ASTE望遠鏡を用いたVLBI観測の ための超伝導230GHz帯受信機開発 このようなタイトルで発表させていただきます、大阪府立大学の木澤です。よろしくお願いします。 木澤 淳基 木村 公洋、松本 浩平、大西 利和、小川 英夫(大阪府大)、 岩下 浩幸、本間 希樹、川辺 良平(国立天文台)、 河野 孝太郎(東京大)
背景・目的 ASTEでサブミリVLBIに参加 そのための受信機の開発を行った。 高空間分解能VLBI観測によりブラック ホールの構造の解明 230GHz帯サブミリVLBIによる SgrA*の観測(Doeleman et al.2008) 2008年には230GHz帯でのサブミリVLBIによりSgrA*の観測が行われました。ASTEはこのVLBIネットワークに参入し、より高精度な観測を行うことを目標としており、 今回我々はASTE望遠鏡に搭載される高性能な受信機システムの設計、開発を行いましたので、そのことについて報告いたします。 ASTEでサブミリVLBIに参加 そのための受信機の開発を行った。 黄線 Doeleman et al.2008 の基線 赤線 ASTE参加により新たに増加する基線
受信機の設計 ATFで使用されたカートリッジ型受信機に改良を加える形で開発を行った。 受信機の仕様 受信機タイプ:φ170カートリッジ型 楕円鏡 1/4波長板 受信機の仕様 受信機タイプ:φ170カートリッジ型 周波数帯 :230GHz帯 ミクサー :DSBミクサー 受信機雑音 :45K@LO228GHz ホーン 平面鏡 この受信機は元々ATF、ALMA test facility で使用されていた直径170mmのカートリッジ型受信機を元に改良を加える形で行いました。光学系を従来の常温光学系から冷却光学系へと再設計を行いました。光学系の設計はガウシアン光学を用いて行い、物理光学手法によって評価を行いました。光学系が決定した後、新たに使用する光学系素子、楕円鏡とコルゲートホーンの設計を行いました。また元々直線偏波で観測していたものを、円偏波での観測が行えるように円偏波発生器として1/4波長板を新たに光学系に入れました。 CGC ミクサー 主な変更点 ○常温光学系から冷却光学系へ ○新しい光学系素子の開発 ○受信偏波を直線偏波から円偏波に
受信機の設計 光学系の変更により受信機レイアウトについても再設計を行った。 ○カートリッジの直径φ170mmに収まるよう光学系を設計 ○冷却時の熱収縮による光学系素子のオフセットを考慮 また、光学系はカートリッジの直系170mmと15Kシールドまでの高さ208mmに収まるように設計を行いました。光学系素子のホルダーの設計は冷却時の熱収縮によるオフセットを考慮に入れた上で設計を行いました。
完成した受信機 これが完成した受信機です。1/4波長板は楕円鏡上部に設置されています。クロスガイドカプラー、DSBミクサー、アイソレータ、HEMTアンプは従来の受信機からのものをそのまま使用しています。
受信機雑音の評価 搭載・試験観測 LO 220~228GHzで Trx 90K以下を、 LO 228GHzでTrx 45Kを達成 受信機雑音の評価をおこなったところ、LO周波数220から228GHzにおいて受信機雑音90Kを、またLO周波数228GHzにおいて受信機雑音45Kを達成しました。今年1月、受信機はASTEに搭載され惑星からの連続波を検出、ファーストライトを達成しました。 搭載・試験観測 UT 2010/01/27 09:19 2010年1月、受信機はASTEに搭載され、 惑星からの電波を受信、ファーストライト を達成した。
まとめ 今後の予定 ASTE搭載サブミリVLBI用の受信機の設計、開発を行った。 ○常温光学系から冷却光学系へ再設計 ○常温光学系から冷却光学系へ再設計 ・ガウシアン光学を用いて設計を行い、物理光学を用いて評価した。 ・カートリッジ内に収まるようレイアウトを変更 ○直線偏波から円偏波を観測できるよう改良 ・円偏波を発生させるために1/4波長板を挿入 ○受信機をASTEに搭載、ファーストライト達成 まとめです。今回我々はASTEに搭載する230GHz帯でサブミリVLBIを行うための受信機システムの設計、開発を行いました。主な開発点として一つ目に新たに冷却光学系を設計したこと。この光学系はガウシアン光学を用いて設計を行い、物理光学を用いて評価を行いました。また、カートリッジ内に光学系が収まるようにレイアウトを変更いたしました。二つ目に直線偏波から円偏波を発生させるために1/4波長板を新たに光学系に導入いたしました。受信機は今年1月にASTEに搭載されファーストライトを達成しました。今後は4月に本観測を行います。また、円偏波発生器として新たに導波管型のポーラライザーを開発し、両円偏波での観測を目指します。詳しくはポスターにて発表いたします。ありがとうございました。 今後の予定 ○4月に本観測を行う。 ○230GHz帯の導波管型ポーラライザーの開発を進め、 両円偏波での観測を目指す。