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廃棄物の処理とリサイクルにおける環境問題とその対応
平成21年5月15日 第3回 TS-net 環境セミナー 廃棄物の処理とリサイクルにおける環境問題とその対応 国立環境研究所客員研究員 安田 憲二
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廃棄物処理における環境問題 地球温暖化 ダイオキシン類による汚染 アスベストによる汚染 水銀などによる重金属汚染
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ダイオキシン類対策特別措置法の概要 平成12年1月15日施行
法律の概要 (2)排出ガス及び排出水に関する規制 ①排出基準、②大気総量規制など (3)廃棄物焼却炉の係わるばいじん・焼却灰等の処理など (4)汚染土壌に係わる措置 (5)国の計画 (6)汚染状況の調査・測定義務
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日本におけるダイオキシン類の規制 媒 体 処理能力 4t/h以上 2t/h以上4t/h未満 2t/h未満 ― 排ガス 排水 ばいじん等
媒 体 処理能力 H 以前に設置した施設 H 以後に設置した施設 排ガス 4t/h以上 5ng-TEQ/m3 0.1ng-TEQ/m3 2t/h以上4t/h未満 1ng-TEQ/m3 2t/h未満 10ng-TEQ/m3 排水 ― 10pg-TEQ/L ばいじん等 3ng-TEQ/g
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廃棄物焼却施設の構造・維持管理
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ダイオキシン類の排出に関する新たな問題 ★地球温暖化対策として、発電等の廃熱利用の推進
★廃熱ボイラーの利用により、ダイオキシン類の二次生成(de-novo合成)が生じやすい条件になる ★飛灰中ダイオキシン類濃度が増加するとともに、ガス状のダイオキシ ン類が生成してバグフィルターによる除去率が低下
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調査施設のフローと試料採取位置 消石灰、活性炭の噴霧場所 飛灰 プラント A :産業廃棄物焼却炉 飛灰 消石灰の噴霧場所
:試料採取位置 消石灰、活性炭の噴霧場所 焼却炉 ボイラ ガス冷却 ガス冷却 バグフィルタ 煙突 飛灰 プラント A :産業廃棄物焼却炉 電気 集じん装置 焼却炉 ガス冷却 触媒 煙突 煙突 飛灰 消石灰の噴霧場所 プラント B :都市ごみ焼却炉 調査施設のフローと試料採取位置
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プラントBにおけるダイオキシン類のマス・バランス
EP出口側におけるダイオキシン類排出量: 1.01mg/h EP出口側におけるダイオキシン類排出量: 6.83mg/h EP 飛灰中のダイオキシン類排出量: 6.8mg/h 飛灰からのDXNs排出量:45μg-TEQ/t 焼却量:2.67t/h (4時間平均値) プラントBにおけるダイオキシン類のマス・バランス
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日本における水銀排出規制の状況 固定発生源からの水銀の排ガス排出基準は、まだ未規制である。(京都市などでは条例化)
水銀の環境基準は設定されておらず、指針値として 0.04 μg/m3(年平均値)が提案されている。(ちなみに、ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタンおよびダイオキシン類は環境基準が設定されている。)
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水銀測定 二次燃焼室 排ガス冷却器 ごみ投入 バグフィルタ 焼却炉 煙突 活性炭噴霧 医療廃棄物焼却炉(MWI)の施設フロー
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医療廃棄物焼却炉のダイオシン類測定結果 測定 No. 1 2 3 4 5 800~ 880 380~ 860 860~ 900 500~
炉出口温度 (℃) 800~ 880 380~ 860 860~ 900 500~ 300~ 780 DXNs濃度1) (ng-TEQ/m3N) 1,300 1,100 740 190 850 DXNs濃度2) 1,200 960 710 50 720 注)DXNs1) BF入口側で測定した毒性等価濃度(O2 12%換算値) DXNs2) BF入口側で測定した毒性等価濃度(O2 12%換算値)
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BF出口側でダイオキシン類濃度が高い理由
であるため、内部でde-novo合成が生じた ★de-novo合成で生じるダイオキシン類は80%以上がガス 状であるため、BFによるダイオキシン類の除去率が低い ★活性炭を噴霧していないBFでは、ダイオキシン類の除 去率は10%前後と非常に低い ★活性炭を噴霧しても、除去率は50~60%程度である ★対策としては、ガス状物の除去率が高い触媒塔や活性 炭吸着塔の設置が望ましい
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都市ごみ焼却炉からの水銀排出濃度の変遷 ~1990年 0.3 mg/m3N 前後 1991年春 マンガン電池の水銀使用中止
1991年春 マンガン電池の水銀使用中止 1992年1月 アルカリ電池の水銀使用中止 1995年末 水銀電池の生産中止(国内) 1995年 0.1 mg/m3N 前後 1995年以降 mg/m3N 前後
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欧州における水銀排出規制の状況 水 銀 0.05 Hg/Cd 0.1 カドミウム (mg/m3N) 国 名 廃棄物の種類 既設or新設炉
国 名 廃棄物の種類 既設or新設炉 ド イ ツ 全廃棄物 既設+新設 オランダ 有害/都市 オーストリア 新設炉 ス イ ス 既設/新設 水 銀 (mg/m3N) 0.05 Hg/Cd 0.1 カドミウム
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米国における焼却炉排出規制の状況 規制項目 既設の焼却炉 新設の焼却炉 Hg (mg/m3N) 0.05 Cd、Pb 0.270 0.062
As、Be、Cr、Sb 0.210 0.060
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日本における廃棄物焼却炉からの水銀排出状況
★都市ごみ焼却炉、汚泥焼却炉からの水銀排出濃度は、 それぞれ0.005、0.010mg/m3Nであり、ダイオキシン類 特措法に対応した施設では水銀濃度はきわめて低い ★これらの施設に対して、灰溶融炉、医療廃棄物焼却炉 およびシュレッダーダスト分解炉では、水銀の排出濃 度が高いため、BF+活性炭噴霧、活性炭吸着塔など を設置していないと出口側での排出濃度が高くなる
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水銀の測定 排ガス冷却器 灰投入コンベヤ 溶融排ガス燃焼炉 バグフィルタ 灰溶融炉 灰溶融炉(AMF)の施設フロー
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バグフィルタ前後におけるHg2+の排出濃度
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自動車シュレッダーダスト(ASR)分解炉の施設フロー
水銀の測定 バグフィルタ ダイオキシン吸着塔 Ca(OH)2 , 活性炭噴霧 ごみピット 焼却炉 排ガス冷却塔 スクラバー 煙突 自動車シュレッダーダスト(ASR)分解炉の施設フロー
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バグフィルタ前後におけるHg2+の排出濃度
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水銀測定 二次燃焼室 排ガス冷却器 ごみ投入 バグフィルタ 焼却炉 煙突 活性炭噴霧 医療廃棄物焼却炉(MWI)の施設フロー
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バグフィルタ前後におけるHg2+の排出濃度
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リサイクルにおける環境問題 建設廃材の資源化と問題点 廃蛍光灯の資源化と問題点 リサイクル施設からの残渣と問題点
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建設廃材の資源化 建設解体数の増加により、建設解体廃棄物の発生量が2010年には、1995年の4倍程度まで増加すると予想されている。
「建設リサイクル法」により、2010年までに建設木材の資源化率を95%まで高める必要がある。(現在は40%弱) 建設リサイクル促進に関連する通達(経済産業省)により、CCA処理木材の分離・選別が求められている。
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出典:解体・リサイクル制度研究会報告、平成10年10月
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環告13号法によるCCA処理木材の溶出試験結果(mg/L) As T-Cr Cu
溶出濃度 溶出率 (mg/L) (%) 試料 1 CCA系 No.1 No.3 No.4 No.2 2 CCA系 No.2 一般木材 No.2(粉体) 注)赤字は基準値を超えたもの
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CCA処理木材を分別しないで利用した場合の問題点
★破砕木材を燃料として利用している施設では、焼却灰、 飛灰中のCr、As濃度が高くなるとの報告あり ★マテリアルリサイクルした場合、製品からAs、Crが溶出 される恐れあり リサイクル製品の安全管理上、問題あり ★家畜の敷きわらとして利用すると家畜が食べるため、食 品衛生の面から大きな問題
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廃蛍光灯リサイクルの意義(1) 白熱電球は、消費電力のうち可視光線になるのは1割足らずで、9割以上は熱や赤外線となって周囲を暖めるだけである
小型蛍光灯電球は、白熱電球と同量の光を発するが、消費電力の25%くらいが光となることから、電力消費量はたったの4分の1である
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廃蛍光灯リサイクルの意義(2) また、蛍光灯は白熱電球に比べると光(光束)が4~5倍、光管の寿命も5~10倍も長い
このため、省エネルギーの必要性から、今後も蛍光灯の利用率は増加すると見込まれる しかし、一般的な40W直管型蛍光灯で1本当たり約5mgの水銀が含まれている
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廃蛍光灯リサイクルの意義(3) 年間約3億7千万個の蛍光管が使用済みとなって処分されている(約65,000t)
廃蛍光灯リサイクルの意義(3) 年間約3億7千万個の蛍光管が使用済みとなって処分されている(約65,000t) 一般廃棄物経路からの排出量は約41,000t(63%)、産業廃棄物経路では約24,000t (37%) 現状では、一般廃棄物と産業廃棄物を合わせて約10,000t(約15%)が分別回収されていると推測
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廃蛍光灯リサイクルにおける問題点 ★現状でも、リサイクルされている割合が低い ★リサイクル施設が偏在しているため、多くの場合蛍光
灯を破砕して運搬している ★米国環境保護庁(U.S.EPA)の報告では、蛍光灯に含 まれている水銀の80%程度が破砕により環境中に 放出されている ★国内における水銀消費量が大幅に減少しているため、 回収した水銀の需要がそれほど多くない ★水銀を含まない照明灯の開発、LEDの用途拡大
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リサイクル施設等における残渣の発生場所 流 通 消 費 回 収 選別・分別 再資源化 残 渣 残 渣
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<リサイクル施設の選別・分別> ①分別区分数による比較
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②分別品目による比較
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③収集方法による比較
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リサイクル施設における残渣の発生 ★法が施行された当初と比べて残渣量は減少している が、現状でも20%~40%程度の残渣が発生
★特にその他プラスチックでは、50%が残渣として発生 している ★製品によっては、有害金属を含む残渣が発生する ★現在はマテリアルリサイクルが優先されているが、残 渣を減らすためには別の用途にも利用できるようにす べきでは
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生ごみのメタン発酵施設からの残渣 生ごみの搬入 ガス利用設備 (電気、熱) メタン発酵 設備 廃水処理 設備 発酵不適物 (ポリ袋等)
前処理設備 (破袋・破砕) メタン発酵 設備 廃水処理 設備 発酵不適物 (ポリ袋等) 余剰汚泥 (残渣)
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生ごみのメタン発酵施設からの残渣 前処理設備からの残渣発生割合
①個別収集など、生ごみを最大限分別収集した場合は、5 ~10%(廃プラが主体) ②分別の状態が悪い場合は、30%程度まで増加 ③可燃物との混合収集では、60%程度まで増加 水処理設備からの残渣発生割合 ①乾式の場合は水処理の必要がない(0%) ②湿式で、下水道放流する場合、10%程度 ③湿式で、下水道放流しない場合、20%強 ④液肥を利用する場合でも、通年利用は無理なので、残渣が発生する
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古紙再生に伴う残渣の発生状況 古紙の回収 選別・分別 製紙工程 廃水処理設備 パルパー工程での残渣 ポリ袋等の残渣 余剰汚泥
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古紙再生に伴う残渣の発生状況 選別・分別工程からの残渣の発生 手選別で行っており、重量比で1~2%程度 製紙工程からの残渣の発生(重量比)
手選別で行っており、重量比で1~2%程度 製紙工程からの残渣の発生(重量比) 使用する原料の種類、工場の取り組み状況で異なる ①段ボールの原料紙製造では、5%程度 ②新聞紙を原料とした場合、10~15%程度 ③雑誌を原料とした場合、30~40%程度
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廃自動車のリサイクル 現在、年間500万台の自動車が廃車となっており、このうちの400万台がリサイクルの対象となる。
廃自動車の破砕により、重量比で約30%がシュレッダーダストとして排出されている。 自動車リサイクル法により、シュレッダーダストの焼却処理と熱利用が認められているが、ガラス成分が多いため約40%の焼却残渣が発生する。
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