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国際経済学 (4) 生産可能性曲線と比較優位 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2010 年 11 月 15 日.

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1 国際経済学 (4) 生産可能性曲線と比較優位 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2010 年 11 月 15 日

2 今日学ぶ事  比較優位の復習  生産可能性曲線 ( フロンティア )  直線の生産可能性曲線  上に凸な生産可能性曲線  限界変形率  収益逓減  生産可能性曲線を用いた比較優位 2010/11/152 国際経済学 4

3 比較優位の復習  何を輸入して何を輸出するかを説明  ある財は他の財に比べてどのくらい費用が かかるかを示す相対費用  日本と中国における今川焼きと杏仁豆腐の 貿易 2010/11/153 国際経済学 4

4 比較優位の復習 /2  ある財が他国と比べ相対的な費用が低い場 合にその国はその財に比較優位があると言 います  日本は今川焼き,中国は杏仁豆腐に比較優 位がある  ある国が特定の財のみを作ることを特化  比較優位のある財に特化して輸出する 2010/11/154 国際経済学 4

5 比較優位の復習 /3  その代り比較劣位にある財を輸入する  日本は今川焼きに特化し,中国は杏仁豆腐 に特化する.  半分ずつ作るよりも世界全体の生産増 2010/11/155 国際経済学 4

6 比較優位をもう一度  アメリカと日本  小麦とコンピュータのみを作っている  各財を 1 単位生産するための労働費用 アメリカ日本 コンピュータ 100120 小麦 58 2010/11/156 国際経済学 4

7 比較優位をもう一度 /2  小麦もコンピュータもアメリカの方が安く生 産可  つまりアメリカは絶対優位にあります  効率的なコンピュータ産業を持っているアメ リカは日本からコンピュータを輸入していま す.  一方,日本はアメリカから小麦を輸入してい る 2010/11/157 国際経済学 4

8 比較優位をもう一度 /3  この貿易を説明するのが比較優位です  日本の小麦の費用に対するコンピュータの相 対的な費用 120/8=15  アメリカの小麦の費用に対するコンピュータ の相対的な費用 100/5=20 2010/11/158 国際経済学 4

9 比較優位をもう一度 /4  日本での小麦 1 トン当たりの生産費と比較した コンピュータの 1 台当たりの相対的な生産費は アメリカでのコンピュータ 1 台当たりの生産費 よりも低くなっている.  このとき日本はコンピュータの生産に比較優 位を持っていると言います. 2010/11/159 国際経済学 4

10 生産可能性曲線  企業,個人,社会は様々な制約に直面  生産面のトレードオフを示すのが生産可能 性曲線 ( 生産可能性フロンティア )  ある財を沢山作れば,他の財を諦める必要  海で魚を捕れば山で猟をする時間が少なく なる  工場で自動車を作ればお米を作る農地が減 る 2010/11/1510 国際経済学 4

11 生産可能性曲線 /2  世の中には様々なトレードオフが存在  トレードオフとはあるものを選択するには 他のものを諦めなければならないこと.  生産可能曲線とは生産要素を効率的に使っ たときの生産物の組み合わせを図に表した もの  生産可能性曲線とはトレードオフを図解的 に示した曲線  海でサンマを捕るか,あるいは山でイノシ シを捕るかの選択 2010/11/1511 国際経済学 4

12 生産可能性曲線の例 2010/11/1512 国際経済学 4 イノシシ の数量 実行可能で効率的 な生産パターン 非効率的 な生産パ ターン 実現不可能 サンマ の数量 10 9 0 57 生産可能性フロンティア

13 一国のトレードオフ:米と自動車 2010/11/1513 国際経済学 4 自動車 の数量 ( 万台 ) 現実の生産パターン お米の数量 ( 万トン ) 2000 1800 0 5009001500 生産可能性フロンティア 1000 自動車を増やすにはお米を 減らさなければならない A B C

14 生産可能性曲線 /3  資源をすべてお米に費やせば 1500 万トンの 米  反対にすべての資源をクルマに費やせば 2000 万台のクルマが生産できます  そうした可能性の中で日本はお米を 900 万ト ン,自動車を 1000 万台生産 (A)  自動車を増産すれば米を減らす (B)  内側の点は非効率な生産 (C) 2010/11/1514 国際経済学 4

15 生産可能性曲線 /4  生産可能性曲線はどうやって作ることがで きるのか,なぜ2財しか考えないのかの疑 問が浮かぶかもしれません.  その作り方は経済学を深く学ぶと出て来る  ここでは比較優位のアイディアを印象的に 伝えるために2財のような簡単化を行った のです. 2010/11/1515 国際経済学 4

16 生産可能性曲線 /5  ここでは比較優位のアイディアを印象的に 伝えるために2財のような簡単化を行った のです.  現実は複雑ですがそれを簡単化して経済の エッセンスだけを取り出したモデルを考え る  経済を動かす重要な要因だけに焦点を絞っ た模範 2010/11/1516 国際経済学 4

17 生産可能性曲線の特徴 生産可能性曲線にはいくつかの特徴がありま す. 1. 右下がりである 2. 外側に向かって凸である  1 はトレードオフの関係を表します  2 は直線のケースもある 右下がりの直線はトレードオフが変化しない 右下がりで上に凸はトレードオフが変化する  単純な直線の生産可能性曲線を見る 真央は今川焼きとかき氷を生産している 2010/11/1517 国際経済学 4

18 喫茶マオの生産可能性曲線 2010/11/1518 国際経済学 4 かき氷 の数量 今川焼き の数量 18 0 39 傾き (-2) は 変化しない 6 6 12 今川焼きの変化 =6-9=-3 かき氷の変化 =6-0=6 傾き = =-2 6 -3 今川焼きの変化 =3-6=-3 かき氷の変化 =12-6=6 傾き = =-2 6 -3

19 生産の機会費用  機会費用とはあるものを選択するときに諦 めなければならないもの  かき氷を増やすための機会費用は減らさな ければならない今川焼きの個数  傾き -2 はかき氷 1 杯増やすには今川焼きを 2 個 諦める事を意味する  生産可能曲線の傾きの絶対値を限界変形率  限界変形率 marginal rate of transformation  限界変形率は MRT と省略 2010/11/15 国際経済学 4 19

20 収益逓減  上に凸な米と自動車の生産可能性曲線  生産によって機会費用が変化する  お米が増えれば増えるほど減らさなければ ならない自動車の台数は増えていきます  つまりお米を生産するほど自動車の生産を 減らさなければなりません  収益逓減-ある投入物の量を一単位増加さ せる結果として生産量は増加するが,その 増加分は次第に小さくなっていくことを表 す. 2010/11/1520 国際経済学 4

21 収益逓減 /2  最初はお米作りに長けた人が自動車生産か らお米生産へ移るでしょう  そのうちそのような人々がいなくなって, お米作りが不得意で自動車作りが上手い人 も移動する  そうすると減らさなければならない自動車 は増えます  生産は増加するが,その増加割合は減少 2010/11/1521 国際経済学 4

22 生産可能性曲線を用いた比較優位の説明  アメリカと中国が航空機と衣服を生産  もちろん,中国は衣服に比較優位を持って いる  二カ国の生産可能曲線を同じ図に描いてみ る 2010/11/1522 国際経済学 4

23 比較優位の説明 /2 2010/11/15 国際経済学 4 23 衣類 ( 着 ) 航空機 ( 機 ) 9000 0 100300 中国の生産可能性曲線 10000 200 20000 米国の生産可能性曲線 E E’ E’’

24 比較優位の説明 /3  まず E 点から始めましょう  中国は航空機を 100 機減らすことにより衣服 を 1 万着分増加させることができます  E→E’  それとは逆にアメリカが航空機を 100 機増産 した場合に減らさなければならない衣服は 1 千着分です  E→E’’ 2010/11/1524 国際経済学 4

25 比較優位の説明 /4  つまり,両国で航空機を減らすことなく 100-100=0  衣服を 9 千着増加させることができました 9000=10000-1000  つまり両国の生産のトレードオフが異なる 限り中国が衣服にアメリカが航空機に特化 するとこによって得をすることが分かりま す 2010/11/1525 国際経済学 4

26 比較優位の説明 /5  限界変形率 (MRT) は航空機を 1 機増やすには どれだけ衣服を減らさなければならないこ とを示します  限界変形率は生産可能性曲線の傾きの絶対 値に等しいことが分かります  中国の MRT > 米国の MRT  1 単位の航空機生産による諦めなければなら ない衣服の量は,中国の方が大きい 2010/11/1526 国際経済学 4

27 比較優位の説明 /6  つまりアメリカは航空機に比較優位をもつ  反対に中国は衣服に比較優位を持つ  限界変形率を知ることによって比較優位を 知ることができる 2010/11/1527 国際経済学 4

28 比較優位と特化  なぜ特化は生産性を向上させるのか  移動の時間の節約  同じ事を繰り返すことによる熟練  発明の基盤  分業 Division of labor 2010/11/1528 国際経済学 4

29 分業  習熟から発明へ  特化の限界  規格化された財  大量生産  繰り返しによる退屈  生産性の低下 2010/11/1529 国際経済学 4

30 何が比較優位を決めるのか  天然資源  取得した資源  優れた知識  特化 2010/11/1530 国際経済学 4


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