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第2章 日本・中国・アジア アジアを知ると世界がわかる
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2.1 なぜアジアは急成長したのか アジアの経済成長要因 アジアの経済成長の要因 輸出志向型経済政策 プロダクト・サイクルに基づく後発性利益
2.1 なぜアジアは急成長したのか アジアの経済成長要因 アジアの経済成長の要因 輸出志向型経済政策 プロダクト・サイクルに基づく後発性利益 国内貯蓄に代わる外資の導入 多国籍企業のアジア進出による経済的波及効果の存在 経済開発の推進母体としての財閥・大企業の存在 経済政策を企画・立案するテクノクラートの存在 高付加価値製品を生産できる高級人力=熟練労働者の存在 等が複合的に絡み合って達成された。 必要な要素 経済発展に 工業化政策 輸出志向型 プロダクト・サイクルによる後発性利益 =外資導入 貯蓄の増加 多国籍業による経済波及効果 推進母体としての財閥・大企業の存在 国家の市場への介入 熟練労働力の存在 2
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アジアの経済発展の問題点 アジアの経済発展の特徴
1960年代から1970年代:アジアNIEsが発展 1980年代後半から1990年代:東南アジアの国々が発展 その後:中国、ベトナム、インドが発展 アジア地域のこうした経済発展のダイナミズムは,雁の群れが逆V字型に なって飛ぶさまになぞらえて,雁行型経済発展と呼ばれている。こうした中で ,アジア各国間の貿易関係が深化すると同時に,世界的には図2‐1(次のス ライド)のようなトライアングル貿易の中にアジアは組み込まれている。 ① 対外依存度が高い→自国経済が外的要因によって左右される ② 輸出先が米中2カ国に偏重→米中の経済停滞がアジアを直撃する懸念 アジアの経済発展の特徴 アジアの経済発展の問題点 3
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図2-1 貿易のトライアングル構造 (出所)筆者作成 アジア各国から輸入された中間財,資本財を中国で生産加工された消費財が,アメリカ、EUに輸出されるという貿易のトライアングル構造により,世界の貿易構造は成り立っている。 4
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世界貿易に占める東アジアのシェア (出所)経済産業省『通商白書2008年版』 5
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2.2 アジアが抱える諸問題 アジアが抱える諸問題 領土問題 環境問題 食糧問題 人口問題 エネルギー問題 アジアが抱えている諸問題は,日本が過去経験したか,現在経験している問題である。しかし,注意しなければならないのは,その顕在化する速度は日本のそれより早く,かつ深刻化しつつあるということだ。 また,どの問題は一カ国では解決できないほど,グローバルな課題かつ複合的要素が絡み合っている。したがって,アジア各国は協力してこれらの問題に対処しなければならない。 6
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③ 尖閣諸島(釣魚島)問題:日本-中国(台湾)間 ・ 石油資源が埋没している可能性がでてきたことが発生
a アジアの領土問題 ① 北方領土問題:日本-ロシア間 ・ 択捉島、国後島、色丹島、歯舞諸島の帰属をめぐる日本とロシア(旧ソ連)の争い ・ ロシアが実効支配 ② 竹島(独島)問題:日本-韓国間 ・ 歴史的書物の中に、日本の領土であることが示されているが、韓国側の歴史的書物には、韓国の領土であることが示されてない ・ 韓国が実効支配 ③ 尖閣諸島(釣魚島)問題:日本-中国(台湾)間 ・ 石油資源が埋没している可能性がでてきたことが発生 ・ 日本の実効支配下にあるが、中国と台湾は反発 ④ 南沙諸島問題:中国,ベトナム,マレーシア,台湾,フィリピンなど ・ 複雑な国境線 ・ 油田とガス田の発見 ・ 海運ルートと通商ルートであり、軍事的意味も大きい ⇒原因:経済,エネルギー,軍事の各面で重要なため 7
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b 環境問題の震源地としてのアジア ① アジアでは、生活環境・公害問題・地球環境問題が深刻化・併存 ② 経済成長にともなう環境汚染 ・ 化石燃料の大量消費による都市の大気汚染の広がり ・ 廃水処理整備の遅れによる河川の汚染 ・ 処理能力の不備による、固形廃棄物の放置 ③ 二酸化炭素排出量について ・ 次のスライド参照 ④ 環境問題の特徴 ・ 過去の環境破壊は局地的・段階的だったが、現在では世界的・加速度 的に進展→一国では解決できない ・ アジアは経済成長のモデル地域であると同時に、環境破壊の中心地・ 震源地でもある 8
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・世界全体の二酸化炭素排出量の内,アメリカ,中国,ロシア、日本の4カ国で50%を超えている。
b 環境問題の震源地としてのアジア ・世界全体の二酸化炭素排出量の内,アメリカ,中国,ロシア、日本の4カ国で50%を超えている。 ・日本は,4.7%と米中に比較したら,少ない(対米中比それぞれ約四分の一)が,世界で4番目に二酸化炭素を排出している国であり,さらに一人当たり排出量で見ると,約二分の一とかなり排出していることが分かる。 (出所)全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト( 9
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長期的な需要の逼迫化傾向(石油需要ファンダメンタルズ) 地政学的リスクの増大 資源ナショナリズムの台頭
c エネルギーの巨大消費地域アジア ニューヨーク原油先物市場の推移(単位:ドル/バレル、月平均) 21世紀に入り,原油価格は 急速に上昇し続けている 資料:米国エネルギー情報局 (出所):経済産業省『エネルギー白書2008』 原油価格高騰の背景: 長期的な需要の逼迫化傾向(石油需要ファンダメンタルズ) 地政学的リスクの増大 資源ナショナリズムの台頭 10
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・世界の人口大国(上位10カ国)のうち,6カ国をアジアが占めている。
d 人口大国としてのアジア ・世界の人口大国(上位10カ国)のうち,6カ国をアジアが占めている。 ・世界で人口が1億人を超えている国は,メキシコを含め11カ国しかない。そのうち,日本は,10番目の人口大国である。 11
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人口増加⇒食料需給問題 食料価格高騰の原因: 人口増加 経済成長に伴う1人当たり消費カロリーの増加と食生活の多様化
e 世界はアジアの胃袋を満たせるか 人口増加⇒食料需給問題 食料価格高騰の原因: 人口増加 経済成長に伴う1人当たり消費カロリーの増加と食生活の多様化 バイオ燃料向けの穀物需要の増大 12
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2.3 アジアにおける地域統合 a 東アジア共同体構想の変遷
2.3 アジアにおける地域統合 a 東アジア共同体構想の変遷 「経済産業省は,2005年12月に第1回東アジアサミットが開催され,東アジア共同体形成に向けた動きが本格化する中,東アジア経済統合推進のため、積極的にイニシアティブを発揮すべく,2006年4月には「グローバル経済戦略」を発表した。この戦略にそって,ASEAN10ヶ国に日中韓+インド,豪州,ニュージーランド16ヶ国で「東アジア包括的経済連携(東アジアEPA・CEPEA(Comprehensive Economic Partnership in East Asia))」構想,さらに東アジア版OECDのような国際的体制の構築に向けた第一歩として,「東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA:Economic Research Institute for ASEAN and East Asia)」構想が提唱された。2006年8月には東アジア経済大臣会合において,CEPEA民間専門家研究の開始,及びERIA構想を提唱し,2007年1月第2回東アジアサミット,2007年11月第3回東アジアサミット等を通じて,東アジア経済統合に向けた地域の取組を積極的に主導してきている。」(『通商白書2008』 ) 13
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東アジアにおけるFTAの経済効果(実質GDP増加率)
・アジア各国とも,FTAの経済効果は高い。特に,中国,ASEAN諸国でその傾向が高い。 ・日本の経済効果は,0.44%とあまり大きくないが,これは経済規模そのものが他のアジア諸国と比べ大きいため,割合としてはそれほど大きくは反映されていない。 (出所)経済産業省『通商白書2008年版』 14
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「機能的な協力促進が中心(機能的アプローチ)」となること 普遍的価値の尊重,グローバルなルールを推進すること
b 東アジア共同体構想に対する日本の立場 「開かれた地域主義」の原則に基づくこと 「機能的な協力促進が中心(機能的アプローチ)」となること 普遍的価値の尊重,グローバルなルールを推進すること 「ASEANは統合に向けた取組を着々と行うとともに,域外諸国・地域とも関係を強化している。近年,東アジアにおいて貿易をはじめとする相互依存関係が深化する中,東アジア諸国同士の自由貿易協定や経済連携協定締結の動きが活発化しているが,ASEANは,中国,韓国とFTAを発効させ,日本ともEPAの署名を完了している。インド,豪州,ニュージーランドとも交渉を継続しており,東アジアのEPA/FTAの結節点(ハブ)として位置付けられている 」(『通商白書2008』) 「東アジアで最も東アジア共同体形成に積極的なのはASEANである。」 15
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結論 ・世界がグローバル化する中で,世界が抱える諸問題の発信源・噴出地ともなっている。
・アジアで「世界の工場」「世界の消費地」と呼ばれるまでに急成長した。 ・世界がグローバル化する中で,世界が抱える諸問題の発信源・噴出地ともなっている。 ・「東アジア共同体」にはアジア経済の緊密化・ダイナミズムをさらに推し進める可能性がある。 ・「東アジア共同体」に最も積極的なのはASEANである。 ・日本はアジアが抱える諸問題,「東アジア共同体」形成に向けて、イニシアティブを発揮すべきである。 ・それらを通して日本は,アジアの一員として21世紀の世界経済に大きな貢献を果たすことができる。 16
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図2-2 経済連携強化に向けた取組み―スケジュールのイメージ
図2-2 経済連携強化に向けた取組み―スケジュールのイメージ 17
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(出所)外務省経済局『日本の経済連携協定(EPA)交渉:現状と課題』2009年10月
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