大阪教育大学 教授 松本勝信 氏 宇部市渡辺翁記念会館 平成18年6月16日(金)

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大阪教育大学 教授 松本勝信 氏 宇部市渡辺翁記念会館 平成18年6月16日(金) 演題  生きる力をはぐくむ豊かな学校とは 大阪教育大学 教授 松本勝信 氏 宇部市渡辺翁記念会館 平成18年6月16日(金)

生きる力をはぐくむ豊かな学校 (1)生きる力 (2)生きる力の育ち方 (3)生きる力の違いと育て方の違い (4)生きる力の育ちの評価

授業の成立要素 学習者の変容(育てたい力) 学習活動 学習内容 評価

生きる力=未来志向の能力・態度 (1)目標設定力 (2)構想力 (3)実行力 (4)考察・吟味力 →問題解決力 ・価値判断・意志決定力   →問題解決力 ・価値判断・意志決定力 ・最後までやり抜く意志・意欲 ・自己判断・改善力

授業づくりと人間の育ち 人間の育ちは氷山 海面の上(見える姿:手足体、作品、言葉) →見える育ち(学力) →知識・技能        →見える育ち(学力)        →知識・技能 海面の下(見えにくい姿:心、見方、考え方)        →見えにくい育ち(学力)        →心、見方、考え方 育ち方が違う→育て方を変える必要       

人間の育ち 見える力 見えにくい学力 技能知識 正解は一つ 価値一元 ○× 数量化 序列化 育ち方 持たずに誕生 生後に吸収獲得 一人でも育つ 見えにくい学力 心、意欲(情意面) 見方、考え方 価値多元(多様) 望ましさ 数量化は困難 育ち方 持って生まれる 持っているものの修正 二人以上の同一体験

育ち方の違い→育て方を変える 知識・技能の育ち方 ↓ 持たずに誕生 生後に吸収・獲得 一人でも育つ 心・見方の育ち方 ↓ 持って生まれる 持っているものの修正 二人以上の同一体験

伝統的授業 やかん(発信者)とコップ(受信者) 学習者         教師 知らない できない (受信・再発信者) より多く 身につけている (発信者)

見えにくい学力の高め方 持って生まれた力を発揮する場の保障 →有効性・限界を確かめ、修正・改善(変える) ①二人以上の同一体験  →有効性・限界を確かめ、修正・改善(変える) ①二人以上の同一体験 ②発信:心、見方・考え方の発信の仕合 ③交流:有効性・限界の検討(磨き合い)  同じ(共有)→一体感・安心  違う(分有)→修正・改善の見直し検討

話し合いの見直し 育てたい力を左右 一つにまとめる話し合い 一つにまとめない話し合い 氷山の海面上、海面下 正解はただ一つ(知識・技能) 価値多元(心、見方、考え方) 違いとの出会いから、有効性・限界と修正・改善の検討

評価方法(何をいつ、いかに測定) 見える学力の方法は確立 見えにくい学力 いつ=単元の終了後いつでも可 いかに=ペーパーテスト、等 いつ=リアルタイム(on going) いかに=???(妥当性、信頼性)  →観察評価法  →自己申告(自己評価)  →他者申告(相互評価)

自己評価 受動的自己評価(従来型) 能動的自己評価(新しい自己評価) 教師主体の評価の補助資料(見えにくい学力) 観点を教師が設定(情意面中心) 選択肢(例:おおいに、まあまあ、・・・) 自己記述型(感想) 能動的自己評価(新しい自己評価) 子ども自身が評価主体者になる

2タイプの自己評価 受動的自己評価(従来型) 能動的自己評価(新しい自己評価) 評価目的 他者が設定 評価内容 他者が設定 評価目的 他者が設定 評価内容 他者が設定 評価観点 他者が設定 評価の仕方は選択肢からの選択 能動的自己評価(新しい自己評価) 評価目的、内容、観点、等の自己設定

能動的自己評価の手順 教師主体のステップ 授業目標の設定 授業設計と実態 子どもの実態把握 育ちの判断:十分? 改善策の検討 改善策の実行 実行(活動) 実態把握 目標の満足度の判断 改善策の検討 改善策の実行 (事例1、事例2)

事例(ワークシートの例) (1)課題 (2)計画 (3)解決できたこと、できなかったこと (4)上に書いた解決できたことできなかったことから次にしてみようと思うこと 解決できたこと 解決できなかったこと 新しい疑問 新たな解決のしかた

能動的自己評価で育つ力 ①自己判断力(望ましさの判断) ②学習への主体性(心構え)の高まり ③次に来る学習活動への意欲 ④友達理解の態度 ⑤自分理解の態度

心 生命尊重の心 人を思いやる心 物を大切にする心 伝統や文化を大切にする心 思い通りにならないことに耐えて乗り越える心 弱者に対する心

学ぶ満足感 本能的・生理的満足感 自己実現の満足感 社会的承認の満足感 第2,第3の満足感の量 ご褒美(欠乏動機の満足) できないことができるようになる 成長動機の満足 社会的承認の満足感 第2の満足感への一体感 第2,第3の満足感の量 →存在感、有能感、自信、意欲

この資料の作成について 謝 辞 講演内容を活用できるよう快く許諾いただいた大阪教育大学 教授 謝   辞 講演内容を活用できるよう快く許諾いただいた大阪教育大学 教授             松本勝信氏に感謝を意を表します。        また、当日、精細に講演内容を撮影していただいた宇部市教頭会の         皆様方ありがとうございました。 参考資料 宇部市教頭会によって撮影されたビデオ映像を元にパワーポイントの          データを作成しました。 資料作成 山口県公立学校教頭会事務局 作 成 日 平成18年6月25日 注意   この資料は、自校の校内研修等においてのみ利用可能です。他の目的で利用される場合は、教頭会事務局へご相談ください。また、何か不明瞭や間違いのある場合は事務局へ御連絡ください。よろしくお願いします。