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知識工学 白 井 豊
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1.初めに 旧約聖書 創世記から 神は地面の塵で人を形作り、その鼻孔に命の息を吹き入れられた。すると人は生きた魂になった。
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知的な器械は人類初源の夢… ブラスブレイン(真鍮の頭脳) 言葉を話す器械 計算する器械 自ら考えて行動する人形(ピノキオ)
古代からの言い伝えや物語 ブラスブレイン(真鍮の頭脳) 言葉を話す器械 計算する器械 自ら考えて行動する人形(ピノキオ) ・ On MC MR M- M+ 7 8 9 % C 4 5 6 × ÷ 1 2 3 + - 0 00 ・ GT =
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「計算=知的な作業」と捉えらていた時代
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「計算=知的な作業」と捉えらていた時代 古代~中世
メソポタミア : カルクリ(小石)。Calculateの語源 ギリシャ : アバカス(平板)。カルクリとの組み合わせが算盤に発展。3桁の位取り。 中世ヨーロッパ : ジュトン。偽造コインによる計算。公衆電話用にコインとして名前を残す。 中国、日本 : 算木、算盤。正負の概念を取り入れた計算用具。そろばんに発展。
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「計算=知的な作業」と捉えらていた時代 17世紀~19世紀
17世紀初頭 : ネビアの計算機(対数による乗除算) 1642 : パスカルの計算機(歯車の組み合わせ) 1694 : ライプニッツの計算機(加算の繰り返しによる乗算機) 1820 : トーマスの計算機(四則演算可能) 1883 : バベジの解析エンジン(世界最初の自動計算機、未完成)バベジの協力者エイダ夫人は最初のプログラマ 1887 : ボーレの直接乗算計算機 1887 : ホレリスのパンチカードシステム(PCS:IBMの前身) パワーズがPCSを電動式に改善(UNIVACの前身) 1889 : バローズ社鍵盤式加算機(会計機への発展) 1994 : ベル電話研究所 リレー式大型計算機 1994 : ハーバード大学 リレー式大型計算機
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「計算=知的な作業」と捉えらていた時代 電子(的)計算機の登場(真空管式)
1945 : ファンノイマンによるプログラム記憶方式の提唱 1946 : ENIAC(弾道計算の微分方程式)ペンシルベニア大学 1949 : EDSAC(プログラム記憶方式、2進数計算) 東大リレー式分類集計機試作 1950 : EDVAC (プログラム記憶方式、2進数計算) 1951 : UNIVAC 1(初めての商用機) ETLマークⅠ 通産電気試験場(後藤氏ら) 1956 : 真空管式電子計算機 富士写真フイルム(株)
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「計算=知的な作業」と捉えらていた時代 電子計算機の登場(トランジスタ/IC型)
1957 : ETLマークⅢ,Ⅳ(トランジスタ型) ムサシノⅠ 電電公社電気通信研究所 1958 : USSC(トランジスタ型) PC Ⅰ 東大 SENAC Ⅰ 東北大 1964 : IBM-360(IC型) TAC 東大 1965 : PC Ⅱ 東大 1970 : IBM-370(LSI)
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人工知能とは… 知的振る舞いを行う機構を人工的に作り出すこと 二つの立場 人間の知的振る舞いを機械で実現する
工学的立場 科学的立場 人間の知的振る舞いを機械で実現する 人間の知能のメカニズムを解明する
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人工知能の分野 応用分野 自然言語処理 エキスパートシステム ビジョン ロボット 認証 基礎分野 探索 知識表現 計画と行動 学習 認知科学
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機械は思考することができるか?への反論 「計算する機械と知能」1950年、アラン・チューリングの論文
神学的反論 頭が悪いふりをする反論 数学的反論 意識からの論難 様々な能力からの反論 ラブレス夫人の反論(バベジ解析機関についてのラブレス夫人の回想記) 神経系の連続性に基づく議論 行動の無定型に基づく反論 超感覚的知覚に基づく反論
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人工=疑似=まやかし 知的な反応をもって、知的とみなす。
パリー : あなたの動機が私には分かりません。 医者 : なぜ私の動機を理解しないのですか? パリー : あっちゃいけないんですか? 医者 : なぜ今ごろそういうのかね? パリー : そういうものなんです。 医者 : そういうものでないと考えなさい。 パリー : そうですか? 医者 : あなたをよく理解しているという自信はありません。 パリー : 同じ質問ばかりしすぎます。 医者 : その類似性をどう思いますか? パリー : おっしゃることがよくわかりません。 医者 : 私を理解したいとあなたは希望しますか? パリー : 私の感情にいくらか関心を示してもよい頃です。 医者 : えっ、あんたの感情に関心を示したって? ジョセフ・ワイゼンバウムのDoctor(精神分析医の模擬)とケネス・コルビーのPARRY(偏執症患者の信念構造模擬)の会話
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ラリー・テスラーの定理 AI 何らかの心的機能が一旦プログラム化されると、人々はそれを「真の思考」の本質的な成分とみなすことをたちまちやめてしまう。知能の不可欠の核心はつねに、次の未だプログラムされていない事柄の中にある。(中略)「人工知能とはなんであれ、まだ為されていないところのものである」 「ゲーデル、エッシャー、バッハあるいは不思議の環」、ダグラス・R・ホフスタッター著、野崎、はやし、柳瀬訳、白揚洋社刊
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知識工学 知識の利用 既存の知識を使ってどう結論を導き出すか? 知識獲得 知識をどう表現し、どう蓄積するか? 知識の表現形式と その獲得方法
推論方式と 新しい事実の理解
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Intelligent ? 「知」とは… 語源 言葉を連ねて神に告げる 現代的な意味 物事の理を認める さとる わきまえる 見分ける
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知識 = 知恵 + 識見 知恵 「身に備わった賢さ」 識見 「事物を観察し是非を識別する能力」
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知っている(分っている)こと 表現できる(説明できる)こと
全世界 分ってはいるが、表現できない 分っていて、 かつ表現できる 分ってはいないが、表現できる
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知っていることと表現できることの 違いの例
分ってはいるが、表現することができない 経験、勘、コツ、感じ、雰囲気 分っていて、かつ表現できる 完全に理解している知識 分ってはいないが、表現(喋ったり、書いたり)することはできる 棒暗記、お経、オーム返しなど
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理解の手順 ①「個々の対象・事象」を識別するための「名前付け」
個々の対象・事象に名前付け(識別のための記号化) 特徴づけるための性質(属性)を選択する。 個々の対象・事象を識別する必要がない場合は、ある特徴を持った一群として全体として把握する。
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個々の対象物の性質をあるがままに把握することは困難である ↓ ②「理解」するための「分類」
複数の対象・事象を分類し、それぞれの分類に属する対象物を特徴付ける性質を列挙する。 中間的な範囲が広くなる場合は、①に戻って分類するための性質を選び直す。 グループAの性質 中間的 グループBの性質 数
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分類されたグループが識別できるように、グループに名前を付ける(識別のための記号化)。
③分類して名前付け(記号化) 分類されたグループが識別できるように、グループに名前を付ける(識別のための記号化)。 「性質」を特定できるよう、「性質名」(属性名)を付ける(性質特定の記号化)。 性質=プAの性質 中間的 性質=Bの性質 名前=「A」 名前=「B」 数
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④特徴づけるための性質が多い場合は 更にグループ分けを行う。
特徴づけるための性質(属性)を選択する。 ③以降をそれぞれのグループ別に行う。 グループA1の性質 中間的 グループA2の性質 数
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⑤自然言語、図表等の方法で分類結果を表現
「ライオンという動物は、鹿を襲うものである」 「男とは、ずぼらである」 分類の際、中間的な部分が広いと、しばしば差別的な誤解を生じる。 分類する際、対象物が少ないと、「思い込みの強い知識」あるいは「疑り深い知識」となる。 注意
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表現≠真実 知識は、表現可能となって初めて他者へのメッセージとなるが、表現されたものは全てを表現していない。 思い描いていることは異なる
知識表現の交換 (メッセージ)
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表現形式とは「モデル」である 自然言語 意味ネットワーク ルール型(前向き推論、後ろ向き推論) フレーム型 論理型 図表
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記号化、形式化 知識表現とプログラミング言語
解決すべき問題 データの抽象化 形式的仕様記述言語 Prolog 自然言語 論理型 ルール型 フレーム型 図表 伝統的プログラミング言語 記号化、形式化 アセンブラ データベース記述言語 機械語 オブジェクト指向型 Lisp, SNOBOL
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知識ベースとプログラム 低 高 手順書に 従って作業 明確化 納得 仕様 (手順書) システムに 問い合わせ 言語化 解読 プログラム
(知識ベース) エキスパートに 仕事を依頼 問題解決 要 求 知識 (人) 問題解決 結 果 自動化の度合 低 高
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