオハクチョウ(秋田,青森,北海道)8羽(2008年) 発症個体の発見から診断が確定するまでの日数: 技術的には最短5日だが,2ヶ月かかった事例もある。 →迅速な検査体制が,野鳥では未整備だった。
高病原性鳥インフルエンザに対し, 感染リスクの高い日本の野鳥種……33種 カイツブリ,ハジロカイツブリ,カンムリカイツブリ,カワウ, ゴイサギ,アマサギ,ダイサギ,コサギ,アオサギ, シジュウカラガン,マガン,コブハクチョウ,オオハクチョウ, コハクチョウ,マガモ,オナガガモ,ホシハジロ,キンクロハジロ, オオタカ,ノスリ,サシバ,クマタカ,チュウヒ,ハヤブサ, チョウゲンボウ,バン,オオバン,ユリカモメ,ワシミミズク, コノハズク,ミヤマガラス,ハシボソガラス,ハシブトガラス
2007-2008 白鳥飛来地の餌付け対応状況 全面禁止・未実施 部分禁止(総量規制) 自粛呼び掛け 無制限・情報発信なし・不明 2007-2008 白鳥飛来地の餌付け対応状況 全面禁止・未実施 部分禁止(総量規制) 自粛呼び掛け 無制限・情報発信なし・不明 大館市,小坂町で 鳥インフルエンザを理由に 餌付け禁止を呼びかけ
2008-2009 白鳥飛来地の餌付け対応状況 全面禁止・未実施 部分禁止(総量規制) 自粛呼び掛け 無制限・情報発信なし・不明 2008-2009 白鳥飛来地の餌付け対応状況 全面禁止・未実施 部分禁止(総量規制) 自粛呼び掛け 無制限・情報発信なし・不明 鳥インフルエンザを理由に 餌付けを禁止した場所 多数
・餌付けに関する論議の棚上げ ・人のリスクだけが注目され, 野鳥の感染リスクが無視されている ・必要以上に危機感をあおり, 白鳥の高病原性鳥インフルエンザ感染が見つかってから 明らかになってきた,新たな問題点 ・餌付けに関する論議の棚上げ ・人のリスクだけが注目され, 野鳥の感染リスクが無視されている ・必要以上に危機感をあおり, 新たな風評被害を生んでいる ・一定割合の「無関心層」の存在 (これは以前よりあるが…)
・どのように社会に周知させたら良いのか? 野生鳥獣の人獣共通感染症に関する 危機管理情報の扱い方の問題点 ・どのように社会に周知させたら良いのか? (危機管理,風評予防への配慮をどうするか) ・当事者の安全管理をどうするか (特に傷病鳥ボランティアなど,非専門的な立場の人) ・環境教育への配慮をどうするか (特に学校教育現場は過剰に反応しやすく,危機管理意識が低い) ・農林水産業等,他産業への影響をどうするか (直接的感染および風評による経済損失)
……今後,幅広い論議が必要と思われる 鳥インフルエンザ問題は, 人獣共通感染症の考え方,伝え方を見直すチャンスでもある 鳥インフルエンザ問題は, 人獣共通感染症の考え方,伝え方を見直すチャンスでもある 「動物から人に感染する」という「被害者感覚」だけでなく, 「人が動物に感染を広げる」という認識も必要 人と野生鳥獣の距離の取り方を見直す 不安や風評を抑制するため,リスク管理方法を見直し, リスクの伝え方にも工夫が必要 ……今後,幅広い論議が必要と思われる