第五課：木の葉の魚.

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1 第五課：木の葉の魚

2 リーフフィッシュはアマゾン川流域に分布し、水草や木の枝、落ち葉が多い水中に潜みます。枯葉の擬態をすることから「木の葉魚」とも呼ばれる。擬態は、外敵から守ると共に餌をとるためのもので、リーフフィッシュは餌を見つけると少しずつ近づき、口を広げ小魚を食べる姿は一見の価値がある。

3 本名：峰岸 直子（みねぎし なおこ）、1943年1月5日 年2月25日）は、日本の児童文学作家。幻想的作風だが、あくまで日本的な民話風の趣を持った作品が多く、晩年の作品では、死後の世界を意識した物が多いとする評価もある。没後も評価は高い。

4 童話とは、児童が読む、または親などの大人が幼年児童に読み聞かせる子ども向けの民話、伝説、神話、寓話（ぐうわ）、創作された物語等である。創作童話の多くは幼年、児童向けの短篇作品を指す。
童話の目的は、幼児期の子供が言葉や文字を学んだり、美的感覚、善悪の判断等の情操教育や想像力や価値観を育てること、また親子のコミュニケーション手段等である。 文学ジャンル

5 あなたは、子供のころ、おなじみのイソップ童話、アンデルセン童話、グリム童話などの世界に浸ったことがありますか？
裸の王様 ウサギと亀 白雪姫 あなたは、子供のころ、おなじみのイソップ童話、アンデルセン童話、グリム童話などの世界に浸ったことがありますか？

6 生き生きした表現 童話の特徴： 　童話は子供を対象に書かれる物語なので、内容にしても言葉の表現にしても、成人読者から見れば幼稚な一面がある。しかし、オノマトペなど、言葉が豊富に使われて作り出された物語の世界で、それらの言葉の吟味があるはずである。そういう言葉の効果を考えながら、一語一語の大切さに触れることは重要で、物語の登場人物の心理変化を読み取ることも大事である。

7 本文の構成： 1 2 3 不思議なお鍋 アイは初めてその不思議な鍋を使った。 アイはやたらに鍋を使った。
アイの一家は天罰（てんばつ）を受けた。

8 質問： 1、あの鍋はどんな鍋だか。なぜやたらに使ってはいけなかったのか。 （キーワード： 不思議、同じ数の海の魚が死ぬ）
　（キーワード：　不思議、同じ数の海の魚が死ぬ） 2、アイが二度目に焼き魚を作ったとき、どんな気持ちだったか。 　　（キーワード：救う、海の魚にすまない）

9 3、アイはなぜ心をくすぐられたか。それはどんな気持ちを表しているか。
（キーワード：　きれいな着物、美しくなる） 4、アイの母親がお出でお出でと優しい声で呼んでいるが、あなたはそれをどのように理解したか。自分なりの理解を言ってください。

10 　全体的に色彩が抑えている文章ですが、その中で着物の柄の描写だけ、ポッと明りが灯るような華やかさがあります。ほとほとと散っている椿の花、ぽってりとした赤い花びら。その美しさは貧しい生活をしてきたアイにとって、どれほどうれしかったことでしょう。われを忘れてしまうアイの気持ちがわかるでしょう。また、本文にいろいろなオノマトペが使われ、アイの気持ちを臨場感たっぷりに表している。

11 子供向けの童話や寓話などの文学ジャンルに、オノマトペが多用されるのが特徴である。オノマトペの形容で、人間の動作の核心や気持ちなどが生き生きと伝えられる。
感覚的 本文には、アイの動きや気持ちなどを表すオノマトペの例を挙げてください。

12 オノマトペがなし オノマトペがあり つまり、オノマトペは生き生きとした臨場感に溢れる描写を実現するのに不可欠な言語要素である。
例：　顔をすっぽり覆って、日焼けを防ぐ。（完全に　adv.） 　　　爪をやさしく、サクッと切る。（軽快的に　adv.） もし、一般的な語彙に置き換えられたら、どんな感じになる？ つまり、オノマトペは生き生きとした臨場感に溢れる描写を実現するのに不可欠な言語要素である。 オノマトペがなし オノマトペがあり 何の味がない、単純的、説明的 鮮明的、具体的なイメージ

13 「つるそば」「びっくりうどん店」「ぽかぽか亭」「ふうふう亭」
広　告 新聞の見出し 店　名 むかむかが抑えられる （胃薬の宣伝） こつこつでめきめき （通信教育の宣伝） どろどろからさらさらへの健康改革 （血液薬の宣伝） 日本報道を見てびっくり 友達と一緒にわくわく 国内も世界もいらいら 「つるそば」「びっくりうどん店」「ぽかぽか亭」「ふうふう亭」 　何れも簡潔な表現で、それを見た人がすぐにその内容が理解できるような具体的な描写力に富んでいる。

14 英語では、個別の動詞を使うことによって、動作そのものが特殊になっている。 例えば： laugh smile giggle guffaw
日本語では一般的な動作が擬音語、擬態語表現による形容で、特殊なものになっている。 例えば：（にこにこ、げらげら、にやにや）笑う 「オノマトペ」と依存関係

15 にこにこ 微笑む にこにこ 笑う ゆっくり 歩く 相互依存 一方依存 相互無依存 （いずれも独立して、一方だけで、叙述も成立する）
にこにこ　　　　　微笑む （いずれも独立して、一方だけで、叙述も成立する） 一方依存 にこにこ　　　　　笑う （前者によって、後者が決定される） ゆっくり　　　　　歩く 相互無依存 （こうした結合以外、お互いが広い範囲な他との結合を許す）

16 オノマトペ 擬音語 擬態語 擬容語 擬態語 擬声語 擬音語
非擬情語 擬情語 心理感情 身体感覚 （きりきり　ちくちく） （いらいら　どきどき）

17 形態的 [ABAB]の四音節「同音反復形」 「促音」が組み込まれたパタンー 「撥音」が組み込まれたパタンー 「り」音で終わるパタンー
反復感；繰り返し；持続性 [ABAB]の四音節「同音反復形」 急な終わり方；瞬時性 　「促音」が組み込まれたパタンー 共鳴感；響きの持続 「撥音」が組み込まれたパタンー 柔らかい；ゆっくりした感じ 　　　「り」音で終わるパタンー

18 ごろごろ ひらひら こつこつ むかむか １、学生として、ちゃんど学生らしく、 勉強すべきです。 ２、花びらが 飛んでいて、蝶みたいです。
ごろごろ　ひらひら　こつこつ　むかむか １、学生として、ちゃんど学生らしく、　　　　　勉強すべきです。 ２、花びらが　　　　飛んでいて、蝶みたいです。 ３、何か悪いもの食べたせいか、朝からずっと　　　　している。 ４、一日中、何もせずに、家で　　　　　していた。

19 こっそり かっ（と） どくんどくん １、あの人は怒りっぽいで、何か言われたら、ずぐ とする。 ２、恋はどんな感じかな～！心が だよね！
こっそり　かっ（と）　どくんどくん　 １、あの人は怒りっぽいで、何か言われたら、ずぐ　　　とする。 ２、恋はどんな感じかな～！心が　　　　　だよね！ ３、母は寝ているから、彼女を起こさないように、 　　　　部屋に 　　入っていった。

20 2、「ここだここだ。ここがわしらの家だ」とお姑さんが言いました。アイは目をぱちぱちさせて、「いい家ですね～～」。
ぼんやり 1、アイは、ぽかんと母親を見つめました。 2、「ここだここだ。ここがわしらの家だ」とお姑さんが言いました。アイは目をぱちぱちさせて、「いい家ですね～～」。 3、アイは海の神様への後ろめたさも里の母親の注意もさらりと忘れました。 まばたきする あっさり 　以上の「ぽかん」、「ぱちぱち」、「さらり」という三つのオノマトペはどういう意味ですか。これらのオノマトペによって、アイのどんな気持ちが表されているのでしょうか。

21 ここの「おどおど」はどういう意味でしょうか。
次の文を見てください！ 　今日ごろ、魚の焼けるにおいがするので、ちょっと寄ってみました。この飢饉に一体どこで魚を手に入れたのか、それを聞こうと思ってー、おどおどと諂う（へつらう）ように隣の人は言いました。 ここの「おどおど」はどういう意味でしょうか。 おずおず びくびく

22 おずおず／おどおど／びくびく [共通する意味] ★恐れなどのために、ためらい、落ち着かないさま。 〔おずおず〕 ▽おずおずと手を差し出す
[共通する意味] 　★恐れなどのために、ためらい、落ち着かないさま。 〔おずおず〕 ▽おずおずと手を差し出す 　　　　　　　 ▽おずおずと休暇を願い出る 　　　 〔おどおど〕 ▽おどおどせずにもっと自信を持ちなさい 　　　　　　　 ▽父親にどなられておどおどする 〔びくびく〕　 ▽びくびくしながら試験の発表を待つ 　　　　　　　 ▽悪事がいつばれるかと内心びくびくしていた 行動面 心理面 未発生 [対比表] …しながら裁判官の前に出る …と質問する 叱(しか)られて…する 叱られないかと… おずおず △ ○ － おどおど びくびく

23 1、この若い美しい婢女は、冷酷な主人夫婦の折檻 （ せっかん ） に逢 わないようにとおずおず働いているのであった。
2、杜陽は心配そうな眼をしておずおずとそれを見ていた。 3、こう黙られると、お作の心はますますおどおど する。 4、誠は、小心翼々の、甘い弱い、そうして多少、頭の鈍い、酒でも飲まなければ、人の顔も正視できない、 いわば、おどおどした劣った子である。 5、まさかそんなこともあるまいとは思いながら、びくびくしていました。 6、ことしの夏は再びそんな事の無いようにと、誰も彼もびくびくしている。

24 物事への描写： 1、すると、その家の戸ががらっと開いて、～。 2、鱸（すずき）が三匹じゅうじゅうと焼けていました。 3、三人はドドーッという無気味な音を聞きました。 4、天井がメリメリと鳴り、柱が揺れました。 5、そうして、カタリと戸を開けるとー～。 6、鍋の中にはカレイが三匹、ちょうどいい具合にこんがりと焼けていたのです。 7、海の水が、ゆらゆらと家の中に溢れこんで来る～。 1～5は　擬音語である 6～7は　擬態語である

25 例：それは白地に、椿の花がほとほとと散っている着物でした。
ほとんど 非常に 「ぼつぼつ」　と　「ぼちぼち」 例：（点々と散在する〕点点滴滴;稀稀落落. 広い野原に民家がぼつぼつ建っている／在旷野里稀稀落落地盖有民房。 切符にぼちぼちと点が打ってある。 ／在票上零零星星打着一些点。 （物事の進行が僅かで緩慢な様） ぼつぼつ／ぼちぼち出かけようか。 ぼちぼち ある事象になるか、ならないかという微妙な時期や感じを表す。 甲：その店の料理、おいしい？ 乙：ま、ぼちぼちですね！ 甲：ところで、彼女できたの？ 乙：ま、ぼちぼちですね。

26 宮沢賢治（みやざわけんじ）：日本の詩人、童話作家、 教師、農業技術指導者、地質学者、水彩画家。
どんな文芸作品でもオノマトペ抜きには書けないが、まず、ことさら効果的に多用して有名なのは宮沢賢治の童話であると考えられる。童話は子供が読むから、論理的な厳密さでなく、直観に直ちに訴えるオノマトペがしきりに使われるが、賢治童話にはとりわけさまざまなオノマトペが散りばめてあります。 　宮沢賢治（みやざわけんじ）：日本の詩人、童話作家、 教師、農業技術指導者、地質学者、水彩画家。　

27 臨時オノマトペ 臨時オノマトペは、慣習的なオノマトペの音韻形態と異なる特殊な形態（逸脱形、変異形）である。作者は個人的な角度から見たり、捉えたりする形態や音を表すのである。 『銀河鉄道の夜』（ぎんがてつどうのよる）：　孤独な少年ジョバンニが、友人カムパネルラと銀河鉄道の旅をする物語で、宮沢賢治童話の代表作の一つとされている。 『風の又三郎』（かぜのまたさぶろう）： 　谷川の岸の小さな小学校に、ある風の強い日、不思議な少年が転校してくる。少年は地元の子供たちに風の神の子ではないかという疑念とともに受け入れられ、さまざまな刺激的行動の末に去っていく。その間の村の子供たちの心象風景を現実と幻想の交錯として描いた物語。

28 特徴 例： 1、中にはまだ昼なのに電燈がついてたくさんの輪転器がばたりばたりと回る。
2、気がついてみると、さっきから、ごとごとごとごと、ジョバンニの乗っている小さな列車が走りつづけていたのでした。 3、どっどど　どどうど　どどうど　どどう、青いくるみも吹きとばせ、すっぱいかりんも吹きとばせ、どっどど　どどうど　どどうど　どどう 4、空がまっ白に光って、ぐるぐる回り、そのこちらを薄いねずみ色の雲が、速く速く走っています。そしてカンカン鳴っています。 いずれも繰り返し形が多いでしょう！ 特徴

29 注意：　オノマトペには、繰り返し形といったパターンが圧倒的に多いである。繰り返し形を使って、相手に動作や状態の連続感や具体的なイメージを持たせやすい。文全体の躍動感が高まる。
進んでいった鹿は、四本の足を引きしめ引きしめ、そろりそろりと近づいて行きました。 質問 もちろん、「引きしめ引きしめ」はオノマトペではないが、「そろりそろり」と対句のようになって、これも言葉の感触がどこかしらオノマトペ的であり、オノマトペ的な効果を得られると言えよう。 　いずれも繰り返し形であるが、「そろりそろり」と使ってあって、動作の核心をオノマトペが伝え、生き生きと様子が分かる。では、「引きしめ引きしめ」はどうでしょう？

30 特徴 1、鹿の五匹がみんなことりことりとお互いに頷き合っていました。 逸脱形 個人的な使い方
　　　逸脱形 個人的な使い方 特徴 1、鹿の五匹がみんなことりことりとお互いに頷き合っていました。 2、眼がしんしんと痛む。　　3、足がわくわく震える。 4、そっこりと近づいてきた。　5、本当にきごきごの人だね！ 「ことりことり」は普通は擬音語だから、「うなずく」様子には一般的には付かない。それをあえて強引に連結することで鹿がうなづき合うとき、角が触れ合う、その音のイメージを喚起する。人間でなく、ほかの動物でなく、いかにも鹿が頷き合うイメージが「ことりことり」で浮かんでくる。 擬音語 　　↓ 擬態語 どこが変だと思う？あるいは、どこが慣習的な表現と逸脱？

31 漫画におけるオノマトペ 　インパクトを求め、読者の視覚に訴える漫画という表現形式においては、オノマトペがあらゆる場面で使われている。噴出しの字をだんだん大きくしていったり、画面一杯に太い字で書いたり、時に画面からはみだしたり、また字体をいろいろ工夫したりして、生き生きとした臨場感に溢れる効果を与えているのである。次の引用例（青山剛昌『名探偵コナン』）を見ていよう。

32 （きゃー：驚き、恐れのため、高く叫ぶ声；様）
（ドックン：他から、際立って一瞬高鳴る音；様） （ドシャ：多量の雨あるいは重量感のある物が　　（クルクル：物が軽やかに続いて回る様子）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 勢いよく落ちる音。また、そのさま）