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改めて考える性能設計 武蔵工業大学 都市基盤工学科 吉川弘道
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第1部:設計法の変遷 従来法のリビュー
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構造設計/耐震設計の変遷 許容応力設計法/ allowable stress design:
終局強度設計法/ ultimate strength design: 信頼性理論/ reliability theory: 荷重強度係数設計法/ load resistance factor design: 限界状態設計法/ limit state design 使用限界、終局限界、疲労限界: 耐震設計における限界状態:seismic limit state design 使用性限界、損傷制御限界、生存限界
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許容応力度設計法における設計手順 許容応力度
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限界状態設計法における設計手順
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信頼性理論と限界状態設計法の比較
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第2部:性能設計とは、、、、
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★‘性能設計’導入の素朴な疑問 1:土木学会/コンクリート標準示方書:2002年版にて改定
「限界状態設計法」⇒‘構造性能照査型’、‘耐震性能照査型’ **素朴な疑問1:『見たところ、構造編は、ほとんど変わっていないようだ!』 **素朴な疑問2:『耐震編では、具体的に照査は、どうするの?』 2:道路橋示方書(平成16年3月改定): 「耐震性能照査の基本的な要求事項を明示した」 **素朴な疑問3:『タイプⅠ、タイプⅡ:どちらが危険なの?』 3:そもそも、‘性能’って何? **素朴な疑問4:『だれも、‘性能とは何々’って言わない!』 [構造性能照査編]:‘性能照査型の設計の流れを前提として,静的な荷重(疲労荷重を含む)に対する構造性能の定量的評価法の精度と適用範囲を一層高めることに主眼を置いている’
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☆ 構造物の性能とは: 構造物が外乱(持続荷重,衝撃、地震力など)を受けたときの‘挙動/ふるまい(behavior)’,または‘応答/反応(response)’の出来/不出来 普段の状態で(常時荷重に対して)、および、いざという時に(偶発荷重に際して)‘構造物の発揮する(遂行し得る)能力’ 想定される外乱(設計荷重)に対して、ひび割れを生じる場合もあり,倒壊することも想定される ⇒ ‘種々の結末(性能)’が想定される
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☆ 要求性能と構造性能 ∈要求性能(target performance): 構造物が具備すべき(必要とする)性能
使用者/発注者によって決定される ∈構造性能(structural performance) 保有性能(capacity): 構造物の保有している(達成した)性能 (実際の)形状寸法,断面諸元,材料,(実際の)施工の程度による,実現された(される)性能である.
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☆ 性能照査とは: ・構造性能が要求性能を満足すれば(上回れば),設計照査が達成される。 : 構造性能 > 要求性能
: 構造性能 > 要求性能 ・発注者が要求性能を策定し,これに従って,目標性能を決定する(従って、設計/施工が遂行される) 要求性能の策定 ⇒目標性能の決定 ⇒構造性能の達成
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☆ 性能照査の名称 ‘性能規定型設計’ ‘性能照査型設計’ ‘性能明示型設計
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★従来手法と性能設計法との比較1 ・仕様設計:specification-based design
構造寸法,材料,手法・手段を示方書などを規定し、これに基づき設計する ・性能設計:performance-based design 要求性能/目標性能を明確に規定し, これに基づき設計する。
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★従来手法と性能設計法との比較2 ・非崩壊設計:no-collapse-based design 崩壊するか,崩壊しないかの設計法
崩壊するか,崩壊しないかの設計法 靭性設計(荷重低減係数法,変位法) ・性能設計:performance-based design 多段階の性能と多段階の外力(地震力) レベルを規定し,両者のセットにて性能規定 する
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☆ 野球選手の年棒と性能照査 1:プロ野球選手の年棒査定:
結果(成績)が全てであり、どれだけ練習したか、どれだけ身体 能力があるかは関係ない。1シーズンの成績(performance)が、 次のシーズンの年棒として評価される。 2:構造物: どんな先端材料を用い、どんなに高度な解析法を駆使しても、 結局のところ、発注者/使用者/オーナーにとっては、構造物と しての性能が最も重要となる。 3:両者の決定的な違い: ・野球選手の評価:1年間の成績が数値として、明確に記録される ・構造物の性能:客観的科学的な立証が容易ではなく、数百年に 1回の強大地震には、終ぞ遭遇しないまま、(安全性能が発揮されないまま)供用を終えることが多い。
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☆ 性能設計の利点と特徴 新材料/新工法の開発、高度な解析や設計手法の採用を促す 所要の性能を満足するための、最も経済的な設計が期待できる
☆ 性能設計の利点と特徴 新材料/新工法の開発、高度な解析や設計手法の採用を促す 所要の性能を満足するための、最も経済的な設計が期待できる 性能水準を満たすことが重要であり、使用材料、解析手法などに拘束されない。 Specification-based design ⇒ Performance-based design これまでの設計法にある、‘壊れるか、壊れないか(0-1議論)’ではなく、その中間状態を工学的に規定し、荷重レベルとのセットで性能規定することである No-collapse-based design ⇒ Performance-based design 設定された限界状態(終局限界(安全性)、使用限界(供用性))ごとに検討される⇒従前の限界状態設計法の延長線上にある。
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☆性能設計の導入:内外の環境 1:近年の巨大地震災害:
・Loma Prieta(1989)、Northridge(1994)、神戸大地震(1995) ・災害復旧技術や高耐震性技術の向上/蓄積 ・稀に発生する巨大地震に対する合理的な耐震設計法 2:海外の動向と我国の対応: ・性能規定の国際標準化:WTO協定/TBT条項、ISO ・土木学会/建築学会による委員会活動、既往標準示方書の性能規定化
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第3部:性能設計を具体的に考える
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☆性能照査の形式(フォーマット) ① 現行設計法の形式 : ② 性能レベルの照査: ③ Asian Concrete Model Code:
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Demand/Capacity<DCaccept
性能設計と従来の設計法との比較 設計断面力 member force:Sd 設計断面耐力 strength:Rd 公称荷重:Sn、荷重係数:γ 公称強度:Rn、強度係数:φ 上段:要求性能 下:保有性能:許容値 性能設計/Capacity Design 性能設計 Demand/Capacity<DCaccept Demand:要求性能 Capacity:保有性能 耐震設計:変位法 displacement-based μd ≦μrd 応答塑性率 response:μd 保有靭性率 ductility:μrd Asian Concrete Model Code PIR≦PIP 要求性能指標:PIR 構造性能指標:PIP これまでの設計法/Conventional Design 終局強度設計法 Sd ≦Rd 荷重強度係数設計法 γSn≦φRn 信頼性設計法 β≧βa pf ≦pfa 安全性指標:β/許容値:βa 破壊確率:pf/許容値:pfa 性能設計と従来法との比較
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性能マトリックスによる耐震性能表示 (SEAOC Vision 2000) 地震規模と性能レベルを多段階にセット
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☆性能マトリックス: 耐震性能水準 ・fully operational :完全機能維持(供用可能)
施設がほとんど損傷を受けず、機能を維持している, ・ operational (functional):機能維持 施設は、軽微な損傷受けるが機能を維持し、 2次的な機能に若干の障害が生じる ・ life safe:人命の安全確保 人命安全を確実に確保。中程度の損傷を生じている。 ・ near collapse (impending collapse):崩壊の回避 人命が脅かされ、相当量の損傷を受けが,構造上の崩壊は避ける。
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☆性能マトリックス:地震動レベル ・ frequent:たびたび発生する地震 ・ rare:稀に発生する地震
再現期間 43年(30年間で超過確率50%にて発生) ・ occasional:時々発生する地震 再現期間 72年(50年間で超過確率50%にて発生) ・ rare:稀に発生する地震 再現期間475年(50年間で超過確率10%にて発生) ・ very rare:ごく稀に発生する地震 再現期間970年(100年間で超過確率10%にて発生)
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☆性能項目の種類と定義 ・安全性(safety) : 構造物の崩壊を回避し,人命の保護を全うするもの 構造物の具備すべき最も基本的な性質
構造物の崩壊を回避し,人命の保護を全うするもの 構造物の具備すべき最も基本的な性質 使用性(serviceability): 快適に構造物を使用するための性能。 頻繁に発生する地震時における機能維持 修復性/復旧性(reparability): 被災後に速やかに修復し,早期の機能復帰(供用再開)を期待するものである. 維持管理性,施工性,居住性、止水性、景観性、etc.
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「複合構造物の性能照査指針(案)」 土木学会
要求性能/目標性能/照査項目/照査指標: 性能項目の階層化/細分化 基本的要求性能(3項目) ⇒ 目標性能の項目(5項目) ⇒照査項目(限界状態)(13項目) ⇒照査指標の例(13事例)
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土木構造物の性能設計の例: 「複合構造物の性能照査指針(土木学会)」
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☆建築構造物の性能設計の例: 「鉄筋コンクリート造建築物の性能評価ガイドライン」
性能項目の階層化/細分化 基本性能:安全性/使用性/耐久性/修復性 ⇒ 基本性能の項目 ⇒関連する物理現象の例 ⇒基本性能の項目を規定する工学量の例
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建築構造物の性能設計の例: 「鉄筋コンクリート造建築物の性能評価ガイドライン」
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