T-型量子細線レーザーにおける発振および発光の温度特性

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T-型量子細線レーザーにおける発振および発光の温度特性 東大物性研,ルーセント・ベル研A,コロンビア大B 渡邉紳一,早水裕平,高橋和,吉田正裕,秋山英文, L. N. PfeifferA,K. W. WestA,A. PinczukB [Outline] 高品質 T-型量子細線 (T-wire) レーザーの実現 単一 T-wire レーザーの実現 (早水ら、24pWE-3) T-wire レーザーの温度特性の理解 (本発表) (室温 T-wire レーザーへ向けて) (吉田ら、24pWE-1、高橋ら、24pWE-2)

Sample structure 20周期T-型多重量子細線レーザー構造 [110] [001] x の値= AlGaAs の Al 組成 T-wire (x 20) Arm-QW Stem-QW (x 20) [110] 第二成長 [001] 第一成長 x の値= AlGaAs の Al 組成

測定方法

低温弱励起発光スペクトル 一度Stem-QWで励起されたキャリアがT-wireに流れ込んで発光する。

T = 4 K, 30 Kのレーザー発振スペクトル T = 4 K T = 30 K T-wire Arm -QW Stem-QW T = 30 K では、T-wire の発振しきい値が下がる

T = 80 Kのレーザー発振スペクトル 発振しきい値: T=30 K と比べ、T-wire は増加、Arm-QW は減少 励起強度依存性: Arm-QWが発振すると T-wireの発振がとまる

発振しきい値の温度依存性 T > 83 K では、 T-wire は発振しない

室温 T-wire レーザーを実現するためには? ・T-wire と Arm-QW のエネルギー差を大きくする      → 構造の改善が必要 ・構造の損失を減らして、少ない利得で発振させる G ・G (Gain) > L (Loss) [発振条件] G ; 光閉じ込め係数

へき開面金コートによる、反射損失の低減化 へき開面両面の金コート 反射率が 30 % から ほぼ100 %へ

励起;パルス状 Ti:Sapphire レーザー T = 210 K での発振スペクトル 励起;パルス状 Ti:Sapphire レーザー 515 205 129 82 52 (th.) 33 21 13 T-wire Stem GaAs -QW Pump (mW) Power T-wire ピーク強度の 励起強度依存性

まとめ T-wire レーザー発振の温度依存性 ・T=4 K→30 K ; T-wire 発振しきい値の減少 Stem-QW から T-wire へのキャリアの流れ込み ・T > 30 K ; T-wire 発振しきい値の増加 T-wire から Arm-QW へのキャリアのしみだし 室温レーザーを実現するためには? T-wire と Arm-QW のエネルギー差を大きくする 損失を抑える ; へき開面の金コートが有効

各構造からの光放出強度の励起強度依存性 (T = 80 K) 両対数プロット 強励起下では、T-wire のキャリアが飽和し、Arm-QW を占有する。

レーザー発振波長の温度依存性 : cw-laser 励起 : pulse-laser 励起 : Bandgap Energy ● : cw-laser 励起 ▲ : pulse-laser 励起 : Bandgap Energy の温度変化(計算値) 発振起源はどの温度でも T-wire であると考えられる。