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医療保険改革 鈴木亘
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①日本の医療保険制度の概要 ②日本の医療保険制度の現状と問題 ③これまでの医療制度改革とその評価 ④今後の改革のあり方 ⑤医療規制改革とその評価
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①日本の医療保険制度の概要 医療サービスに対する公的な医療保険制度。保険料を支払う代わりに、医療サービスを受けたときに、自己負担を除く部分を保険が負担してくれる制度。 日本は、1961年から国民皆保険制度をとっており、日本に居住する全ての人々が医療保険に強制加入する制度。 例外は生活保護者(医療扶助)。また、保険料滞納や申告漏れで保険証を持たない人々も存在しているが、法律的には国保などに属することになっている。
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医療保険の給付は「現物給付」という制度を採っている。これに対して、「償還払い・療養費払い」というものもあり、高額療養費などではこの仕組みを使う。
現物給付は、保険医療機関の指定を受けた医療機関のみで扱う。保険医療機関の申請は、厚生労働大臣(実際には、各都道府県の社会保険事務局長)に行う。 現物給付のほかに、金銭給付も存在している。それが、「傷病手当金」。働けなくなって4日目以降、1年6ヶ月まで給与日額の60%を支給。
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(被用者保険) 被用者保険とはサラリーマンの保険。組合、政管、共済。 被用者保険の対象事業所は、常用雇用5人以上の事業所もしくは5人未満の法人事業所。組合を作らなくても、政管に加入すればよい。 基準を満たさないパートタイム労働者や短時間労働者は加入させなくてもよい。 被扶養者については保険料負担は無い。
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(総報酬制) 保険料は毎月の給与を基準とした標準報酬に保険料率を乗じる。ボーナスの分についても同じく保険料率を乗じる。 給与分の標準報酬は98万円(月)が上限。ボーナス分は200万円(月)が上限。 保険料は労使折半。 (被扶養者) 年収130万円以下(60歳以上は180万円以下)で、被保険者(サラリーマン本人)によって主に生計費を維持している人々。
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(国保) 保険料と保険税。 保険料負担は、①所得割(収入に応じて徴収)、②資産割(固定資産税に応じて徴収)、③平等割(世帯ごとに徴収)、④均等割(世帯内の被保険者数に応じて徴収)、①②を応能割、③④を応益割と呼ぶ。 4種類を市町村裁量で組み合わせる。所得割と均等割が入っていれば、3種類でも2種類でもよい。
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(1)保険給付の範囲 医療保険の保険給付の中心は、現物給付(療養の給付)。 保険の適用外の医療(美容整形、出産、眼鏡、補聴器、研究段階の先端医療、特殊な歯科補綴、町の薬局で買う大衆薬(OTC)) 混合診療の禁止 1984年から特定療養費制度が創設される(①差額ベット代、②前歯部の金属材料差額 、③金属床総義歯、④200床以上の病院についての初診 ⑤200床以上の病院についての再診、⑥予約診療、⑦診療時間外診療 ⑧治験に関する診療 、⑨う触患者の指導管理、⑪入院期間が180日をこえる入院 ななど)
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(2)患者の一部負担 ・現在は老人を除く自己負担は3割に統一(ただし、0-3歳は2割) 老人(70歳以上)は、原則1割(一定以上所得者は2割)。老健対象者だけではなく、70歳以上が1割である点に注意。 老人医療は1973年から1983年まで無料。83年の老人健康法施行以来は、定額の一部負担を導入。2002年から定率負担(1割または2割)を導入。 高額医療費制度
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(3)出来高払いと包括払い 出来高払い・・・治療をすればするほど医療費がかかる制度、一般的
包括払い・・・疾病により一定額以上は払わないとする仕組み。老人医療(外総診)や一部の医療(マルメ)などで実施している(た)。日本の場合、選択性であることが問題。近い概念に見込み払い。 2003年から全国82病院で、急性期入院医療について1日あたりの包括化制度、包括評価(DPC)が始まっている。1日単位、検査の外来か、回転率上昇などにより、むしろ医療費は増加している。
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(4)診療報酬点数表 (5)中医協 保険診療の料金表、保険へ請求するレセプトもこれを元に計算される。 1点10円。
診療報酬点数表を決める審議会 支払い側8名、診療側8名(医師会、薬科医師会、薬剤師会)、公益委員4名の構成。推薦制度があり医師会の勢力が強いことから、委員会決定の見直しが予定されている。
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○薬価基準 ○審査払い 薬の料金表は薬価基準 1万2000点が収載 市場価格と薬価の差額は薬価差益
日本は薬価差益が大きいことが問題であった。現在は、相次ぐ改革で、2年に一度の薬価差益解消が図られている。 ○審査払い レセプトの審査機関は、社会保険診療報酬支払基金(被用者保険グループ、47都道府県に支部)、国民健康保険団体連合会(国保、都道府県に1つ)が実施。国保連合会は、介護保険も審査。 レセプトの情報開示・・・1997年から本人や遺族が開示請求をすれば開示。
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(7)退職者医療制度 (6)老健制度 狙いは財政調整、自己負担の復活、検診健康指導 老健による老人医療費は12兆円、国民医療費の1/3
老健拠出金算定の仕組み(単純化した計算) (7)退職者医療制度 国保の中にある退職者用の医療制度。 1984年に創設。 60-75歳までの対象者で、被用者保険のOB。 保険料(税)を納付するがそれで不足する分を被用者保険が共同で負担。 公費負担はない。
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②日本の医療保険制度の現状と問題
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社会保障の給付と負担の見通し (平成18年5月推計)
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図1 1人当り医療保険給付費・保険料の年齢別分布 (2004年予算ベース、組合健保被保険者、被扶養者分を考慮)
図1 1人当り医療保険給付費・保険料の年齢別分布 (2004年予算ベース、組合健保被保険者、被扶養者分を考慮)
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財政赤字の拡大 保険料、保険料率の引上げ 世代間不公平の拡大
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医療保険の生涯保険料率と生涯受給率(組合健保加入者)
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③これまでの医療制度改革とその評価 2002年改正の概要 自己負担率の引上げ(幼児・高齢者を除き原則7割に)
高額療養費療養費自己負担限度額見直し 薬剤一部負担金制度廃止 保険料の見直し(総報酬制、政管保険料引き上げ)
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高齢者医療制度の対象年齢の引き上げ(70歳を段階的に75歳に)
高齢者患者の一部負担引き上げ(1割) 自己負担限度額見直し 公費負担の重点化(老人医療について5割へ引き上げ) 診療報酬・薬価基準等の見直し
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自己負担率引上げ⇒一時的な効果しか持ちえない。トレンドは変えられない。
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保険者別財政予測(政府管掌保険)
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診療報酬引下げの効果 「三方一両損」として、 -2.7%の引き下げ。
内訳は、薬剤や医療材料価格が-1.4%、それを除く診療報酬本体が-1.3%。本体部分が引き下げられたのは初めて。 医師会の緊急レセプト調査(平成14年6月)では1日あたり医療費は、昨年比ー4%、特に影響が深刻な整形外科はー7.0%の落ち込み、医療機関経営に深刻な影響とされた。 しかし、改定が恒常的な効果をもったのかどうかについては、懐疑的な見方(鈴木・鈴木・八代,2003)
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医師誘発需要が存在するのであれば、その後の患者あたり医療費はその後引き上げられ、診療報酬改定の効果は相殺されるはず。
ところが、効果を検証することは難しい。10月には老健の自己負担や年齢引き上げ改革が入り、純粋な効果が見れない。また、景気要因や高齢化要因など様々な要因が影響してしまい、マクロデータでは検証が困難である。 そこで、個票レセプトデータを用いて、いろいろな要因をコントロールした上で、純粋に医師誘発需要の存在を検証する。
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医師誘発需要モデル 代表的モデルの一つがEvans(1974)。代替効果が所得効果を下回る通常の場合では診療報酬低下により誘発需要が起きる。
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Uの形状によりDの大きさは変わる。所得効果小さければDが縮小することも。また、非営利性が低い民間病院はDが大きくなる可能性。ソフトバジェットがある公立は小さい。
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データ 富山県国保連合会国保一般、退職者医療保険制度、老健加入者のレセプトから外来を抽出。
Aデータは、医療費や自己負担額、医療費の細目(医療費、給付費、公費、高額療養費、食事療養費など)、日数、レセプト枚数、年齢、性別などが把握されている一方、BデータはAデータと同様の変数の他、医療機関や疾病名(疾病コード)、診療科などの所属性がわかる。
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実証モデル 医師がコントロールしている変数として、被説明変数は1日あたり医療費を用いる
説明変数は、Xj,i,tが個人属性(年齢、性別、疾病コード、居住市町村、医療機関) Tt,iはベンチマークを2001年度全体として、2001年4月から2003年3月まで1ヶ月ごとに作られている月次ダミー。この係数の推移で検証。
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政策的含意 診療報酬のマイナス改定は、その後相殺されてしまうことを考えると実効性の乏しい改革手段。政治的コストも大きい。
「老人医療費の伸び率管理制度」にとっても重要な教訓。 もし、今後、診療報酬の引下げを政策手段として用いるのであれば、単純な手段ではなく、医療機関が需要を誘発するインセンティブを封じるDRG・包括化といった手段を検討するべきである。 また、そもそも誘発需要の厳選である寡占や情報の非対称性の緩和(情報公開)も考慮すべきか。
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2006年改正 ①中長期的な医療費抑制策 ・保険者の検診・保健事業の義務付けによる生活習慣病患者・予備軍の減少 ・在宅医療の促進・病床転換による平均在院日数の短縮を実施。 ・数値目標の実効性を担保するために、都道府県に医療費適正化計画を策定させて実績評価を行い、達成状況に応じて、被保険者には後期高齢者医療支援金加算・減額による動機付け。
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②短期的な医療費抑制策 ・高齢者の患者負担見直しとして、70-74歳は1割から2割へ自己負担率が引き上げ ・現役並みの高所得を持つ高齢者の自己負担率が3割に引き上げ。 ・高額療養費の上限を引き上げ ・療養型病床の入院患者からのホテルコスト徴収・食費負担引き上げが実施。
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③都道府県別の保険者再編・統合 ・政管健保の都道府県単位化 ・年齢格差・所得格差のリスク構造調整 ・市町村国保については都道府県単位での保険運営を推進するために、都道府県内の市町村の拠出による共同事業の拡充を行う。 ④高齢者独立医療保険制度の創設 ・75歳以上の後期高齢者について独立した医療制度を創設する。財源は、高齢者保険料1割、医療保険からの支援金(後期高齢者医療支援金)4割、公費5割。 ・前期高齢者財政調整
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問題点 試算の医療費抑制策が「対策の効果があるとして」計算されている。 生活習慣病の予防・コントロールは、医療費引き下げ要因にはならない。 患者に対して生活習慣病対策を実施するインセンティブが存在せず、保険者へのインセンティブも限定的(後期高齢者、前期高齢者財政調整のため、保険者は生活習慣病対策に努力をしてもしなくても財政に影響しないことから、保険者に対策のインセンティブが存在しない。 )
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国保・高齢者独立医療保険における平均在院日数の減少という目標についても、後述する医師誘発需要のために、医療費抑制につながるとは思われない。
短期的な医療費抑制策として打ち出された高齢者の自己負担率の部分的引き上げであるが、実はこうした対策は医療費に対してワンショットの水準変化があるだけ
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平均在院日数の短縮についても、現在行われている医療費包括化(DPC)対象病院の動向を見る限り、それが医療費抑制につながっていない、回転率を上げて単価の高い入院初期の医療費を稼いだり、入院外での医療費を高めたりするからである。 国保については、診療報酬明細書(レセプト)一件につき三十万円以上の高額医療費を共同事業拡大によって無条件に再保険で財政調整してしまうことになった。これでは、財政負担となるある程度高額の生活習慣医療費は、財政調整によって保険者の負担とはならないから、さらに努力の動機を殺ぐことになる。
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④今後の改革のあり方 医療保険財政悪化の主因は、高齢化(とそれにともなう技術革新)。 医療保険は、年金に近い財政方式。
したがって、財政的には対策は3つ。保険料引上げ、給付引き下げ、積立方式の導入。 保険料引下げは限界。給付引き下げも難しい。すると、積立制度の導入が現実的。
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積立金の推移(組合健保)
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図8 フェアな財政方式に移行した場合の生涯保険料率(組合健保、男子)
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世代間不公平の軽減の為に、高齢化に備えた積立金を各保険単位で所有する「フェアな財政方式」への移行。
完全基金を達成する目標年を2100年という遠い将来に設定することにより、改革に必要な保険料引上幅は、約2%ポイント(フェアな保険料率からは0.6%ポイント)に抑えられる。 2重の負担の問題は解決可能(年金と同様)。 二重の負担をすぐに顕在化させる必要性はまったくなく、将来の多くの世代にわたって少しずつ負担を徴収することで、十分に実行可能な保険料引き上げ幅にとどめることが可能である。
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シンガポールのように、個人レベルで医療貯蓄口座(MSA)を導入。
現在の高齢者の貯蓄の中には、将来の医療費や介護費負担に備えている目的の貯蓄がずいぶんと存在すると考えられる。こうした貯蓄を、優遇税制を適用することや、高齢者の保険料を減額することと引き換えに、医療用にしか使えない貯蓄として提供 勤労者については、現在徴収されている保険料の一部を労使折半でMSA口座に積み立てていくことにする。 MSAは、残った場合には年金として受給できるので、個人はなるべくその積立金を減らすまいとして医療費抑制の動機付けが行われる点も重要である。
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しかしながら、それだけでは世代間不公平の解消は難しく、痛みも多い。
したがって、現実的には、給付の削減とともに行うことになるであろう。 公的保険範囲の縮小という問題。 ①無駄な医療費の削減、②公的保険範囲の縮小、③医療提供体制の効率化、④経済的な予防の動機付け、といった方策が必要である。 これは必然的に、医療の規制緩和を伴うことになる。
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①無駄な医療費 ・典型例は、終末期医療費。 70歳以上の死亡前1年間の終末期医療費の規模は、およそ9,875億円(老人入院医療費に占める割合19.2%)。老人医療費全体の10%程度を占める。 終末期医療・延命医療は、「事後的」には無に帰してしまう医療費。急速に膨張する老人医療費の抑制対象として、終末期医療に注目が集まっている。
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しかしながら、どうやって減少させるのかという点については難しい課題がある。
予測の難しさ。 法律的や制度的な制約要因。 ガイドラインや患者の自己選択を進めることが重要である。 医療費の自己負担額については、影響しないか、影響したとしてもその弾力性は極めて低い ①リビングウィルの実行性が確保される場合には6.0%ポイント、②緩和ケア病棟やホスピスが確保される環境では11.2%ポイント、③終末期認定の厳密化が行われる環境では3.2%ポイント、④告知と病状説明が十分行われる環境では9.1%ポイント、それぞれリビングウィルの作成確率が高まる
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公的医療保険範囲の縮小 医学的な線引きは難しいが、イギリスのNHSの方法もある。 国民の意思を聞き削減範囲を決める方法もある。 その一つとして、Conjoint Analysisという仮想市場法を使う試みがある。
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混合診療の全面解禁 禁止 解禁 自由診療 全額自己負担 自己負担 + 一部自己負担 保険診療 一部自己負担 保険診療
混合診療禁止ルールとは、保険診療と自由診療を併せて行うことを禁じるものです。自由診療を少しでも行えば、保険診療も含めたすべてが患者の全額自己負担となります。対して、混合診療が解禁される場合とは、保険給付はそのままに、自由診療部分だけ追加的に実費負担することが認められることです。
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理論的枠組み d P A X : (診療水準に対応する)QALYs c : QALYs一単位あたり費用(価格)
d : QALYs一単位あたり一部自己負担価格 G 追加的余剰 次に理論的枠組みです。QALYsに対する需要曲線、QALYs一単位あたりの費用、その一部自己負担のラインが描かれています。ここでは保険給付で達成できる余命は点Dのところまでとしますと、このとき実際の費用から一部自己負担を引いた赤の□部分が保険給付されています。もし点Dを超えて、自由診療を受ければ緑の△の部分だけの追加的余剰が得られます。しかし、混合診療禁止のもとで自由診療を受ければ、これまで保険給付されていた赤の□が失われます。患者にとって自由診療をすることよる追加的余剰のほうが大きいのか、それとも失われる給付分の大きいのかが重要になります。 F H B c 保険給付分 E E I C d 一部自己負担 D J O x ↑ 保険給付上限 ↑ 自由価格c のもとでの均衡点
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結果のまとめ ①制度変更前後における自己負担の分布の変化は、所得階層間であまり変わらない
②混合診療解禁後のほうが、ジニ係数でみた再分配後所得は改善 ③医療費支払いの逆進性は、制度変更前後でほとんど変わらない ④しかし平均支出比率は解禁後で下がる ⇒混合診療の解禁が所得・資産格差による不公平をもたらすとは言い難い また以上の結果において、資産の場合でも同様の結果が出ています。
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③医療提供体制の効率化 EBM(Evidence Based Medicine) 電子レセプト、電子カルテ、医療の標準化 医療のCBA,CUA,CEAなどの経済評価 株式会社・営利法人の参入については賛否両論 保険者機能の強化 ただし、これについても賛否両論がある。
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喫煙を原因とする疾病にかかる医療費の甚大さ
④経済的な予防の動機付け タバコ税、禁煙補助財の保険適用など。 喫煙を原因とする疾病にかかる医療費の甚大さ 年間1兆2241億円(医療経済研究機構,1997) 年間3兆2000億円(後藤,1995,1996)
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ニコチンガムの需要は、①価格が1万円下がると15. 3%ポイント、②タバコの価格が100円上がると3
ニコチンガムの需要は、①価格が1万円下がると15.3%ポイント、②タバコの価格が100円上がると3.9%ポイント、③タバコのように自販機・コンビニでの購入が可能になると3.0%ポイント、それぞれ高まることがわかった。 ニコチンガムは、高価格(標準的な使用量で禁煙まで3万6千円) 保険対象薬と同じ3割の価格(7割の価格補助政策)にする禁煙支援策を考える。
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こうした価格補助政策を正当化する理由は、公的医療保険による外部性の存在(禁煙成功により、喫煙に伴う疾病が減少すれば、保険給付費が減少する)
総費用は855億円である。 医療保険給付費は年間164億円減少。これは、わずか5年ほどで(822億円)、ほぼ費用に見合う医療保険給付費の節約が得られることを意味する。
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同様に、生活習慣病対策として、経済的動機付けは重要。
アルコール、肥満、喫煙、運動習慣 保険料に差をつける。あとからのキックバックのほか、SINTAXなどが考えられる。 そうでない場合の啓蒙や教育の効果は悲惨である。医師や周りの家族の病歴も楽観バイアスのために効果が余りない。 疾病マネジメントの導入も一案。
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