理化学研究所 仁科加速器研究センター 計測技術チーム 竹谷篤 高エネルギー・原子核分野での検出器技術 原子核分野・高エネルギーでの検出器技術 理化学研究所 仁科加速器研究センター 計測技術チーム 竹谷篤 検出器とは なにを測定するのか? 具体例 これからの展望 まとめ
検出器の重要性 物理 検出器 人間 自然現象を理解するために測定器が必要 新たな測定器の開発は新しい物理を切り開いてきた 望遠鏡 (1590) : ニュートン力学 (1600年代後半) 光速の測定(1873): 相対論 (1905, 1916) 高分解能での水素のスペクトラム分光 : 量子力学 ( 1925)
チャーム粒子の発見 74年にS.TingとB. Rchiterが独立に発見 76年にノーベル物理学 76年にノーベル物理学 Ting: 高エネルギー陽子を原子核標的にぶつけて、生成された電子-陽電子対の普遍質量を組む Tingが発見するまでに、かなりの実験グループが似たような実験(ミュオン対生成を含む)を行い、兆候は見えたとそうだが、質量分解能が悪くて、肩としか見えなかった。 J/f m+ m-
なにを見るか 検出器 反応 ~ mm : エマルジョン ~ cm : Si Tracker ~ m : Calrorimeter ~ 200MeV 入射粒子 検出器 陽子
測定すべきもの でてくる粒子の4元運動量を測定 出てくる粒子はなにか:粒子識別 質量 3元運動量 磁場中での飛跡 エネルギー 3元運動量 磁場中での飛跡 エネルギー 飛行時間測定 -> v/C ->エネルギー 位置、角度 出てくる粒子はなにか:粒子識別 電荷 Total E dE/dx チェレンコフ光、HBD、TRD 崩壊時間、崩壊距離
測定器の主な仕組み 粒子が物質に入射 粒子が検出器の物質と相互 なにかしらの信号を発生さる 信号を増幅 でてきたアナログ信号をデジタルに変換 なにかしらの信号を発生さる 信号を増幅 でてきたアナログ信号をデジタルに変換 コンピューターに取り込み、記録 デジタルデータを解析 -> 物理 人間 PC Digital signal 増幅器 アナログ-> デジタル変換 検出器 粒子
シリコン検出器とは 荷電粒子 センサー electrode e h P type N type ダイオード + - 電子 空乏層
シリコン検出器の特徴 高い dE/dx ( ~ 2MeV /(g/cm^2) ) e-h 対生成エネルギーが小さい 産業界で技術的蓄積 ガスを使った検出器に比べ固体なので、薄くできる e-h 対生成エネルギーが小さい 3.6 eV @シリコン, 13.6eV@水素 産業界で技術的蓄積 小さくて精巧なものが作れる。 巨大な数の読出しの検出器が可能 しかし増幅機能がない 低雑音の電子回路が必要
PHENIX ピクセル (センサーと読出し回路) Readout by ALICE_LHCB1 chip ピクセルごとの(プリアンプ+波高弁別器) バンプボンディングでセンサーと接続 10MHzのビーム衝突に同期して動作 ピクセルごとのパイプラインバッファー (深さ4msec) チップごとにFAST_ORとしてTトリガー信号を生成 L1 トリガー後の4 事象バッファー ピクセルサイズ( x z) 50 µm x 425 µm 厚さ 200mm r = 1.28cm, z = 1.36 cm (有感領域) 256 x 32 = 8192 チャンネル/ センサー 4チップ / センサー 4 センサー / モジュール 9
Pixel 読出し概要 60cm 読出しバス 総長さl < 60cm (70cm) 11cm センサー エクステンダー 10cm Half stave Bus (25cm ) + Extender (<35cm) 4*32 bit data bus is needed 10
シリコン飛跡検出器 内側2層 :ピクセル型 4 layers barrel structure 外側2層r :ストリップ型 ピクセルモジュール 22.7cm ストリップモジュール 高位置分解能 sDCA~ 100 mm 38.3cm 大立体角 : |h| < 1.2, 2p for f 2p for f |h| < 1.2 ピクセル型 r=5.0cm Dz=±10cm r=2.5cm Dz=±10cm ストリップ型 r=11.5cm Dz=±16cm r=16.5cm Dz=±19cm
典型的な検出器 磁場 L: 長さ カロリメーター 飛跡検出器 b = V/c = L/(t2-t1)/c E=P/b m2=E2+P2 シンチレーター 通過時間 =t2 シンチレーター 通過時間 = t1 P [MeV/c] = 3 * r[cm] * B[T] r: 曲率半径, B: 磁場 b = V/c = L/(t2-t1)/c E=P/b m2=E2+P2 4元運動量の決定
データ収集系 PCファーム パイプラインバッファー 検出器A ネットワーク ネットワーク 検出器B 検出器C 検出器D トリガー 大容量 記憶デバイス
PHENIX DAQ
ATLAS detector @ LHC
GARIS(Gas-filled Recoil Ion Separator) 理研 森田さん、森本さん提供 理研 超重元素探索用測定器 GARIS(Gas-filled Recoil Ion Separator) Detection system was installed in this detector chamber. In order to keep vacuum this chamber was sepaleted by myler foil. 大量のビームを標的にたたきこむ ビームラインで選別 検出器で崩壊の様子を観測し、未知の超重元素が既知の元素に壊れることを確認 16
焦点面検出器システム PSD 飛行時間測定 シリコン検出器 超重核子 6 cm α α 29.5 cm This is a focal plane detector installed in the detector chamber. The detector system consists of two TOF detectors and Silicon detector box. Fusion product is implanted in this PSD, mass information obtained in combination with TOF and the implantation energy. An alpha particle accompanied with alpha decay is detected by PSD or PSD with Side detector. The efficiency for decay alpha particle is about 85 %. 17
209Bi + 70Zn → 278113 + n CN CN a a 1st chain a a a a 2nd chain a a 36.75 MeV TOF 44.61 ns 30.33 mm 36.47 MeV TOF 45.69 ns 30.08 mm 209Bi + 70Zn → 278113 + n 278113 CN 278113 CN a a 1st chain 11.68 MeV (PSD) 344 μs 30.49 mm 11.52 MeV (PSD) 4.93 ms 30.16 mm 23-July-2004 18:55 (JST) 274Rg 274Rg a a 11.15 MeV 6.149+5.003 (PSD+SSD) 9.260 ms 30.40 mm 0.88+10.43=11.31 MeV (PSD+SSD) 34.3 ms 29.61 mm 270Mt 270Mt a a 2nd chain 10.03 MeV 1.136+8.894(PSD+SSD) 7.163 ms 29.79 mm 2.32 MeV (escape) 1.63 s 29.45 mm This figure shows the observed chains. We observed two decay chains with 240 Days of machine times. The decay chains consist of 4 alpha decays and ended by spontaneous fission of Db262. 113 to Mt are new isotopes, and Bh and Db are known isotopes already reported. In order to obtain high degree of internal redundancy, and also we expect to observe the alpha decay of Db262. Because it has about a half of possibility of alpha decay according to the literature. We will continue this experiment. OK, Lets compare the decay cains. The alpha enegies and decay time are like these. Mt of 2nd chain are escaped event. The decay energies of 266Bh have rather wide difference, in this case 700keV. But it is not inconsistent, because … --- 266Bh 266Bh 2-April-2005 2:18 (JST) a a 9.08 MeV (PSD) 2.469 s 30.91 mm 9.77 MeV (PSD) 1.31 s 29.65 mm Wilk et al. Phys. Rev. Lett.85(2000) 9.29±0.1 MeV 0.87 sec 262Db 262Db Table of Isotopes T1/2 34±4 sec S.F. ~33% : α~64% 204.05 MeV(PSD) 40.9 s 30.25 mm 192.32 MeV(PSD) 0.787 s 30.47 mm s.f. s.f. 18
将来への展望のキーワード 高分解能 高係数率化 耐放射線性 システム化 位置分解能 エネルギー分解能 (シャワー, Total E, DE…) 時間分解能 高係数率化 高強度のビーム 粒子多重度の事象 耐放射線性 低生成断面積事象の測定 ->高強度ビーム 取り換え可能か? システム化 複数の検出器の組み合わせ 複雑化
大規模化 高速化 DAQ大容量化 バックグラウンド除去 低価格化 国際化 稀な事象をさがすために大型の装置 稀な事象をさがすために大型の装置 対象となる粒子のエネルギーが高くなると大型化する 複数の検出器で同時に同じ事象を違った視点で計測 高速化 低生成断面積の事象の測定 ->高強度ビーム DAQ大容量化 大量のデータ処理 バックグラウンド除去 やってくる粒子を減らす 全部とってオンライン解析、オフライン解析で取り除く バックグラウンドに不感な検出器 低価格化 大規模化しても予算はかわらず 国際化 複数の研究機関だけではなく、国、大陸をまたいで、共同で開発 1か所でフルセットの開発建設部隊をかかえきれない
まとめ 検出器は物理現象の理解のために必要な道具 計測技術の発展が新しい物理を切り開く 対象に応じた検出器システムが必要 多様な検出器 共通要素も多い