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通訳翻訳論 第六回 翻訳と通訳の共通点と相違点.

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1 通訳翻訳論 第六回 翻訳と通訳の共通点と相違点

2 翻訳・通訳の共通点 1)発信者と受信者が共通の言語を持たない 翻通訳の基本的要件 発信者(書き手あるいは話し手)と受信者 (読み手あるいは聞き手)の間に共通の言 語がない。 翻通訳者が存在しなければ互いに言語に よる意思の疎通が困難である。

3 翻訳・通訳の共通点 2)翻通訳者は起点言語の記号表現によって受容し、 目標言語に変換し、 目標言語の記号表現によって表出する。 受容(理解・解釈)           → 変換(訳語の選択、TL構成)           → 表出(音声、文字による表現)

4 翻訳・通訳の共通点 3)翻通訳はメッセージの指示する事柄と意義を 保持する ┌─指示対象となる事柄 = 指示対象となる事柄 ─┐
   ┌─指示対象となる事柄  =  指示対象となる事柄 ─┐ M1 ├─テクストの意義     =  テクストの意義 ─┤ M2    └─語/句/文の記号表現≠語/句/文の記号表現 ─┘

5 翻訳通訳のプロセス (1)理解 起点言語の受容
翻訳通訳のプロセス (1)理解 起点言語の受容 文字言語または音声言語の理解 語義、統語法、語用(ボトムアップ的理解)   テクストのコード解析   表層構造におけるメッセージ 背景知識による推論(トップダウン的理解)   コンテクストの参照   テクストのタイプ   深層構造における意義   発信者の意図   テクスト間的意味

6 翻訳通訳のプロセス (1)理解 ボトムアップ的理解 主に言語知識による理解 音→字→語→文節→句→文→段落→章→…… →テクスト
翻訳通訳のプロセス (1)理解 ボトムアップ的理解 音→字→語→文節→句→文→段落→章→…… →テクスト どの段階で翻訳・通訳を行うか? 表層形式(音声・文字)の持つ意義による理解 主に言語知識による理解 語彙力  辞書的に対応する訳語 文法力  語順、時制、活用など 論理力  文のつながり、論旨の展開

7 翻訳通訳のプロセス (1)理解 トップダウン的理解 コンテクストの参照 コミュニケーションの背景、状況
翻訳通訳のプロセス (1)理解 トップダウン的理解 コンテクストの参照 コミュニケーションの背景、状況 テクストのタイプ 言語使用域、テクストの目的 深層構造における意義 送り手のメッセージ 発信者の意図 送り手のメッセージの目的 テクスト間的意味 パロディ、本歌取りなど

8 理解を支える四つの知識 言語知識 世界知識 専門知識 状況知識 二言語の語学力 一般常識、雑学的知識 話題に対する知識
テクストが用いられている場に対する知識

9 翻訳・通訳における理解 基本的には通常の理解の仕方と同じだが SL表層構造(語彙、語法)により注目 SLのより緻密な分析
中間言語(未完成な訳文)を想定 TLへの転換戦略を意識 ボトムアップしつつトップダウン 解釈に自己の見解を入れない

10 明確な理解を可能にする条件 SLテクスト 翻訳・通訳者 明確に読める、聞こえる テクストとしての一貫性がある SLの言語に精通している
送り手の文化的背景を理解 送り手の言葉の運用方法の特徴を把握 SLの扱っている話題を熟知 幅広い知識、高い教育水準

11 翻訳通訳のプロセス (2)転換 翻訳・通訳が扱う対象 ○ 指示対象となる事物 何が書いてあるのか ○ テクストの意義 何が言いたいのか
翻訳通訳のプロセス (2)転換 翻訳・通訳が扱う対象 ○ 指示対象となる事物 何が書いてあるのか ○ テクストの意義 何が言いたいのか × 起点言語テクストを構成する記号表現   文字や音声の形式                     原則として、記号表現は保持されない

12 翻訳通訳のプロセス (2)転換 翻通訳者の取りうる手段 等価置き換え:学術用語など一義的に定訳があ る場合
翻訳通訳のプロセス (2)転換 翻通訳者の取りうる手段 等価置き換え:学術用語など一義的に定訳があ る場合 補足説明:最終受容者に理解されにくい概念 変容適合:同様、類似の連想を喚起する記号表 現を充当 類似代用:近接する意味を持つ語句で代用 模倣:文体や詩の形式のスタイルを真似る

13 翻訳通訳のプロセス (2)転換 不変換:メタ言語的使用、音声や文字自体に意 味がある場合 新語の創作:新しい表現と概念の創造
翻訳通訳のプロセス (2)転換 不変換:メタ言語的使用、音声や文字自体に意 味がある場合 新語の創作:新しい表現と概念の創造 統合と展開:二語以上の表現を一語で表す、         またはその逆 削除、省略:メッセージに関わらないまたは受容 不可能な語句 再編成:テクスト構成の変更、情報提示順序の 整理

14 翻通訳者の取りうる手段 等価置き換え 補足説明
学術用語など一義的定訳がある場合 例: 電泳,電気泳動, electrophoresis     粒腺体,ミトコンドリア,mitochondria 補足説明 最終受容者に理解されにくい概念 例: 地域に独特な食べ物などは説明が必要  お好み焼き  Japanese-style pancake   containing vegetables and other foodstuff

15 翻通訳者の取りうる手段 変容適合 同様、類似の連想を喚起する記号表現を充当 白足袋 → 白い手袋(『斜陽』の翻訳) ドナルド・キーン氏が『斜陽』の翻訳で、白足袋を white gloves と訳した(中略)。白足袋が礼装である のに対し、white socks はテニスにでも出かけそうな カジュアルな服装です。儀式ばった礼装というなら white gloves がぴったり。別宮貞徳『翻訳読本』 類似代用 近接する意味を持つ語句で代用 包子 → まんじゅう 龍 → dragon

16 類似代用の危険性 龍とドラゴン

17 翻通訳者の取りうる手段 模倣 文体や詩の形式のスタイルを真似る 例:俳句の中国語訳 音の数を合わせる試み (芭蕉原文):古池や 蛙飛び込む水の音 (林林訳文):古池塘呀, 青蛙跳入水声響 不変換 語による語の説明では変換しない 例:台湾ではパンダを猫熊といい、中国では熊猫 と言います。  (猫熊と熊猫はそのまま保持) 形式自体に意味がある(固有名詞が典型的) Mr.Brown≠「茶色さん」

18 翻通訳者の取りうる手段 新語の創作 統合と展開 新しい表現と概念の創造 解体新書の「義訳」、明治時代に作られた多くの翻訳 語
新しい表現と概念の創造 解体新書の「義訳」、明治時代に作られた多くの翻訳 語 統合と展開 二語以上の表現を一語で表す、またはその逆 姉と妹  → sisters (日→英) an elder sister and a younger sister →特に強調している感じを与えてしまうので不適切。 孫    →  外孫女 (日→中) hot water → 湯 (英→日)

19 翻通訳者の取りうる手段 削除、省略 メッセージに関わらないまたは受容不可能な語句 英日翻訳・通訳における人称代名詞、指示詞 TLの文章表現中に潜在させることが可能な情報 再帰代名詞、仮主語など翻訳不要な文法事項 再編成 テクスト構成の変更、情報提示順序の整理 必要に応じて結論から先に言うなどの操作

20 翻訳通訳のプロセス (2)転換 目標言語の視聴覚記号として表出 テクスト周辺情報の参照 伝達可能性と伝達必要性の検討
翻訳通訳のプロセス (2)転換 目標言語の視聴覚記号として表出 テクスト周辺情報の参照 伝達可能性と伝達必要性の検討 もっとも受容しやすい形式を選択              T/I Filter M:message・伝達内容 R:relevance ・関連性 C:code・記号形式 M R  C M R  C

21 翻訳通訳のプロセス (2)転換 翻訳通訳行為における情報の取捨選択
翻訳通訳のプロセス (2)転換 翻訳通訳行為における情報の取捨選択 起点言語のテクストに含まれる指示対象(何について 語っているか)と、テクストの意義(何のために語って いるのか)は目標言語においても保持される。 翻通訳者は指示対象と意義の保存のために 記号表現を捨て去る。 記号表現はSL内部でのみ機能するため、 翻通訳者によって閉め出される。 TL変換後に潜在情報となる記号表現がある。 SLで潜在している情報が顕在化することがある。 SLのコンテクスト依存情報がTLにおいて顕在化する、 または翻通者によって引き出され、説明される。

22 翻通訳の評価 特定のテクスト、特定の相手、特定の目的、特 定の歴史的状況、特定の文化背景、特定の場 所における、最良の翻訳と通訳
社会通念としての最適な記号表現 標準的な国語表記と音声表出 言語使用域に照らして適切なスタイル 訳出表現の芸術性 翻訳、通訳における知名度の問題 出版社、エージェンシーの信頼性 翻通訳者個人の知名度

23 翻訳・通訳における技術 語学力と翻訳通訳の熟練技術の違い 語学力:ある個別言語内の運用力を問題にする
翻通訳技術:二つの個別言語間を自由に行き来する能力        高い語学力を前提とする 翻訳・通訳行為 起点言語 目標言語 受容・理解 再構成・表出 言語の四技能 言語の四技能

24 翻訳と通訳の相違点 文字言語と音声言語の違い 文字言語 音声言語 文明の発達に伴い使用されるようになった言語
二次元空間に記録されることで作用を発揮 記録を主な目的とし、伝播が容易である 音声言語 諸民族の音声言語は文字言語に先行する基本言語 文字言語を持たない言語の存在(音声言語を持たず 文字言語のみ→ほとんど見られない) 表層構造以外の参照可能な要素が豊富(アクセント、 イントネーション、トーン、ポーズ、音調、口調、表情、 手振り身振りなど周辺情報が重要)

25 翻訳と通訳の相違点 テクスト全体の予知 翻訳:訳出すべき内容は事前に全て提示される テクスト全体を読んでから訳し始める 段落ごとに読みつつ翻訳する 文単位で翻訳する 通訳:話し言葉を時間軸に沿って順次訳出する テクスト全体を全て聞いてから訳すことはまれ 逐次通訳:  短文逐次:一文ごと  一般的逐次通訳:段落ごと、1~3分ごとに訳出  同時通訳:情報単位ごとに切り分けて訳出

26 訳出する時点でどこまでの情報が提供されているか。
翻・通訳の時間的制約 ◎:最も普通,○:割に多い,△:少ない,×:ほとんどない   訳出する時点でどこまでの情報が提供されているか。 × テクスト 段落 一文単位 情報単位 一字一句 時間的制約 同時 逐次 翻訳

27 逐次通訳と同時通訳 逐次通訳:一般的にパラグラフごとに訳出 同時通訳:一般的に情報単位ごとに訳出
後続するパラグラフの情報は推論は可能だが確定は できない。 同時通訳:一般的に情報単位ごとに訳出 一文の後半も確定できない状況のまま訳出開始 テクスト(発言)の冒頭では特に後続情報が未知 テクスト全体の意義や意図を事前に把握するこ とで訳出の精度は上がる。

28 音声言語の特徴 何度も繰り返し受容することは不可能 通訳のための記憶保持 表出された瞬間に消え去る 一度聞いてすぐに内容を理解する必要
頭ごなし(順送り)の情報処理 通訳のための記憶保持 記憶保持と再生支援のためのノート(逐次通訳) 原発言との適切な距離を維持(同時通訳) 訳出の完成度を上げるチャンキング(同時通訳)

29 空間と時間 翻訳 通訳 文字テクスト 紙に印刷されて流通 字幕、インターネットなどはモニターで閲覧 翻訳による産出物は「空間」を必要とする。
音声テキスト 時間軸に沿って提示される 発言者と交代でまたは同時に時間を占有する 通訳による産出物は「時間」を必要とする 

30 発信者と受信者 翻訳 通訳 オリジナル・テクストは原則的に他の個別言語に訳出 されることを前提しない
翻訳者、読者は作者にとって未知であり、直接的な反 応を観察することができない 通訳 オリジナル・テクストは常に訳出されることを前提する 話し手、聞き手、通訳者が同じ場所にいて、それぞれ の反応を見ることができ、コミュニケーションの当事者 である意識が生まれやすい 参与者の反応による調整が可能である

31 テクストタイプと情報伝達(1) 一般翻訳:文字→文字 字幕翻訳:文字・音声・映像→文字・音声・映像 テレビ字幕:音声・映像→文字・音声・映像
放送通訳:音声・映像→音声・音声・映像 原稿つき同時通訳:文字・音声・視覚情報→音声・視覚 情報 即興型同時通訳:音声・視覚情報→音声・視覚情報 原稿付き逐次通訳:文字・音声・視覚情報→音声・視覚 情報 逐次通訳:音声・視覚情報→音声・視覚情報 電話通訳:音声→音声

32 テクストタイプと情報伝達(2) 翻訳者・通訳者が発信する情報のみに頼る オリジナルの視聴覚効果も受容者に伝達 翻訳:文字から文字へ
電話通訳:音声から音声へ オリジナルの視聴覚効果も受容者に伝達 映画、テレビ字幕:オリジナル音声と映像 二カ国語放送:オリジナル映像 同時通訳:オリジナル視覚情報 逐次通訳:オリジナル視覚情報・聴覚情報 通訳=オリジナル視聴覚情報+訳出言語情報

33 まとめ:翻訳と通訳の共通点 共通点 異なる二つの個別言語間で行われる 発信者と受信者のコミュニケーションに役立つ
発信者と受信者のコミュニケーションに役立つ  受信→理解→転換→発信の過程 目標言語で伝達されるのは起点言語の意味と意義 のうち伝達が必要な部分である 伝達の可能性は様々な制約を受けるが翻通訳者は 伝達の必要性に応じて種々の方策を用いる いずれも人による言語行為であるため、訳出の良否 は個人の資質(知識)に依存する

34 まとめ:翻訳と通訳の相違点 テクスト全体を事前に提示されるか否か 空間を必要とするか時間を必要とするか 反復利用と流通が可能かどうか
起点言語テクストの情報を記憶する必要性 時間的制約による説明や解説の制限 起点言語と目標言語の語順の影響の有無 発信者・媒介者・受信者が可視であるか 訳出を前提しているか否かによるテクストタイプ の違い


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