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Published byくにもと こいまる Modified 約 7 年前
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ここまでのまとめ 基本方程式 基本方程式に対しスケールアナリシスの“心眼”を使って どの項を無視し、どの項を残すのかを決めてあげる、
すると、見たい現象を記述できる方程式になる。
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ちょっとだけコリオリ力の復習 運動の軌跡 ある瞬間の速度 コリオリ力 コリオリ項を右辺に持ってゆく さらに、ラグランジュ形式で記述
v>0、即ち、北向きの速度であれば、 東向き流速uが増加する 東向き作用する力になっている。 流れの進行方向に対して右手方向に動かす力になっている。 コリオリ・シュート! コリオリ力
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地衡流 浅水方程式近似 したときの地衡流 (後ろの浅水近似 を参照) 時間スケールTが大きく、 空間スケールLが大きいこと 具体的には、
慣性周期よりも長く、慣性周期の間に流体が進む距離よりも大きなスケールを対象とする場合の近似になっている 条件:
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慣性振動 地衡流について考えたとき、時間変化項、移流項は小さいとして「無視」していた。「無視」の意味を考えよう。例えば、宇宙から地球を眺めるとしよう。地球を巡る雲の動きから大規模な風のパターンが分かるだろう。しかし、ビルの谷間に吹く風は認知できない。「認知できないこと」=「無視」である。大局的には、ビルの谷間の風が、大気大循環に大きな影響を及ぼすことはない。 しかし、ビルの谷間の風もなんとか分かるし、大規模な風も感じ取れるような微妙なスケールではどうなるのだろう? 時間微分項が無視できるかどうかは、 の大小関係で決まっており、
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とエイヤと判断し、方程式を単純化してバランスのエッセンスを取り出した。
ぐらいのときにどうなるのだろう? どれの項も無視できないじゃないかと考えるだろう。こんな時は、物事を2つに分けて考える。どう考えるのかと言うと、 などの変数を地衡流バランスしている成分と、していない成分に分けるのである。 gの付いているものは、地衡流バランスしている成分であり、 iのついていつものは、地衡流バランスしていない成分である。 ここで、地衡流バランスする圧力pgが支配的で、piは無視できる(認知できない)とすれば、
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変形すると、 これを地衡流以外の式に代入すると、 となる。この微分方程式の解は、 これは、よくみると、 等速円運動になっている!
等速円運動になっている! 回転台でボール転がしをしている動画を思い出してほしい。回転台に乗ってみれば、円運動していたよね。しかし、回転台の外から見ると単なる直線運動だった。これは、等速直線運動(慣性の法則:ニュートンの第一法則)を自転する地球に乗った人が見ていることに他ならない。コリオリ力が加わっているのに加速しない!ニュートンの第二法則(F=m×α)に反する! おかしい or 不思議だと思うでしょう。これは意味深で、加速しないからコリオリ力は見かけの力なのです。
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孫の手 2階微分項と微分しない項があり、微分しない項の係数がプラスの場合、振動方程式になる。 三角関数は2階微分すると符号が変わる! 一般的には、微分の階の差が2であるとき、 三角関数解(振動)になる。
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実際の 観測例1 (海洋) 北極海: 北緯74.5度 西経158度 水深138m の流速 ★ 138m深の流速; 黒:東西流速、灰:南北流速
2002年10月 平均流を差し引いた流速 ★ 生の流速 地衡流
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実際の観測例2(海氷)2003年8月16日~21日 慣性振動は流体でなくとも起こる。 海氷の場合、圧力勾配は掛からない。
従って、慣性振動は、“隣接する氷が押し合いへし合いしていなければ(自由に動ければ)”必ず起こる。 u0, v0 (u-u0 ), (v-v0) u, v + = 11.1km 11.5km
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夏(2003年8月16日~21日) 慣性振動あり 冬(2003年1月19日~20日) 慣性振動なし 2003年8月16日 の海氷密接度
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慣性振動のまとめ(カラクリ) コリオリ力だけを考えると、どのような運動をするのか考えてみよう!
初速度が与えられたあと、圧力勾配が無いような場合 圧力勾配項をカット! uだけの方程式、 vだけの方程式 にする 振動方程式 慣性振動の解(等速円運動)
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温度風の式(地衡流の変形) 地衡流の式 静水圧近似 温度風の式 ある深さの流速が分かっている場合、密度の空間分布が分かれば、
流速場は分かるという意味。CTD観測により水温、塩分を計測し、 密度を求めれば、流速計を使わずに流れが求められる。
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温度風関係式の導出の補足 テイラー展開
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密度一様の浅水方程式
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浅水(水平運動)方程式 右辺に現れるηは、水平位置(x,y)の関数であり、鉛直方向の位置には
関係しない。海面の盛り上がりだから、深さなんて関係しないよね。 だから、左辺は深さには関係なく成立。よって、zで微分している左辺の項はカット! 浅水(水平運動)方程式
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浅水連続方程式 浅水(水平運動)方程式
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浅水方程式の線形近似
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線形化された浅水方程式 なんやら、すごくシンプルな方程式になった。 水の“波”は、波高(水面の凸凹)が伝わる現象であるから、 波高を表すηだけの方程式にしてあげて、ηの振る舞い (解)を調べればよい。 次のページから、慣れ親しんでいる“水の波”(表面重力波) について考える。
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(2)海水の密度が一様であるとしたとき、流れの鉛直構造ははどうなるか?
浅水近似したときの地衡流の式 ⇒2点の水位差から流れが求められる 演習問題 ベーリング海峡はf=1.32×10-4(北緯65度)、重力加速度は9.8m/s2とする。 (1)ベーリング海峡は南北に開いた海峡で、北米大陸沿岸の水位はユーラシア大陸沿岸の水位よりも20cm高い。ベーリング海峡の幅が100kmであるとき、海峡を流れる流速を求めなさい。 (2)海水の密度が一様であるとしたとき、流れの鉛直構造ははどうなるか? (3)ベーリング海峡の水深が一様で40mであるとすると、そのとき、ベーリング海峡を通過する流量を求めなさい。1Sv=106m3/sとする。スベルドラップは偉大なる海洋物理学者。
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非回転系の重力波(f=0の場合) 波動方程式 波動方程式の解 振動数と波数の関係 位相速度 (非分散:cは波数k, lに依存しない)
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重力波の伝播と収束・発散
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回転系の重力波(慣性重力波) 波動方程式 波動方程式の解 振動数と波数の関係 位相速度 (分散性:cは波数k, lに依存)
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回転系重力波(慣性重力波)の解法の詳細 クセもの 次のページで 代入する ④
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慣性重力波の方程式 (非回転系の重力波の方程式)
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27.614度 30.000度 74.465度 85.765度
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バレンツ海での水温・塩分断面 Arctic Ocean Atlas for Winter Period (1948—1993年の平均値)
M2臨界緯度74.465付近で塩分断面に ドーム状(凸状)構造が見える。 M2潮汐と慣性振動の共鳴で海水運動 が強化され、混合が促進されている。 この断面 M2臨界緯度
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演習問題 【1】津波Ⅰ
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大洋の平均水深を船で観測しなくとも分かるだよ。
(1) 津波の伝播速度を導出しなさい。 (2) チリで地震が発生してから23時間45分後(85500秒後)に九州に津波が到来した。重力加速度(g)は10m/s2であるとし、震源地と九州間の水深が一定としたとき、その水深を求めなさい。 大洋の平均水深を船で観測しなくとも分かるだよ。 実際には、海の水深は分かっているから、どこかで地震が発生したする。地震波は海洋波よりも早く、即座にキャッチできる。その後の海洋波(津波)がいつ来るかも、自分で分かる。 チリから九州までの距離は 17100km であるとする。
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演習問題 【2】 津波Ⅱ A B (1) 日本海中部地震の津波到来時刻の等値線を見るとその間隔は一定ではないことに気づく。A領域では何故、津波到達時刻が遅くなっている。また、B領域では到着時刻の等時線の間隔が込んでいる。何故かについても述べよ。 (2) 日本海北部の日本海盆の水深は約3500mであることが読み取れる。一方、山陰沿岸域の水深は500mよりも浅いことは分かるが詳細は読み取ることができない。山陰沿岸域では等時線の間隔が日本海盆と比較して1/4になっている。浅水重力波の性質を利用して山陰沿岸域の水深を求めなさい。
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近年は、人工衛星で海面の凹凸を観測できるようになった
演習問題【3】地衡流Ⅰ 近年は、人工衛星で海面の凹凸を観測できるようになった 暖水塊 半径70km, 水位差30cm (1)A地点とB地点は140km離れており、水位の差は120cmである。水位の空間変化は一定としてA-B地点間の流速を求めなさい。コリオリパラメータfは北緯33度での値、 2Ωsin(33°)=7.9215×10-5を使いなさい。 (2)三陸沖で観測された暖水塊の流速を求めなさい。コリオリパラメータfは北緯40度での値 2Ωsin(40°)=9.349×10-5を使いなさい。 A地点 η=10cm B地点 η= 130cm
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船底に取り付けた多層音響式流向流速系(ADCP)で計測した流速
η=10cm B地点 η= 130cm
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演習問題【4】地衡流Ⅱ 下図は、2011年1月から2012年1月までの北半球対流圏上部(~約12km上空)の東西風速を示したものである。横軸は月、縦軸は緯度である。青色系は東向きの風(西風)、赤色系は西向きの風(東風)に対応する。中緯度帯の西風(偏西風)が最も強くなるのは1~2月であることが分かる。その理由について説明しなさい。図を描いて説明してよい。
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演習問題【5】津波Ⅲ 下表は、2011年3月11日に発生した津波の第一波の到達時刻と地震発生から到達時間を示したものである。津波のように、慣性周期よりも非常に短い時間で海面変位が生じるとき、コリオリ力は無視できる。以下の問いに答えなさい。 (1)館山市布良から横須賀までの距離が50kmで、水深が一定であるとしたとき、その水深を求めなさい。 (2)横浜と東京晴海の間の距離は25kmで水深は20mであるとき、東京晴海に津波の第一波が到達する時刻を求めなさい。 都道府県 津波観測点名 第一波 第一波が到達 するまでの時間 (分) 始まり 日 時 分 千葉県 館山市布良 11 15 24 38 神奈川県 横須賀 54 68 横浜 16 10 84 東京都 東京晴海 11 ? ?
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演習問題【6】総合 浅水近似、線形近似が可能で、密度が一様な海の場合、水平運動方程式、連続方程式は以下のように表される。ここで、fはコリオリパラメータ、u,v,,wはそれぞれ水平流速の東西成分、南北成分、鉛直成分で、ηは海面変位であり、海底から平均海面までの高さをHとする。以下の問いに答えなさい。
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(1) 回転の影響が無視できるための条件を示し、そのときの水平運動方程式を示しなさい。
(2) ③式から、海面変位ηの時間変化を表す式を導出し、海面変位が起こる理由について説明しなさい。 (3) (1)および(2)で導出した式より、波動方程式を導き、重力波の伝播速度を求めなさい。 (4) 地衡流(地衡風)の関係式を示し、地衡流(地衡風)が成立するための条件を、説明しなさい。 (5) 津軽海峡において、本州側の水位は北海道側の水位よりも0.5m高く、水位の傾斜度は一定であった。海峡の幅が100kmであるとき、海流は地衡流であるとし、その速度を求めなさい。但し、海水の密度は一定で、コリオリ・パラメータfは1.0×10-4 s-1、重力加速度gは10.0m/s2であるとする。
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