宇宙γ線衛星GLASTの最終組上げ試験と現状

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For the PHENIX collaboration
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放射光実験施設での散乱X線測定と EGS5シミュレーションとの比較
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SMILE35:陽子線を用いた 電子飛跡検出型コンプトンカメラによる 核ガンマ線イメージング実験
全天X線監視装置(MAXI)搭載用CCDカメラのエンジニアリングモデルの性能
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February 23, 2005 written by T. Mizuno
PICO-LON dark matter search K.Fushimi for PICO-LON collaboration
Z(mm)イベントを用いた ATLAS LVL1 Muon Trigger Systemのコミッショニング
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March 13, 2006 written by T. Mizuno
EMCalにおけるπ0粒子の 不変質量分解能の向上
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天体硬X線偏光検出器PoGOの 開発試験(II)
(GAmma-ray burst Polarimeter : GAP)
X線CCD新イベント抽出法の 「すざく」データへの適用
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卒業論文発表 中性子ハロー核14Beの分解反応 物理学科4年 中村研究室所属   小原雅子.
μ+N→τ+N反応探索実験の ためのシミュレーション計算
γ線衛星GLASTの概要とサイエンス October 08, 2005 日本天文学会秋の年会 水野 恒史ほか 広島大学理学部
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「すざく」によるNGC1313中の大光度X線源の観測 September 20th, meeting of ASJ
京大理 身内賢太朗 平成20年度東京大学宇宙線研究所 共同利用研究成果発表会
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HLab meeting 4/22/08 K. Shirotori.
Stanford Linear Accelerator Center April 7, 2004 written by T. Mizuno
Astro-E2搭載XISの電荷注入機能を用いた 較正方法の 開発
全天X線監視装置(MAXI)搭載ガススリットカメラ用コリメータの特性測定
ILCバーテックス検出器のための シミュレーション 2008,3,10 吉田 幸平.
ガスの低圧化による ダークマター検出器の高感度化
KOPIO実験のための中性子不感型光子検出器の開発(2)
ATLAS SCT モジュール 性能評価 留田洋二 (岡山大学自然科学研究科) 岡山大,京都教育大A,高エ研B, 筑波大C,広島大D
Geant4による細分化電磁 カロリメータのシミュレーション
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核内ω中間子質量分布測定のための 検出器開発の現状
(GAmma-ray burst Polarimeter : GAP)
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ガス電子増幅器を読み出しに用いた タイムプロジェクションチェンバー (GEM-TPC)の開発
ASTRO-E2搭載CCDカメラ(XIS)校正システムの改良及び性能評価
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5×5×5㎝3純ヨウ化セシウムシンチレーションカウンターの基礎特性に関する研究
気球搭載硬X線偏光検出器PoGOLiteの地上キャリブレーション試験 (Ⅱ) 吉田広明、○水野恒史、梅木勇大、田中琢也、高橋弘充、深沢泰司 (広島大)、釜江常好、田島宏康 (SLAC)、栗田康平、金井義和、有元誠、植野優、片岡淳、河合誠之 (東工大)、高橋忠幸、勝田隼一郎 (ISAS/JAXA)、郡司修一.
KOPIO実験のための中性子不感型光子検出器の設計
60Co線源を用いたγ線分光 ―角相関と偏光の測定―
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宇宙γ線衛星GLASTの最終組上げ試験と現状 September 20th, 2006@annual meeting of ASJ 水野恒史、大杉節、深沢泰司、川端弘治、片桐秀明、高橋弘充(広島大)、釜江常好、田島宏康、杉崎睦(SLAC)、 河合誠之、片岡淳(東工大)、高橋忠幸(JAXA) mizuno@hepl.hiroshima-u.ac.jp 目次 GLASTの概要 (p.2) これまでの開発 (p.3) フライトモデル組み上げ、環境試験(pp.4-6) ビーム試験(pp.7,8) まとめ(p.9)

GLAST Large Area Telescope (LAT) TKR(U.S.A., Japan, Italy): 多層Siストリップおよびコンバーター g線の到来方向測定 高空間分解能 GLAST = LAT+GBM 2007年打ち上げの国際協力による宇宙γ線衛星 高感度γ線観測 広帯域(20MeV-300GeV) 広視野(~2sr) 高空間分解能(10’ n E>10 GeV) 大有効面積(~10000 mc-2)  4x4=16tower EGRET: ~270 sources GLAST: ~10000 sources (2year) e+ e– CAL(U.S.A., France, Sweden): Hodoscopic CsI(Tl) シンチレーター エネルギー測定 ACD(U.S.A.): セグメント化プラスチックシンチレーター 荷電粒子backgroundの除去 GRB, AGN, 3EG + Gal. plane & halo sources

日本グループ(広島大、東工大、ISAS/JAXA)の主な貢献: Development of LAT 日本グループ(広島大、東工大、ISAS/JAXA)の主な貢献: Si検出器の開発と試験 気球実験とデータ解析 バックグラウンドモデルの開発 フライトモデルの試験 ビーム試験 ビーム試験: 1997 and 1999 1 towerによるLATの基本性能の確認。 気球実験: 2001/8 高い放射線環境下での動作確認。 エンジニアリングモデル試験: 2003/10~ 小型タワーを用い、試験方法、解析方法の確立 フライトモデル Integration and Test: 2005/1~ 16 Tower (全タワー)製造、試験終了 環境試験(NRL): 振動、音響、熱真空試験(NRL)、2006/5~ フライトモデルを用いた環境試験 ビーム試験(CERN): 2006/7~ Calibration Unitによる応答取得、シミュレーターのtuning 衛星筐体への取り付、組み上げ:2006/10~ 打ち上げ: 2007/10-11 今はここ

Flight Model Integration and Test (2005/1~) 2006/6 音響試験 @NRL 2006/7 熱真空試験 @NRL 2005/1 初号機受け入れ@SLAC 2006/5 振動試験 @NRL 2005/10 16 Tower完成 @SLAC 熱真空試験温度サイクル -15oC to 45 oC 40days 組み上げ試験の 最終段階まで来ました

Environmental tests at NRL muon事象を用いて、ゲインの安定性等を確認 熱真空試験の間、ノイズの増減をモニタ 振動音響試験後のACDのmuonに対するスペクトル (89 tiles and 10 ribbons) pulse height (MIP単位) 問題が生じていないことを確認 1MIP 熱真空試験中のNoiseによるhit率 ACD ID (by Eric Charles) Open door Hot Cold 10-4 ~3 hits from noise/tower 振動音響試験後のCALのmuonに対するスペクトル 10-5 10-6 105 MeV(1MIP) ~50 day (by Sasha Checktman, Zach Fewtrell) (by M. Sugizaki) Energy (MeV)

Tracker Performance Trend 全16towerの不良ストリップ(hot strip+dead strip)数を測定・モニタ (cf. 河本講演@05年秋の年会) 不良ストリップ率は初号機で3%以下、他は0.5%程度以下 不良ストリップの増分は全タワーで0.1%以下 環境試験を無事通過 0.5% 3% 全bad strip数 Bad Strip Trend 0.1% Bad strip数の増減 16 Tower組み上げ 熱真空試験 H. Tajima and T. Kawamoto (Hiroshima Univ.)

Beam Test at CERN フライトモデルによる動作、環境試験 Two tower Beam test@CERN 16 Tower test @SLAC/NRL フライトモデルによる動作、環境試験 Two tower Beam test@CERN スペアtower (Calibration Unit; CU)を用いた装置の応答の取得、Monte Carlo Simulatorのvalidation 2 TKR 3 CAL 7/20-8/24@CERN PS 低エネルギー;数GeV以下 9/2-9/20@CERN SPS 高エネルギー;数GeV以上 H. Takahashi

Initial Results (Preliminary) Sfront S4 e g Tag 0-1 2-3 CU Dump magnet rotation table 様々なエネルギー・角度のgに対する応答を実測。初期解析中。 おおむね期待通りの分解能・PSF・視野を持つことを確認 解析の最適化、MCのtuningを行なっている Point Spread Function (68%) Energy Resolution 10deg 25(%) 48deg 30deg EGRET(0deg) 30deg 48deg(斜め方向) 0deg 1deg 0deg(正面照射) (P. Bruell and Perugia group) 100MeV 1GeV 100MeV 1GeV

Summary 2007年末の打ち上げに向け着々と準備中 1. GLAST衛星 20-300GeV, 大有効面積、高空間分解能、広視野 2. 日本グループ(広島大、東工大、ISAS/JAXA)の貢献 Siストリップ検出器の製造、試験 気球実験、バックグラウンドモデル フライトモデルの試験 ビーム試験 3. 最終試験 機能/環境試験:組み上げ試験、振動・音響試験、熱真空試験(SLAC/NRL) 基礎特性取得。性能の安定性を確認。noisy stripの増加などもごくわずか。環境試験を無事通過。 キャリブレーション:ビーム試験(CERN) 広いエネルギー範囲、入射角で装置の応答を取得。バックグラウンド除去能力、物理相互作用のデータも取得。 おおむね期待通りの性能。詳細な解析は進行中 2007年末の打ち上げに向け着々と準備中