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Published byなつき なみこし Modified 約 7 年前
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湯田ミノリ minori@csis.u-tokyo.ac.jp
2010年10月20日 第5章 空間データの視覚的伝達 1. 視覚的伝達 湯田ミノリ
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ここで学ぶこと 視覚的伝達 について学びます. 空間データと地図 視覚 とは 地図と情報伝達 地図の情報伝達が適切に機能するには
について学びます. ここでは,視覚的伝達について学びます. まず, 空間データとその表現手段としての地図について, 視覚とは何か, 視覚表現としての地図 と情報伝達, そして地図が適切に情報伝えるものとして機能するには, について学びます .
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空間データとは 現実空間と対応づけられている位置情報を持っているデータ 北海道 563 青森県 144 岩手県 139 宮城県 236
現実空間と対応づけられている位置情報を持っているデータ 位置情報 2005年人口(万人) 北海道 563 青森県 144 岩手県 139 宮城県 236 秋田県 115 ・・・ 空間データとは,現実空間と対応付けられている位置情報を持っているデータを言います. 例えば,「北海道」,「青森県」「秋田県」という言葉は,それそのものが地球上の,日本のある特定のエリアを表現していますね. つまり,これらの語は位置情報を持っていると言えます.そして,この空間データについては,その場所を表す言葉と,他の属性,ここでは人口のデータが出ていますが,これら人口のデータが結びつくことで,それだけの人口を有するエリアの広がりを表すデータだ,と私たちは理解します.
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空間データとは 現実空間と対応づけられている位置情報を持っているデータ 位置情報 これも位置情報 緯度 経度 35.658703
現実空間と対応づけられている位置情報を持っているデータ 位置情報 緯度 経度 住所 東京都港区 芝公園4-2-8 位置情報というのは,先ほどの都道府県のような,または国のような広い領域を表すこともありますし,ここに表したような緯度経度や何丁目何番地という,地球上のある特定の点を表すものもあります. ここで示している緯度経度,住所は,いずれも東京タワーを表しています.一つの場所を表現する方法も,いろいろあります. これも位置情報
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どの表現が分かりやすい? 北海道 563 青森県 144 岩手県 139 宮城県 236 秋田県 115 ・・・ 熊本県 184 大分県
データを反映させたグラフ データだけ 2005年人口(万人) 北海道 563 青森県 144 岩手県 139 宮城県 236 秋田県 115 ・・・ 熊本県 184 大分県 121 宮崎県 鹿児島県 175 沖縄県 136 データを反映させた地図 さて,空間データは,位置情報を含む,たくさんの数字の集合体と言えます. 空間データは,どのような表現を使うと,分かりやすいでしょうか.
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データだけだと・・・ 北海道 563 青森県 144 岩手県 139 宮城県 236 秋田県 115 ・・・ 大分県 121 宮崎県
2005年人口(万人) 北海道 563 青森県 144 岩手県 139 宮城県 236 秋田県 115 ・・・ 大分県 121 宮崎県 鹿児島県 175 沖縄県 136 これらの場所がすぐにわからない 数字だけ見ても実感がわかない データの一覧だけだと,せっかく位置情報が含まれていても,その位置情報が示す場所がどこか分からなければ, どこにそのような現象が見られるのかが分かりませんし,その数の大小をみても,どのくらいその数字に差があるのかもぱっと見では分かりません. そして,なぜそのような結果になるのか,実感を持って理解することができません.
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空間的な分布などはすぐにイメージできない
それではグラフは? ではグラフはどうでしょうか. 視覚的に,どの都道府県に多く見られる,というのは分かります. しかし,位置情報が示す場所が分からなければ,この多く見られる,少なく見られるという現象は,ある場所に集中しているのか,分散しているのかも分かりません. どこが多いかは分かるけど 空間的な分布などはすぐにイメージできない
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どこにどのくらい集中しているかが感覚的に分かる
地図は! どこにどのくらい集中しているかが感覚的に分かる しかし,地図を使うと,何が,どこに,どのくらい集中しているのかが,直感的にわかります.
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空間データの表現方法 空間データは 視覚的に表現したほうが分かりやすい しかも位置情報を持つため,地図と対応させて表現するのが一番直截的
つまり,位置情報を持つ空間データは,視覚的に,特に地図と対応させることで,そのデータの持つ特徴や傾向を表現することが可能になります.
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地図とは? 現実空間の縮小モデル では「地図」とは一体何でしょうか. 地図とは,現実空間の縮小モデルです.
意味を持つ記号を用いて,現実世界を省略しながら,また(地図の制作者が思う)大事な要素を誇張しながら,地図は作成されます. 現実空間の縮小モデル
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地図とは? 図形として平面上に空間データを視覚的に表現したもの
1:25,000地形図 「山梨」 地図は,図形として平面上に空間データを視覚的に表現したものと言うこともできます.
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これも地図?地図です。 平面に表現されたものだけが地図ではない いずれも空間の縮小モデルである事は共通 立体的な地球儀や地形模型
特殊眼鏡利用による飛び出す3D表示 点字のように指で触って情報を得る蝕地図 (おまけ)地図は,平面だけでなく,立体的に作られているものも,空間の縮小モデルという点で、地図になります. いずれも空間の縮小モデルである事は共通
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空間データと地図 地図に空間データを反映させること =空間データの視覚化 人間の「視覚」が関連
=空間データの視覚化 →データの位置,つながり,拡がりの相互関係が,分かりやすくなる 人間の「視覚」が関連 空間データと地図を結びつけることで,データの位置,つながり,拡がりの相互関係が分かりやすくなります. さて,なぜ人間は地図を地図として理解できるのでしょうか. それには,人間の「視覚」が大きく関係しています.
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五感と情報 人間の持つ五感 外界の情報は,感覚器を通じて,これらの感覚として体内に取り込まれる.
このうち視覚と聴覚は感覚器が2個あり,遠近や方向が分かる. 視覚 聴覚 嗅覚 味覚 触覚 人間の五感には,視覚,聴覚,嗅覚,味覚,触覚があります. 外界の情報は,感覚器を通じて,これらの5つの感覚として体内に取り込まれます. そのうち,視覚と聴覚は感覚器が2つあるため,遠近や方向が分かります.
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視覚 可視光から,以下のような情報を得る →外界の空間の把握に最適な感覚 外界にある物体の色・形・動・質感・奥行きなどについての情報
物体のカテゴリーについての情報 物体の位置関係のような外界の空間的な情報 →外界の空間の把握に最適な感覚 円柱 赤い 緑の立方体の手前にある では,視覚とは何でしょうか. 視覚とは,「可視光」によって, 外界にある物体の色・形・動・質感・奥行きなどについての情報 物体のカテゴリーについての情報 物体の位置関係のような外界の空間的な情報 を得て,外界の空間的構造を理解し,推量する,つまり空間の把握に最適な感覚です.
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視覚表現 視覚を通した情報伝達方法 視覚的に観察できるものに置き換えた表現 図 文字 模型 写真
これらが情報内容を適切に伝えるようになるには,情報の受信・発信者いずれも学習が必要 その視覚を通した情報伝達方法のことを「視覚表現」といいます. 目に見えないものや,見えていても全体を把握することが難しいもの,ものごとを抽象化し,それを視覚的に観察できるものに置き換えたものです. それは図,文字,模型,写真などですが,これらが意味を持つものとして機能するには,情報の受信,発信者ともに学習が必要です. 例えば,この赤い丸の中に書かれた文字や記号,写真は,いずれも教育のための建物や教育がおこなわれる場所,つまり「がっこう」を表現しています. 私たちは,学校が何かをしっているので,あたりまえのように思いますが,学校が何か,それはどのような字で書くのか,どのような見た目で,どのような記号であらわすのかを知っているからこそ,その理解が成立しています. ちなみに,schoolは英語で学校ですね.四角の上に旗が立っている記号は,アメリカをはじめとして,いくつかの国で使われている学校を表す地図記号です. これらはすべて教育のための建物、または学生その他に対して教育が行われる場所を表している.しかし,それぞれが同じことを表すものと考えられるようになるには,それをあらかじめ知らなければいけない 学校 School
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視覚表現としての地図 地図は,図・文字等を複合的に組み合わせ,様々な情報を含む
空間データを地図で表現することは,視覚によってデータの持つ空間の広がりを理解することを助ける 人間が地図を地図として理解するには学習が必要 地図は,情報伝達ツールでもある さて,視覚表現という視点で地図を考えてみましょう. 先ほど地図の持つ特徴は,ここにあるように, ・地図は,図・文字等を複合的に組み合わせ,様々な情報を含む ・空間データを地図で表現することは,視覚によってデータの持つ空間の広がりを理解することを助ける ・人間が地図を地図として理解するには学習が必要 ・地図は,情報伝達ツールでもある とまとめることができます.
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地図と情報伝達 地図の作り手と読み手の間で地図を媒介として情報の伝達(コミュニケーション)が行われる. 地図 作り手 encode
decode 読み手 情報 情報 地図の持つ特徴のひとつに,「情報伝達ツール」がありますが,ここをもう少し詳しく話をします. 視覚表現である地図は,情報伝達手段の一つです. では,地図はどのようにして情報伝達手段として機能するのでしょうか. 地図は,それを作る人と読む人が地図を介して情報の伝達が行われます. 作り手は,地上にあふれる情報を選択して図形を組み合わせた地図を作ります. それを読み手は見て,その図形の組み合わせの表現するところを読みます. これは作り手,読み手ともに地図に書かれている情報をどのように記号化し,読解するかという方法を知っているからこそ成立するコミュニケーションなのです. 読解
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情報伝達ツールとしての地図 地図作成の目的 地図作成の留意点 を考慮する必要がある 意図した意味・内容が正確に読み手に伝わること
伝わりやすさ 誤読されにくい表現 を考慮する必要がある コミュニケーションの手段として地図が機能するには, 作り手と読み手双方が地図の読み方を知っていることが前提となりますが, 特に作り手は,意図した意味,内容が相手に正確に読み手に伝わることを目的に,地図を作成します. そうなると,いかに伝わりやすく,誤読されにくい表現を使うかを考えなければいけません.
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2008年アメリカ大統領選挙結果 ここで,地図の読み方や,地図から受ける印象・感じ方について考えるため,
いくつか地図の例をみてみたいと思います. この地図は,2008年に行われたアメリカ大統領選挙の結果の地図です. オバマ氏は,北部,東部,そして西海岸で勝利を収めていて,南部,中西部ではマケイン氏が勝利を収めていました. この分布は,あるものの分布にとてもよく似ています.次のページを見てみましょう.
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1860年 奴隷解放地域/奴隷地域地図 ピンクが奴隷州,グレーが奴隷制度のない自由州,黄色が奴隷制度には触れない準州
これは,1860年の奴隷解放地域と奴隷制が行われていた州を表している地図です. オバマ氏が勝利した州の分布は,この地図でグレーで示された奴隷制度のない自由州とよく似ています. このことから,アメリカにおいて,州によって黒人に対する意識というものが異なり,それが大統領選挙の 結果にも反映しているのかもしれない,ということが推察される というように,地図をいくつか組み合わせることで,思考を広げていくことが可能になります. これも,地図がなにを表現しているのかを,人間が理解できるからこそ可能となるのです. 1860年 奴隷解放地域/奴隷地域地図 ピンクが奴隷州,グレーが奴隷制度のない自由州,黄色が奴隷制度には触れない準州
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2004年アメリカ大統領選挙 赤 共和党 青 民主党 また,別の例を見てみましょう. これは,2004年のアメリカ大統領選挙の結果です.
この時の選挙では,1期目のジョージ・W・ブッシュ大統領が51%,ケリー上院議員が49%の得票数で,ブッシュ大統領の2期目が決まりました.この地図は,州ごとに投票者数の多い政党を色で表しています.つまり,赤はブッシュ大統領の共和党が優勢で勝利した州,青はケリー上院議員の民主党が優勢により勝利した州です. この地図の分布をみると,共和党が圧勝だったという印象を受けると思います. しかし,ブッシュ大統領は51%,過半数ぎりぎりで勝利しています.これはどういうことなのでしょうか? 赤 共和党 青 民主党
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各州の面積を人口数に応じて変化させてみると・・・
これは,各州の人口の多さによって州の面積を変化させて表現した地図です. これは,カルトグラムと呼ばれます. カルトグラムとは,統計データに基づいて地図を歪めた変形地図です. これを見ると,共和党は圧倒的多数の州で得票を集めましたが,民主党を支持した州の人口は多く,いかに共和党と民主党が接戦だったかったということがわかります. 一つ前のスライドで見た,面積が正しい地図の与える印象と,実際の結果が大きく異なっていませんか. 地図を読むときは,一つの地図から得た印象だけでなく,他の要素の地図も見てみることで,総合的に情報を理解でき,判断することが可能になります.
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東京の地下鉄路線図 もうひとつ,他の例を見てみます. これは東京の地下鉄路線図です.
駅の順番,それぞれの線がどこで交わり,乗り換えられるのかというのがよくわかります. この地図は,そういった駅の順番,乗り換え駅といった情報の提供に特化した目的で作成されている地図です. 従って,駅間の距離は実際の距離と異なりますし,乗車時間などはこれを見ても分かりません. また,この地図を見て地上を歩くことも適していません. 地図を理解することは,そこに表現されていることそのものの理解も大事ですし,そこに付随するその他のデータも含めて理解していくことが,正確に読むだけでなく,そこに含まれるさまざまな事象を考えて行くことにつながります. また地図の作り手も,どのような情報を主に伝えたいと思っているのか,また,どのようにその地図が解釈される可能性があるかを考慮し,いかに視覚化するかを考える必要があるのです.
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地図における伝達性の適切さ 内容が物理的に見やすい 一つの記号が複数の意味を持たず,曖昧でない 主題に関係のない情報を多く含まない
地図の作成には,気をつけなければいけない点があります ・内容が物理的に見やすい ・一つの記号が複数の意味を持たず,曖昧でない ・主題に関係のない情報を多く含まない です. 地図が分かりづらい描かれ方をしていると,読むのに時間がかかります. そうなると,そこに本来含まれている情報も劣化します. また,誤読や意味不明になってしまうと,地図そのものが意味のないものになってしまいます. 地図に表現する際は,分かりやすさを考えた視覚化が求められます. そうすることで,地図は空間データを表現するコミュニケーションツールとして機能するのです. 読図に時間を要すれば伝達性が劣化 誤読や意味不明の状況が生じれば伝達不能
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