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「日々変わり行く身体状況に合わせ、多様なアプローチで最期まで支えるリハビリテーションの意義」

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Presentation on theme: "「日々変わり行く身体状況に合わせ、多様なアプローチで最期まで支えるリハビリテーションの意義」"— Presentation transcript:

1 「日々変わり行く身体状況に合わせ、多様なアプローチで最期まで支えるリハビリテーションの意義」
 「日々変わり行く身体状況に合わせ、多様なアプローチで最期まで支えるリハビリテーションの意義」               ○小坂英介 才村雅志 小泉恵美子 三村和美 君塚幸子 安田由紀子 木村周子 安 惠美 伊藤真美(花の谷クリニック)                  前原達也(つばさリハビリ訪問看護ステーション)、 守口恭子(健康科学大学 作業療法学科) 【はじめに】  当院では、緩和ケア領域で作業療法が重要であると考え、2004年から月一回作業療法士(以下OT)と看護スタッフがカンファレンスを行ってきたが、2010年5月より常勤の理学療法士(以下PT)と鍼,灸,あん摩・マッサージ・指圧師、月一回非常勤PT及びOTを加え、本格的にリハビリテーション(以下リハ)が開始となった。  入院当初の患者の状態は様々だが、いずれ全身状態が低下し亡くなっていく。PTの関わりにより一時的なADL改善によるQOLの向上は望めても、刻一刻と変わる病状による心身状態の変化に対しては、多様な形でのリハが必要となってくる。本発表では、入院当初のリハ目標に対する達成度の評価、その後の病状の変化に対してどのようなリハの関わりを持ったかをまとめ、その意義を考える。 【方法】 2010年5月〜2011年6月の14か月間に入院していた患者78名のうち、リハ実施者55名について当初のリハ目標とその達成度、病状の変化に対するリハの関わりについてまとめた。 なお、当初のリハ目標はPTが中心となって設定し、達成度については、PTと看護師2名が評価した。また、病状の変化に対するリハの関わり方は、医師、看護師と相談しながら適宜変更していった。 【リハ実施患者55名の概要】 【入院当初のリハ目標とその人数】 平均年齢 75.2歳 平均入院日数 60日 疾患名 患者数 肺癌 大腸癌 胃癌 乳癌 前立腺癌 肝癌 膵癌 18 【入院当初のリハ目標達成度】 ◇ 78名の入院患者のうち、71%である55名にリハとして関わった。 【具体的プログラム】    関節可動域訓練(以下ROMex.)、筋トレ、マッサージ、ポジショニング検討、リンパドレナージ、基本動作練習、歩行練習、車椅子乗車、ADL練習、嚥下体操、呼吸リハ、環境整備(歩行補助具、ベッドの位置・高さ、家具のレイアウト、介助バー・手すり・Pトイレの種類・高さ・位置の調節と設置、食器・自助具の検討など)、作業療法、お茶会、散歩など・・・。 ◇ 入院当初のリハ目標に対して、上記のプログラムを施行し、目標達成できたのは28件(51%)であった。 【患者さんの状態変化に対するPTの対応】 ①徐々に低下する移動・動作能力への対応     ベッド上ポジショニング、環境整備、適切な車椅子の選択、 移乗方法の工夫、乗車中のポジショニングなど ② 多くの症例に見られる癌性疼痛、二次的な疼痛増強への対応(身の置き所の無   さを感じて寝ていられない、全身の強いだるさを感じるなど)     ベッド上ポジショニング、マッサージ、動作と疼痛の関係を分析・動作     指導など ③せん妄、混乱への対応     ある程度の時間をかけ、手を当て、コミュニケーションをしっかりと図     り、また、ベッド上寝たきりによる症状増悪に対しては、離床、車椅子     乗車、屋外の空気に触れながら過ごす時間を設けて、自分を取り戻す支     援を行い、身体・精神いずれにも働きかけ、症状の安定を図る。 ④呼吸苦への対応     安静時呼吸方法・動作時呼吸方法指導、排痰介助、呼吸介助などの呼吸リハ、ポジショニングなど  ⑤ 嚥下障害への対応     食形態の検討、食事摂取時のポジショニング、嚥下体操、 呼吸リハなど ◇ 終末期には、現疾患に関わらず全身状態の低下により、多くの症例に呼吸苦が出現し、廃用性や神経障害で嚥下障害もほぼ全例に出現する。 ◇終末期の呼吸苦や嚥下障害に対して、PTとして必要な専門的な知識を習得し、技術を向上させることが必要である。 【6月末までに亡くなった48名の患者に、PTはいつまで関わっていたのか】 【PTの関わりに対する看護師の感想】  ★これはどうなんだろう・・・    積極的に離床、Pトイレなど、そんなに    無理させなくても・・・。    離床よりベッド上の安楽な生活が大切。    車椅子乗車して何をするのだろう・・・。    生活全てがリハだと大変。  ☆良かったと思うところ    離床、散歩、外出が出来て良かった。    入院生活の中で楽しい時間が     持てたのではないか。    生活リズムが出来た。    呼吸リハが良かった。    マッサージが良かった。    生きることへの前向きな言動が見られた。              ○最期まであきらめずに「頑張る!」という                  発言が聞かれたり              ○低下する身体機能に対して、「歩けな                 くならないように」と、指導された自主                 トレをベッド上で自ら行なっていたり                                                          など・・・。 ◇ 亡くなる当日〜二日前まで関わっていた患者さんは 25名で、全体の52%であった。 ◇緩和ケアにおいては静かに、安楽に過ごせるようにと考えがちだが、PTの積極的な関わりは、看護スタッフに少なからず影響を与えたのではないかと考えている。 【まとめ】 リハ職員が毎日一定時間(20分〜1時間程度)、必然的に手を当て、言語的なコミュニケーションも図りながら関わる事により、ADL改善や精神面を支え、QOL向上に繋がっている報告は比較的多い。  しかし、一時的なADLの改善によりQOLの向上が認められても、徐々に低下する心身状態に対しては、それだけでは不十分である。  疼痛、全身の倦怠感、せん妄、混乱、呼吸苦、嚥下障害などに対して、PTの専門的な知識と技術を駆使しながら関わりを保ち、亡くなる最期まで支援することが重要なのである。  入院当初にリハ目標を立て、多職種のスタッフを交えて評価し、アプローチしていくことは必要である。更に、日々変化していく心身状態に対して、目標を変更し、評価し、亡くなる直前までアプローチしていく事が、緩和ケア領域のリハビリテーションにおいては重要なのである。そのために、日々スタッフ間でのコミュニケーションを密にとり、個々の患者さんの状態に合わせた多様なアプローチを今後も模索していく。


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