エアリード楽器および音響機器における大規模音響流体解析

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宇宙ジェット形成シミュレー ションの 可視化 宇宙物理学研究室 木村佳史 03S2015Z. 発表の流れ 1. 本研究の概要・目的・動機 2. モデルの仮定・設定と基礎方程式 3. シンクロトロン放射 1. 放射係数 2. 吸収係数 4. 輻射輸送方程式 5. 結果 6. まとめと今後の発展.
2007/01/27 - 卒業論文合同発表会 - ♪ 早稲田大学理工学部 電気・情報生命工学科4年 神保直史 熱音響管の解析とシミュレーション.
1 ニューブレクス㈱ 当社は世界唯一の超高精度誘導ブリルアン計測システムの商品化に成功した会社です。センサー部は通信用の光ファイバと同じも のをそのまま分布センサーとして利用でき、光ファイバ上に生じる変形(ひずみ)分布及び温度分布を一括測定する事ができます。 そしてこの高精度の光ファイバを用いた分布計測技術をベースに、協力会社とのコンソーシアムにて工業化に適した敷設手法の開.
Computational Fluid Dynamics(CFD) 岡永 博夫
有限差分法による 時間発展問題の解法の基礎
自己重力多体系の 1次元シミュレーション 物理学科4年 宇宙物理学研究室  丸山典宏.
定在波型熱音響エンジンにおける 臨界温度比推定のための適応制御系の 安定性に関する実験と理論の比較 長岡技術科学大学
24 両端単純支持梁に対する外乱抑制制御系の製作
単一分子接合の電子輸送特性の実験的検証 東京工業大学 理工学研究科  化学専攻 木口学.
フィードバック制御に基づく 定在波型熱音響エンジンにおける 自励発振条件の特徴付け
発声のしくみ -声道の共鳴と音源の生成-.
異種センサを用いた人の行動検知 研究概要 研究の独自性 isi担当 高汐グループ成果 スライド到着待ち yasu担当.
永井晴康、都築克紀(原研)、植田洋匡(京大防災研)
反応性流体力学特論  -燃焼流れの力学- 燃焼の流体力学 4/22,13 燃焼の熱力学 5/13.
熱流動解析のための格子ボルツマン法による超大規模高速GPUコードの開発と複雑固相界面乱流熱伝達の大規模数値解析
ー 第1日目 ー 確率過程について 抵抗の熱雑音の測定実験
研究背景 研究目的 手法 研究計画 分散型プラズマアクチュエータと物体形状の統合最適設計による 仮想空力形状の実現 jh NAH
早稲田大学理工学部 コンピュータネットワーク工学科 山崎研B4 大野遙平
研究背景・目的 研究組織 実施内容 適用手法 提案研究により期待されること
経歴 金崎 雅博(かなざきまさひろ) 2004年3月東北大学大学院 情報科学研究科 システム情報科学専攻 博士後期課程 修了
高速CFDコードを用いた次世代空力応用研究プラットフォーム構築に 向けた実証研究
圧力発展格子ボルツマン法による大規模気液二相流GPUコードの開発 ならびに多孔体浸潤液滴シミュレーション
水平板を用いた消波機構における指向性 アクチュエータの境界要素法による性能解析
北大MMCセミナー 第20回 Date:2014年1月30日(木) 16:30~18:00 ※通常とは曜日が異なります
ひび割れ面の摩擦接触を考慮した損傷モデル
定在波型熱音響エンジンの共鳴現象に 対するフィードバック制御の効果 長岡技術科学大学 ☆角島 悠太 小林 泰秀, 山田 昇.
電磁流体力学乱流の高精度・高並列LESシミュレーションコード開発研究
HLとEHLモデルでの圧力分布と軸受の変形分布
Jh NAHI 横田 理央 (東京工業大学) Hierarchical low-rank approximation methods on distributed memory and GPUs 背景  H行列、H2行列、HSS行列などの階層的低ランク近似法はO(N2)の要素を持つ密行列をO(N)の要素を持つ行列に圧縮することができる。圧縮された行列を用いることで、行列積、LU分解、固有値計算をO(NlogN)で行うことができるため、従来密行列の解法が用いられてきた分野では階層的低ランク近似法
機械創造工学課程 西久保智昭 担当教員 小林泰秀 准教授
エアリード楽器および音響機器における大規模音響流体解析
アンテナ最適化技術と電波伝搬シミュレーション技術の高速化と高精度化
流体工学研究室 卒論テーマ 流体工学研究室 2001年度卒論テーマ 水野明哲教授 飯田明由助教授 永島正義助手
高エネルギー天体グループ 菊田・菅原・泊・畑・吉岡
開放端磁場における低温プラズマジェットに関する研究
2. 音声とは 2.1 音声の科学 2.2 どうやって声を作るか ー調音音声学 2.3 声の正体とは ー音響音声学 2.4 どうやって声を聴き取るか ー聴覚音声学.
背景 課題 目的 手法 作業 期待 成果 有限体積法による汎用CFDにおける 流体構造連成解析ソルバーの計算効率の検証
サーマルプローブを用いたイオン温度計測の新しいアプローチ
かけ算 九九.
若手研究者・学生向けに,最新技術をわかりやすく紹介する講演会 確率的情報処理としての移動体通信技術
研究背景・目的 研究組織 実施内容 適用手法 提案研究により期待されること
竜巻状渦を伴う準定常的なスーパーセルの再現に成功
高精細計算を実現するAMR法フレームワークの高度化 研究背景と研究目的 複数GPU間での袖領域の交換と効率化
2015年夏までの成果:標準理論を超える新粒子の探索(その2)
ナイキストの安定判別に基づく熱音響システムの自励発振解析における発振余裕と 定常発振状態における圧力振幅の関係
プラズモニック構造付シリコン光検出器のHPC援用設計に関する研究
電力フィードバック回路の調整による 熱音響発電機の発振余裕の最大化
フィードバック制御に基づく 熱音響発電システムの検討
潮流によって形成される海底境界層の不安定とその混合効果
堆積炭塵爆発に対する大規模連成数値解析 研究背景 研究目的 計算対象および初期条件 燃焼波の様子(二次元解析) 今後の予定
複雑流動場における物質移行過程の解明を目指した大規模数値計算 :実験計測データとの比較による数値モデルの構築
対象:せん断補強筋があるRCはり(約75万要素)
Jh NAHI 横田 理央 (東京工業大学) Hierarchical low-rank approximation methods on distributed memory and GPUs 背景  H行列、H2行列、HSS行列などの階層的低ランク近似法はO(N2)の要素を持つ密行列をO(N)の要素を持つ行列に圧縮することができる。圧縮された行列を用いることで、行列積、LU分解、固有値計算をO(Nlog2N)で行うことができるため、従来密行列の解法が用いられてきた分野では階層的低ランク近似
小規模・自給自足を目指した 熱音響システム
■ 背景 ■ 目的と作業内容 分子動力学法とフェーズフィールド法の融合による 粒成長の高精度解析法の構築 jh NAH
東京都心1m解像度10km四方気流計算の可視化
水平板を用いた消波機構における指向性 アクチュエータの境界要素法による性能解析
豪雨災害の被害予測に向けた土粒子‐流体‐構造の大規模連成解析の 国際標準V&V例題の確立
研究紹介:山形大学物理学科 宇宙物理研究グループ 柴田研究室
格子ボルツマン法によるリアルタイム物質拡散シミュレーション手法の開発
2016年夏までの成果:標準理論を超える新粒子の探索(その1) 緑:除外されたSUSY粒子の質量範囲 [TeV]
2017年夏までの成果:標準理論を超える新粒子の探索(その1) 緑:除外されたSUSY粒子の質量範囲 [TeV]
圧電素子を用いた 高エネルギー素粒子実験用小型電源の開発
背景 粒子法(SPH・MPSなど)は大規模流体シミュレーションなどで幅広く利用.一方で,手法の数学的正当化(数値解析)が不十分
? リー・ヤンの零点 これまでの格子QCD計算の結果 今年度の計画 リー・ヤンの零点分布から探る有限密度QCDにおける相構造の研究
従来研究 本研究 結果 南極大型大気レーダーPANSYで観測された大気重力波の数値モデル再現実験による力学特性の解明
大規模粒子法による大型クルーズ船の浸水解析
臨界温度比推定のために熱音響エンジンを 定常発振させる時変ゲインを用いた 定エネルギー制御系の安定性解析
北大MMCセミナー 第94回 附属社会創造数学センター主催 Date: 2019年1月25日(金) 16:30~18:00
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エアリード楽器および音響機器における大規模音響流体解析 jh180007-MDH 高橋公也(九州工業大学) エアリード楽器および音響機器における大規模音響流体解析 概要 本研究では、低マッハ数における流体音(空力音)発生機構の解明に向けた大規模解析を行う。特に、エッジトーンを音源とするリコーダー、 オルガンパイプ、オカリナ等のエアリード楽器の発音機構、木管楽器の音孔の開閉に伴う異音の発生機構、リード木管楽器マウスピース内 音圧の発生機構、エオルス音の発生機構、バスレフスピーカーのポートノイズの発生機構等の問題を取り扱う。低マッハ数における流体音 は、航空騒音等で問題となる高マッハ数の流体音と異なる特性を持つことが知られている。そこで、低マッハ数における流体音の発生メカ ニズムとその特性(例えば、流速と発生する音響エネルギーの関係)を明らかにするために、LESを用いた圧縮流体の高精度数値計算を行 い、流体音の基礎理論に基づく解析を行う。流体音の発生メカニズムの解明には大規模な3次元計算を行う必要がある。それに必要な大 規模並列解析の効率化とそれに伴うプレポスト処理および可視化の問題を解決を目指す。さらに、低マッハ数領域の圧縮流体の計算に必 要なOpenFOAMの開発改良を行う。 研究題目 1)エアリード楽器の3次元大規模計算に基づく発音機構の解明 3)音孔のトポロジー変化を伴う動的解析 木管楽器の音孔の開閉を再現するためには、トポロジー変化を伴う移動境界問題の解析が必要である。これに必要なOpenFOAMの動的メッシュソルバーを改良し、解析を行う。 目的に応じて3種類のモデルの解析を行う。 a)小型エアリード楽器の音響エネルギー発生領域の特定: Howeのエネルギー推論を用いて音源を特定する。この解析には音場の再現も必要であり、そのために音響ソルバーFDTDも併用する。 b)オルガンパイプのフット役割の解析:パイプを駆動するジェットは、フットと呼ばれる空気溜めから供給される。フットがヘルムホルツ共鳴器として働き発振の安定化に寄与する。 c) オカリナの3次元解析:オカリナはヘルムホルツ共鳴器を共鳴体として持ち、構造上横吹きの笛に近く、縦吹きの笛とは異なる流体音の発生機構があると考えられる。 音孔を閉じる瞬間の流速 音孔下部の圧力変化 オルガンパイプ 4)シングルリード木管楽器のマウスピース内の流体音響解析(新規課題) リード木管楽器のマウスピース内でどのようにして流体が音波に変わるかはまだ解明されていない重要な問題である。クラリネットマウスピースの3次元モデルの解析を行いこの問題の解決の糸口を探る。 管体内圧力 マウスピース内流速 小型エアリード楽器 オカリナ 2)LESおよびDNSを用いたエッジトーンおよびエオルス音の厳密解析 5)ポートノイズの3次元大規模解析 バスレフスピーカーのポートノイズの解析では、スピーカーの振動板の運動を再現するために、移動境界問題の解析が必要である。音孔の解析と同じ動的メッシュソルバーを用いて3次元モデルの解析を行う。 これまでに、エッジトーンおよびエオルス音の低レイノルズ数領域のDNSの解析にほぼ成功している。出来る限りレイノルズ数の高い領域でDNSの解析を行い、その領域でLESの精度検証を行い、エッジトーンおよびエオルス音における流速と放射エネルギーの関係を明らかにする。 ヘルムホルツ共鳴状態 中心軸上の圧力分布 エッジトーンの解析 内部 首 外部 副代表者  小林 泰三(帝京大、九大) 研究協力者 高見 利也(大分大), 小野 謙二 (九大), 服部 裕司 (東北大), 岩上 翔 (九工大), 桑原 拓也 (九工大), 松田 怜 (九工大),横山 博一 (九工大), 若狭 大輝 (九工大), 小岩屋 寿晃 (九工大), 岡田 紘彰 (九工大)