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Published byてるえ あみおか Modified 約 7 年前
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HACCP手法研修用教材 「肉用牛・乳用牛編」 企画・出版 社団法人 日本獣医師会 日 本 中 央 競 馬 会 特別振興資金助成事業
日 本 中 央 競 馬 会 特別振興資金助成事業 平成17年度 獣医師生涯研修事業 HACCP手法研修用教材 「肉用牛・乳用牛編」 企画・出版 社団法人 日本獣医師会
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はじめに リンク 「HACCP手法研修用教材検討小委員会」は2003年8月に発足し、「基礎編」、「採卵鶏編」、「ブロイラー編」、「養豚編」を作成してきたが、この「肉用牛・乳用牛編」をもって完結する。スタート時点では、BSE騒動がほぼ終わりかけた頃であり、1ヶ月前(7月1日)に食品安全委員会が設置されたこともあって、食品の安全性を巡る騒動は一段落すると期待していた。しかし、「安全と安心」という標語が広がるにつれて「ゼロ・リスク」思考が強くなり、ますます混迷が深まったという気すらする。この間の3年余にあった食の安全性あるいは食料生産に関連した主なことを挙げてみると、日本の食糧生産は一体全体どうなってしまうのか心配になってしまう。
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2003年 11月 コイヘルペスウイルス病発生 12月 米国でBSE牛第1頭目発生、米国産牛肉の輸入停止 2004年 1月 高病原性鳥インフルエンザ(H5N1型)発生 4月 「食品衛生法等の一部を改正する法律」施行、「と畜場法」および「食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律」を含む。 6月 生産情報公表豚肉の日本農林規格の制定 8月 豚コレラ擬似患畜発生 9月 「日本における牛海綿状脳症(BSE)対策についてー中間とりまとめ」 9月 飼養衛生管理基準 11月 鶏卵トレーサビリティ導入ガイドライン 2005年 7月 「食育基本法」施行 4月 「『食品安全のためのGAP』策定・普及マニュアル(初版)」 5月「我が国における牛海綿状脳症(BSE)対策に係る食品健康影響評価」 6月 関東地方における低病原性鳥インフルエンザ(H5N2亜型のA型)~ 8月 「農林水産省及び厚生労働省における食品の安全性に関するリスク管理の標準手順書」の発表 12月「米国及びカナダ産牛肉等に係る食品健康影響評価」 12月 米国産牛肉輸入再開 2006年 1月 米国産牛肉輸入再禁止 5月 食品中に残留する農薬、動物用医薬品等のポジティブリスト制導入
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そもそも、BSEの原因となった肉骨粉については酪農家の全く関知せぬことであり、専ら農水省の指導を掻い潜って英国を初めとする欧州から輸入した業者の問題である。鳥インフルエンザについても、野鳥などを含む感染経路を特定できるものではなく、養鶏農家は被害者である。しかし、「消費者(実態はメディアに登場するタカリヤ評論家)」から「生産者のモラル」を責め立てられて、BSEと高病原性鳥インフルエンザ騒動で10名余の自殺者が出てしまった。これが法治国家なのか? その中には獣医師も一人含まれており、「食の安全性」の名の下で「人権抑圧」が横行していることを容認しているばかりか、それを増幅する3年間ではなかったのか? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 個別要因を取り上げて「危ないか、危なくないか」を討議することも大切なのかも知れないが、それでは様々な健康障害要因に対する総合的取り組みが見えてこない。これが、「ゼロ・リスク」思考を助長する根源となっている。
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リ ス ク ∽ 危害・災害の発生確率 × 危害・災害の重大性 安全性 ∽ 利便性 ÷ リスク
ゼロ・リスクはあり得ない(「食品の品質と安全性システム」の付属文書2、FAO、1998)のであり、様々な健康障害要因によって実際に起きてきたこと、ならびに、これから起きるかも知れない確率を、相対的に評価することが要である。国民衛生において、どの要因が最も重大な健康障害を惹き起こしているのか、次にはどの要因か、後回しにせざるを得ないリスクが低い要因はどれか、を判断して政策決定しなければならない。「後回し」とすることは、費用との兼ね合いであり、安全性に関して費用対効果が考慮されないことが日本の致命的欠陥となっている。 リンク リ ス ク ∽ 危害・災害の発生確率 × 危害・災害の重大性 安全性 ∽ 利便性 ÷ リスク 安全性 ∽ 利便性 危害・災害の発生確率 × 危害・災害の重大性
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死亡の機会を0.000001増やすリスク 出典: Wilson(1990)
1.4本のタバコ 500mlのワイン 炭鉱での1時間滞在 炭鉱での3時間滞在 ニューヨークやボストンでの2日間滞在 5分間のカヌー乗船 自転車で10マイル(16km)走行 自動車で300マイル(483km)走行 ジェット機で1000マイル(1600km)飛行 ジェット機で6000マイル(9654km)飛行 休暇でニューヨークからデンバーに2ヶ月間居住 石またはブロック造りの建物に2ヶ月間居住 良心的病院で1枚の胸部X線写真撮影 喫煙者と2ヶ月生活 ピーナッツバターをスプーン40杯 マイアミの飲料水を1年間飲用 12オンス(340ml)のダイエットソーダ30本を飲用 戸外の典型的な原子力発電所の周辺で5年間居住 最近禁止されたプラスチックボトルの24オンス(680ml)の清涼飲料水1000本を飲用 ポリ塩化ビニール製造施設近辺で20年間居住 原子力発電所の20マイル(32km)以内に150年間居住 木炭で焼いたステーキ100枚の摂取 原子炉施設の5マイル(8km)以内に50年間居住した場合の事故のリスク 癌、心疾患 肝硬変 黒肺塵症 偶発事故 大気汚染 宇宙線による癌 自然放射能による癌 照射による癌 アフラトキシンBによる肝癌 クロロホルムによる癌 サッカリンによる癌 アクリロニトリル単量体による癌 塩化ビニールによる癌(1976年基準) ベンゾピレンによる癌 これらは、100万人に一人の死をもたらす同等のリスクである。この点が共通理解に達していない「科学立国日本」。この状態で「リスク分析」が通用するか? リンク
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毎日新聞 福岡賢正氏 「隠された風景:『死』の現場をあるく」(南風出版)を御一読下さい。
牛が関係する主な人畜共通感染症 日本の中では、島国の特権として他国から伝染病が侵入する危険性が比較的低いこと、野生動物種が少なく頭羽数も限られていることなどから、ヒトや家畜の伝染病は「100%」制御できて当然であると信じる風潮が蔓延っている。野生動物を含む自然保護運動が広がることは好ましいことであるが、こうした島国の特殊性を理解しておくことが大切である。すなわち、日本ではほぼ消えてしまった家畜の伝染病が、大陸では野生動物の間で流行しており、それがヒトや家畜への感染源となっていることを、獣医師は伝えなければならない。食の安全性において、様々な人畜共通感染症があることを正確に伝えないと、「100%安全」の神話がまかり通ることになる。テレビでBSE牛および変異型ヤコブ病患者の映像を繰り返し流したため、「世の中で最も恐ろしい病気」というイメージが刷り込まれてしまった。 JICA関係者から入手した発展途上国における狂犬病予防キャンペーン用の映像に、回復見込みのない狂犬病患者が手足を縛られてベッドで暴れている姿が何人も登場し、いっそのことこれを全国放映したらBSE問題の正しい理解が広まるのではとも考えた。肉と家畜が結び付かない状況で、「食の安全」を叫んでも虚しいだけである。 毎日新聞 福岡賢正氏 「隠された風景:『死』の現場をあるく」(南風出版)を御一読下さい。
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牛肉・牛乳の安全性確保に関する国際的取組み
3. 国際流通における自主基準と認証システム 法律は常識の最低限レベルを文章化したものである。というのは、一般社会で法律書を読んで行動しているヒトは稀であり、それでも犯罪行為を起こすことがほとんどないことから理解できよう。一般常識ではできない事項については、法律によって国家資格が定められており(たとえば運転免許証)、有資格者はその法律を読んで理解していなければならない。これと同様のことが、食品の国際流通においても当てはまり、様々な衛生レベルの国々が存在する中で貿易摩擦を防ぐために最小限の衛生水準を定めたものがグローバル・スタンダードである。したがって、それ以上の水準を望む購入者の要望に応えるために民間の認証システムがある。 国際標準化機構(ISO: International Organization for Standardization)は、電気製品業界が先行し、その他の工業界が加わってできたものである。日本国内においても、50サイクルと60サイクルの地域があり、一昔前は中部地方にあるフォッサマグナを跨いで引っ越すと電気製品が使えない状況であった。海外では200ボルトの国もあり、こうした事情は電気製品の国際流通の障害となるものであり、規格の統一が必要とされたからである。
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参考資料Ⅰ.米国関係 1. 全国家畜健康監視システム 肉牛編
参考資料Ⅰ.米国関係 1. 全国家畜健康監視システム 肉牛編 翻訳に際しての留意事項: 本書は米国でBSEが発生する前の調査成績であり、現時点の状態を示すものではなく、日本の現状と直接対比することは適切ではない。たとえば、個体識別に関して日本でのBSE発生後急速に進展したことを考えると、1999年の時点でどうだったのかを振り返る必要があろう。 ・・・・・・・・・・・ 本書から学んでいただきたいのは、系統的な実地調査に基づくデータを解析することによって政策が立案されていることであり、民間の経済活動を支援するやり方で安全性向上の方策を練り上げていることである。ホルモン剤使用に関しても、臆することなく調査事実を明らかにしている。除角など労働衛生や動物福祉に関する配慮、死体の処分方法などの環境問題への配慮など、食料生産を総合的に把握することが重要であり、「安心?」のための非科学的方策などは本書のどこにもない。家畜生産における種々の要因について科学的に解析してリスクを説明し、その軽減策(決してゼロ・リスクにはならない)について国民的理解を求める姿勢を学んでいただきたい。
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参考資料Ⅱ.EU関係 1.EurepGAP(ユーレップギャップ)
欧州小売業組合(Euro-Retailer Produce working group)が自らを護るために入荷する農産物についてGAPを定めたものである。もちろん、生産者はその基準を無視しても別の販売ルートを探せば良いだけのことであって、それに拘束されるものではない。しかし、「EurepGAPの包括的農業保証」の考え方は、まさに「食の安全」についての「包括的」なものであり、民間認証の手本とされるだけのことはある。「安全な持続的農業のための地球的規模での提携」というキャッチフレーズは、欧州の消費者の心を捉える力があると思われるが、日本では完全に無視されるだろう。「食の安全」に関する内容と理解度は、地域によって大きく異なる。・・・・・・ 民間認証においても、基礎となるのは法令で定められた基準であり、それに購買者の意向を踏まえた自主基準を上乗せしたものである。この際に、「全国家畜健康監視システム(NAHMS)」にあったような規則の不履行は、認証対象としないことで、間接的に法令の遵守を推進することになる。法令には罰則が規定されているが、それを適用するのは過度の場合であり、軽微な違反を取り締まるのが行政の役目ではない(たとえば、法定速度を超える車を全て停止させたら、道路は機能しないであろう)。他方、民間認証は全ての対象者を認証するものではなく、規則の厳格な適用を原則とする。
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農場と食品工場の違いを踏まえた記録への取組み
記録の意義、記録の継続 農畜産物生産履歴記帳運動(JA) 1.農薬や動物薬の安全使用基準に基づく適正な使用などにより、農畜産物の安全を確保する。 2.消費者や取引先に、農畜産物が適切な生産方法で生産されたことを証明する。 3.記帳結果について専門家等の助言を受け、生産方法の改善に役立てる。 事務労働者ではない生産者が記録を継続するのは、容易ではない。年末に買った日記帳がほとんど空白で翌年を迎えることは珍しくない。「継続意欲を保つ実利」を担保する社会システムが必要。 生産方法の改善 安全性の確保 取引先・消費者への説明 第三者認証の取得 第三者認証を取得することを目指して、当該機関の項目、様式を念頭に、できる項目から順次始める。 1. 記録すべき管理項目の厳選 2. 点検時の記入が容易な記録様式 3. 外部の検証に耐える 農場と食品工場の違いを踏まえた記録への取組み
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